Abissale solitudine~海の底に消えた鍵~   作:紅 奈々

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第八楽章 Lettura di sentimento―読心―
標的1


「リオン・V(ヴェルベーラ)・ヴァルフォアは私の従兄弟のずっと遠い親戚で、私も何度か会ったことがあった。

・・・・・・まぁ、リオンちゃんは私の事を忘れてるみたいだけど・・・・・・ね」

 

 

京子の言葉に沢田、獄寺、山本は絶句する。

神谷と京子ちゃんにそんな接点があったなんて―――!?

沢田はあまりの驚愕に言葉が出てこなかった。

そこへ、一つの疑問を抱いた獄寺が口を開く。

 

 

「待てよ・・・・・・お前、神谷が虐められてたとき、ずっと見て見ぬ振りしてたじゃねーか!?」

 

 

獄寺の言葉に沢田と山本は「そう言えば・・・・・・!!」と京子を見る。

京子と璃王が接点があったというなら、京子は璃王を庇う筈だ。それなのに、京子は璃王を無視していた。

それは、沢田も獄寺も山本も知っている。

何故だ?と言わんばかりに三人は京子を見た。

 

 

「私も気が付かなかったんだよ。

まさか、イタリアに居る筈のリオンちゃんがこっちに居るなんて思わないでしょ?

しかも、あの頃と違って、まるで別人の様に変わっちゃってさ。

昔はお姫様みたくすっごく可愛かったのに」

 

 

京子の話に沢田と獄寺、山本は昔の璃王を想像してみる。

すっごく可愛かった、お姫様の様・・・・・・そんな想像をしても、どうしても璃王のそんな姿が想像できない。

寧ろ、今のドきつい璃王のミニマム版しか想像できなかった。

そんな三人を置いて、京子は話を続ける。

 

 

「前、リオンちゃんと話して、気付いたんだよ。

璃王君はリオンちゃんだって事。

蜂蜜入りのミルクティーなんか好きなの、リオンちゃんくらいしか居ないし、よく見たら今のリオンちゃん、璃蓮(リレン)さんとそっくりなんだもん。

それで、神谷って苗字だから、あぁ、リオンちゃんなのかな?って」

 

 

「あ、璃蓮さんは、リオンちゃんのお父さんだよ」と京子は付け足す。

京子の話に沢田は「京子ちゃんって結構、観察力良いんだー!?」と驚く。

普通、そんな細かい所まで見たり記憶しないだろうに。

獄寺に至っては、「こいつ、諜報員とか向いてそうだな」と思った。

山本はと言うと、「笹川って、神谷のこと好きなんだな―」と内心、ほくそ笑んでいた。

 

 

「・・・・・・で、三人はどうするの?」

 

 

京子の言葉に沢田達は顔を俯ける。

京子の話を聞いたとて、それが璃王を信じる事へ繋がるかと訊かれたら、そうではない。

確信が持てないのだ。

考え込んでいつまでも何も言わない三人を京子は見詰める。

そして、京子は言った。

 

 

「私はリオンちゃんの味方になるって約束した。

リオンちゃんは他人を傷付ける事ができる程、鬼畜じゃないからね。

それに沢田君も皆もどうして気付かないの?保坂理絵奈が近寄ってきた時のリオンちゃんの表情。

「オレに近付いてんじゃねぇ、クソビッチが」とでも言いたい様に物凄く不機嫌になるのに。

そんな相手に近付いてまで痛めつける理由ってある?

保坂理絵奈がリオンちゃんを傷付ける動機はあれど、リオンちゃんが保坂理絵奈に近付く理由はないんだよ」

 

 

璃王に言った事と同じ事を言う、京子。

京子が璃王イコールリオンだと気が付いたのは、璃王に告白した日の夜だった。

その時に京子は失恋したショックよりも、璃王と再会出来た嬉しさの方が勝っていたのは、また別の話。

「じゃあ、私からはこれだけだから」と京子は屋上を後にした。

京子が居なくなった屋上は、静寂に冷たい風が吹き抜けて、虚無さえ感じた。

 

 

「・・・・・・で、どーすんだ?ダメツナ」

 

 

「うわっ!?」

 

 

いきなり三人の背後から、低い男の声が聞こえた。

突然の声に驚いた沢田は情けない声を上げる。

振り返ってみればそこには、リボーンが居た。

 

 

「リ・・・・・・ッ、リボーン!

驚かすなよ!」

 

 

「お前が勝手に驚いただけだ」

 

 

沢田の抗議をリボーンは軽く一蹴する。

いやいや、居ない筈の人間の声がいきなり後ろから聞こえたら、誰だって驚くだろ――!?と沢田は、声にならないツッコミをする。

 

 

「まぁ、それはどうでも良くてだな。

お前らはシャマルからヒントを貰い、京子からも貴重な話を聞かされたのに、それでもまだ保坂理絵奈に肩入れするつもりか?」

 

 

リボーンの言葉に沢田、獄寺、山本は黙り込む。

確かに、璃王が告白して振られた腹いせに保坂を襲おうとした、なんて話は嘘だったにしても、その後の璃王から保坂への呼び出しで保坂が璃王に傷付けられた、というのはどっちを信じればいいのかが解らない。

実際に保坂が璃王に傷付けられたかも知れないし、真実はその逆か。

それを見分けるアビリティーが三人にはないのだ。

黙り込む三人にリボーンは呆れた様に溜息を吐く。

 

 

「呆れたモンだな、お前ら。

仕方ねぇ、猶予をやる」

 

 

リボーンの言葉に沢田は「猶予?」とリボーンを見る。

リボーンは頷いた。

 

 

「また、保坂がリオンに呼び出されて切り付けられただの殴られただの抜かしやがったら、それは間違いなく奴の自作自演だ。

今のリオンには殴る力すらねぇだろうからな。

シャマルも言っていたが、今の彼奴は立ってるのもやっとの状態だ。

此処まで教えてやったんだ、もう解るだろ。

ったく、こんなサービスは二度とねぇからな」

 

 

リボーンはそれだけを言うと、屋上を出て行った。

 

雲雀とマーモン、どっちが好き?

  • 雲雀
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