「ど、どなたかは知らぬが王様に伝えてくれ……。ローラ姫の捜索隊は全滅したと……。私も、もうダメだ…ぐふっ……」
ラダトームの町で傷ついた兵士を見つけた。そして兵士はそう言い残すと、その場で意識を失った。
ローラ姫――
ラダトームの王、ラルス16世の唯一の子にして愛娘。
太陽のような明るさと、天使のような微笑で、国民の安らぎの象徴として慕われていた人だ。
かく言う僕も遠くから見たことがある。とても綺麗な人だと思った。
しかしそれを快く思わない魔物達……つまりそのリーダーである竜王が動いた。
魔物達の奇襲によってラダトームは混乱し、兵士達の頑張りで何とか城と町は防衛できた。
だが、その裏で真の目的であるローラ姫を空飛ぶ魔物が連れ去ってしまったのだ。
その魔物は東の方角へ飛んでいったと言う目撃情報があるが、姫の正確な所在は分からないまま行方不明だ。
僕はロトの子孫として竜王を倒す使命があるが、王様からの頼みで他にローラ姫の捜索もしている。
今のところはガライの町で得た情報によると、東の方角があやしいと言うことになる。
東というと、天然温泉で有名なマイラの村だ。父さんと旅をしている最中、何度か行った事がある。
父さんは、ドムドーラ、ラダトーム、マイラの間を貿易して回っていたから。
東の方角にはマイラの他に、南へ下って洞窟を抜けるとリムルダールへと到達する。
空飛ぶ魔物がローラ姫を東へ運び、そこから地上を歩いて竜王の城に連れ去られたのかもしれない。
竜王の城は海を挟んでラダトームの目と鼻の先にある。
ラダトームも竜王も海の軍勢を持たない以上、空を飛ぶ軍勢を持つ竜王側が有利だ。
当初ラダトーム側も海を渡る計画があったらしい。
しかしローラ姫が連れ去られてしまったことで、人質を取られる格好になってしまい、攻め込むことが出来ず防衛戦闘しか出来なくなってしまった。
噂では竜王はローラ姫を自分の妻にしようと連れ去ったらしい。
魔物に結婚なんて制度があるかは知らないけど、この噂が国民に精神的なダメージを与えたのは確かだ。
たぶん最初からそういう狙いだったのだろう。精神的にも追い詰めるつもりで。
その精神的圧力は確実に国民や兵士達を蝕んでいる。王様も心が休まらず心労が耐えないと言う噂だ。
僕は望んでロトの使命を受け継いだわけじゃないけど……困っている人はたくさん知っている。
そして僕にはそれを何とかできる力があるらしい。
それなら僕は――!