サモンナイト ー生贄の花嫁ー   作:ハヤクラ派

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時間がなく、後半部分書き足すはめに…
今回はモナティが仲間になる話ですね。
モナティはいいよ、モナティは、あざとい


第11話 幸せになれる場所

――幸せになれる場所、人の為に尽くすのが本当の幸せなのか、少女は知らない――

 

「サーカスですか?」

「そそ、サーカスだよ、サーカス♪」

 

お味噌とお米と醤油を分けてもらうために私は今、あかなべに来てた。

 

「今日からね、市民広場でサーカスが始まるのよ。お得意様に貰ったんだけど私はちょっとね…」

「今日もお仕事ですか?大変だったらシオンさんに話して今日ぐらい休みにしてもらえれば…」

「まあ、確かにサーカスは面白そうだけどアタシたちってそういうの専門じゃない?だからちょっとね~、で、面白い事思いついたのよ」

 

ニヤケるとアカネがもう一枚サーカスのチケットを取り出す。

 

「ここにサーカスのチケットが二つあります、そして目の前には淡い思いを抱いた少女!わかる?」

「………!?」

 

しばらく考えると気づいてしまった、アカネの企みとその目的が。

 

「もしかして、私とハヤトですか?!」

「そうそう、デートよ、デート!行ってきなさいよ。恋人同士なんでしょ?」

「だから、まだ違うって言ってるじゃないですか!!」

「だから【まだ】なんでしょ?だったらこれからに変わるかもしれないじゃない~♪」

「いい加減にしてください!アカネ!!」

「あ、だったらこのチケット、いらないんだ~、残念だなー」

「あ、それは…」

 

アカネがクラレットをからかって遊んでいると、

突然アカネの後ろに人が現れチケットを奪い取る、

その人物はアカネの横に立ち、クラレットのそのチケットを差し出した。

 

「クラレットさん、たまには楽しんできてくださいね」

「し、シオンさん」

「お、お師匠…」

「アカネさん、これは元々あの方がクラレットさんに渡すようにと言われて渡されたものですよ。あなたの遊び道具ではありません」

「は、はい…」

 

アカネが顔を青くしている、流石にこれはきついですよね…

一応、助けてあげなきゃいけないよね、友達だし。

 

「あ、あの、アカネはただ遊んでただけですし、気にしないでもいいですよ?」

「おや、そうでしたか。それでは改めてこれを」

 

シオンさんが私にチケットを手渡してくれた。

そう言えば…、このチケットを私に渡すって…

 

「そうそう、あの方はお礼はお酒でと言っておりましたよ?」

「あ、誰だかわかりました。はい」

「あはは…、じゃあ楽しんで来てね♪」

「はい、じゃあ、アカネもまた今度」

「うん、じゃあねクラレット!」

 

クラレットがあかなべから離れてゆく、

そして深呼吸をしてアカネが落ち着いているとシオンが口を開いた。

 

「さて、不肖の弟子に色々教えておかなきゃいけませんね」

「ひぃっ!?」

 

その後、アカネがクラレットに妙に優しくなったとかなってないとか…

 

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あかなべから孤児院に帰る途中、商店街に立ち寄ったクラレット、

目的はあかなべで貰った調味料に合う食事の材料を買うためだ。

 

「肉じゃが…、炒飯もいいですね…、焼きおにぎりっててもありましたね」

 

まだまだリプレに教えたい料理は沢山ある、

出来れば元の世界の材料を持ってきて作ってあげたいけど、

元の世界には帰れないし、元の世界からリィンバウムに行くのは無理ですよね…

 

考え事をしながら歩いてると、突然飛び出してきた人に激突してしまった。

 

「きゃっ!どこに目をつけて歩いてんのよっ!?この下等生物っ!!」

「ご、ごめんなさい…、え?」

「なによっ、変なもの見たような顔して!!」

「巻き角…?メトラル族!?」

「しまった!?」

 

自身の正体を気づかれメトラルの少女がクラレットから逃げるように走ってゆく。

クラレットもその少女が気になり走って追いかけ始めた!

 

「ま、待ってください!なんで逃げるんですか!?」

「あんたこそっ、なんで追っかけてくるのよ!さては、エルカの事を捕まえるきねっ!!」

「捕まえるって、私は別にあなたの角には…!」

「捕まって…、たまるもんですかっ!!」

 

角に魔力が溜まり始め、少女の目が発光しクラレットに襲い掛かる!

クラレットも反射的に幻実防御し、光を耐え抜いた!

 

「なっ、なんなのよあんた!魔眼を耐えるなんてっ!」

「メトラルの魔眼…、書物では知ってましたけど、なかなか効きますね…」

「こ、こないでよぉー!!」

「あ、待ってください!!」

 

メトラルの少女を追いかけるが、元々メイトルパの住人は身体能力が高い、

運動はクラスでも上の方だったクラレットだが、やがて追いつけなくなり見失ってしまった。

 

「見失うなんて…、メトラルの少女、たぶんメトラルホーンを採取するために呼び出されたのかもしれない、そのせいで人間を信用できないんじゃ…、って元々召喚獣はあの子みたいなのが普通なんですよね。昨日のモナティやユエル見てて勘違いしてました」

 

召喚獣は基本的に人間嫌いだ、特にサプレスの悪魔やメイトルパの一部の種族はそれに属している、

だから彼女のような行動は普通なのだ、ユエルたちが純粋すぎるだけである。

 

「それにしてもここは一体、豪華な建物が並んでますけど…、あ、綺麗な花壇…」

「早くしろ、カムラン!」

 

突然の大声が聞こえ、クラレットは物陰に隠れる、

すると大きな屋敷から兵士を引き連れ、マーン三兄弟が姿を現した。

 

「兄さん、慌てなくてもサーカスは逃げませんよ?」

「ばっ、バカ野郎っ!俺はサーカスを楽しみにしてるんじゃ…」

「はいはい、怒鳴らなくてもわかってますよ」

「お前たち、屋敷の前でみっともなく騒ぐなと言っておるだろう!」

 

このお屋敷はイムランさんたちの家だったんですか…、

今ここで鉢合わせするのはマズいですね、すぐに帰らないと、でも…

ホントに綺麗な花壇でしたね…。

 

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クラレットが孤児院に足を向けている時、孤児院では…

 

俺は今正直悩んでいる、ローカスさんが言った召喚師に勝てるやつはいない、

ホントにそうなのかレイドさんたちに聞いたがホントらしい、

実際に使ってる側だとわからないが使えない側から考えると歴然だという、

じゃあ俺は間違ってるのか…、そう考え頭がずっとぐるぐるしてる状態だった。

 

「う~、あ~」

「ねえ、ハヤト」

「うー?」

 

机にダレたまま横を見るとリプレの姿が見えた、

よく見る顔、クロの呆れ顔に似ている。

 

「なんだ、リプレか…」

「なんだ、じゃないわよ、あの人に言われたことまだ気にしてるの?」

「…クラレットを守るためって決めてるけど、ホントにそれだけでいいのかなって…」

「そういってるけどね、ユエルの事はクラレットは関係なかったじゃない」

「あれは…、子供たちが危なかったし…」

「……むー」

「オプテュスだってさ、クラレットを守るためが一番だったのが理由だったし…」

「……」

「ラムダさんの時はただ聞くだけが目的だったのに何でか…」

 

―イラッ

 

「あー、もうっ!!」

「り、リプレ?」

「何よ、少し言われたぐらいでジメジメしてて、カビとか生えたら困るでしょ!、掃除するんだからちょっとどっかいってなさい!」

「うーん…」

「また!…はぁ、じゃあハヤトに頼みたいことがあるんだけどいい?」

「俺に?まあ簡単なことなら大丈夫だけど…」

「じゃあ、はいコレ」

 

リプレが取り出したのは4枚のチケット、

サーカスのチケットの様だ、どこで手に入れたんだ?

 

「こんな物、どこで手に入れたんだ?」

「いつも買い物をしてるお店のおばさんから貰ったの、市民広場で今日から始まるんだって、私が行けるとよかったんだけど、今日、どうしてもしても手があかなくてねぇ」

「いいのか本当に?」

「いいのいいの、使わないより使った方がいいからね、じゃあ今子供たち連れてくるから」

 

リプレがその場を離れてゆく、

俺はチケットと睨めっこしてた、今日の日付らしいけど…、読めない…

 

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そのころクラレットは孤児院に帰って来ていた、

エルカというメトラルの少女のせいで少しばかり遅れていた。

 

「あれは…、ジンガにエドスさん?」

「おお、クラレットか、買い物の帰りか?」

「姐さんの料理は見たことねェから楽しみだ」

「ありがとうジンガ、二人はどこかにお出かけですか?」

「へへへ、俺っちさ、エドスと同じ仕事場で働くことになったんだ」

「力仕事の人手としては申し訳ないからな」

「修行にもなるしな」

 

ジンガが元気よく答える、

そしてエドスと共に外へと出て行った。

 

「それじゃ、あとでな」

「うまい飯、期待してるぜ!」

「二人とも気を付けてくださいね」

 

手を振りながらクラレットは二人を見送った、

そして家に入ると騒がしい声が聞こえてくる。

 

「やだやだやだー!ユエルも行くー!!」

「でもなぁ、チケットは4枚しかないんだ、だからな」

「ユエル、ハヤトに無理行っちゃダメですよ」

 

スウォンがユエルをなだめようとしてるが、ユエルは納得できないようだ。

 

「ごめんね、私がもう一枚貰ってくればよかったんだけど…」

「なあ、俺が残ればいいんじゃないか?」

「ダメよ、だってユエルは召喚獣じゃない、子供たちだけで見つかったら大変よ」

「うぅ~~」

 

何か話をしてる、何の話か分からないけど

ユエルがぐずっているようだ。

 

「みなさん、どうしたんですか?」

「あ、お帰り、クラレット」

「クラレット~、ユエルも行きたいよー!」

「きゃっ!」

 

ユエルに不意に抱き着かれて体制を崩すがハヤトに抱き留められて留まった。

 

「大丈夫か、クラレット?」

「は、はい…」

 

さっきのアカネのせいで…、変に意識が…

もう、アカネのせいですからね!

 

「クラレット?」

「だ、大丈夫ですよ、ところで何があったんですか?」

「うん、実はね」

 

何とか話題変更したクラレットは、リプレから事情を聴いた。

子供たちとサーカスへ行くチケットがあるが、4枚しかなくてユエルの分がないそうだ。

ユエルはサーカスに興味があるしモナティがいる場所だから行きたいそうだ。

 

「サーカスですか…」

「ユエル、大人しくするから一緒に連れてって!」

「うーん…」

「…?」

 

不意に端っこにいるクロに目が映るがクロはこっちに回すなとクラレットを睨んでいる。

普段から子供たちのお守をしてる身としてはサーカスはいい休みになるようだ。

 

「!」

「わかってますよ、リプレ。実は私…」

 

クラレットはアカネからチケットを貰ったことを話した、

リプレの4枚、クラレットの2枚で6枚、これで全員分が確保できる。

 

「私とハヤト、ユエルにラミにアルバとフィズ、人数分はありますよ」

「ホント、よかった!クラレットが持っててくれて…、あ、もしかして…」

「いいんですよ、みんなで行った方が楽しいですし♪」

「そう、それならいいわ、悪いわね、クラレット」

「よかったですね、ユエル。サーカスが行けるようですよ」

「わーい!ありがとう、クラレット♪」

「うふふ、いいんですよ、ユエル」

「じゃあ、俺は出かける準備をしてくるよ」

 

ハヤトが出かけるために自分の部屋に行く姿を見て思った、

確かに二人で出かけられなかったけど、家族で出かけるのはいいですね。

あ、そうだ。ユエルを変装させないと…。

 

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午後、市民公園へ来た俺達は大きなテントが張ってあるのを見た、

昨日まではまだ張ってなかったがまじかで見るととても大きいテントだ。

 

「うわぁ…」

「おいら、サーカスなんて初めてだよっ!」

「俺も、実際に見るのは初めてだなぁ、初めて見るサーカスが異世界のなんて思わなかったけどな」

「…すごい」

「…」

 

サーカスを楽しみにしてるのは本当だがラミを見ると一段と不機嫌なクロがいた。

今日は休めると思ってたそうだが、ラミ達がクロも連れていくと駄々をこねたそうだ。

子供にはとことん甘いやつだな…。

 

「耳がもごもごする~」

「我慢してください、召喚獣は色々問題があるんですから、サーカス、みんなで見たいんでしょ?」

「うん、我慢する」

 

後ろを見るとクラレットに連れられてるユエルがいた、

尻尾を隠して大きな頭巾をかぶって耳も隠している、これなら普通の女の子だな。

 

「じゃあ、中に入ろうか?」

「「は~い!」」

「…(こくん」

 

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サーカスは思ってたよりもとても面白かった、

空中ブランコや箱からの脱出、その他にも沢山の催しで楽しませてくれる。

大人げなく俺やクラレットも楽しんでいた。

 

「兄ちゃん、今の空中ブランコっての凄かったね!あんな高い所で、宙返りしちゃってさ!」

「あら、あんなの練習をすればできて当然よ、あたしは断然、さっきの手品の方がすごいって思うわ、箱の中から一瞬で消えちゃったのよ?」

「そんなの、やり方さえ知ってれば誰にだってできるじゃないか!」

「…なによ!」

「…なんだよ!」

「二人とも、ケンカは…」

「うわぁー!凄かったね、アルバ!フィズ!空中でグルって回ったり、箱から消えたり、ユエルじゃあんなのできないよ!、すごいすごい~!!」

 

二人の横に座っているユエルが子供の様にはしゃいでいる、まあ実際子供だけどな。

 

「二人とも、ケンカはやめましょ?ユエルの様に楽しむのが一番ですよ?」

「…(こくん」

「「は~い」」

「はは、お、みんな次の出し物が始まるぞ?」

 

周りが暗くなり明りに照らされながら一人の男が現れる、

サーカスが始まる前の挨拶でも見たがこのサーカスの団長の様だ。

盛大な拍手と共に団長が口を開いた。

 

「さあ、お次はここでしか見られない、不思議な生き物たちをお目にかけましょう!」

 

太鼓の音とラッパの音が聞こえ、奥の方の入り口に光が灯る。

 

「さあ、出番だぞ…、モナティ!ガウム!」

「はいですのーっ!」

「きゅーっ!」

 

盛大な拍手とともに現れたのはモナティとガウムだった、

サーカスで働いてるって言ってたけど、実際に出てたのか。

 

「わーっ!モナティとガウムだ!おーい!!」

「ユエル、静かに!終わったら挨拶に行けばいいですから」

「本番で出てたんだなあの二人…」

 

「初めましてぇ、モナティですのっ!でぇ、この子はガウム、モナティのお友達なんですの」

「きゅー!」

「モナティたちは、よその世界から呼ばれてきたんですのー」

 

恐らくメイトルパの事なんだろうなぁ…

 

「一生懸命頑張りますから、応援してくださいですのー!」

 

盛大な拍手と共にモナティとガウムが芸をしてゆく、

誰でもできるものだが、時には年齢に似合わない力を発揮している。

 

「なあ、クラレット、モナティって結構力持ちなんだな」

「メイトルパの亜人はそれぞれ特徴的な能力を持ってるんです。例えばオルフルのユエルなんかは鼻が利きますし、足も速いでしょ?」

「あぁー、なるほど…」

「頑張れ、モナティ!」

「凄いわねぇ…」

 

ユエルが応援し、フィズはモナティの姿を素直に感動する、

まあ、モナティも若いのに頑張ってるからな、よくやってるよ。

 

「じゃあ次はモナティがガウムの変身した玉に乗りますですーっ!」

「きゅーっ!」

 

ガウムの大きさが変動し、その姿は大きい玉に変わった、

モナティはその上に乗り玉乗りを始める。

 

「よ、よっとと…」

 

不安定だがモナティが一生懸命な姿が保護欲を刺激される…、

素直にそう思っただけだ、うん。

 

「すごいね、クロ…」

「ムイ」

「ととっ…、とっとっとっと!?」

 

ぶっきらぼうに答えるクロを横目でみる、

相変わらず不機嫌そうな顔だな、もしかしてクロの奴、

モナティが見世物にされて不機嫌なのか?

 

「こっちに近づいてくる…?」

 

クロは仲間思いの所あるからな、

やっぱり同郷が見世物にされるのは頭でわかってても見たく…

 

「とととととっ!止まらないですのーっ!?」

「えっ?うわあぁぁっっ!?」

 

何時の間にか目の前に来ていたモナティ、

観客席を乗り越えそのまま俺の頭に頭突きを食らわせる。

 

「ハヤト!?大丈夫ですか!」

「うにゅぅぅ~~!ごめんなさいですのー!」

 

意識が飛ぶ瞬間聞こえたのはモナティの謝る声と、

俺を心配するクラレットの声だった…

 

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気が付くとそこはサーカスの会場裏だった、

頭にタオルが乗せられており、頭が結構ぬくい…

 

「大丈夫ですか?ハヤト」

「あ、あ~、うん、おはよう」

「ふふふ…」

 

俗にいう膝枕、人生でも結構な比率でクラレットにやってもらっている、

それを見るたびに春奈やら夏美にいじられてたが、それも今では懐かしい…

 

「モナティ、起きましたよ」

「ほ、ホントですの?」

 

体を起こし、横を見ると、涙目のモナティがそこに立っていた。

 

「あの…」

「ん?」

「すいませんですのっ!、ホントにごめんなさいですのっ!!モナティのせいでお客さんに迷惑かけてしまって…」

「モナティ、そんなに謝らなくても平気だよ、別に怪我をしたわけでもないしな」

「あのディング、ガウムでしたっけ、あの子が庇ってくれたおかげで被害はハヤトだけでしたし」

「にゅう…」

 

さりげなくフォローするクラレットだが俺を気絶させたことが気になってるようだ。

そういえばと、子供たちの方を見るとガウムとみんなが遊んでいるようだ。

 

「あははははっ!」

「きゅっきゅーっ!」

「子供たちもああして遊び相手をしてもらってさ、それでこの話はおしまいだよ」

「そんな…」

「それより、モナティに聞きたいことがあるんだ」

「は、はいっ…、モナティにわかることでしたらっ!」

 

俺の頼みを聞いてくれるようだ、

実はモナティに聞きたいことがあったんだ、

いつも笑顔の彼女の召喚師、それの事が聞きたかったんだ。

 

「モナティを召喚した人って今、どうしてるんだ?」

「うにゅ…、そ、それは…」

「…?」

「ハヤト、モナティは昨日拾われたって言ったじゃないですか、忘れたんですか?」

「あ…、ごめん、モナティ、うっかりしてたよ」

「い、いえ、モナティをお呼びになったご主人様は、もう死んでしまったんですの…」

 

やっぱりそうだったのか…、主が死んだってことは…

 

「行く場所のなくなったモナティは、ガウムに出会って、その後、団長さんが拾ってくれたんですの」

「それで、サーカスにいたのか…」

「はい…、モナティたちのような召喚獣は、はぐれって呼ばれるらしいですの。でも、団長さんのおかげでモナティたちはぐれにならずに済みました、モナティは失敗してばかりでちっとも恩返しできてないですけど…、いつか団長さんのお役に立ちたいって思ってるんですの!」

「そっか…、頑張れよ、モナティ」

「はいですのっ!」

 

モナティのやる気と笑顔を見ると元気が湧いてくるようだ、

これならきっと大丈夫だなと思った。

 

「モナティも一緒に遊ぼうよ!」

「ゆ、ユエルさん、モナティはお仕事が…」

「きゅーっ!」

「なあ、モナティ」

「はい?なんですか?」

「この街にいるときだけでいいからユエルと一緒に遊んでやってくれないか?」

「モナティなんかでいいのでしたら…」

「違うよ」

「え…?」

「モナティだから、一緒に遊んでやってほしいんだ」

 

俺の言葉を聞くとモナティは喜んでユエルに付いていった。

 

「レビットは誰かの為に行動するのを何よりも好きな種族なんです」

「そっか、モナティらしいな」

「ええ、そうですね」

 

子供たちと遊ぶモナティの姿を見ながら俺はその姿を心に残そうとした。

モナティは俺達と同じだ…、この世界に召喚され帰る場所を失った…、

だけど前向きに行動している、俺達と同じなんだ…。

 

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少し日が傾き始めたころ、俺達は孤児院に戻っていた。

子供たちは疲れたらしく、ラミを筆頭にお昼寝をしている。

ユエルは森に帰っていった、スウォンにサーカスの事を話すんだと言っていた。

そして俺達は広間でガゼルたちにモナティの事を話していた。

 

「ってことがあったんだよ…、モナティって凄いよな…」

 

俺の話を聞いてガゼルが呆れ顔で答えた。

 

「そいつ…、バカじゃねぇのか?」

「ちょっとガゼル、いきなりバカってのはないんじゃない」

「けどよ、どう考えてもサーカスの団長に利用されてるだけだぜ」

「まあ、それはそうだと思うけど…」

 

騙されてる…、その考えはなかったな…、

やっぱりクロが不機嫌だったのはそこまで考えてたのか…

 

「一概にそうとも言えませんけど…」

「そいつはどういうことだ?」

「保護という問題です。モナティは幼いですし、ガウムも戦える種族っというわけではありません、サーカスという家に保護してもらっている立場ですから、それ相応の対価が必要なんですよ、召喚獣は…、奴隷みたいなものですから」

「……」

 

クラレットの言葉を聞いて、リプレが何も得ないような苦い顔をしている、

子供たちからモナティの事を聞いてる分、どうしても理解したくないんだろう。

 

「で、お前はどうすんだ?」

「え?」

「だから、そいつらに本当の事を教えてやんのか?」

「……、教えてくるよ、それで逃げたいって言ったら…その…」

「その時は、ここで匿ってあげるわよ。今更一人や二人増えても問題ないしね」

「リプレ…」

 

俺は椅子から腰を上げて外に行く準備をする、

今日はもうサーカスはやらないはずだからすぐに会いに行った方がいいだろう。

 

「ハヤト、もう行くんですか?」

「ああ、どうせ会いに行くだけだから武器も何もいらないよ」

「そうですか…、気を付けてくださいね」

「じゃあ、行ってくるよ!」

 

俺は少しばかり駆け足で、市民公園に向かって行った。

 

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市民公園のサーカス会場に着いたが一つ問題が…、

どうやってモナティにこの事を伝えればいいのだろう…。

うーん、正直に言うと傷つきそうだし、モナティ達は一生懸命頑張ってるし…、

一人で来たのは間違いだったのか、…とりあえず会ってみるか。

 

会場裏に移動を始めると、聞き覚えのある声が聞こえる。

 

「いやいやいやーっ!いやですのーっ!!」

「モナティ!?」

 

会場裏に飛び込むとそこでは長い金髪の男にモナティが連れ去られそう担っていた。

周りには二人ほどの兵士と召喚師らしい人物もいる、一旦身を隠してチャンスを伺った。

 

「モナティはここの団員なんですっ!どこへもいかないですのーっ!!」

「ハハハ、それはさっきまでの話さ。これからは私が新しい君のご主人様なのだよ」

「うそですのっ!モナティのご主人様は団長さんなんですの!」

「よくお聞き?団長さんはね、君を私に売ってくれたんだ。失敗ばかりの君より、お金を選んだのさ」

 

男がそうモナティに伝えるとモナティの顔が青くなっていく、

身に覚えがあるのだろうが、認めたくないのだな…。

 

「嘘ですの…、だってモナティ、一生懸命頑張って…」

「だが心配は無用さ、私は君を気に入っている、君のその一生懸命な所が気に入ったから君を買ったんだ」

「でも…モナティ、まだ、恩返しもできてないのに…、何もできずに…、また…」

「さあ、おいで!華麗なる私のペットとして、末永く可愛がってあげよう」

「……あの、お気持ちはうれしいですの、でもモナティは…」

 

男がモナティを気に入ったというのにモナティは悪く思ってはいないようだが、

それでもモナティはサーカスに恩返しがしたいようだ。

モナティも薄々分かっていたようだけど、損得抜きで相手に恩返しがしたかったんだな。

 

「モナティはサーカスの皆さんのお手伝いを続けたいんですの、失敗ばかりですけどモナティは…」

「そうか、手荒な真似はしたくなかったんですがね」

 

男が手を上げると兵士たちがモナティ捕まえる、召喚師の一人が男に何かを渡す。

 

「な、なにをするんですの!?」

「決まっているじゃないか、言うことを聞かないペットにはお仕置きが必要ということさ」

 

男は首輪のようなものを握り、モナティに近づけてゆく。

あの首輪は…、ユエルと同じ誓約の首輪!?

あれを着けられたら、モナティは…!

 

「ペットをいたぶる趣味はないのですがね、まあこれも教育というものです。なに、君が素直になれば外してあげますよ」

「いやぁ…いやぁぁーーっ!!」

「やめろっ!そんなものをつけようとするなんて何を考えているんだ!!」

 

周りの兵士や召喚師、男にモナティがこっちに目を動かした。

 

「あ、ユエルさんの所の…」

「なんだね、君は?」

「ずいぶんと好き勝手なことばかり言ってたけど、モナティだって自分の意思があるんだ!他人が好き勝手にしていいモノじゃない!」

「ハッ、くだらんな、彼女は召喚獣だよ?そしてはぐれだ、召喚獣は召喚師に服従するのが当然ってものじゃないかね?」

「あ……」

「そんなことない!!」

 

俯いたモナティが顔を上げてこちらを見つめる、

召喚獣が召喚師に服従するなんて間違っている、俺は絶対にそう思っている。

 

「別世界から突然呼び出されて、命令させられるなんて絶対間違ってる、召喚獣だって生きているんだ、俺達と変わらないように考えて協力し合えるんだ!だからお前の言ってることは間違ってる!!」

 

俺が最初に呼び出したみんなは色々と自由だった、

誓約もろくに使えないせいだ、でもそのおかげで気づけたんだ、

アイツらだって俺と同じように生きているってことが。

 

「…モナティは」

「ふんっ、平民の考えは愚かですね、召喚獣は我々の労働力であり、戦力であり、そして愛玩するものでもあるのですよ?」

「……ん?」

 

男が何かを言っているが、後ろの方で何かが蠢くのを見つけた、あれって…

 

「つまり、召喚獣は我々召喚師の所有物なのですよ!」

「いまだ!ガウム!!」

「ぎゅおぉぉーーっ!」

「うわっ!?」

「ガウムっ!」

 

突然飛び出したガウムが男の顔面に張り付く、

周りの兵士たちがその光景に驚いている瞬間、俺は駆け出した!

 

「モナティを離してもらうぞ!!」

「がぁっ!?」

 

モナティを押さえ付けている男の腹部を強打し意識を奪い取る、

すぐさまモナティを抱え後方に飛んだ、その際、兵士の剣も奪い取る。

 

「ガウム!すぐにこっちに来い!」

「きゅーっ!」

「あ、ガウム!」

 

男の顔面から離れ、ガウムがこっちへと近づいてくる、

今までよく見てなかったけどナメクジみたいに動くんだな…

 

「は、はぐれが…、よくもこの華麗なる私に不意打ちをっ!」

「こいつっ!」

「こ、こっちに来ないでほしいですのー!!」

 

兵士の一人が剣を構えて迫ってくる、

モナティはその光景に恐怖し目を手で覆う。

 

「軽い剣だけど…、はっ!」

「なにっ!?」

 

一気に近づき剣を振り上げ兵士の剣をのけ反らせる、

そして開いている手で顔面をぶん殴って後ろのサーカスの荷物に吹き飛ばした!

 

「す、すごいですの…、兵士さんが一瞬で…」

「きゅーっ!」

「まあ、こんなもんか…」

「…君は、兄さんたちが言っていた男か!?」

「兄さん?」

「そうだ、なるほど、兄さんたちが言っていた男ならその強さも理解できる、だが!私もマーン三兄弟の三男!カムランの名に誓って貴方を倒して見せましょう!!」

 

マーン三兄弟…、そうかイムランの弟だったのか、

だったらこの傲慢な考えも理解できる、まあこの世界じゃ普通の考えらしいけど。

ハヤトが再び剣を構えるとカムランはサモナイト石を取り出して召喚術を使い始める。

 

「霊界サプレスの天使よ、誓約の名の元にカムラン・マーンが命じる…」

 

空間が歪みゲートが出現する、そこから現れたのは剣を持った天使だった。

 

「天使…?」

「やれ!サプレスの天使よ、その男を始末しろ!!」

『!!』

 

天使が羽をはばたかせて迫ってくる、だがどこか動きがおかしい、

ぎこちないって言うか、体が重くなってるような…

 

「あ、あぶないですのっ!!」

 

迫りくる天使の攻撃を避け、その腕を切り落とす!

人の形をした分、嫌悪感はあるがそれを我慢してそのまま胸を剣で貫いた!

 

「ごめんな、剣を向けちゃって…」

『……』

 

天使は唖然とするが、その後、微笑しながらサプレスへと還っていった。

 

「どういうことなんですか!?、天使がこんなにもあっさり…、それに魔力が足りないなんて」

「魔力が…足りない?」

 

召喚師は魔力を普通の人よりかなり多く持ってるものだ、戦いを碌にしてないならそうそう減らないはずだけど。

さっきの天使が妙に弱かったのは魔力が少なくて十全の力を発揮できなかったからなのか…

 

「きゅーっ♪」

 

気分良さそうなガウムが視界の端で見える、

なんか朝よりも元気そうだけど…、もしかして。

 

「ガウム、お前もしかして魔力とか食べれるの?」

「はい、ガウムは色んなものを食べれるんですの」

「つまりさっきの不意打ちでカムランの魔力を吸いまくったのか…」

 

優勢と確信するがカムランのそばの召喚師が前に立ち召喚術を使う、

緑色の光…、メイトルパの召喚獣が俺達の前に姿を現した!

 

「ぺ、ペンギンの玉?」

「ハハハ、終わりだよ!その召喚獣は威力だけなら僕ら以上なのさ!」

 

その言葉を聞きハッとして召喚獣を見る、

すると頭に付いている導火線らしきものが玉の体に入り、膨れ上がる。

俺は直ぐにモナティの体に覆いかぶさった!

 

「にゅぅぅ~~っ!?!?」

「うわぁぁーーー!!」

「ぎゅおぉぉーー!!!!」

 

召喚獣が爆発し、衝撃が俺たちを襲うがガウムは機転をきかし、

その体で俺達を覆う、そして先ほど吸い取った魔力で防護膜を張り威力を軽減させた。

 

「ガウムっ、ガウムっ!!」

「きゅ、きゅーっ」

 

威力は抑えたが庇ったガウムはかなりダメージを受けているようだ、

剣が折れてしまったようだが俺はカムランの方を睨み、動き出す。

 

「くっ!あのディング、随分と往生際が悪いですね!もう一度やりなさい!!」

「はっ!」

 

再び現れる玉の召喚獣、だが俺は足に魔力を集中して、

地面に着く前に召喚獣に近寄り、思いっきり蹴り飛ばした!

もちろん、カムランの方へだ。

 

「なっ!?す、すぐに送還しなさい!!」

「ダメです、間に合いません!」

 

送還が始まるが、既に間に合わず召喚獣が爆発し、カムランを襲った!

カムランもなけなしの魔力で防御するが碌に耐え切れずに吹き飛ばされた。

 

「はあっはあっ…、こんなことになるなら石、持ってくるんだ…ん?」

 

足元を見るとそこに会ったのは緑のサモナイト石、もしかしてあの召喚獣か?

 

「よくも、すぐに増援を呼びなさい!この者たちを逃がしてはダメです!!」

「とにかく今は…、力を貸してくれ!」

 

カムランに向かって足元に飛んできた石に魔力を注ぎ、召喚術を発動させる、

現れたのは下半身が蛇の女性、確か…ペトラミアだったか…?

ペトラミアがこっちを見るとどこか理解したのか今度はカムランに視界を動かす

そしてその瞳が輝き、光と共にカムランの体が石化してしまった!

 

「か、カムラン様っ!?」

「と…、とにかく逃げるぞ!!」

 

石化したカムランを置いて、モナティを抱きかかえガウムも頭に乗せその場を駆け出す、

そして俺達はなんとかサーカス会場から逃げ帰り、南スラムまで逃げ切ったのだった。

 

---------------------------------

 

「えっぐ…えぐ…、にゅぅ」

「……」

 

俺はモナティを抱きながら孤児院の近くにいた。

モナティは捨てられた、酷い話だと思う、一生懸命やっているモナティを代わりの利く存在として扱ったんだ。

だけど…、それがこの世界の常識なんだな…。

 

「えぐっ、えぐ…、団長さん、モナティのこといらないって!失敗ばかりしてるからいならないって…」

「うん」

「モナティが失敗ばっかりしてるせいで、ガウムが怪我しちゃうし、モナティのせいではぐれになっちゃったですの…、も…、ひぐぅ…、どこへも…っ帰れな……」

「…なあモナティ」

「ひぐっ…、にゅ?」

「モナティは人の為に今まで頑張ってきたんだよな、だったらさ、今度はモナティ自身の為に頑張ってみないか?」

「モナティ…、自身?」

「うん、確かに人の為に頑張るのはいい事だ、だけどそれだけじゃダメなんだ、自分が本当に幸せになる為には自分の幸せになれる場所を探さなきゃいけないんだ…」

 

顔を俺の胸に押し付けていたモナティが目を真っ赤にした顔を上げて俺の顔を見る。

 

「…あなたも」

「ん?」

「あなたも持ってるんですか、幸せになれる場所が…」

「俺の…場所…」

 

俺の幸せになれる場所は…、元の世界、そしてクラレットの横だ。

まだ帰る方法も全然わからないけど…、それでも俺は必ず戻りたいと思っている…。

 

「まだ…、その場所に行くことはできないんだ…、だけどいつかそこに帰りたいと思ってる、だからモナティも俺と一緒に探してみないか、モナティ達が世界で一番、幸せになれる場所をさ」

「…っ!」

 

無責任かもしれない、でも放っておけなかった。

俺達と同じように自分の居場所に帰れないこの子を、俺達より力のないこの子を…。

 

「ううっ…、ありがとう…」

「うん…」

 

モナティは顔を上げる、目元が赤いが笑顔が溢れていた、そして…

 

「ありがとうですのっ、ご主人様~~~っ!!」

「うえぇぇー!?」

 

モナティは笑顔で俺に抱き着く、予想以上の力で驚く、

そして動物の様に顔をすり寄せながら幸せを満喫してるんだが…。

 

「うれしいですの…、ご主人様…、モナティ、ご主人様の為に頑張りたいんですの!モナティの居場所はご主人様のところなんですの!」

「ああ、うん、わかったから…さ、離れてくれないか?」

 

良い匂いがする、とても甘い…、いやいや何考えてるんだ俺、

女の子にすりよられるのは嫌じゃないけど…、

流石に恥ずかしすぎる、だが俺がそれとなく伝えようとするとモナティは悲しい顔をした。

 

「そんな、だってモナティは…、にゅう…」

「いやだから、こんなところほかの人に見られたら…」

 

 

 

 

 

 

 

「ハヤト?」

「!?」

 

その声に恐怖した、いつもなら安心できる、心が落ち着く声、

だが、今この状況でこの声を聴くのはマズい、そう心に警報が鳴り響く、

油の切れかけた機械の様にゆっくり扉の方を見るとそこには…

 

「なに…、してるんですか?」

「く、クラレット」

 

クラレットがその場に立っていた、よく見ると足にラミも付いている。

 

「…おにいちゃ」

「ダメですよ、ラミ。ハヤトは危険です」

「…きけん?」

「はい、ロリコンという病に発症してます、幼い女の子が近づくと危険です」

「…ロリコン?」

「ちょ、ちょっと待てクラレット、俺は…」

「私には幼い女の子にすりすりされて嬉しそうにしてる、変態にしか見えませんが?いいですね、わざわざお姫様抱っこして抱きしめられてるんですから、ええ」

 

まるで汚物を見る目をしてるクラレット、

や、やばい…、あんな目、今まで見たことない、マズい、本気で。

 

「じゃあ、行きましょうかラミ、ああ、ハヤト。私は別に怒ってないですから、気にしないでくださいね」

「…ばいばい」

 

そう言ってクラレットはラミを連れて家に戻ってゆく、

ガチャと何故かカギまでかかる音が聞こえた…、締め出された。

 

「ま、待ってくれ!頼む開けてくれクラレット!!」

「………」

「にゅぅ…ご主人様♪」

「きゅーっ」

「モナティ、もういいだろ、降りてくれよ、クラレットも悪かったって!だから開けてくれ、クラレットォぉー!!」

 

ああ、なんでこんなことになったのか…

俺はただ、みんなが幸せになって欲しいだけなのに…。

 

「…」

 

そして庭の方から見ていたクロが内心こう思っていた、「間が悪かったな」と…。

 

 

---------------------------------

 

ハヤトとクラレットがそんなことをやっているころ、北スラムで夕闇の中、人の姿が見えた。

 

「はァ…、くっそっ!」

「バノッサさん、もうやめた方が…」

「うるせェ!カノン!」

 

バノッサとカノン、二人がそこにいた、

バノッサは体中から汗を流しながら剣を振っている。

 

「こんなもんじゃ、あの野郎には勝てねェ…、くそっ!」

「バノッサさん…」

 

バノッサは焦っていた、前回の戦いで完全に敗北したのだ。

それだけならいい、だが自分との戦いで疲労してるはずのハヤトがそのままカノンを倒した。

鬼神化したカノンの実力はそれこそバノッサを超えている、

それすら倒す召喚術を彼が手に入れたことをバノッサが焦る原因になっていた。

 

「畜生…、なんでだよ。俺様の力じゃこれが限界なのかよォ!!」

 

他の人物がバノッサの強さを見れば天才と称するだろう、

人より劣る肉体、恵まれない環境、指導者などはない、

そんな状況で今のバノッサの実力は騎士のそれすら超えてもはや召喚師すら実力では超えている。

だが、勝てない、気持ちの問題だけではなく、本当に恵まれない環境のせいであった。

 

だからもし、彼に手が差し伸べられれば、大きく変わるだろう。

 

「こんなところにいたのか、探したぞ」

「あァ!?」

 

イラつくバノッサが振り向くと夕焼けを背後に一人の男が近づいてくる、

顔は逆光のせいで見えない、だがその目は深い闇を抱いてるようだった。

 

「あなたは…?」

「ソル・セルボルトだ」

「テメェ…、俺様に何か用か?」

 

バノッサはソルに対して既視感を抱いた、

見たことない相手、自分より年下のようだがそれでもどこかで会ったことある…。

 

「力が欲しくはないか?」

「ちからだァ?」

「そうだ、自分の目的を果たすための力だ」

「なんで、バノッサさんなんですか?」

「適正があるからな、バノッサには素質がある」

 

素質…、恐らく召喚師の素質の事なんだろう、

人より多くの魔力を持つバノッサ、それが素質なんだなとカノンは理解した。

 

「素質か…」

「召喚師としての実力が身に付けばあの男にも勝てるはずだぞ」

「ッ!?テメェ、どこまで知ってやがる!」

「大体のことは既に調べが付いた、金さえ積めば口を割る連中ばかりだったからな」

「そうかよ…」

 

オプテュスのメンバーは基本は力で押さえ付けている、

北スラムも金には常に困っている連中ばかりだ、

そんな相手に金を積めば忠誠心などない連中は直ぐに口を開くのは当然であった。

 

「悪いが、断らせてもらうぜ、お前の力は借りねェ」

「理由を聞かせてもらっても構わないか?」

「はぐれ野郎は、俺様が倒すって決めたんだ…、俺様自身の力でぶっ潰すってな!テメェらの力なんか借りてたら情けねぇ事この上ねぇからな!」

「あ、バノッサさん!」

 

そうソルに言い放つとバノッサは後ろを向いて歩いてゆく、

話はもう終わりだと切り上げて住処に帰ろうと足を動かした…。

だが、ソルの一つの言葉で全てが変わった。

 

「…兄弟の頼みとしては聞いてはくれないか、バノッサ」

「なんだと?」

 

バノッサが足を止める、後ろを振り返るとその目には怒りを現していた。

 

「テメェと俺様がなんだ?」

「二度も言わせるな、バノッサ、お前と俺は兄弟だと言ってるんだ」

「…!?バノッサさん!」

 

驚くカノンを後目にバノッサは剣を抜きソルに切りかかった!

ソルもそれを予測してたのか剣を抜き、受け止める。

 

「テメェ…、あの野郎の事を知ってるのか!答えろ!」

「ああ、よく知っている、俺達の父親だからな」

 

バノッサが更に剣の威力を高めるがソルはそれを受け流し後方に下がりながら石を握る、

呼び出されるのは巫女装束を纏った女性、狐火の巫女である。

炎はバノッサの周りに発生しバノッサの動きを止める。

 

「逃がすかァ!!」

 

ソルが逃げると思ったバノッサは狐火の巫女の炎に突っ込んだ、

無意識に魔力を纏い、それで突っ込んだためかダメージはほとんどない様だ。

 

「ドリトル!奴の正面だ!!」

 

繰り出されるドリトルはバノッサの目の前に突っ込んで動きを抑制する。

そしてそのままソルは次の召喚獣を呼び出した。

 

「セルボルトの名の元、ソルが汝の力を望む…」

「此奴も召喚師か、舐めてんじゃねェ!!」

 

バノッサは強い、しかも負けず嫌いだ、なら単純に話し合うなら簡単な話だ。

戦える状態にしなければいいとソルは確信した。

 

「来い!ツヴァイレライ!!」

「バノッサさん、危ない!!」

 

現れたのは巨大な馬に乗った悪魔の騎士、その存在が強大な威圧感を放っている。

ツヴァイレライはそのままバノッサに突っ込み持っていた剣を振るいバノッサを吹き飛ばした!

 

「ガァッ!?」

 

吹き飛ばされ、地面に倒れるバノッサ、

そんなバノッサに追い打ちをかけようとするツヴァイレライ、

しかしソルが指示を下し、ツヴァイレライは送還されていった。

 

「わかるか、これがお前の今の力だ、お前程度が父上に勝つことが出来るわけないだろ」

「…クソォ!チクショウッ!!」

「だが…、俺なら、お前に力を与えられる」

「うるせぇ、俺達を捨てたあの野郎の力は…」

「勘違いするな、父上は関係ない、お前が父上に復讐したいのなら勝手にしろ」

「どういうことだ…、テメェ…」

 

バノッサはソルの考えがわからなかった、

自分すら軽く倒せるソルが自身の父親を殺してもいいと言ってるのだ。

 

「狂った男なんぞに生きている価値はないからな、単純にそう思ってるだけだ」

「テメェの父親なんだぞ、わかってるのかよ」

「ああわかってる、お前の父親だからな」

 

皮肉を皮肉で返す、カノンはこの言い合いを見て一瞬だけ兄弟なんだなと思っていた。

 

「だったらテメェが倒せばいいだけだろ」

「出来ない事情がある、今は言えないがな…」

 

苦虫をかみ砕いたような顔をしながらソルは答える。

バノッサも嘘は付いていないと理解し始めた。

 

「もう一度聞く、俺に協力する気はないか、協力するなら俺の知ってる事はいくらでも話す、もちろん父上の事もな」

 

自分ではこの男に勝てない、この男に協力すれば自身の父親に近づける、

自分達を捨てた、自分の居場所を奪った復讐の対象に近づける…

 

「ああ、いいぜ。協力してやるよ、はぐれ野郎とあの野郎をぶっ殺すためにな」

「…決まりだな、お前はどうする?」

「ボクは…、バノッサさんに付いていく、それだけです」

 

この日、生き別れた二人の兄弟は邂逅した。




モナティの中でハヤトは相当好感度高めです、ライバル出現。(まあ、幼女なんでそれはないかな…)
ちなみにクラレットは相当キレてます、甘い匂い辺りから実は居たんでかなり怒ってますよ。


ソルとバノッサの二人の出会い書くために書き足したよ、
そろそろ書かんと確かに決闘イベに間に合わんしな。
次はメスクルの眠り編なのですが、結末変わるかもしれない、とりあえず次もよろしく!
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