サモンナイト ー生贄の花嫁ー   作:ハヤクラ派

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書いてない期間が長かったせいで書き癖が…。
今回は殆どガゼルの上位互換のエスガルドさんの話です。



第36話 ロレイラルの試練

ちょうど曇り空の日、サイジェントの南東付近から西に向けて飛ぶ緑の物体があった。

ばさりばさりと大きな羽音を鳴らしながらその物体は飛んでいる。

 

――シギャァァァーーッ!

 

咆哮を軽く上げるのは緑色の翼竜だった、召喚獣ワイバーンである。

そしてその上に3人の人影が見えた。

 

「あれがお主達の街でござるか?」

「そうですの、サイジェント。って名前なんですの」

「そうでござるか。しかし本当に寄らなくていいのでござるか?」

「…マスター?」

 

モナティがハヤトを見るとハヤトはじっとサイジェントを見つめていた。

彼にとってあの街は守るべき地であり大切な人達がいる場所だった。

だが帰る事は今は出来ない、未だ手に入れるべきエルゴの力が二つも残っているのだ。

それらを手に入れるまでハヤトはサイジェントに戻ることは出来ないと理解していた。

 

「うん、ロレイラルがサイジェントと挟むように感じられたからさ、ちょっと覗いてみたかっただけなんだ。確認もしてみたかったし…」

「確認…ですの?」

「クラレットがまだ無事なのかって…」

「あ…」

 

大丈夫だ、クラレットのサプレスのエルゴはいまだ感じられる。

まだ無事だって事なんだよな…。

 

クラレットの中にはサプレスのエルゴが存在する、

ハヤトはエルゴの力を感じ取ることが出来る為クラレットが無事か確かめたかったのだ。

未だサイジェントを出た時と変化のない気配だった為、彼は安堵していた。

 

「しかしモナティ。もう少し優しく運べる召喚獣は居ないのでござるか?こう揺らされると」

「カザミネさんは我がままなんですの!ワイバーンさんだって怒っていますの!」

 

怒ったかのように揺らされるとカザミネさんは焦り始めてモナティに弁解を始める。

「後生、後生でござる~!」とか言ってるがワイバーンのモナティもふざけてるだけだ。

まあ、ワイバーンの声が聞こえないからたぶん理解できないと思うけど。

 

「二人ともそこまでにしてやれよ。カザミネも謝ってるだろ?」

「マスターがそう言うなら許してあげますの♪」

「ハヤト…礼を言うでござる」

「ははは」

 

軽く笑いサイジェントを見直すと既に通り過ぎてかなり遠く離れ始めていた。

目線をサイジェントから話して俺は向かいべきロレイラルの試練が行われる地へと向ける。

 

「だけど、モナティがワイバーンと知り合いだったなんて思わなかったよ」

「ワイバーンさんはモナティのお友達なんですの♪」

 

それに返事するように咆哮を上げるワイバーン。

この緑の翼竜はモナティの前のマスターが召喚していた召喚獣だという。

前マスターが死んでもう会えないと思われていたがエルゴの守護者になったおかげで呼び出せたようだ。

俺の使ってる古の召喚術はサモナイト石を必要としない、過去に培った絆から呼び出すことが出来るのだ。

そのおかげでモナティが召喚することが出来た、もちろん翼竜もモナティを知っており俺達に協力してくれると約束してくれた。

お陰で移動の為の足が確保されたという事だな。もちろんワイバーンは強力な召喚獣で頼りにもなる。

 

「これからよろしくなワイバーン」

 

――シギャァァーーーッッ!!

 

咆哮を上げながらワイバーンは空を駆けて行く、目標はロレイラルのエルゴだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

荒野を進みに進み巨大な機械廃墟が見えてきた。

翼竜を送還しその廃墟に近づく。

 

「とっても大きい建物なんですのー」

「ここにロレイラルのエルゴの守護者がいるのか」

「しかし何処にも入り口はないでござるよ?」

 

扉のような鉄の壁に手をやり色々調べてみるがうんともすんとも言わない。

 

「マスター、何をしているんですの?」

「自動ドアだと思うんだけど…近づいても開かないなぁ…。端末とか近くにないかな」

「自動どあとは何でござるか?」

「近づくとセンサーが反応……えっとシルターン風に言うと高度なからくり屋敷って事になるのかな」

「なるほど、からくり屋敷でござるか」

 

納得してくれたのかふむふむしてるカザミネ、モナティは??って感じて理解してないようだ。

色々調べてるが結局何も反応しないので仕方なく強行突破しかないかなっと思い始めた時。

 

「モナティに任せてくださいですの!」

「何か策があるのでござるか?」

「エルゴの守護者としての力があればこのぐらい大丈夫ですの♪」

「………ちょっと心配だけど任せるか」

「任せてくださいですの。にゅぅぅぅぅっっ!!」

 

モナティが唸り声を上げ始めると両手にエネルギーの塊が生じる。

いやまてモナティ、お前まさか…!?

 

「待て!モナ――」

「うさきだんですの!!」

 

両手から放たれた光弾は一直線に扉に激突して爆音と共に壁を吹き飛ばす。

ハヤトは知らないがそれはレビットの派生種、ミミエットの必殺技のうさきだん。

強力な魔力弾を対象に撃ち放ち吹き飛ばすランクÁの召喚術だった。

 

「どんなもんですの!これがモナティの力ですの!」

 

フンスといった感じでご機嫌なモナティ。

俺はそれに近づきモナティの頭を両手で掴みギリギリとする。

 

「モナティ~!調子に乗るのはいいけど壊すんじゃない!」

「いたい、いたいですの~!ごめんなさいですの調子に乗ってました~!?」

「まあ、道も出来た事だ。気にしなくてもいいのではないか?」

「いやいや、いきなり強力な力を手に入れたんだ。こういうのはハッキリと理解させないといけないからな、飼い主として」

「モナティはペットじゃないですの~!」

「じゃないならな無茶する前にやる事しっかり言えよ」

「…うにゅう」

 

ビィービィー!!アラーム音が突然周囲に鳴り響く。

それにびっくりして俺はモナティから手を放して剣に手をやる。

 

「な、なんですの!?」

『当施設への攻撃反応を感知。規則に則りこれを排除します』

「何か出てくるでござるよ!」

 

遺跡に所々から機械兵器が出現しこちらに攻撃を仕掛けてくる気配を感じる。

俺はサモナイトソードを抜き放ちすぐに戦う準備を始めた。

 

「みんな!気を付けろ!!」

 

そして機械兵器は一斉に俺達に向かって攻撃を仕掛けてくるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

敵の攻撃は激しかったが、思いのほか大したことはなかった。

やがて全ての敵を叩き潰し俺たちは一息ついていた。

 

「うにゅう、ビックリしましたの」

「………」

「あ、ごごめんなさいですの!モナティのせいですの…」

「これからは何かやるときは周りに聞く、わかったな?」

「はいですの…」

 

皆の力になるような強力な力を手に入れたのはいいけど、

そのせいでやることなす事が乱暴になるのは危ういからな、

そこらへん確りさせないと…。

 

「ところでこれからどうするでござるか?エルゴの守護者に今のを見られたら勘違いされるかもしれないでござるよ?」

「確かにいきなりきて扉破壊して戦い始めればそう思われるよな」

「にゅう…」

「ほら、悲しんでないで皆で考えるぞ。別にモナティだけの責任じゃないんだからさ」

「マスター…」

 

 

「いきなり扉を壊されるから驚いたけど悪い人じゃないみたいだね」

 

突然の声に驚く俺達三人、その声の方向を見ると緑色の服を着た少年が立っていた。

微弱だが彼からロレイラルのエルゴの力を感じる。

 

「えっと…もしかして君がエルゴの守護者なのか?」

「うん、ボクはロレイラルのエルゴの守護者、エルジン・ノイラームっていうんだ」

「まだ子供なのにエルゴの守護者さんなんですの?」

「君だって子供じゃないか」

「あ、そうでしたの」

 

エルゴの守護者って子供が多いのか…?

いやゲルニカは至竜だったし、それに比べたらエルジンはどうも場違いな感じがする。

だけどエルゴの力は間違いなく持ってるみたいだしなぁ…。

 

「お主、本当にエルゴの守護者なのでござるか?」

「もしかして信じてないの?」

「うむ、剣竜のような存在が守護者だったのでな、いかんせんお主の見かけからはなんとも…」

「カザミネ、エルジンはエルゴの守護者だよ。ロレイラルのエルゴの力が感じられるし」

「まあ、守護者って言ってもボクは本当の守護者じゃないんだけどね」

「本当の守護者じゃないんですの?」

「うん、本当のロレイラルのエルゴの守護者は彼なんだ」

「彼…?」

 

するとエルジンの後ろから紅い装甲を纏う機械兵士が姿を現す。

布を纏ったその姿は何とも男のロマンをくすぐられるかっこよさだった。

 

「うむ…?からくり人形でござるか」

「からくり人形って…一気にスケール下がったな。まあ間違ってないけどさ…」

「機械兵士さんですの?」

「うん、エスガルドって名前なんだ。ボクが事故で、この遺跡に閉じ込められたときに助けてくれたんだ。父さんが亡くなってからずっとボクの事を守ってくれたんだ」

「父さんが……じゃあエスガルドは父親代わりって事なんだな」

「! うん」

 

俺の反応に少しだけ驚いたのかエルジンはそうだと応えてくれた。

ここまでエスガルドを信用しているんだ、悪い奴じゃないのは間違いないな。

 

「本当のエルゴの守護者さんはエスガルドさんなんですの?」

「ソウダ、コノ私ダ…」

「喋れるのでござるか!?」

「我ガ名ハ、エスガルド。エルゴノ守護者…、誓約者タリエル者ヨ。我ト戦イ試練ソノ資格ヲ示シテ見セヨ」

「…やっぱり戦いなのか」

「ソレガ試練ダ」

 

剣竜の時はあんまり考えなかったけど、横にいるエルジンの事を考えるとどうにも気にかかる。

察しているのかエルジンは心配そうにしてる。

 

「エルジンって言ったよな」

「う、うん」

「大丈夫、エスガルドは壊さないように何とか戦うから……いやちょっと難しいな治せなくならない程度で」

「大丈夫ですの。モナティ達も手は出しませんしマスターならきっと何とかできますの!」

「でも…」

「エルジン、コレカラ始マルノハ殺シ合イデハナイ、力ヲ示スタメノ戦イナノダ。安心シテクレ」

「うん、わかった。エスガルド気を付けて」

「任セテオケ」

 

エルジンが安心した様にエスガルドから離れる。

俺はモナティ達をエルジンの傍に行かせて離れさせた。

そして3メートルほどの大きさを誇る機械兵士と対峙したのだった。

確かにこの機械兵士…エスガルドの中にはロレイラルのエルゴの力を感じられた、

恐らく剣竜ほどではないがかなりの力を持っているのは理解できる。

 

「何時でも初めて構わないか?」

「大丈夫ダ。準備ハ出来テイル」

 

互いに始まりの言葉はなかった。

ハヤトは魔剣サモナイトソードを抜き魔力を通す、

虹色に輝くその魔剣は恐らくエスガルドの装甲を容易く切り裂く威力を発揮するだろう。

だが、ハヤトは決して油断しなかった、目の前の機械兵士の動きが読めなかったのだ。

 

よくよく考えると機械と戦う事ってあんまりないよな。

 

ハヤトが今まで戦ってきた機械は実を言うと一つもなかった。

ソルが召喚するロレイラルの召喚獣が殆どだがあれは仲間の召喚獣にやらせてた。

その為、目の前の純粋な機械兵士とどう戦えばいいかハヤトは悩んでいた。

 

まあ、剣竜の時も同じだったし……当たって砕けるだけだ!

 

そう思ったハヤト、それが始まりだった。

魔力を全身に纏いながらハヤトは接近する、そしてサモナイトソードでエスガルドに切り掛かった。

一応先ほどの言葉を気にかけて腕に切り掛かるが、予想外の出来事が起きる。

 

「なッ!ドリル!?」

 

エスガルドの右腕がドリルに変形したのだ。

回転音と共に高速回転したドリルはサモナイトソードをいとも簡単に弾いてしまった。

弾かれた上に上がるサモナイトソード、エスガルドはそのままドリルでハヤトを攻撃しようとするが、

ハヤトはシャインセイバーをその手に召喚してその一撃を防いだ。

しかしその一撃は重く、後方に弾き飛ばされたハヤト、

このままやられるかとシャインセイバーを召喚してエスガルドに放つが今度は左手が銃に変形する。

ドンドンッ!と言った発砲音と共にシャインセイバーが砕かれる無事なシャインセイバーもドリルで砕かれてしまった。

 

あのドリル…脅威だな。

 

防御と攻撃両方に対応できるあのドリルという武器をハヤトは驚異的だと理解した。

高速回転してるせいで碌に魔剣でぶつかれないのだ。

おまけに離れれば左手の銃で攻撃してくる、

遠近両方に対応できるその戦いぶりにどう対応すればいいかハヤトは悩んだ。

だが、そんな悩む暇も与えずエスガルドがハヤトに攻撃を仕掛けてくる。

 

「速っ!?」

 

その巨体から想像つかない速さでエスガルドはハヤトに迫って来た。

ドリルはハヤト向かって突き出されハヤトはそれをサモナイトソードで防ぐ、

ギャリギャリ!と言った金属がぶつかる音と共に再びハヤトは弾き飛ばされ、

ハヤトに向けて銃が撃ち放たれた、それをハヤトは見極めて全て叩き落とす。

 

「…よし!メテオライトフォール!!」

 

魔剣に込められた魔力が解き放たれ上空へと魔剣の光が伸びてゆく。

そこからゲートが出現し膨大な魔力を宿した岩塊がエスガルドに向けて迫ってくる。

 

「エスガルド!!」

「…大丈夫ダ」

 

迫ってくる岩塊をエスガルドがドリルで砕き割った。

纏う膨大な魔力ごとそのドリルで粉砕したのだ。

辺りには粉塵が巻き起こり周囲が見えなくなる、その中をハヤトは走った。

元よりメテオライトフォールで倒せと思ってはいなかった、ようは目隠しなのだ。

ハヤトはエスガルドの後ろに現れ手足を切り裂こうと剣を振るうが。

 

「分カッテイル」

「くそっ!」

 

ハヤトの思惑は外れていた、エスガルドは機械兵士なのだ。

それは視認センサー以外にも数多くのセンサーを搭載していることになる。

熱源や魔力など感知するセンサーがハヤトをしっかりと捉えていた。

砕いて破砕した岩塊には魔力が含まれているがハヤトの纏う魔力は膨大だった為逃れられなかった。

正確に反撃を食らいハヤトはギリギリで防ぐが追撃の銃弾は防げなかった。

 

「うぐっ!」

 

銃弾は真っすぐハヤトの体に全弾命中するが魔力で強化したハヤトに致命的な傷は負わせられない。

それでも痣が出来る程の威力はある為、完全にハヤトの負けだった。

 

粉塵が逆に厄介じゃないか!すぐに煙を全部飛ばさないと…!

 

「来てくれ、ワイバーンッ!!」

 

サモナイトソードを掲げてハヤトは上空に召喚術のゲートを作り出す。

そこから現れたのは緑色の翼竜だった、先ほど移動していた時よりも膨大な魔力を纏う召喚された翼竜はその翼を大きく動かし周囲の粉塵を全て吹き飛ばす!

そしてそのまま大口を開き火炎弾を大量にエスガルドに撃ち放った。

 

「ムッ!」

 

エスガルドはすぐにその場から離れるように走り出す。

そのまま翼竜の翼に銃を撃ち込むが誓約者の持つ膨大な魔力を纏った翼竜には効き目が薄かった。

火の雨を食らいながら動いているとシャインセイバーが正確無比にエスガルドに放たれた。

それらをドリルで回避しながら足を止められたエスガルドに火炎弾が直撃する。

無論その攻撃でひるむエスガルドではないがすぐさま対抗しようと翼竜の眼球に銃を撃ち込んだ。

その攻撃が効いたのか翼竜は送還される。

 

「ヴァインシェード!」

 

僅かな隙をついてハヤトの白瀑の布がエスガルドを絡み取った、

右手に纏わりつき動けなくなった所をハヤトは跳躍してエスガルドに迫ってくる。

それを銃で撃ち落とそうとするがハヤトはそんな攻撃を全て防ぎ切った。

 

「だぁぁーっ!!」

「!?」

 

エスガルドの左腕をハヤトは切り落とし銃の機能を停止させた、

そしてそのままエスガルドに攻撃を加えようとするが、

ドリルを逆回転させて無理やり引きちぎりハヤトの攻撃をエスガルドは凌ぐ。

そして再び弾き飛ばされたハヤトはシャインセイバーを撃ち放つ。

 

「コレハ――」

「エスガルド!!」

 

十を超える剣影をエスガルドはドリルで防ぎ切ろうとするが、

それも敵わず右足にシャインセイバーが直撃してしまう、膝をついたエスガルドにハヤトは迫った。

エスガルドもドリルで応戦しようとするがハヤトは瞬時にロックマテリアルを召喚し、

エスガルドの頭上に岩を落とす、それを防がなければいけなかったエスガルドはドリルで破砕するが、

既に眼前に迫っていたハヤトの剣を防ぐことは出来なかった。

 

「………」

「勝負ありだな?」

 

首筋に剣を添えられ、だれがどう見ても戦いの結果は明らかだった。

 

「ドウヤラ我ノ負ケノヨウダナ」

「ふぅ~、良かった。やり過ぎなくて…」

「エスガルド!しっかりしてよ!」

 

エルジンがエスガルドに寄り添い傷の具合を見始める。

少しばかり火花が飛び散り機械的には痛々しい傷に見えるだろう。

 

「ハヤト、ご苦労でござるな」

「マスター。やり過ぎじゃないんですの?」

「そんなこと言うなよ、たださえ手加減しながら戦ってたんだから」

「…手加減してたんですの」

「まあ、一瞬でケリをつけるならゲルニカ召喚すれば大抵終わるから…」

「……あぁ、そうでしたね」

 

ハヤトには剣竜ゲルニカという切り札が存在する、

メイトルパのエルゴを所持する今、召喚可能になった切り札だった。

その威力はハヤト達がよく理解しており、エスガルドなら一撃で倒せるほどだ。

 

「エスガルド、ある程度手加減したけど大丈夫だったか?」

「アア、大丈夫ダ。コノ程度ノ損傷ナラバ明日マデニハ修理デキル」

「ああ、よかった」

 

ハヤトとエルジン達が安心するが、傷を受けたエスガルドは少し怪訝気味だった。

 

「正直、アソコマデ攻メレバ、攻勢ニ出ルト思ッテイタ。ナゼ最後マデ手加減ヲシタノダ」

「なぜって…約束したじゃないか。約束を守るのって当然の事だろ?」

「約束…」

「エスガルドだってエルジンとの約束を守る為に途中で諦めたんじゃないのか?まだ戦えるのにさ」

「そうなの?エスガルド」

「…ソコマデ分カッテイタノカ」

 

エスガルドは別に首を刎ねても止まる事はない、センサーの大部分が使えなくなるだけだ。

ハヤトのあの行為は単なる脅し、無論そのあと十分にエスガルドは戦闘を続けることは出来た。

だが、これ以上の戦闘はエルジンに心配をかけると理解していたエスガルドはそこで戦闘をやめたのだった。

ハヤトの脅しはいいタイミングだったという訳だ。

 

「ドウヤラ我ラの完全ナ負ケノヨウダナ。我ラノ力、ロレイラルノエルゴヲ受ケ取ッテクレ」

 

エスガルドの装甲が開き、そこから粒子がハヤトの中に入り込んでくる。

ハヤトはそれがロレイラルのエルゴだと理解してそれを受け入れた。

 

「マスター、大丈夫ですの?」

「ああ、これがロレイラルのエルゴなのか…」

「これであと一つでござるな」

 

あとはシルターンのエルゴだけだ、

それを手に入れさえすればサイジェントに戻って決戦だな。

 

「ところでお二人はこれからどうするんですの?」

「ボクたちは…」

「エルジン。既ニ我々ニモウロレイラルノエルゴハ存在シナイ、役目ハ終ワッタノダ」

「エスガルド…」

「モウココニ留マラナクテモイイノダ。彼ラト共ニ街ニ向カウ事モ出来ル」

「そんな!ボクはエスガルドと離れたくないよ!」

「ダガ…」

「あ~、実は頼みたい事があるんだけど…」

 

二人がそれぞれこれからの事を話そうとしているが俺から頼みたい事があったのだ。

これからの戦いの事を考えるとどうしても更なる戦力が必要だった。だから…。

 

「俺達に力を貸してくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

「エスガルドさんはエルジンさんの親代わりだったんですの?」

「うん、そうなんだ」

 

日が完全に落ち、俺たちは機械遺跡の中にいた。

一部機能がいまだ起動しているらしく遺跡内部に電灯が灯っており、

俺達の世界の名残があって少し安心できた。

夕食を食べながら俺達はお互いの事を話していた。

流石にいきなり協力してくれってのは少し気が引けるのでまずは互いに自己紹介だ。

するとエルジンは父親と共に機械遺跡の調査に来てたが事故で父を亡くしたそうだ。

その時現れたエスガルドにずっと守ってもらっていたようだ。

どうやらエスガルドと一緒に居続けたせいかエルゴの守護者の力が備わっている、

エルジンの中にも小さいがエルゴの力を感じ取れたからだ。

 

「エスガルドはボクの事をずっと守ってくれたんだ、だからボクもエスガルドとずっと一緒に居ようって決めたのさ」

「そうなのか…だけど頼んだ俺が言うのもなんだけど本当に力を貸してくれるのか?」

「お兄さんがエスガルドと戦う時、結構気遣いながら戦ってくれたでしょ?そんな人が頭を下げて頼んで来るんだ。断る方がどうかとボクは思うな」

「そっか、ありがとなエルジン」

「うん、お兄さんはそのクラレットってお姉さんを助けたくてボクらの力が必要なんでしょ? その人がボクにとってエスガルドのような人だって思うから手伝うのは当然だよ」

「ああ、どうしてもエスガルドの力は必要なんだ。もちろん同じ守護者のエルジンの力も必要だ」

「えへへ、任せてよ。ボクだって一人前の召喚師なんだから!」

「エルジンはハヤトと同じ召喚師なのでござるか」

「お兄さんのような召喚師じゃないけどね。ボクが使えるのは機界ロレイラルの召喚術さ」

「機界って…アーマーチャンプさんやフレイムナイトさんのいるところですよね。マスター?」

「ああ…そうだな」

 

機界の召喚師か…。俺が知ってる機界の召喚師はソルだけだから結構頼もしい感じがするな。

まあ、あいつは霊と鬼まで使うから色々と異常だと思うけど…。そういえば…。

 

「なあ、ソルって妙に長いマフラーを付けた男を知らないか?」

「ソル…?ボクは知らないな…その人が何かしたの?」

「機竜ゼルゼノンって召喚術を使う奴なんだ。ロレイラルのエルゴから貰ったってゲルニカは言ってたんだけど…」

 

ゼルゼノンの名前を聞いたエルジンは少し驚くが再び考え込み始める。

 

「機竜ゼルゼノン……ゼルシリーズ一つだね」

「ぜるしりーずとは何でござるか?」

「機界の名工ゼル。エスガルドの話じゃかつてのロレイラルのエルゴの守護者だって話なんだ。そのゼルが作った強力な機械兵器の総称がゼルシリーズって訳さ」

「ゼルさんってメイメイさんのお話にも出てきた人ですよね?」

「ああ、となるとそのゼルって人が機械出来た至竜を生み出した人なのか…」

 

至竜を生み出すなんて凄いとは思うけど、今はそれが敵に回っているのが悔やまれた。

 

「しかしゼルシリーズか。あんなのと同じくらいの奴が他にも…」

「あ、ボク一つなら召喚できるよ?」

「本当なのかエルジン!?」

「うん、機神ゼルガノンって召喚獣で…」

 

エルジンが一つ召喚できる事は運が良かった。と言っても話に聞くとやっぱりゼルゼノンの性能は異常らしい。

多分ロレイラルのエルゴの力でさらに強化されている可能性も考えられた。

 

「だけど、そのソルって人がそこまで召喚術を使えるってのはやっぱりおかしいよ」

「おかしい?」

「うん、召喚術ってその殆どが秘伝だし一部の誰でも召喚できる召喚獣だって普通なら性能はたかが知れてる、でもそのソルって人は違う。なんていうか決め手が多すぎるんだよ。多分お兄さんしかその人を倒せないと思う」

「手数が多い、だがそれでは一つ一つの練度は大したことはないのではないのか?」

「……それはないな、よくよく考えるとアイツの使う召喚術に協調性が殆どない、だけどどれも必殺に近かった。3つの属性を極限にまで極めてるってことだと思う…」

 

今一度考えてもやっぱり強すぎる…。

 

「それに魔剣も持ってるんですよね? まるでマスターと同じなんですの」

「そうだよな…うん、やっぱりみんなの力が必要だと思う。俺一人じゃ敵わないかもしれない。今だったらオルドレイクも一緒についてると思うしな」

 

次戦う時は間違いなくオルドレイクも一緒のはずだ。

その為に俺はエルゴの守護者の力が必要だと改めて理解出来た。

 

「頑張りましょうね、マスター!」

「ああ、うん」

 

まあ、モナティが一緒とは思わなかったけどさ。

今でもモナティがエルゴの守護者になったのには驚いた。

まだまだ不安定だけど、そのうち安定するだろうから大丈夫だと思うけど、やっぱり心配だな…。

 

「ところで、エスガルドは大丈夫なのか?」

「うん、もう戻ってこれないと思うから念入りにメンテナンスをするって言ってたから。でも明日の朝には十分間に合うと思うよ」

「そっか…。でもちょっとやり過ぎちゃったかもなぁ、機械だからって腕を斬りおとしたり足を撃ったり…」

「あはは、気にしてくれてるなら少し嬉しいよ。ロレイラルの機械って使い捨てられる事が多いからさ、直せば使えるのにね」

「その気持ちわかるよ。物を大事にするのは大切な事だからな、まあエスガルドは物って言うより人だけどさ」

「…うん、ありがとう。ハヤトお兄さん」

 

そんな感じで談話しつつ、俺達は夜を明かした。

 

「にゅぅ~♪」

「はぁ…落ち着く」

「お兄さんとモナティは一緒に寝るの?」

「なんか…落ち着くから気にしなくていい、うん」

 

別にロリコンというわけではない、ただ人肌が恋しいだけだ。

……クラレットに無性に会いたくなった、よくよく考えると俺ってクラレットと本当に一緒に居続けたんだなって理解出来た。

何となくクラレットがいないと色々と落ち着かない、

とりあえずその間だけでもいいからモナティで我慢しないと……ロリコンじゃない、うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

次の日の朝、俺達は機械遺跡前に出てエスガルドとエルジンを待っていた。

 

「待タセタナ」

「みんな、お待たせ」

「エスガルドさん、大丈夫ですの?」

「アア、既ニ破損シタ部品の修復ハ完了シタ」

「ボクも戦う準備は出来てるよ」

 

エルジンがサモナイト石を取り出して見せる、

その全てが黒色のサモナイト石、ロレイラルの召喚術だ

エスガルドも俺が壊した腕と足が完全に直っておりこれなら問題なく戦えると理解出来た。

 

「じゃあ、改めてよろしく頼むよ。エルジン、エスガルド」

「アア、コレカラヨロシク頼ム」

「エルゴの守護者として力になるからねお兄さん!」

「ああ! じゃあモナティ」

「はいですの! ワイバーンさぁーん!!」

 

モナティが両手を天に向けると膨大な魔力と共に異界のゲートが出現する。

そして緑色の翼竜が召喚されて俺達の前に降り立った。

最初はモナティだけだったが今は頼れる仲間が増えて来た。

きっと次の試練も乗り越えられるはずだ。

だから待っていてくれクラレット…必ず、必ず助け出して見せる!




前回が強すぎてエスガルドが弱く感じる…いや弱くないぞむしろ強い、
ってか決戦兵器の癖に強さが良く分からないんだよなエスガルド…。

それと独自設定ですが、エルゴの守護者にもエルゴの力はきちんとあります。
エルゴの欠片の欠片ってぐらいですからそれほど強くはありませんけど。
そうしないとエルジンのSクラスの召喚術扱う理由が…(ゲームじゃないから設定作らんと)

まあ、そんな感じでエルジンも正式なエルゴの守護者なのでよろしくね!
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