サモンナイト ー生贄の花嫁ー   作:ハヤクラ派

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ユニークアクセス数、10000記念の話です。
本当は日記風にさっくり終わらせる系の話だったんですけど、
記念に書くことにしました、この話を読んであのキャラの正体が判明する。



UA一万人記念SS 早過ぎる出会い、片目の少女

那岐宮小学校旧校舎……、既に放置された座敷林の中にある学校である。

一応市の管理区内だが、滅多に人は寄り付かず、主に肝試しなどが行われる心霊スポットだ。

そんな場所に不良が何人もたまっていた、だがその誰もが恐怖の表情を浮かべ逃げ迷っていた。

 

「はあ!はあ!なんだよ、なんだよあれ!!」

 

最初はただの子供だと思っていた、銀色の髪の外国人の少女、それが迷い込んできたのだと。

仲間の一人がその子を追い出そうと手をかけた時…。

 

『■■■■■』

 

聞き取れないその一言が告げられたその瞬間、彼女の髪に隠れている片目が覗いた。

そこには目なんてなかった、赤黒く染まった眼球らしきもの、そこから溢れ出る光が彼らを吹き飛ばす。

そこからは不良はただ逃げ惑うだけだった、無謀にも突っ込んでくる相手は光で吹き飛ばされる、

あるいは閃光の様に放たれ壁や机を融解させてしまった。

決して現実にありえない行為を目の当たりにした不良たちはひたすら逃げるだけだった。

そして、不良の一人がどこかの教室に隠れて震えていた。

来ないでくれ、来ないでくれと、ひたすらに願う。やがて叫び声も消えて、一人になった。

もう大丈夫か?っと思い扉の方を見ると。

 

『■■■■■■■■■■』

 

日本語か分からない言葉、だがなぜか脳に響く声に男は恐怖した、

そして夕闇の教室に赤く血だまりの光が溢れて……、静かになったのだ。

 

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勇人とクラレットが消えて、2ヵ月ほどの時間が過ぎた…。

最初は火が消えたように静かだったが、二か月も立つとそれも時と共に流れてゆく。

だが、それでも二人の無事を想い続ける人がいる、悪友、友人、幼馴染、そして…妹。

 

今一人の少女が通学路を歩いている、名は新堂春奈。

勇人とクラレットの妹で二人が消えた時は一番苦しんでた人物だ。

 

「春奈ぁ~~!」

「…んー?」

 

そんな春奈に、春奈より少しばかり小さい女の子が近づいてくる。

日比野絵美。春奈のクラスメイトで勇人の事を気に入ってる女子生徒の一人だ。

手の見える裾が少し見え隠れしているところを見るとその小ささが良く分かる、

因みに本人に小さいと言うとムクれるようだ。

 

「おー絵美!おはようー、相変わらず小さいねぇ」

「むー!すぐに大きくなるから!」

「絵美が大きくなる……全然想像つかないんだけど」

「もーっ!春奈ったらー!」

 

それをいじくるのが春奈の楽しみの一つ、一日一回は必ず、するほどだった。

二人が出会ったのは中学入学の時、ちょうど席が隣で友人になったのだ。

なんと兄とは中学の入学式にあったそうだ、ちょうど見に来ていた勇人に助けてもらい。

その時にカッコいい人だなぁっと思ったそうだ、相変わらずフラグを乱立する人だと思う、うん。

 

「そういえば、克也とは今日は一緒じゃないんだね?」

「いつも一緒なわけないよ。春奈はわたしと克也をどう思ってるわけ?」

「幼馴染=恋人候補」

「そ、そんなわけないでしょ!」

 

絵美が否定すると春奈は頭を抱えた!

 

「そ、そんなっ!? 私の中じゃ幼馴染は恋人になれる一番の候補なのに…。なぜ…?」

「どういう基準なのよ、それ」

「そりゃ、私の今までの経験からね。うん!」

 

笑顔でそう答える春奈、その顔を見て絵美は安心した。

最初の一か月は声をかけても反応が薄く、授業も身が入らなく、

不登校も何度か繰り返していたほどだったのだ。

そんな春奈に元気が戻ったと思い、友人である絵美は安心するのだった。

 

「……あ」

 

中学の目の前に来ると、一人の少年がちょうど校門を通ろうとしている。

その姿を確認した春奈は一目散にダッシュして飛びかかった!

 

「ミコトォォォーーー!!!」

「うわぁぁっ!?」

 

飛びかかられた少年は必死に体勢を立て直し、

春奈を引き剥がそうとするが見かけによらない怪力に春奈が必死にひっつく。

 

「いい加減離れてくれぇ!」

「いいじゃない減るもんじゃないでしょ!逆に増える!」

「視線とか色々あって減るんだよ!」

「相変わらず仲いいねぇー」

「でしょー♪」

「いやいや、勝手に飛びかかってるだけだから」

 

彼の名前は望月命、9年以上昔に春奈を慰めた少年だ。

実に数年に渡り、春奈に那岐宮中を捜索され、運悪く引っ越しで同じ小学校になったという不幸の少年だった。

ちなみにそれを見た、新堂勇人は厄災が一つ減ってほっとしたそうだ。

つまり勇人は命に春奈を押し付けたのだった。

そんな彼の仕事は妙に懐いた春奈を何とかすることから始まる。

 

「何が好きで毎回引っ付くんだ!」

「だから何度でも言ってるでしょ。私を慰めモノにした責任は取ってもらうって!」

「慰めモノじゃなくて慰めただろう!? 視線が酷くなったから訂正してくれー!!」

「ホントに仲にいいねぇー」

 

これが大体校門前に毎回行われるのだから堪らない、

ちなみに視線はこのリア充野郎とかいうモノだ。

春奈は非常に人気者だ、スポーツ万能、成績上々、見かけもかなりかわいい方だ。

そんな女の子に引っ付かれて迷惑をこうむっている命は知っている。

付き合ってみると気づく、この超絶問題児。厄介ごとは持ってくる、危険なものには突っ込む。

その癖、教師やクラスメイトには受けがいい…、身内にしか分からないモノだった。

 

「それより、今日は日直じゃなかったか? 克也が先に待ってるんじゃないのか?」

「え……、やっば!?」

 

命から離れて、ダッシュで学校に突き進む春奈、スカートなのに平気なのかと思うが、

スパッツこそ正義と謎の理論を立てている、その為気にしない。

やがて春奈が見えなくなり、絵美が命の横に立って挨拶をした。

 

「望月君、おはよう」

「ああ、日比野さん。おはよう」

「ホントに仲いいよねぇー」

 

相変わらずの絵美に命はため息をついて、過去の自分に後悔した。

 

「はぁ…、なんであの日俺外に出かけたんだろ…」

「出かけなかったら今みたいな事が起こらないから、わたしは楽しいよ?」

「はは、はぁ~、当事者は堪ったもんじゃないよ。アレのせいで虐められたことあるんだぜ?」

「でも、春奈がやっつけたって聞いたよ?」

「ああ見えて腕っぷしも凄いからな、春奈は」

 

中学の癖に春奈の腕っぷしは凄まじいものだった。

小さいころ見た漫画に習い「波紋の呼吸ー!こぉぉ!」とかしてたら

やけにタフガイになっていた、本人もよくわからないが呼吸法がよかったのね!と納得し、

よくその呼吸をしている。ちなみに毎日体を鍛えているため、意外に筋肉はある。見せ筋が異常にないだけだ。

 

「でも、春奈。元気になってよかったね」

「………いや、全然だよ。アイツたぶん、朝泣いてたんじゃないかな」

「え?」

「ほら、目元が少し赤かっただろ?それに掴みかかってる時、妙に手が震えてる気がしたし…」

「……よく見てるねぇ」

 

絵美はニヤケ顔で命を見る、命が春奈をよく見てることに驚いたが、

それ以上に命が春奈の事をよーっくわかっている事に乙女心がくすぐられた。

これで本人(命のみ)が否定してるのが勇人とはまた違うところだろう。

 

「いや、普通にわかるだろ?」

「ないない、絶対ないって。流石命!春奈の彼氏ね」

「だから彼氏でも何でもないって!」

「ということは、春奈を元気にしてあげないといけないよねぇ~」

「人の話を聞けぇー!!」

 

この二人も案外仲がいいと周りの人は思ったそうだ。

ちなみに春奈が付くころには克也は殆どの日直の作業を終えており、

ごめんごめんと言われるだけだったそうだ。

 

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昼休み。4人は屋上でお弁当を食べていた。その中には西郷克也の姿もあった。

西郷克也は以前、勇人が所属していたバスケットクラブの後輩だ。

当時の勇人に世話になったのが切っ掛けで春奈の枠に入っている、ちなみに絵美の幼馴染だそうだ。

絵美が母親に作ってもらった弁当、克也と命はコンビニ弁当やパンなどだ。

ちなみに春奈はなぜか重箱できていた、その理由は…。

 

「また二人ともそんな簡単に済ませて…、はい!」

「はは、なんかいつも悪いなぁ」

「だから俺はいらないって…」

「命!だから目元にニキビが出来るんだよ。しっかり食べないと」

「これは生まれつきだよ!知ってて言ってるだろ!?」

 

克也はたまに弁当を持ってくる、問題は命だ。

彼は親がいない、事故で死んでしまい、叔父の下で暮らしてるそうだ。

だから弁当などは持ってくることはなく、給食だった小学校はいいものの、

中学に進学してからどうにも買いベンばかりで春奈は心配してるのだ。

ここ1か月頃からよく重箱で弁当を作るようにしてきた、ちなみに食べなくても春奈が全て食べるので残すことはない。

 

「相変わらず凄い量…、よく太らないね春奈」

「そりゃ、動いてるし…、ここに貯まるからね!新堂家の血筋なんだから!」

 

年齢に合わないその胸を恨めしそうに見る絵美、克也もそれを見て眉唾を飲み込む、

ちなみに命は何の反応もしない、最初は焦ったが既に慣れきってしまっていた。

 

「ちょっと、克也何処見てるのよ!」

「いや、見てないからな!?  少しだけしか…」

「やっぱ見てるじゃないの!このバカ!」

「バカは関係ないだろ!?」

「見られても減らないから気にしないよ?」

「女の子として気にするの!!」

 

いつもの四人組、命が春奈の手を見ていた。

 

やっぱり、つらいんだなぁ…。

 

春奈の手に絆創膏が張られている、料理はとても上手のはずだ。

あんな怪我はそうそうしないはずだった、

確か料理するときはクラレット先輩たちがいつも一緒だったって聞いてる、

きっと作ってる時に思い出したりしたんだなと命は思った。

別に春奈を嫌ってるわけでもうっとおしいと思ってるわけでもない、

幼いころ、一人だった自分にどういうわけかずっと付いててくれたもの好きだ。

だから今のからげんきの彼女を見てるとどうにも落ち着けない…。

 

できれば、支えてあげたいけど…。俺じゃ無理だよな。

 

自分に自信がない、それが望月命だ。克也のような年相応の少年ではなく、

絵美のような人と仲良くするような人物でもない。

まして春奈のような何でもできる超人でもないのだ。

ただ、ただほんの少しだけ人とは違う能力を持ってるだけ。

しかもその能力は人を不幸にしかしないというモノだった。

そう考えながら、いつもの様にコンビニ弁当を置き、春奈の弁当を食べる。

買いはするもののコンビニ弁当は夜や朝に食べている、結局春奈の弁当を命は食べるのだ。

 

「そういえばさ、春奈知ってる?」

「ファミヲフィッテルッフェ?」

「いや、ちゃんと食べろよ、行儀悪いぞ」

「…んっく、ふう。何を知ってるって?」

「旧校舎の片目の幽霊についてよ」

 

ビクッと命が反応したがそれに気づいたものは居なかった。

いや、春奈は反応したかもしれなかったが、事情を知ってる彼女はそれを見て見ぬふりをしたのだろう。

それより、旧校舎の片目の幽霊が彼女は気になった。

 

「旧校舎の片目の幽霊って?」

「うん、私もお店の常連さんから聞いた話なんだけど…」

 

絵美の家は個人経営の飲食店を経営している。

中々固定客も多く、繁盛してる方だといえる店だ。

彼女はそこで看板娘として良く手伝いをしている、その時だ。

学校関連のお客さんより聞いたそうだ、

旧校舎にたむろしてる不良が泣きべそをかきながら出てきたことを、

その不良は大泣きしながらこう言ったそうだ。

 

――銀髪の片目しかない女が襲ってきたんだ!!

 

そう言いながら警察に連れてかれたそうだが、警察はその事が気になり調べてみたのだが。

旧校舎には何もいなかったそうだ、ただ壁が妙に焼けただれてたりした跡があり、

その不良が何かをしたのではないかと勘違いされたそうだが…。

その後、その不良の話を聞いた連中が何度も旧校舎に足を運んだそうだが、

夜は出ずに昼間に出るらしい謎の幽霊に何度も襲われ、やがて誰も手を出さなくなったそうだ。

 

「って話なんだけど…、興味ない?」

「また絵美のオカルトの話か?作り話じゃないのか」

「作り話じゃないわよ!ホントなんだから!!」

 

二人がまた夫婦喧嘩してるなぁと思った春奈は、気になることを絵美に聞くことにした。

 

「ねえ、絵美。旧校舎ってどこの旧校舎なの?」

「それがね…、昔の那岐宮小学校って話なんだけど、今の小学校と位置が結構違うみたいでね。場所が分からないのよ」

「そっか…、う~ん」

「先生に聞くのはどうだ?」

「いやいや、先生に聞いたりなんかしたら釘を刺されるぞ?望月」

「それが狙いなんでしょ、流石命抜け目ない」

「西郷も随分ノリノリなんだな…、はぁ」

 

面倒な事になったなぁっと命は思う、仕方ないので命自身も何か考えるかと考えていると。

 

「あっ」

 

一つ思い当たることがあった、那岐宮の昔の事が分かり、

かつ春奈たちに協力的な人物を…。

 

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「いらっしゃいませー!…ってあんた達か」

「夏姉やっほー」

 

那岐宮中学校近くのコンビニ、酒屋橋本の看板娘、橋本夏美がそこにいた。

酒屋橋本はコンビニらしくない名前だが、10年少し前にコンビニに改装したお店だ。

中学が近くにあったため、コンビニの需要は非常に高く、稼ぎも上々だ。

無論、酒屋としての運営もしているため、お酒がやけに置いてあるのがその証である。

そしてこの店、かなーり昔からある古店なのでもしかしたら何かわかるかもしれないと思ったのだ。

 

「橋本先輩お邪魔します」

「どうも…」

「夏美さん、こんにちわ!」

「相変わらずのメンツねー、買い物…って訳じゃないみたいね」

「うん、実は夏姉に聞きたいことがあるんだけど」

「私に聞きたい事?」

 

首を傾げた夏美は親に店番を交代してもらい、家の方にやって来た。

何やら、奥の本棚から色々引っ張り出してきたようだ。

 

「はい、お待たせ。お父さんの子供のころのアルバムよ」

「よし、さっそく端から端まで…」

「違うだろ、那岐宮小学校がどこにあるのか調べるんだよ」

「む~」

 

命が悪ふざけする春奈を宥めつつ、アルバムを開いて調べる、

予想よりも意外に早くその場所は判明した。

 

「これって…、うちの近くね。でもここって今は雑木林になってるはずなんだけど」

「それのせいで見つからなかったんですかね?」

「とにかく…、行ってみよ!」

 

春奈の一言で、全員が立ち上がる。

何故か夏美まで立ち上がり、さあさあ行こう行こうと声掛けまでし始めた。

その様子にテンションがさらに上がる春奈、そしてマジかぁといった顔をする命だった。

 

「なんで橋本先輩まで来るんですか…?」

「そんなの…、楽しいか、いやいや保護者としてね」

「そうそう!夏姉が来ると面白…、保護者がいるとすっごい助かるからね!」

 

イエーイと互いにハイタッチを交わす二人、

似た者同士の二人組を見て絵美と克也、命は遠い目をし始めた。

 

「この二人を絶対に揃わすなって言った新堂先輩の言葉が良く分かるよ」

「なんか、疲れるな…」

「せんぱい帰ってこないかなぁ…」

 

別の意味で勇人の帰還を望む三人がそこにいた。

 

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一同、中学生と高校生の5人は旧校舎へと来ていた。

6月の梅雨の季節と重なって雑木林は非常にジメジメしていた。

絵美は服がベトベトすると言いながら歩いていた、夏美と春奈は先頭で楽しそうだった。

そんな姿を見て命は安心する、やっぱり橋本先輩と一緒に居れば楽しんだろうなぁと思い春奈を見ていた。

その優しそうな表情に気づいたのか、克也が命に話しかけてきた。

 

「どうしたんだ、随分うれしそうじゃないかよ?」

「ん? まあ春奈がさ、元気そうでよかったなって」

「いつも元気だろ?」

「カラ元気だよ、やっぱり新堂先輩たちがいなくなってから元気がないんだよ」

 

そっか…、と克也は命のいう事を信じた、長い期間一緒にいると些細な言動からも気づくことはある、

自分も絵美の行動に少し他との違いを察することがたまにあるからわかる気がした。

春奈と命は常に一緒にいる分、それが非常に深いそうだ、ちなみに新堂兄姉も同じだそうだ。

 

「ホント良く分かるよねー、望月君は春奈の事よくわかってるよ」

「わかってる、じゃなくてわかるようになったってのが合ってるんだろうなぁ…」

 

いつも一緒だから何時の間にかわかるようになった、というのが本当だろうなと命は思う、

そういえばどうして俺なんだろうな?とふと思った、思えば一度も自分に懐く理由を聞いてない。

今度聞いてみようかなと思っていると、少し離れたところを歩いていた、二人が旧校舎の入り口でこっちを見た。

二人して、「早く早く」と急かして来るのを見てこの三人は本当は姉妹じゃないのか?と思いながら駆け足で向かって行った。

 

「長い…、長い旅だったわね…」

「そうね、思えば色々な事があったわよね」

「片道15分ほどなんですけど……」

 

変なボケをかます二人に克也が突っ込むんでいた、

旧校舎の入り口はお世辞にも綺麗とは言えなかった。

花火の後と思えるゴミや、煙草の後、何かを食べたお菓子が散乱していたのだ。

 

「うわっ…、汚いね。それで入るの?」

「そりゃぁ……、呼んでみる?」

「おっし………もしもーし!!」

 

学校の中に向けて春奈が大声で声をあげた、そんなことで出るわけないだろ…。

 

「あのなぁ…、そんなんで出るわけないだろ?幽霊だぞ」

「見えない?」

「…………ん、見えないな」

 

細目で校舎内をよく見るが、何も命は見えないと答えた、そっかーと春奈はいい足を進めていく。

雨風が入って埃も凄かったため、土足で直接入っていった。

 

「ねぇ、命君」

「なんですか、橋本先輩?」

「もしかしてさ~、命君って……見えるの?」

「…………」

「命は幽霊とか見えるよ?」

「春奈!!」

「んっ!」

 

命は春奈を怒鳴りつけた、春奈はびっくりしたようで涙目になるが、別に泣くわけじゃない。

実は人とは違う特別な能力がある…、それは幽霊と話す力がある。

ただ話すだけではなく、その幽霊を使役…、つまり協力を得ることが出来る能力を彼は持っていた。

とはいっても大抵の幽霊は話すだけで特別、使役できるわけでもない。

いわゆる物事を聞いたり相談を受けてもらったりするだけだ。

命はそんな自分の能力が嫌いだった、この能力のせいで今まで虐められたりと苦労がたくさんあったからだ。

そんな中、自分はみんなと違う、自分は何者なんだろうと恐れるようになり悩むことになった。

だが、そんな自分に引っ付いたもの好きが居た、それが新堂春奈だ。

あまりにしつこい彼女に、自分が幽霊が見える話せると言って何処かへ行ってもらおうとしたら。

 

――すごいね!

 

ただその一言だった、その一言しか感想を出さなかったのだ。

なんで怖がらないのかと聞いたら、別に命が幽霊見えるだけで命が幽霊じゃないでしょ?

とよくわからない答えを出してきた、ちなみにコイツだったら幽霊も友達になりそうだと思った。

この事を新堂先輩たちに話したら、二人ともまあ春奈だし、と言って気にしなかった。

ああ、この家族はきっと何かあってからじゃないと気にしないんだろうなぁと思った。

嫌われてもいい、もし何かあって嫌われるならそれまでだなと思い……8年近くの月日が過ぎていた。

 

「別に皆だったら気にしないでしょ!」

「そういう問題じゃ…」

「わたしは別に気にしないけど?ねえ、皆もそう思うでしょ?」

 

あっけらかんと答える、夏美。だが他の二人はそうはいかなかった。

ゴクリと唾を飲み込み震える絵美、乾いた声を出しながら笑う克也。

明らかに怯えていた。それを見て命は大きく溜息を吐いた。

 

「これが普通なんだよ。他とは違うってだけでみんな怖がるもんなんだ、だからあまり言わないでくれよ?」

「あ~~、ん、なんかゴメン。」

「そういえば、わたしも最初は怖がってた気がするな~、あはは」

「笑い事じゃないんですけど…、はぁー、しばらく変な目で見られる気がする」

「まー大丈夫でしょ、もーまんたい~」

 

夏美と春奈が特に気にしない反応を見せる、

それを見た、克也と絵美がそれぞれ命に謝った。

別に馴れてるし気にして無いよ。この人たちがちょっとおかしいだけだからさ。

そう言い、命も校舎内へと足を進めていった、その発言にぶーぶーと二人して文句を言っている。

克也と絵美はそんな光景を見て、さっきまでの雰囲気が消えたので笑いながら校舎内に入っていった。

 

『………■■■』

 

しかし、3階の窓から誰かが覗いてることを誰も気づいてなかった。

 

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埃が蔓延している廊下を歩き続ける。

 

「ふんふ~ん♪」

 

バンバンと手当たり春奈が片っ端から教室の扉を開けて、中をのぞくと次に行く、

そんな風に歩いていた。こいつに恐怖は無いのか、そう思える行動だ。

 

「いないね、みんな」

「しかし、春奈は相変わらず怖いもの知らずね…」

「あ、橋本先輩もそう思うんですか?」

「そりゃ…、まああそこまで怖いもの知らずじゃないわよ。っていうか春奈の怖いものって何なの?」

「……さあ?」

 

よくよく考えると春奈の怖いものを俺はしらないなぁ…、

本人に聞いても分からないって言いそうだし、新堂先輩たちが帰ってきたら聞いてみるかなと思う。

そういえば日比野さんの声が聞こえないと思い後ろを見ると、結構後ろの方を歩いていた。

 

「日比野さんどうしたの?」

「えっ!? な、なんでもないよ!」

「??」

「あ~、コイツさ、実は怖いの苦手なんだよね」

「ばっ!?ちょっと言わないでって!!」

「え?絵美ちゃんって怖いの嫌いだったの?」

「えっと………はい」

 

少しションボリと日比野絵美は答えた、だったらどうしてこんな場所にみんなを連れて来たんだと思ったけど、

そういえば元々春奈を元気づける為だったのかと思い、あえて追求しなかった。

そんな絵美に夏美は近づき、抱きしめて頭をなでなでしてあげる。

 

「ほ~ら、これで怖くないよね~♪」

「ちょ、ちょっとやめてくださいってばぁ!子供じゃないんですから!」

「いやいや、私から見ればみんな子供だからね」

「も~」

 

口では嫌がるが明らかに嬉しそうな顔をする絵美に、少し周りはホッとした、

だがバタンと音が遠くから聞けることに気づき、それぞれが遠くを見ると、

既に春奈が奥の方に差し掛かっていて、そのまま2階に上がろうとしていた。

 

「おい春奈、進み過ぎだぞ!」

「待ちなさい春奈!」

「ほら、絵美。行くぞ!」

「ちょ、ちょっと待ってよ~! わぁっ!?」

 

3人が二階に上がった春奈を追いかけようとして進んでいく中、

一人、日比野絵美だけがバキっと腐っていたと思われる床が割れてスッポリトはまってしまった。

バタバタと抜け出そうとする絵美だが、どうしても抜け出せずに視線を戻すと、

すでに春奈たちの姿はなくなっていた。

 

「待ってよ!置いてかないでよ~!!」

 

完全に置いてかれた絵美はバタバタと動くが、それで抜けるなら問題なかった。

あまりにもぴったりとハマってしまった為、涙目の絵美、しかし…。

 

――ギシギシ

 

「ふえぇ?」

 

泣き声を止めて、絵美は耳を傾けた、何かの足音が聞こえる…、

その音が気になり、周りを見るが、ちょうど音は自分の真後ろからしていた。

 

「誰…、誰なのぉ!?」

 

怖い、震える声で問うが、その音の持ち主は何も言わない、

やがて自分に日の影が当たるに気づき、絵美は真上を見上げた…。

 

「あ…」

『■■■■■?』

 

そこには謎の言語を喋る、片目が赤黒い光になっていた銀髪の女の子がいた。

その少女は絵美に手を伸ばし…。

 

「ヒッ…!イヤァァァァァァーーーッッ!!!」

 

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「あれ…絵美は?」

 

二階をボーっとしながら調べていると春奈は絵美がいなくなっていることに気づいた。

他の3人もその事に気づき周りを見るが絵美の姿がないことに今更気づく。

 

「絵美の奴、どこに行ったんだ?」

「う~ん、なんかホラー映画とかにあるよね、一人一人消えて行ってさぁ」

「不謹慎な事言わないでくださいよ。橋本先輩」

「その橋本先輩なんだけどさ~、もうずいぶん長い付き合いなんだから夏美お姉ちゃんって言ってみない?」

「いや、いいませんから」

「ちぇー」

「とにかく、探し」

 

――イヤァァァァァァーーーッ…

 

突然旧校舎の一階から絵美の悲鳴が聞こえ、彼らは驚いた。

もしかして、絵美に何かがあったんじゃないか全員考える。

 

「今の声って…、絵美だよね!?」

「あ、ああ」

「ちょっとやばいんじゃないの!? 急ご!!」

 

夏美が主体で全員急いで一階にかけてゆく、

そして一階の廊下で床にハマっている、絵美の姿が見えた、頭を抱えて震えているようだ。

すぐに春奈と夏美が駆け寄って絵美に声をかけた。

 

「絵美、大丈夫!?」

「絵美ちゃん平気、置いてってゴメンね?」

「あぁ…なづみ”ぜんばい~~!!」

「おーよしよし、怖かったねぇー、うん」

 

あやす様に夏美が絵美を抱きしめて頭を撫でてあげる、

さっきのやり取りといい、随分と扱いが上手いなぁと少し離れたところで見る、命は思った。

そして、落ち着いたのか、絵美はまだ泣きながら何があったか説明してくれた。

 

「みんながいなくなった後…、幽霊が出て、わたしの顔を触ってそれで怖くって…」

「幽霊!? ……チラ」

「ん? あ~、いないぞ? っていうかここら辺、浮遊霊もいないからおかしいんだよなぁ」

「いぃ!? 幽霊って身近にいるもんなのか!」

「以外にいるんだよ。特に学校とかさ、普段向こう側が関わらないだけで」

 

知らなきゃよかったと、ボソッと西郷が言うが命は聞かないことにした。

とりあえず、絵美を引っ張り上げようと体を二人で持ち上げようとするが。

 

「あ…ああ! 待って、待ってください!!」

「どうしたの絵美ちゃん?」

「いえ…あの…その…」

 

顔を真っ赤にしてプルプル震える絵美、春奈は何かを察したのか、命たちの方に寄って行く。

ちょーっと向こう行こうか―、といい二人の抗議を無視して見えない教室に連行した。

教室に入るとき絵美にウインクする春奈の姿が見え、絵美は気づかいさせちゃったと反省した。

 

「それで…、なにがあったの?」

「えっと…、こ、怖くってその…」

 

その後、絵美を引き上げた夏美は、絵美を連れてトイレへと駆け込んだそうだ…。

数か月前まで小学生だったんだからっと励ましたそうだが絵美は大層凹んでたそうだ。

 

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「まあ、元気出して? 2ヵ月前まで小学生だったんだし」

「蒸し返さないでよぉ!うぅぅ~~!!」

 

春奈が絵美を励まそうと背中を軽くたたきながら励ますが完全に逆効果だった。

一行は幽霊がいるという事が証明できた為、帰るか帰らないかで相談し合っていた。

 

「だから、帰りましょうよ!絵美の話が本当だったらこれはやばいですって!」

「そ、そうですよ。橋本先輩!本当にアレはやばいんですって!」

「「え~~、つまんなぁ~い」」

「……はあ」

 

多数決は2対2になってしまった、そして一人だけ、決めていない命に視線が集中する。

 

「ねえ、命。命は一緒に探してくれるよね?」

「望月君、お願い!帰るように説得して!」

「望月、これホントやばいって!」

 

同級生たちがそれぞれ命を説得しようとするが…。

命はある事が気になっていた、それはたと三対二で多数決で決まっても春奈と夏美が帰るかどうかだ。

 

「一つ聞くんですけど…、橋本先輩」

「ん?なにかな」

「もし、俺が反対して帰ることになったらどうするんですか?」

「それりゃあ、春奈と一緒に探索続行に決まってるじゃない!」

「さすが夏姉!!」

「そうですよねぇ……はあ、というわけで帰るなら二人で帰ってくれないか?入り口までは案内するから」

 

克也と絵美がそれぞれ顔を合わせたあと、溜息を大きく付く、

そして何かを察したように命の顔を見て決めたようだ。

 

「望月、春奈の奴がどこまで自由な奴かは俺も分かるよ。だけどさ、何とか説得できないのか?」

「そうよ、一応。幼馴染なんでしょ?」

「おれの知ってる限り、あの面倒見のいい、新堂先輩たちが8年近く性格変えられなかったのに?」

「「そうだったぁ…」」

 

二人してがっくりと頭を下げて、仕方なく、皆で行動することにした、

ただ、一時間探して見つからなければもう帰ると約束にこぎつけた命は有能だろう。

 

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それから、旧校舎を全員離れず捜索し続けた。

全ての部屋を片っ端から探すが、結局一つも手掛かりが見つからず、

三階の一番端っこの部屋、用務室に彼らは入る、用務室には畳が引いてあり、

布団も引いてあった、妙に小奇麗な部屋だったのが印象だっただろう。

 

「ここも無しかぁ……、ん?」

 

春奈が用務室の見渡すと、布団の上に黒い病人服のようなものが置いてある。

それに手をやる春奈、ニギニギと良く触るその姿が気になり命は声をかけた。

 

「どうしたんだ春奈?」

「それが、これなんか温かくて、ほら」

「…ホントだ」

 

黒い衣服はほんのり人肌の暖かさを感じ取った命、

つまりこの服はつい最近誰かが着ていたという事になる。

 

「ねぇ、もしかしてそれって幽霊の服なんじゃ…」

「なるほど…、これで決まったわね」

 

ふふーんと両腕を組んで決めている夏美に視線が集中する。

 

「な、なにが決まったんですか?」

「決まってるじゃない、幽霊に体温はない。つまり……、犯人は目が発光する謎の女の子よ!!」

「余計怖いですよそれ!?」

 

目が発光する謎の女の子、なまじ幽霊が見えて話せる命にとってそっちの方が怖かった。

 

――ガタタ

 

「ヒッ!?」

 

突然扉から物音が聞こええ、近くにいた絵美が驚いてその場から離れてゆく。

克也も声が出ずに扉を凝視して、夏美も突然の事に冷や汗をかき始めた。

 

「……春奈。ちょっと開けてきて」

「了解!任せて夏姉!」

「怖いもの知らずだな…」

 

春奈はゆっくりと扉に手をかける、そしてこっちを向いた。

 

「開けていいんだよね?後悔しない?」

「いいから早く開けてくれ、春奈」

「全く、命はせっかちなんだから…、はい。誰ですか~?」

「………■■■」

 

普通に開けたその目の前にいたのは一人の少女、銀色の髪と銀の瞳の小さな子供。

 

「ヒッ…!あぁぁ!!」

「ま、まじかよ!」

「こ、これは……!?」

 

流石の春奈も驚くように眉唾を飲んだ、目の前の少女のもう片方の目から零れる赤黒い光、

この世の物ではない感じのする、その目を春奈が恐怖しふるふると震えあがる…。 様に見えた。

 

「可愛い~!!」

「!?!?」

 

むぎゅっといった感じで目の前の少女を抱きしめ上げた春奈、

少女も何が何かや目をパチパチさせて混乱してるようだ。

 

「え?何この子、凄い!銀色だし銀目だし肌白いし、小動物みたいだし!」

「え……えっと春奈?」

「なに、絵美?」

「怖くはないの?目だって赤いし」

「……ああ、確かに赤いね。う~ん隠さないとねぇ…!? そうか」

 

少女の片方の手で抱いたまま春奈は口に手をやり驚愕した、

こんなことに気づくなんて流石私! そんな感じで4人を見て答えた。

 

「春奈…まさかあの伝説の…!?」

「そう、夏姉。リアル邪気眼…、まさか実在し」

「「「そんなわけあるかぁ!!」」」

 

同級生3人の叫び声が切っ掛けで幽霊騒動は終わりを告げたのだった。

ちなみに春奈の腕の中の少女は、訳が分からなくボーっとしてたようだ。

 

---------------------------------

 

5人と一人の少女は公園に来ていた、この少女をどうするかについて話すため公園に来てたのだ。

ちなみに春奈は一日一回はこの公園に来る。

公園に着いた春奈は少女の手を握りながらキョロキョロしていたがやがて諦めたのか溜息をついた。

 

「……まだ帰ってきてない、お兄ちゃん…、クラ姉…」

「■■?」

「ん? うん、平気だよ。もっと食べる?」

「…!」

 

差し出されたのは100円のメロンパン、

それを受け取った少女はモグモグと年相応の少女らしくそれを食べていた。

口をハムスターの様に膨らませて食べる姿を見て春奈がほっこりする。

その光景を少しだけ離れた所で命たちが見ていた。

 

「それで、あの子。どうするの?」

「う~ん、やっぱり警察じゃないですかね?」

「俺は反対かな」

「望月君?」

「言葉だって伝わらないし…、それにあの目のせいで普通じゃないよ。警察に預けたら問題になると思う」

 

銀髪で銀色の目、それに問題はあの赤黒い光を漏れる目だった。

どう考えても、普通じゃない。あんな子が世間に知られたらきっと不幸になると思う、

そう命は考えていた、それに……、何処かしら他人の様に思えなかったのである。

 

「じゃあどうするの、命君」

「……誰かの家に預かってもらうとか」

「あ~、私は親に聞いてみないとなぁ…」

「俺の家も無理ですかね。共働きですし」

「犬猫は飼っちゃダメってお母さんたちが…」

「犬猫って…」

 

飲食店だけど犬猫扱いなのはいいのか?と命は思うが、似たようなものかと思った。

最後に残ったのは自分の家だったが…。

 

「俺の所は……無理かな?」

「でも、命君の家って叔父さんは家働きじゃなかったっけ?」

「………」

 

命は唇を少し噛んで、苛立った。余計なこと言ってくれるなと思ったのだった。

普段は気にならないが、時折考えたくない事を橋本先輩も聞いてくる。

春奈はいい、どうせ言っても聞きやしないんだから。

 

「まあ、確かに叔父さんはいつも家にいますけど…」

「だったらさ、ちょっとだけ聞いてみればいいじゃない、それでだめだったらそこでお終い、あとは…新堂家に押し付けるだけかなぁ」

「…そうですね」

 

新堂家は今、春奈が一時期不登校になったのが原因で母親が仕事をいったん休職していていつも家にいる。

それでも何度か訪れる夏美の話ではやっぱり暗いそうだ、そんな中に異常な少女を入れる事は流石に引けた、

もう一度、命は春奈たちの方を見る。むせている少女をなだめてる姿を見て、これ以上負担をかけない方がいいなと思った。

 

「でも、ダメだったら春奈の家か警察ですよ? 流石に無理はできませんから」

「サンキューミコト!」

「なんですかそれ…」

 

カラ笑いしつつ、命は携帯を動かす、電池が筋肉を付けた謎のマスコットでんちマンのストラップ。

それが目に入りある言葉を思い出す。「機属性マンガン型!1200強度の超人よ!!」

そう春奈が言って無理やり付けてきたのは懐かしい。

別に気に言ってるわけでもないが買い替えるたび必ず付け替えていたのを思い出した。

 

『どうした命、電話するなんて珍しいじゃないか』

「戒叔父さん、実はお願いしたいことがあって…」

『お願いしたい事? 命にしては本当に珍しいな、新堂さんじゃないのに』

「いや、遠回しにいえば春奈のせいなんだけどさ…、実は…」

 

命は叔父に少女の事を話した、旧校舎で寝泊まりしてた言葉の通じない少女。

半眼で赤黒い目を持った銀髪銀目の小さい女の子と説明した。

それを聞いた戒叔父さんは少し驚いたようで、写真を送ってくれと言われて送ることにした。

 

「■■■?」

「そうそう、あそこを見てね、はいチーズ♪」

「はい…、ってどうしてみんなでどうして全員で映らないといけないんだ?」

「初めての記念撮影でしょ?私達のこの出会いの!!」

「はいはい」

 

何故か全員で写真を撮る羽目になったが、キチンと執れている事を確認し、

それを叔父さんに送ると、すぐに連絡が来た。いわゆる彼女の近くに保護者はいなかったのからしい。

身振り手振りで春奈が聞いたそうだが、いないとのことだ。どこまであってるかわからない。

それを聞いた戒叔父さんは…。

 

『連れて帰って来なさい』

「えっ? いいんですか」

『ああ、その子は無闇に警察に引き渡さない方がいいだろう、その……とりあえず、色々な事情があるはずだ…』

「それならいいけどさ、もしかしてこの子と知り合いなの?」

『…そうだな、今はまだ言えない。ただもしかしたら知ってる子かもしれないって事だな』

 

いつも自分の事や昔の事を一切話さない叔父さんが、

過去と関係ある少女を保護しようとしていることに少し驚いた。

叔父さんは昔の事を一切話そうとしない、何か後ろめたいモノが在るのかも知れないと思った事もあるが、

その事に悩んでることを気づいた、春奈が言ってくれた。

 

――今は言えないってことはいつか話すって事なんだから気にしなくても待っててみようよ

 

その事を聞いて、ある程度は待ってみようと思った。

叔父さんは少し口下手だが俺の事をしっかり思ってくれる事は分かる。

だから、俺は言ってやった。その時まで待ってるからさ、叔父さんは叔父さんなりに頑張ってよ、と。

少し笑顔を見せて頷いた、それからだったかな、学校の行事に出てきてくれるようになったのは、

そういった行事だけだったが確り出てきてくれて俺の成長を見てくれる、

それだけで何だか嬉しかったんだ…。

俺の最も古い記憶は…春奈と出会った時からだった。それ以前の記憶が一切欠けていて不安が今でもある。

あの日、気が付いたら目の前の少女を泣き止ましていた、

ただ一緒にいただけ、それだけで彼女は泣き止んだのだ、何も声をかけない、触りもしない、

ただ横にいただけ、それだけで春奈は嬉しそうにしていた。

もし彼女がいなかったら……、考えられないな…。

 

その事を思い出しながら俺は叔父さんにこう答えた、あの日と同じように。

 

「あの子の事、気になるけどさ。叔父さんは叔父さんなりに頑張って、それまで待ってるからさ」

『命…、ああ、ありがとう。迷惑かけるね』

「いいよ、たった二人の家族なんだからさ」

『もう一人増えそうだがね』

 

その言葉を聞いて、春奈を方を見ると……。

 

「!!」

「おわっ!?」

 

少女の目から閃光が飛びだしてベンチに当たると当たった部分を融解させてしまった。

その光景を見た、全員、ゆっくりとこっちを見る…。

え?あれどうするの、とか言う表情を春奈以外の殆どがしていた。

 

「叔父さん、いまあの子の目から光が出てベンチが…」

『ああ、やっぱりそうか、分かったこっちで色々対処するから気を付けて連れて帰って来てくれ』

「…はい」

 

自分って妙に不幸体質なんじゃないかと思う、

面倒ごとを起こす幼馴染に、たぶん妹になるであろう光線を放つ女の子…、なんだこれ?

自分だけがどうしてと思うが、自分も自分で妙に変な能力持ってたなと思ってもっと凹んだ。

電話を切って、春奈の方を見ると物凄く楽しそうにもう一回とせがんでた、西郷と日比野さんがそれを必死に止めている。

そして俺の方に手をやって妙に優しい目をした橋本先輩がこう答えた。

 

「どんまい」

 

その言葉を聞いて、今ほど新堂先輩が帰ってくることを望まない時は無かった…。

本当に早く帰ってきてください、新堂先輩。

 

こうして二人は出会ったのだ、もう一つの早すぎる出会い、

それがどのように物語を変えてゆくのかは…、まだ誰も知らない…。

 




どうだったでしょうか?
元の話の無いオリジナルの話だったけど結構な文を書けたみたいです。

夏美以外の人物は難しくて、色々苦労しました。

新堂春奈 →基本空気読まない自由人として書く、あくまで中学生になりたての少女。
日比野絵美→甘えが抜けきれない女の子、泣き虫寄りで(本編で泣いてたから)
西郷勝也 →年相応の子供、ガキンチョ。(わっかんねぇんだよ!)
望月命  →年齢に似合わない少年、一応中一。(原作序盤のアレは思春期も重なったと)
望月戒  →原作と変わらないように、多少軟化
■■■  →喋れない。本能的に命と春奈に懐く。(実は口が悪い)

苦労したのは日比野絵美と西郷勝也ですね、プロローグの会話しかないですし、
UX;だと3ページぐらいしか出番ないですし。
性格を決めるのにホントに苦労しました。
最後辺りなんかもう半分オリジナルでいいや、と投げやりにw

読んでて気づいたように実は春奈は元々ハヤクラを繋げる役目ではなく、
望月命救済係として作ったキャラだったりします。
ポジションに悩んだんでハヤトの妹に落ち着けました。
彼女がやった功績は、命の他人付き合いを解消、望月戒と命の仲を修復、
基本この二つだけですけど、この二つを治すだけでも相当彼の負担は減るでしょう、
本当に戒叔父さんは命の事を大事に思ってたみたいですし、ちょいと切っ掛けがあればな

それとあの子も登場しましたね。
あの子ももちろん救済です、ただ人並みの幸せを得る、
それだけで、彼女が救われるか分からないですけどね。

あとがきが長くなりましたけど、今回の話はそんな話です。
ご愛読ありがとうございました。
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