Abissale solitudine~海の底に消えた鍵~   作:紅 奈々

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遂にあの子が璃王に接近します!


標的2

「璃王君!」

 

 

保健室の窓から飛び降りたのは良いが、自分が履いているのが上履きだった事を思い出して璃王が下駄箱に向かっていると、自分を呼び止める女子の声が聞こえた。

そちらに目をやれば、誰かが下駄箱の向こうから走ってくるのが見えて璃王は身構える。

大抵、女子に呼び止められると(ろく)な事がない。それは、璃王が並中に入学して学んだことだった。

璃王が立ち止まると、ブロンドのショートヘアーの女子がふわふわした髪を靡かせて小走りで寄ってきた。

目はオレンジ色でとてもキラキラして大きい。

あ-・・・・・・と、こいつ誰だっけ?と璃王は考えた。

確か、笹・・・・・・が付いた筈だけど・・・・・・えーと?笹・・・・・・ナントカ・・・・・・えー・・・・・・と・・・・・・。

璃王は記憶を探ってみるが、思い出せない。

同じクラスだったのは覚えている。いつも困った様な顔でオロオロとこっちをチラ見していたのを何度か見たことがあった。

取り敢えず、当てずっぽうでしっくり来そうな名前を呼んでみることにした。

 

 

「笹・・・・・・川、だっけ?」

 

 

「は・・・・・・はい!」

 

 

どうやら笹川で合っていたらしく、女子生徒は璃王に名前を呼ばれて嬉しそうな顔で顔を赤らめて頷いた。

「何の用?」と璃王が問えば、笹川京子は辺りを警戒するかのように見回して誰も居ないことを確認すると紙切れを璃王の手に握らせた。

そして、顔を近付けると、璃王にしか聞こえないような小声で囁く。

 

 

「これ、誰も居ない所で読んで・・・・・・!」

 

 

それだけを言うと、「待ってるから」と言い残して璃王から離れ、走って教室へ戻っていった。

その京子の背中を見届けると璃王は応接室へ向かう。

 

 

 

応接室には雲雀が居て、珍しく璃王が授業中に応接室に来たことに驚いていた。

 

 

「ワォ、君がこの時間にここに来るなんて、どういう風の吹き回しだい?」

 

 

「本当は帰ろうかと思ったんだがな」

 

 

応接室に入って璃王はソファーにゴロン、と寝転がった。

そして、先程渡された紙切れを眺める。見たところ、何も仕掛けもないようだ。

「何を見てるの?」と雲雀の声が聞こえてそこに目をやると、雲雀がティーカップを持って立っていた。

「さぁな」と璃王は起き上がって、雲雀からティーカップを受け取ると、ティーカップに口を付けて、ミルクテーを口に含んだ。

暫く紙切れと睨めっこしていた璃王は紙切れを開いてみた。

紙切れには、小さいが丁寧な文字が綺麗に列んでいて、こう書かれていた。

“璃王君へ

お話があります。昼休みに屋上へ来て下さい”

読み終わると、璃王は紙をぐしゃっと潰してゴミ箱に投げる。

 

 

「恭、昼休みになったら起こしてくれ」

 

 

「良いけど・・・・・・大丈夫?」

 

 

雲雀の問いに頷くと、璃王は眠気に誘われるように瞼を閉じた。

 

雲雀とマーモン、どっちが好き?

  • 雲雀
  • マーモン
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