深海開発用改造人間カイゾーグが艦娘達の先生をする事になりました。 作:みっちみちり
第二次世界大戦期の軍艦の魂を少女の体に宿した存在であると言われているがそもそも姿が確認され始めたのはごく最近の事であり、人間とは違う生命体とされているが実際の所はよくわかっていない。
人間と同じように五感が存在し筋肉痛を起こしたり汗を掻く事や血液のようなものが体内を流れている事から少なくとも筋肉や体液、それに類する組織が存在することがわかる。酒を飲めば酔い、くしゃみをしたりする事から少なくとも現在確認されている1体の機械生命体とは違い有機生命体であると考えられている。
現在人間が深海棲艦に対抗できる唯一の手段であり、両足で会場に立ち滑るように海面を移動することが可能である。艦娘達は感情の高ぶりによって艤装を瞬時に身に纏い敵である深海棲艦とは砲撃を中心に戦闘を行う。
艦娘は大きく分けて6種類に分けられそれぞれ駆逐艦娘、軽巡洋艦娘、重巡洋艦娘、空母娘、線艦娘、潜水艦娘に分けられる。
先ずは駆逐艦娘についての説明を…
「長い!」
思わず読んでいた書類をダッシュボードへ投げつけた。
「全く…只でさえ朝早くに車での移動でイライラしているのに」
紺乃は今トラックに乗り横須賀鎮守府へと向け走っているところであった。
今回は長い間鎮守府にいる事になりそうなのでわざわざ大牙に頼んでクルーザーの整備に必要な工具や部品などを持っていけるようにしたのだ。
「紺乃さん落ち着いてください。短期は損気、もっと気長に行きましょう」
そう話しかけた隣に座って運転している紺乃の同僚であり紺乃の数少ない理解者である
「そもそもクルーザーを使えば目立ちまくりますよ。今時あんなに派手なバイクに乗っているのは紺乃さんぐらいですよ」
「うっ、確かにそうだけどさ、でもやっぱりバイクの方が早いからさ」
正論を言われ少し焦る紺乃に対しさらに追い討ちをかけるように涼子は
「本当に大丈夫ですか?ちゃんと艦娘の子達の教師出来るんですか?」
「それなら大丈夫。一応教員免許持ってるし何より海軍に居たからな。まぁそれなりに教えられるだろう」
そこは自信を持って堂々と話す紺乃。そんな事を話している間に横須賀鎮守府に着いたようだ。
やはり最前線ということもあってだろうがなかなかに大きな基地の様だ。確か資料には艦娘達はあまり外を出歩く事は無いと書いてあったことも頷ける広さだった。
紺乃と涼子は門を開けてもらい中に入ると予め指定されていた場所にトラックを止め降りた。すると軍服に身を包んだ紺乃よりも少し年上に見える男が出迎えてくれた。
「久しぶりだな紺乃。元気だったか?」
「お久しぶりです提督。この度はお世話になります。それよりも提督自ら出迎えに来なくても宜しかったのに」
「まぁまぁこれからこちら側もお前には色々としてもらわなくてはいけないんだ」
出迎えてくれたこの男こそ歴代最年少でこの横須賀鎮守府の提督になった期待の提督であり、紺乃の正体を知っている数少ない人だ。
「こんな所で話をするのもアレだから提督室まで来てくれないか?」
「分かりました。涼子さんはもう戻られるんですよね?例の件お願いしますよ」
「はい。任せて下さい」
涼子は提督が予め呼んでおいたタクシーに乗って東京へと戻っていった。
「じゃあ行くか」
「はい。そうですね」
「鎮守府内の施設は後で説明するとして先ずはここが俺が普段いる指令室だ」
提督に案内され中に入ると中はよく整っており流石は提督と紺乃は提督の素晴らしさを再度思い知った。
指令室では2人の艦娘と思われし女性が執務をこなしていた。確か資料に記載されていた秘書艦と呼ばれる役割を担っている艦娘なのだろう。提督の背後にいた紺乃に気付き手を止めた。
「紹介しよう。この2人は俺の秘書艦を務めてもらっている長門と陸奥だ」
「私が長門型一番艦の長門だ。貴方の話は既に提督から聞いている」
腰ほどまである黒髪のロングストレートに眼は真紅の瞳で彼女からは堂々たる気高さと凛々しさが感じられた。
「同じく長門型二番艦の陸奥よ」
そう言うと紺乃に近づき顔をまじまじと見た。
陸奥は姉である長門とは対照的で茶色の髪に少しくせっ毛のボブカットで瞳の色は黄緑色だった。
「どうかしましたか?」
「ふーん…何処かであった気がするんだけど気のせいかしら?」
紺乃には思い当たる節はなく
「俺には心当たりは無いですね」
「そっかぁ〜…でもどんな人かと思ったら提督の言う通り中々カッコいいわね」
「俺をおだてても何もありませんよ」
「ふふっ面白い人」
姉妹でもこんなに性格が違うものなのかと少し驚いていると
「陸奥。その辺にしておけ。さてと、着いたばかりのお前には悪いがお前に教師として教えてもらいたい艦娘達の所へ行ってもらうがお前には」
「駆逐艦の子達8名の全ての教科の担当ですよね。名前も覚えて来ましたし問題無いです」
そう言った紺乃に長門と陸奥は少し驚いた顔をし提督は
「ま、お前なら覚えてくるだろうと思っていたよ。でだ、もう1つ言っておくことがある」
急に声色を変え真剣な表情になった提督に対し紺乃は気まずそうに目を逸らした。
「武道の事ですよね…まぁ善処します」
「確か前にも同じこと聴いたことがあるけどあの時はどうなったか覚えているよな?」
昔のことを掘り返され慌てる紺乃だが
「うっ…でも大丈夫です!提督にご迷惑をかけるようなことはしない様にするので」
「頼むぞ紺乃。もう彼女たちが待っているはずだ。長門案内してやってくれ」
「分かりました。それではついてきてくれ」
駆逐艦の子達が勉強している教室まで歩いている間長門とから紺乃は色々と聞かれていた。
「所で提督とはどの様な関係なのだ?だいぶ仲がよさげだったのだが」
「提督と初めて会ったのは約1年前に起きた東京湾沖大戦の時です。その時の俺は海上自衛隊に派遣されていてそこで会いました」
「あの戦いに参加していたのか…」
長門はあの戦いの生存者が目の前にいることに驚きを隠せないでいた。
1年ほど前、突如東京湾沖に出現した深海棲艦を全滅させるために艦娘だけでなく自衛隊までもが出動することになった戦いである。艦娘達が到着するまでの間に時間稼ぎとして深海棲艦と戦うことになった自衛隊は9割以上の隊員が死亡するという深海棲艦が発見されて以降最悪の死者を出した戦いである。
「その時俺は提督と会い色々と助けてもらったんだ」
「すまない…。余計なことを聞いてしまったようだな」
「大丈夫ですよ。まだ完全って訳ではないですけど立ち直ってきているので…ってそう言えば提督に聞き忘れていたんですが確か足柄さん?が先生として教鞭をとっていると聞いたんですが今はどうなされているんですか?」
ここに来るまでに一番紺乃が気になっていたことであった。護衛をするだけならば他にもこの鎮守府にいる為の手段はあった筈だ。
「実は最近MO作戦遂行に向け資材の確保や防衛戦の拡大に向け出撃出来る艦娘達は皆出撃しており鎮守府にはあまり艦娘がいない状況になっている。だからと言って艦娘達に戦闘技術の向上や教養を身につけさせない訳にはいかない。そこで貴方が選ばれたと提督からは聞いている」
「成る程…」
(どうせどんな理由だろうと俺を遣わしたんだろうけど)
そんな話をしていると駆逐艦娘達が授業を受けているクラスへと着いた。
「今は4人しかいないが他の艦娘達は今日にも帰還する予定だ」
そう言いながら長門は教室の扉を開ける。
中に入ると窓側の席に4人の艦娘達が座っていた。
「さてと。4人とも聞いているとは思うが今日から足柄に代わりこの方に教鞭をとってもらう」
「え〜っと、速水紺乃って言います。足柄さんより上手く教えられる自信はぶっちゃけないけどよろしくね」
「「「「よろしくお願いします」」」なのです」
「それでは後のことは頼んだ」
「任せてください」
サムズアップをして長門を見送った紺乃は
「さてと、確か君達は第6駆逐隊所属の特型駆逐艦暁型の四姉妹だよね。えっと暁ちゃんと響ちゃん、雷ちゃんに電ちゃんで合ってるかな?」
「何で私達の名前知っているの!?」
「ハラショー…!」
「凄い…」
「なのです!」
4人はまさか紺乃が名前を覚えて来ていたとは思ってもいなかったらしくとても驚いていた。
「流石に教える側が名前を覚えていないのはまずいからな。それと俺に聞きたいことがあったら何でもとは言わないが答えられる範囲で答えるよ」
1番に手を挙げて聞いたのは四姉妹の1番上の暁だった。
「じゃあはい!先生はどんなレディが好きなの?」
「自分らしさを持っている人。それとやっぱり可愛い人かな」
「次は私!じゃあ〜好きな食べ物は?」
次に聞いてきたのは雷だった。
「好きな食べ物か…甘い物が好きかな」
「じゃあ後でみんなで間宮さんの所に行こうよ!」
「そうね。それがいいわ」
「間宮さんの甘味はとても美味しいのです」
「それは楽しみだな。じゃあ早速だが授業を始めるか」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「困ったな…」
紺乃は早速頭を悩ませていた。それは
(論理って何するんだ?)
駆逐艦のクラスの時間割は
月 火 水 木 金 土
1礼法 手工 演習 礼法 算術 艦砲
2算術 手工 演習 水雷 論理 演習
3演習 歌唱 武道 手工 点検 演習
4演習 論理 算術 手工 料理
5点検 料理 艦砲 歌唱 信号
となっているのだが、今は火曜日の四時間目論理の授業である。倫理を辞書で調べると人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの。道徳。モラル。
とでてくるが、倫理の授業となると昔の偉い人の考え方を学ぶと紺乃は聞いたことがあるだけであり詳しくは知らないでいた。
(もういいや。やりたいことやろっと)
「よ〜しじゃあ始めるぞ〜。次は倫理の授業だが、早速だがある話をしよう」
「ある話?」
「ある所に1人の青年がいました。その青年は海に出かけていて橋の上から釣りをしていました。すると橋の下あたりで2人の男の人が何かから逃げているようでした。よく見ると2人の後ろには鮫が泳いでおり2人の男を食べようとしていました」
「あわわ助けないとなのです!」
「その時青年の近くに1人の男が通りかかりました。そこで問題だ。この男を橋から落として鮫の餌にして2人を助けるか、それとも2人を放っておくか。みんなならどっちを選ぶ?」
「「「「う〜ん」」」」
4人は深く考えているようだ。その間に紺乃はこの授業のオチをどうすればいいか考えていた。
気づけば20分近く経っておりとうとう4人は
「「「「うーん決められないよぉ〜」」」」
「まぁそれで良いんだよ」
「「「「え?」」」」
4人は不思議そうにこちらを見た
「人を守る為に戦っている君達が答えを出すには少し難しい話だからな」
「何だぁ〜」
ホッと息を漏らした雷。
「この話を通して俺が言いたいことは、この話の青年にはこの2つの手段しか無かった訳だがみんなの場合はもう1つ選択肢が増えるはずだ。響。何だと思う?」
「…艦娘として鮫と戦うこと」
「その通り。俺の言いたい事は力があるならばそれを誰かの為に使う事はとっても凄いことだっていうことかな」
「先生だったらどうするの?先生は人間でしょ?」
暁にそう聞かれ少し言葉に詰まったが
「えっ…う〜んもし2つの中から選べと言われたら見捨てるほうかな」
「先生は見捨てちゃうのですか?」
電が不安そうに言うので
「2つだったらって話だよ。そりゃあ助けに行くさ。でもな」
「人間の正義ほど身勝手なものはないんだよ。さてと、この話はおしまい!次の授業は…昼食べてから料理のか?まぁいいやじゃあ早めに終わって」
そこまで言ったところで放送が入った。
【速水紺乃。至急提督室まで来てくれ。繰り返す】
「調理の授業までに俺が帰って来なかったら休みにするから。じゃあ」
そう言い残し提督室まで走る。
「失礼します」
扉をノックし部屋に入ると何処か重い空気が流れていた。
「…先程遠征からの帰還中だった第五遊撃部隊からの緊急の打電が入った。敵と遭遇し金剛、瑞鶴、大井が大破。加賀、北上、吹雪の3名も中破し弾薬も殆ど底をつきかけているそうだ」
「他の艦娘達は既に向かっているんですよね」
「あぁ赤城、翔鶴、島風、比叡、榛名、霧島が向かっている。だがこのままでは恐らく間に合わない」
「で、俺に行って来いという訳ですね」
その言葉に長門はおもわず提督に対して
「提督!何故あの男をこのような事態なのに呼んだのですか!あの男をこの鎮守府に呼んだのも私たち艦娘の身代わりにさせる為なのですか!」
「長門さん落ち着いてください。それに俺は死ぬ気なんてないですよ。提督も分かっています」
「正直着いた当日に正体がばれることは想定外だったが…」
そう言いながら提督は引き出しから拳銃を取り出し紺乃に向けた。
「提督!?何をして」
そこまで陸奥が言ったところで発砲音が提督室に鳴り響いた。
長門と陸奥が紺乃を見ると胸の丁度心臓の辺りの服に穴が空いていた。
「はぁ…提督。結構痛いんですよそれ」
そう言いながら銃弾を取り出す紺乃の胸からは血は流れていなかった。
「お前は…いったい…」
驚く長門と陸奥の間を通り提督の前まで行く。
「提督。ご命令を」
深く息を吐き提督は
「深海探索用改造人間、速水紺乃!艦娘達の救助及び付近の深海棲艦を撃滅せよ!」
そう言うと提督は提督室の窓を全開にした。
「了解!それじゃあ行ってきます!それと2人とも見ていてくれ。俺の変身」
窓から外の屋根へと移ると潮風が紺乃の頬を撫でた。
(来い。クルーザー)
クルーザーに向け自動操縦用の電波を飛ばすとトラックの中に格納されていたクルーザーがひとりでに走り出した。
「あれ?彼処に立っているの紺乃先生じゃない?」
暁達4人も屋根の上に立つ紺乃に気づいたのかこちら側を見ていた。他にも数人の艦娘達が見ているが紺乃にとってそれはどうでもいいことだった。彼の腰に表れたライドルが海から吹く風を吸収していく。
ベルトの両脇から『パーフェクター』と『レッドアイザー』を取り出し高々と掲げ紺乃は叫んだ。
「セタップ!!!」
すると一瞬のうちに全身を『第二の皮膚』に覆われレッドアイザーは2つに割れ顔に装着される。そして口元にパーフェクターを嵌め込むことにより速水紺乃は仮面ライダーXへと変身した。
「何…だと…」
「はっ!」
Xは高々と跳び上がり海上を既に走っていたクルーザーへとまたがり戦場へと走って行った。
今度こそ全てを守る為に
次回はついに戦闘に入ります。最初なので無双させようと思っているのでどうか楽しみにしていてください。
それと今回出した鮫の話ですが作者は迷わず放置です。
関われば自分も相手も傷つくので知らんぷりして逃げます。まぁ結局人間殆どの人が自分さえ良ければいいって思ってると作者は思ってます。←少しこれが言いたかった。
あと、倫理の授業を習ったことがある方がもしいたら授業でこんな事したよ。とか教えてもらえるとありがたいです。