Abissale solitudine~海の底に消えた鍵~ 作:紅 奈々
随分長い事、小説を放置していてすみません。
リアルで色々とありまして、小説を書く気力がありませんでした。
これからも不定期で顔を出したいとは思っております。
なので、ゆるーくお付き合いください。
標的1
「貴女は、グレイ・ゼル・ファブレット王女……!?」
リオンは、驚きに目を見開いてグレイに問う。
星の光を浴びた様な美しい白銀の髪に、透き通った凛々しい銀灰色の左目だけを晒している隻眼、陶器の様な白い肌。
そして、決定的なのは、その筋金入りとも言える遺伝子レベルの男嫌いと凛とした出で立ち。
何故、早く気がつかなかったのだ、と、リオンは頭を抱えた。
彼――否、彼女は、グレイ・ファブレット改め、グレイ・ゼル・ファブレット。
英国の現王妃の四女で、次期女王候補だ。
候補と言っても、グレイにはその証と権利がある為、ほぼ確定である。
現在は家を飛び出して死宣告者として裏社会を直に勉強中と言う、とんだじゃじゃ馬王女だ。
驚愕しているリオンを他所にグレイはキョトン、と首を傾げる。
「そうだけど……あれ~? そんなに驚かれる事?
うーん、隠してるつもりはないけど……。
まぁ、気楽にやっていこうよ。 ここでは身分なんてただの飾りで必要ないモノだし。
ボクも畏まられたり変に距離置かれると接しにくいし……ね?」
いや、身分くらい隠しましょうよ!?
グレイの言葉にそんな事を思うが、リオンは突っ込まない事にした。
ただ単に面倒だからである。
そんな事を考えていたリオンにXANXUSは言った。
「自己紹介終わったなら、話を進めるぞ。
リオン、その怪我はいつ頃完治する?」
「えーと……、確か1週間は無理な動きをするな、とは言われたな。
だから、多分そのくらいだ」
「だったら、1ヶ月は安静にしてた方が良さそうね、リオン?」
XANXUSの問いにリオンは答えた。 すると、会議室の扉が開いて、XANXUSとリオンの会話に蕩ける様な甘いマスクの女性の声が介入する。
その聞き覚えのある声にリオンは振り向いてその姿を認めると、再び目を大きく見開いた。
「……! ロラン……!?」
肩までの長さがある金紗の髪に、零れ落ちるくらいに大きな真紅の瞳が特徴的な女性。 口元には艶女かしい笑みを浮かべており、男ならば虜になってしまいそうな美貌の彼女は。
驚愕するリオンの口から、名前が零れた。
ロラン・ハースト。 彼女は、リオンの主である“あの人”の従姉だ。
「久しぶりね、リオン。 元気?」
微笑んで問い掛けてくるロランに、リオンは未だに信じられない、と凝視する。
いや、流石にこれは都合の良い夢か何かじゃないのか?
セラと出会すわ、マーモンに拉致られたかと思えばヴァリアーでラルと再会するわ、何故かグレイも居る上に更にロランまで居る始末。
自分の知らない場所に知り合いが集まりすぎていて現実味がない。
そうだ、きっとこれは夢に決まってる。
きっと、
リオンは思わず、自分の横っ面を殴ってみた。 しかし、怪我で思う様に力の入らない拳では、頬に痛みなど感じない。
そうだ、誰かに殴って貰おう。 その方が確実だ。
「……ラル、頼みがある。 俺の横っ面を思いっきり殴ってくれ」
リオンは近くに居たラルに、そんな事を頼んだ。 当然ラルは、そんな事を頼んできたリオンに驚愕を通り越して呆れ、額を抑える。
「いや、まぁ、信じられないのは解る。 理解してるよ。
どうせリオンの事だから、現状は夢だとでも思っているのだろうが……現状は紛れもなく現実だ。 諦めな」
ラルに言われ、リオンは項垂れる。
「そうか……。
そう言えばてめぇは、リオンの知り合いだったか。 なら、詳しいワケだ。
だったら、二ヶ月後にリオンの本入隊試験をする。
その頃には快復してるだろうし……何より、あのドカスも戻ってくるだろう」
「え、ボス……それは……」
「彼女とやらせるつもりなの?」
「やめといた方が良いと思うわ」
マーモン、ラル、ロランが焦った様に反対する。
誰の事を言ってるのだろう?
リオンはぼんやりと思いながら、しかし、彼女達の反応を見るにその「ドカス」と言うのは相当なツワモノなのだろう。
だとすると、リオンの中に僅かにある好戦的な部分が疼く。
一般の生徒を相手にしても疼かない闘争心だが、死宣告者や殺し屋を相手では話が別だ。
リオンが少しの期待を瞳に孕ませれば、XANXUSがそれを砕く様に言った。
「まぁ、普通なら
それに、
問題は、雑魚すぎてリオンの足元に及ばねぇくらいだ」
XANXUSの言い様から、リオンは残念そうな表情を見せた。
「それじゃあ試験になんないだろぉ?」
「勿論、奴だけでは心許ねぇから……スクアーロ、ルッスーリア、マーモン、そして、俺が相手だ。
近距離、至近距離、幻術、遠距離……これが試験の時に見る項目になる。
これで問題はねぇだろ」
「いやいやいや、ちょっと待てぇ」
「さっきから何だ、カス鮫?
試験にならねぇとか言うから難易度上げたじゃねぇか。
不満はねぇだろ」
XANXUSはスクアーロを睨んだ。 俺の試験に口出しすんじゃねぇ、ドカスが。
XANXUSの獰猛な炎のような目がそう言っていた。
しかし、それに臆する事もなくスクアーロは反論する。
「いや、確かに奴だけじゃ試験にならねぇとは言ったけどよぉ。 お前が出たら、別の意味で試験にならねぇだろ。
極端すぎるぞ」
「むしろ、丁度いいくらいだろう。
見ろ、あのリオンの顔」
「あ゛ぁ?」
XANXUSに言われて、スクアーロはリオンの顔を見た。
先程XANXUSが「俺が相手だ」と言った瞬間、リオンは深く沈むような瑠璃色の瞳をギラギラさせ、その瞳の奥は期待に満ちたように煌めいている。 まるで、遠足前の子供のような表情。
普段のやる気どころか生きる気もなさそうな廃人のような無表情とは大違いだ。
まさか、ボンゴレ最強の独立暗殺部隊のボス自らが試験官をしてくれるなんて思わねぇだろ……! 一度だけでも戦ってみたいと思ってたんだよな、それがこんな形で叶うとかさぁ……!
しかも、ヴァリアーに入隊させてくれるとか願ったり叶ったり過ぎるだろ。 これはもう、任務とか依頼とか賞金稼ぎ以上に張り切って……いや待て、その前に武器の整備も入念にしないとなぁ。
丁度、新しいクナイを仕入れた所なんだよ。 それも用意して、あぁ、最近作った術式も入念にチェックしておかないと! あとは……。
おそらく漫画ならば、一コマに収まりきれない程の台詞が一コマにびっしりと書かれているに違いない。
(めっちゃワクテカしてるぅぅぅぅうう!!)
(やっぱり、リオン可愛い)
スクアーロが衝撃を受けたような表情をしているのに対し、ラルはうっとりと頬を綻ばせていた。
そして言っておこう。 この小説はGLでは在りませぬ。
{お前はあの顔を見て、「やっぱり別の奴に変える」なんざ言えるか?
そんな事を言おうモノならきっと、主人に叱られたチワワのような表情で目に見えない耳と尻尾を垂れさせて、萎びた青菜のようにしゅんとするぞ」
「俺はお前の口からそんな比喩表現が出てきたのが今年一番の衝撃だぁ……」
「てめぇはそれでも反対できるのか? あの顔を失望に変えられるのか?」
「あー、もう解った解った。 好きにすれば良いだろぉ。
俺はもう、何も言わねぇよ……」
親バカ(兄バカ?)を発動させてしまったらしいXANXUSにスクアーロは溜息を吐いて、諦める以外の選択肢を一つ残らず駆逐された。
(あれ、こいつこんなにリオンの事気に掛けてたっけなぁ~?)
スクアーロは、頭上の蛍光灯を見る様に遠い目をしながら考えた。
いや、昔はもっとこう……いや、よそう。 XANXUSは変わってしまったのだ。
それならそれでいいだろう。
(これで、俺に対してのDVが無くなれば尚良いんだがなぁ……。 無理か)
スクアーロは、時間が経って萎びた某ピエロのハンバーガー屋のシナポテの様、
「まぁ、そういう訳だ。 二ヶ月後に試験だから、二ヶ月でその怪我治せよ。
良いな? 学校はおろかトレーニングしようなんざ思うなよ」
「あ、あぁ……解った」
返事をしながらリオンは思った。
最強の暗殺部隊のボスはかなり過保護だな、と。
ラル・プリム・ヴァルフォア(14)
リオンの三従姉に当たる少女。
リオンが唯一真面に接する事ができる一握りの人間。
何故かリオンの事を妹認識でいる為、かなりのシスコン気味。
ロラン・セレス・ハースト(23)
リオンの主の従姉に当たる女性。
天才女医でリオンの前の主治医であるフィア・セレス・ハーストの一人娘。
光と水と火の呪幻術師で、母親の天才的な頭脳を受け継いでいる。
この世に3人と居ないリオンの猫呪の薬を作れる医者。
「
雲雀とマーモン、どっちが好き?
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雲雀
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マーモン