「おお、アレフ! 勇者ロトの血を引きし者よ! そなたが来るのを待っておった」
ああ、何でこんなことになってしまったんだろう……
僕がドムドーラで全てを失ってから1年と言う月日が流れていた。
保護された兵舎にそのまま居ついた僕は、兵士見習い兼雑用係のようなことをして生活していた。
今度はモンスターに襲われても大丈夫なよう、見よう見まねで剣術を覚え、スジが良いと褒められたことを覚えている。
しかし全てを変えたのは、赤い宝石の付いた母の形見のネックレス。
ラダトームが国をあげて何かを探しているのは知っていた。
それが勇者ロトの子孫であることも、あとで兵舎のおじさんに聞いて知った。
僕も恩返しに何か役に立てればと、その勇者の子孫である者の情報を見た。
それには母の形見に似た赤い宝石のようなものを持っているハズだと言うことが書かれていた。
「あの情報の宝石って、僕の母の形見と似ているんですよね」と言ったのが全ての始まりだった。
数日後、僕の前に高貴な身分を思わせる人と、ローブを纏った一人の老人が現れた。
そしてその老人が手に持っている水晶を僕に近づける。
「?」何かがキラリと光った気がした。
「おお、まさにこの方が……」それを確認したのか、老人は感嘆の言葉を漏らす。
「あの…一体何が……」
おずおすと聞く僕の言葉を流して高貴な人が言う。
「君の名前は?」
「あ…はい、僕の名前はアレフと言います!」
思い出した。この高貴な身分の人はラダトーム国王ラルス16世だ。
僕は王様に従い、言われるがまま付いていってこうなったわけだ。
どうやら僕が勇者ロトの子孫らしい。
「勇者アレフよ! 竜王を倒し、その手から光の玉を取り戻してくれ!」
――竜王!
今でも覚えている……あの黒い鎧のモンスターの言葉。
『せめて竜王様に聞こえるよう、絶望に叫びながら死ぬが良い』
竜王……魔物たちのリーダーであり、アレフガルドに平安をもたらす光の玉を奪った張本人。
あの黒い鎧のモンスターの親玉。
確かに僕は父の命を奪った魔物たちに復讐心を持っていないわけじゃない。
でも、それは僕個人の問題であって世界を背負ってまでやるような事じゃない。
しかし僕は勇者ロトの子孫――
王様からも頼まれてるわけだし断れないよなぁ。
「分かりました、頑張ります」
僕は断れない雰囲気を察し、そう言葉を返した。
やる気が無いわけじゃないけど……いきなり『世界』を背負うのはツラ過ぎるよ。
何だかんだ悩みながらも、僕の冒険はここから始まる。