僕はガライの墓から銀の竪琴を持ってくることで勇者としての実力を認められた。
そして勇者ロトから預けられ雨のほこらで受け継がれていた雨雲の杖を子孫である僕が返してもらった。
重い……
この人たちは何年ここでロトの意志を守ってきたのだろう。
ラダトーム城の裏にあった隠し地下室でも、ロトの意志により太陽の石を守っていた。
遥かな時代を経て、それらの神器は再び子孫である僕の手に……
僕は僕だけの為じゃなく、この人たちの守っていた時間の全てを受け継いだ事になる。
この僕と言う一人の人間は、すでに僕だけのものじゃなく、平和を望む人達の為に存在している。
そしてそれを助けてくれる人達が居る。大切な物を守ってきた人達が居る。
僕はその期待を裏切れない、裏切っちゃいけない……これはもう僕だけの戦いじゃないんだ。
ただ自分ひとりが最前線で戦っていたから、ひとりで戦ってる気になっていたけど違うんだ。
僕が必要になるであろうアイテムを守る人が居る。民衆を守る人が居る。
そして民衆だって自分達の生活を守ることで結果的に町を守っている。
父さんのようにモンスターが居ても貿易を続ける人が居る。
自分はただ『戦闘』という役目を与えられた歯車のひとつなんだ。僕だけが戦っているんじゃない。
みんなもそれぞれの戦場で戦っている……この雨雲の杖や太陽の石を守っている老人達を見て、僕はそれを強く感じた。
僕の戦いは竜王と倒すまでだ。勝つにしろ負けるにしろ、おそらく何十年もかかるものじゃないだろう。
でもこの人たちは百数十年と言う月日をずっと生きて……人の寿命を超える月日と戦っていた。
どっちが楽かなんて話じゃない。
ただあまりにも重く、また壮絶な生き様に、僕はこの場に居ない御先祖様……つまり勇者ロトの平和を願う執念とも言える意志を強く感じた。
僕の戦いもこれから激しさを増すだろう。でも、何か生きて戦って行けそうな気がする。
この賢者達や、勇者ロトの時代を越えた平和を願う強固な意志を知ったから。
自分の甘さを痛感した――平和とは、ここまでの意志を持って成さねばならないものだったのか。
御先祖様の時代の戦いもまた凄まじい戦いだったと言う伝説を僕は知っている。
闇の意志そのものとも言える魔物にアレフガルド創世の神である精霊ルビスすら封じ込められたのだ。
それだけの、神すら封じ込める力を持った魔物に、御先祖様はどんな気持ちで挑んだのだろう。
それを思うと僕はこの闇の反逆を――竜王の侵略を絶対に阻止しなければならないと強く思う。
伝説の勇者ロトや賢者達の強固な意志には及ばないかもしれないけど……僕はその意志を受け継ぐ!
そして必ず竜王を倒し、平和を取り戻してみせる!