ドラゴンクエストI-勇者アレフ伝説   作:びく太

17 / 31
第16話:『竜王の城』

僕は虹のしずくを天に掲げた。

それは七色に輝きだし、僕の手から放たれる。

中空にて浮上を停止して弾けるように七色の光が霧散する。

そして僕の目の前から虹の帯が走り、竜王の居城そびえる対岸へと到達する。

 

「行きましょう、ローラ姫」

「はい」

僕は手を差し伸べ、ローラ姫はその手を取った。

虹の橋は思っていたよりも硬く、しかも滑らないので足場としては充分なものだった。

そして虹の橋を渡りきり、僕はローラ姫を抱きかかえて毒の沼地を渡って、山の上にそびえる建造物を見つける。

山の表面には人為的に削られ、形作られた道があり、それを進んだ先の頂上は……竜王の城だ。

 

途中、ドラゴンやキラーリカントなどの強力なモンスターに襲われたりもしたが、ロトの鎧のおかげかさしたるダメージも無く、またローラ姫も傷ひとつ無い。

「もうこのあたりもモンスターは楽勝ですわね。さすが勇者さまですわ」

「いえ、まだまだ油断は出来ません。おそらく城の中にはもっと強力なモンスターが居るはずです」

僕は謙虚に自らを戒めるように答えたが、実は一抹の不安を感じていた。

僕は炎の剣を見つめる……実は昨晩気付いたのだが、刀身に小さな、本当に極小さな亀裂が見える。

普段であればさして気にする程度のものではない。しかしこれから入る竜王の城は深さも長さも分からない。

その上、強力な敵が現れた時に剣にアクシデントが起こってしまえば、それは僕だけじゃなくローラ姫の命にも関わる。

新しい炎の剣を買うには、またメルキドまでのかなりの距離を移動する必要があり、多くのお金もかかる。

しかしそれはローラ姫の大きな負担になるし、そもそも今は炎の剣を買えるほどのお金が無い。

仕方ないので『今回は様子見』と割り切って竜王の城へと入ることにした。

 

 

「思っていたよりも……ずいぶんと静かなようですね」

竜王の慢心か、それとも他の町を襲いに出かけているのか。

意外にも城内はガランとしていて、それほどモンスターが居ない。

これを好都合と取るべきか、何かの罠と取るべきか……しかしこの状況は、今の僕にとって判断を迷わせる一因としかならなかった。

剣に不安を持ったまま、竜王を一気に倒しに行くべきか、それとも次回来る時には城内がモンスターでごった返す事を覚悟して、様子見とするべきか。

 

僕達は城内を進み、単発で現れる敵を倒しつつ玉座の間へとたどり着いた。

しかし僕たちが見た玉座には誰も座っては居なかった。

「誰もおりませんわ……お留守なのでしょうか」

「う~ん……」

僕達は玉座の周りをくまなく調べる。

「あら……風が……」

城内の窓も何も無い部屋に風……やはりこの部屋には何かがあるみたいだ。

僕はダメージ床をくまなく叩いて回る。ちなみにロトの鎧のおかげか僕はダメージを受け無い。

 

コンコン

 

コンコン

 

コンコン

 

ゴンゴン

 

「ここのようですね」

床を叩いて回ると叩いた音の違う部分を探し当てる。

そしてその場所をさらに詳しく調べてみると、底を開ける取っ手のような凹みを見つけた。

「よい……しょ!」

僕は床を引っぺがすと、地下へと続く薄暗い隠し階段を発見。

地下の暗闇からは、何やら重苦しいプレッシャーを感じる。

それは恐怖からなのか、使命感からなのかは分からない。

しかしこの地下を調べておかなければ様子見にもならない。

僕は意を決し、ローラ姫の手を引いて、薄暗い階段を降りていった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。