Abissale solitudine~海の底に消えた鍵~ 作:紅 奈々
「き・・・・・・貴様はあの時の黒猫か!?
いや、だが、奴は男の筈だ・・・・・・どうなっている?」
凍り付いた空気をそのままに、タコス・・・・・・レヴィ・ア・タンはは、璃王を指し、考え込んだ。
そんなレヴィに溜息を吐き、璃王は何処からともなく黒猫の面を取り出して、顔に宛がった。
するとそれを見たレヴィは「き・・・・・・貴様!!」と、声を上げ、璃王に詰め寄る。
「あれだけ生命力を奪われたのに、まだ生きているばかりか、そんなに動けるなんて、お前はホントに人間か?タコス」
「ぬぅ・・・・・・今、此処でリベンジマッチだ!
真っ黒ミディアムに焼いてやる!」
璃王のレヴィを舐めきった態度に腸が煮えくりかえる、レヴィ。
そう、レヴィは随分と前に璃王を闇討ちしようとして、返り討ちにあったのだ。
その時の事を思い出すと、また、屈辱で顔が歪む、レヴィ。
殺気を駄々漏れにして璃王に近付こうとした、その時だった。
「何をやっている、レヴィ?」
低く、ドスの効いた声がレヴィの肩を掴み、その後ろから彼を睨んだ。
その声が誰のモノか解ったのだろう。
いきなりレヴィは、身を竦ませ、畏縮した。
その額には大量の冷や汗が滲んでいる。
「ボ・・・・・・ッ、ボボボボボボボボボス・・・・・・ッ!?」
あまりの殺気に恐怖したレヴィの声が裏返る。
レヴィの後ろには、縄張りを荒らされた野獣の様な顔をしたXANXUSが立っていた。
あーあ、と、璃王、レヴィ、XANXUS以外が思った。
「早速、リオンと仲良くやっているみたいじゃねぇか、そんな殺気駄々漏れで。
・・・・・・で、誰をどうするって・・・・・・?」
「し・・・・・・っ、しかし、奴は
「黙れ、ザコが。
それと、日本語おかしいんだよ、タコ。
彼奴は害のある人間じゃねぇ」
XANXUSの威圧感に冷や汗を大量に流しながら反論するも、レヴィの反論はXANXUSに遮られた。
「あ、そういやボスー。
確か、このタコスだけだったよな?リオンを知らないのって」
ベルフェゴールの言葉に、XANXUSはハッとして、考え込む仕草をした。
確かに、レヴィが入隊したのは、ゆりかごの後だった為、レヴィが「リオン」の存在を知らないのも無理はない。
丁度、ゆりかごの時期はまだ、「リオン」が覚醒する前だった為、その頃は
しかも、リオンはヴァリアーとは部外者だ。
データにも無い人間の事まで、レヴィが知る筈がないのだ。
それを思い出すとXANXUSはレヴィの肩から手を離す。
「そうだったな。
だが、知らないからと襲って良い理由にはならねぇだろうが。
てめぇはこれから半年間、毎日便所掃除だ」
「な・・・・・・っ、ボ、ボス・・・・・・っ!?」
「ししし、ざまぁー」
XANXUSの後者の言葉はレヴィに向けられた。
「便所掃除」をペナルティーにされたレヴィは納得がいかずに項垂れる。それをベルフェゴールが笑って突いた。
ペナルティーが小中学生並みなのは、気にしてはならない。気にしたらお仕舞いなのだ。
「で、お前はここで預かる事になっているワケだが、異論はねぇな?」
「ふはっ、ここまで連れて来といて、今更だな。
大方、リボーンか誰からか、現状を聞いたんだろ?」
XANXUSの意思確認でもするかの様な言葉に、璃王は乾いた笑いを零すと、XANXUSの紅い双眼を見た。
紅い目に映る、吸いこまれる様な藍色の双眼はかつての光を宿しておらず、暗く沈んでいる。
XANXUSは学校での虐めだけでなく、自分が眠っていた間に起こった事が起因していると思った。
大方の事情は知っている。その事件で、リオンは―――。
そこまで考えて我に返ると、XANXUSは「あぁ」と肯定した。
「やはりか・・・・・・。
で、その話がマオにまで行き、マオがXANXUSに土下座・・・・・・ってか?」
「違う」
璃王の推察にXANXUSは口を挟んだ。
璃王はその無表情に近い顔に驚きの表情を僅かに浮かべる。
そんな璃王を置いて、XANXUSは説明を続ける。
「マオと話し合って決めた事だ。
彼奴は頭を下げて、お前を宜しく頼む・・・・・・だとよ」
「え・・・・・・?」
XANXUSの話に、璃王はまたも、驚かされる羽目になる。
何故、裏切る可能性の高い同盟ファミリーの次期ボスなんかを招き入れる様な真似をするのだろうか。
璃王は色々と疑問に思うが、何から訊けばいいのか解らず、沈黙する。
すると、XANXUSは璃王の頭を撫でる様にポンポン、と叩く。
「彼奴なりに、お前の状況が解っていたんだろうよ。
お前を休める環境に移して療養させる事は、割と前から考えていたらしい」
「・・・・・・」
XANXUSの言葉に璃王は俯いた。
マオには、学校での状況も呪いの進行状態も何一つ話していない。
マオは、イタリアに居る事が多いから、電話や手紙などで話す事はあるが、その内容は殆ど、学校以外に関する事だ。
帰ってくるのも、月に一度または、三、四ヶ月に一度帰ってきて、一週間居るか居ないかだ。
その一週間の間に自分の状態を理解していたというのだろうか?と、璃王は考えた。
「私たちは、昔からリオンちゃんの事は知っているわ。
だから、安心して、私たちの事は家族だと思ってのんびりと過ごして頂戴」
「・・・・・・解った・・・・・・」
オネェ口調の男性―――ルッスーリアの言葉に素直に頷いた自分に内心、愕然とする、璃王。
何でなんだ?ここに来てから僅か三十分程でおかしくなった。
この空間が何故か懐かしくて、暖かくて、居心地が良いとさえ思えてしまう。
今だって、ルッスーリアに撫でられても嫌悪感とかない。何なんだ、ヴァリアーは。
璃王は、僅か三十分で張り詰めた警戒が緩んでいくのを感じて、戸惑う。
どうしたんだ、一体?
その理由を知るのは、まだ先の話だった。
リオン・ヴァルフォア(13)(現時点)
並盛中学2年A組。
保坂理絵奈の策略に嵌り、クラスメイトから虐めを受けている。
ドーディチファミリー次期ボス。
先祖代々からヴァルフォアは血筋により十二支の呪いを受けているが、リオンはそれから外れた呪いを受けている為、年々寿命が縮んでいっている。
ユリアの呪幻術師であり、属性は地と闇。
死体を操る呪術と闇と精神を操る呪術に長けている死宣告者。
《用語》
ユリアの呪幻術師
呪いと幻術を操る術師。
その大半は黒魔術も使いこなし、それと同一視される。
死宣告者
主に暗殺と戦闘、その両方を専門とする殺し屋を指す。
現時点では、リオン・ヴァルフォアとグレイ・ゼル・ファブレット、ラル・ヴァルフォアなど。
雲雀とマーモン、どっちが好き?
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