やはりこの素晴らしい世界は間違っている。   作:ALQ

11 / 13
おそらく明日は、私用で投稿できないので、今日は長めです。
それでは11話をお楽しみください!


いつだって、このパーティーは残念である。

いきなり現れた魔王の幹部の怒りの叫び声に、俺の周りの冒険者ざわつきだした。というか、その場の誰もが俺も含めていったいどういう状況なのかわかっていないようだ。とりあえず俺たちがここに呼ばれたのはこの魔王の幹部のせいらしいが…

 

すると数人の冒険者がポツリと呟く

 

「…爆裂魔法って言ったら…」

「爆裂魔法を使えるやつといえば…」

「爆裂魔法といえば…」

 

そうして、その冒険者たちの視線がカズマの隣にいるめぐみんへと集まっていく。するとめぐみんはフイッと自分の隣にいた魔法使いの女の子を見る。それにつられて周りのみんなの視線もその女の子へ…。

 

「えぇ!?あ、あたしっ!?何で私が見られてんのっ!私爆裂魔法なんて使えないよ!最近魔法使いになったばかりでまだ中級魔法しか使えないんだよっ!?」

 

っと、突然濡れ衣をなすりつけられた女の子は涙声で否定する…。

 

そんな女の子の様子を見つつ、チラッとカズマや、めぐみんたちを見ると2人とも冷や汗を流している。

 

「おい…まさか、あの魔王の幹部が言ってる毎日爆裂魔法を撃ってくるやつってもしかしておまえらなのか…?」

 

するとその言葉に答えるように、めぐみんは溜息を吐きつつ嫌そうな顔でデュラハンの前に1人でていく。

 

「お前が…!お前が、毎日毎日毎日毎日俺の城に爆烈魔法を打ち込んでくる大馬鹿ものか!俺が魔王軍幹部だと知っていて喧嘩を売っているなら、堂々と城に攻めてくるがいい!その気がないなら、街で震えて待っているがいい!ねぇ?なんでこんな陰湿な嫌がらせをするの?!どうせ雑魚しかいない街だと放置していれば、調子に乗って毎日毎日ポンポンポンポン打ち込んできおって…ッ!頭おかしいんじゃないのか、貴様っ!」

 

確かに…まだなにもしていないのに毎日爆裂魔法なんて城に打ち込まれたらストレスも溜まるわな…

 

と、デュラハンの境遇に同情していると、めぐみんが肩のマントを、バサっとひるがえし…!

 

「我が名はめぐみん。アークウィザードにして、爆裂魔法を操る者…!」

 

「…めぐみんってなんだ。馬鹿にしてるのかお前?」

 

「ち、違わい!」

 

名乗りを受けたデュラハンが思わずめぐみんの名前に突っ込む。

 

「我は紅魔族の者にして、この街随一の魔法使い。我が爆裂魔法を放ち続けていたのは、魔王軍の幹部のあなたをおびき出すための作戦…!こうしてまんまんとこの街に1人で出てきたのが運の尽きです!」

 

その言葉に周りの冒険者が

 

「おぉ!やるな!」

「あの爆裂魔法の女の子そんな作戦を立てるなんてやるじゃねぇか…」

 

などと、めぐみんを褒め始めるそれを聞いたカズマが俺たちに聞こえるぐらいにボソボソと呟く。

 

「おい…あいつあんなこと言ってるが、毎日爆裂魔法を撃たないと死ぬとか駄々こねるからあの城まで連れて言ってやってたのに、いつの間に作戦になってたんだ。」

 

「ばっか、それはお前あれだろ、あぁ言っておかないとこんなたくさんの冒険者の前で恥をかくことになるからだろ。」

 

「…うむ、しかもさらっと、この街随一の魔法使いとか言い張っているな。」

 

「しーっ!そこは黙っておいてあげなさいよ!今日はまだ、爆裂魔法を使ってないし、後ろにたくさんの冒険者が控えてるから強気なのよ!今いいところなんだからこのまま見守るのよ!」

 

などと、俺たちが話しているとデュラハンは納得したように

 

「…ほう、紅魔の者か。なるほど、なるほど。そのいかれた名前は、別に俺を馬鹿にしていたわけじゃないらしいな。」

 

「おい、両親からもらった私の名前に文句があるなら聞こうじゃないか」

 

「…フン、まあいい。俺はこの地にある調査に来ただけだ。お前らのような雑魚に構っている暇はない。しばらくはあの城に滞在するが、これからは爆裂魔法を使うな。いいな?」

 

「それは、私に死ねと言ってるも同然なのですが、紅魔族は日に一度、爆裂魔法を撃たないと死ぬんです。」

 

「お、おい!そんな事聞いた事ないぞ!適当な嘘をつくな!」

 

と、完全にデュラハンがめぐみんのペースに飲み込まれてしまっていた。

てか、あの魔王の幹部、もう爆裂魔法を撃たないんだったらこの件をなかった事にしてくれるとか実はいい奴なんじゃないだろうか。

 

「どうあっても、爆裂魔法は止める気はないと?俺は魔に身を落とした者ではあるが元は騎士だ。弱者を刈り取る趣味はないのだが、これ以上城の付近であの迷惑行為をするのなら、こちらにも考えがあるぞ?」

 

そんなのんきな事を考えていると急にデュラハンが剣呑な気配を漂わせ始める。その気配のヤバさに気づいたのかめぐみんがピクリとあとずさる。

 

「おい…あのデュラハンやる気だが、大丈夫なのか?」

 

デュラハンのただならぬ気配を感じた俺が誰言うでもなく呟くと。

 

「しょうがないわねーここは女神である私の出番かしら」

 

と俺の言葉を聞いていたアクアが凄まじいスピードで走り出しデュラハンの前に出る。

 

「魔王の幹部だかなんだか知らないけど!この私がいるときに来るとは運が悪いわね!アンデットのくせに力が弱まるこんな明るいうちに外に出てきちゃうなんて浄化してくださいっていってるようなものだわ!あんたのせいでこの街にはジャイアントトードの討伐ばかりがクエストに出てくるのよ!そのせいで全然お金は入ってこないし…、さぁ!覚悟はいいかしらっ!?」

 

そのアクアのやる気満々の様子を固唾を飲んで見守る冒険者の視線を浴びながらアクアが魔法を打つためにデュラハンに向かって腕を突き出す。しかしあいつ、アンデットに対してだけは随分と強気だよな。

 

それを見たデュラハンが興味深そうに自分の首をアクアに向かって差し出しつつアクアに話しかける。

 

「ほう、これはこれは。こんな街にアークプリーストがいるとは、だが残念だったな俺は魔王軍の幹部の1人。アークプリースト対策などしてきておるわっ!!しかしそうだな…ここはひとつ紅魔の娘を苦しませてやろうかっ!」

 

デュラハンはアクアが魔法を唱える前にめぐみんへと左手の人差し指を突き出し呪いを叫ぶ。

 

「汝に!死の宣告を!お前は一週間後に死ぬだろう!!」

 

デュラハンが呪いをかけるのと、いつの間に走り出していたのかわからないダクネスがめぐみんの前に飛び出すのは同時だった。

 

「ダ、ダクネス!あなたなぜ!」

 

めぐみんが叫ぶ中、ダクネスの体が一瞬だけ黒く光る。あれが、死の宣告という奴なのだろうか。あんな簡単に人を呪う事ができるのが魔王の幹部なのかよ、とビビりつつも俺とカズマもダクネスの元に駆け寄る。

 

「おい!ダクネス大丈夫かっ!痛いところは無いか!?」

 

とカズマが慌ててダクネスに聞く、俺もそれに続いて、

 

「なんで、あんな自分を犠牲にするような事なんてしたんだ。」

 

ダクネスは、俺たちの言葉を聞きつつ自分の両手を確認するかのように何度かワキワキと握り。

 

「…ふむ、カズマ安心してくれなんともない。そうしてなぜかと聞かれればそれが仲間を守るクルセイダーとしての役割だろう?」

 

と、至って当たり前のように言ってのける。

…くそ、カッコいいな、なんでこいつはこういう時ににこんなことを言うんだ。こんなこと言われたら俺も何かしなきゃならないだろと頭をガシガシと掻きながらデュラハンに向かって叫ぶ

 

「おい、デュラハン!ダクネスの呪いをどうしたら解いてくれる。土下座でもすればいいか。自慢じゃないが俺の土下座はすごいぜ。」

 

この言葉を聞いたデュラハンは勝ち誇ったようにそして実に楽しそうに宣言する。

 

「ククッ、いいぞその反応。冒険者とは、仲間を大切にする奴らばかりだからな。むしろ自分のせいで仲間が苦しむ方が応えるようだな。そうだなぁ、我は土下座などされてもなんとも思わん。紅魔族の娘よ!これに懲りたら俺の城に爆裂魔法を放つのをやめろ!そして城の最上階の俺の部屋に来る事が出来たら、その呪いを解いてやろう!まぁ、ひよっこ冒険者のお前達に果たして俺の所に辿り着ける事が出来たらだがな?クククククッ、クハハハハッ!」

 

デュラハンの言葉にめぐみんが青ざめる。やはり土下座ぐらいじゃ許してくれないぐらいにお怒りのようだ。するとダクネスが急に立ち上がりデュラハンの前に向かう。

 

「お、おい、ダクネス!」

 

カズマがダクネスを止めようとするがその制止を聞かずダクネスは、デュラハンの前に着くと

 

「つまり貴様はこう言いたいのだな?この私に呪いをかけその呪いを解いて欲しくば、俺の言うことを聞けとそういうことだろう!」

 

「「「「えっ?」」」」

 

俺とカズマ、めぐみんそして、ダクネスの言ったことを理解できていないデュラハンの声が揃う。

 

俺だって理解したくはない。さっきのあのかっこよさはどこへ行ってしまったんだ…。

 

「くっ…!呪いぐらいでこの私は屈しない…!屈しはしないが…っ!ど、どうしようカズマ!見るがいい、あのデュラハンの兜の下のいやらしい目を!あれは私をこのまま城へと連れ帰り、奴らが来るまで黙って俺の言うことを聞けと、凄まじいハードコア変態プレーを要求する、変質者の目だっ!」

 

っと、実に嬉しそうに変態(ダクネス)が言う。

 

大衆の前で突然変質者呼ばわりされたかわいそうなデュラハンはぽつりと言った。

 

「…えっ」

 

なんかもうこのデュラハンが本当気の毒に思えてきた。

 

「この私の体は好きにできても心まで思うなよ!」

 

「…えっ、いや」

 

と戸惑うデュラハンの前で1人妄想を膨らませるダクネス。はいはい、くっ殺、くっ殺。

 

「城にとらわれ魔王の手先に理不尽な要求をされる女騎士とかっ!あぁどうしようっ!予想外に燃えるシチュエーションだ!行きたくはない…行きたくはないが仕方ない!ギリギリまで抵抗してみるが邪魔はしないでくれ!では!行ってくりゅ!」

 

「ええっ!?」

 

「おい!やめろ!さっきまでのかっこいいお前はどこに行ったんだ!」

 

「やめろ!行くな!デュラハンの人が困ってるだろ!」

 

とノコノコとついていこうするダクネスをカズマと俺の2人で引き止めると、デュラハンがホッとしている姿が見えた。本当になんかすいません。

 

「と、とにかく!我はあの城で待つ!そのクルセイダーを助けて欲しければ我が城にくるがいい!」

 

デュラハンはそう宣言すると哄笑しながら城へと去っていった。

 

 

 

 

カズマ視点

 

もう何が何だかよくわからない展開に集められた冒険者達は呆然と立ち尽くしていた。それは俺も同じだ。

俺の隣ではハチマンがじっと下を見ながら考え事をしている。そしてめぐみんは青い顔でわなわなと震え、杖をぎゅっと握りなおす。そして1人で街へ出ていこうとする。

 

「おい、めぐみん。どこへ行く気だ。なにしようってんだよ。」

 

めぐみんはこちらを振り向きませずに言ってくる。

 

「今回のことは私の責任です。ちょっと城まで言ってデュラハンに爆裂魔法を直接打ち込んできます。」

 

めぐみん一人が言ったところで相手は魔王の幹部だどうにかなるわけがない。

 

…と言うか。

 

「俺も行くに決まってるだろうが。お前一人じゃ雑魚相手に魔法を使って終わりだろ。そもそも俺も毎日毎日一緒に行きながら幹部の城だって気付かなかった間抜けだからな。」

 

俺の言葉を聞いためぐみんは渋い表情をして

 

「ですが…カズマが来たところで雑魚がどうにかなるわけでもないですし…」

 

それを言われるとなんとも言えない…

 

するとハチマンが、

 

「あー、まぁなんだ。別にめぐみんが心配とかじゃないが、ダクネスにはカエル狩りを手伝ってもらった借りがあるからな。借りを返す前に死んでもらったら後味悪いしな。俺もついてく…」

 

その言葉を聞いて、俺とめぐみんが顔を合わせ微かに笑う。なんというかハチマンはひねデレてるというか素直じゃないというか、でもハチマンが来てくれれば俺が敵感知を使って敵を見つけてハチマンが攻撃、デュラハンをめぐみんが対応すればもしかしたらいけるんじゃないだろうか。

 

「ハチマンが居てくれれば雑魚はハチマンに任せればいいし。それに一週間の期限があるなら毎日一階づつ爆裂魔法で潰していくという作戦も使えるしな。」

 

俺の提案にハチマン、めぐみんも真剣な顔で頷く。

俺達はダクネスの方を振り返ると

 

「おい!ダクネス!呪いは俺たちがなんとかしてやるならな!だから安心して…」

 

「『セイクリッド・ブレイクスキル』!」

 

俺の言葉を遮るようにアクアが唱えた魔法を受けてダクネスの体が一瞬淡く光る。

 

そしてどことなくと言うか確実に残念そうなダクネスと対照的に、アクアが嬉々として言ってきた。

 

「この私にかかれば、デュラハンの呪いの解除なんて楽勝よ!どう、どう?私だってたまにはプリーストっぽいでしょう?」

 

「「…えっ?」」

 

と俺とめぐみんが驚き

 

「はぁ…」

 

と疲れたように目を抑えるハチマン

 

…勝手に盛り上がってた、俺たちのやる気を返せ。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。