やはり俺が軽音部なのはまちがっている。   作:キリマンジャロウ

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立て込んでて更新がだいぶ遅れました。
感想をくれる皆さま、評価してくれた皆さま。ありがとうございます。
返事はできてないんですけど、何度も見返してニマニマしてます。気持ち悪いですね(俺が)。

この間日間ランキング2位に入りました。
ホント嬉しいです。

これからも頑張って投稿していきたいと思います。

では、第5話をどうぞ。


⑤このように平沢憂は天使である。

今さらではあるが、この軽音部という部活は要するにバンド活動を学校の部活動として行っている部活である。

と、こうして確認しておかないと、この部活が何をしているのかわからなくなる。

 

俺がこの軽音部に入部し、早4日は経った。

しかし、俺含め軽音部の部員全員、それまで練習を全くしていないのだ。

練習そっちのけでお茶とお菓子を楽しんでいる。これ学校的にアリなのかよ。

だが、失望はしていない。学校という存在に甘えて作ったバンドなど、所詮はこんなものだろう。

俺とて真面目に参加するつもりもなかったし、特に何も言わず一人でソファーに座り黙って読書をしていた。他の4人が椅子でお茶会を開く中、すっかりここが俺の定位置である。

しかし――、

 

「いい加減練習するぞっ!!ここ最近お茶ばっかりじゃないか!!こんなんじゃ新歓ライブでいい演奏できないぞ!!」

 

秋山の堪忍袋の緒がとうとう切れたようだ。

まぁ彼女は俺が入部した後の4日間もずっと練習を促していた(が、他の部員がそれを躱していた)ので、当たり前といえば当たり前である。

しかし田井中の練習の躱し方は本当に上手かったな。

秋山が練習をしろと怒ったら、ケーキを一口彼女に差し出し、食べさせて宥めていた。

いやこれ秋山がちょろいだけだわ。澪ちゃんマジチョロイン。

 

「ええ~今日はもうよくない?」

 

それは違うぞ田井中。正確には「今日も」である。

 

「律!お前、部長なんだからもっと真面目に練習しろよ!」

 

「まぁまぁ、澪ちゃん」

 

平沢が宥めようとする。

 

「こんなんじゃ…新入生、軽音部に入ってくれないぞ!」

 

そこでほかの部員がハッとなる。

 

「そうだ…比企谷が入ったから忘れてた」

 

「ヒッキー私たちと同い年だもんね~」

 

どうやら彼女たちは新入生の部員も欲しかったようだ。

まぁここにいるのは全員2年生だし、卒業してしまえば軽音部はもう残らないので、そう思うのも無理はないだろう。

 

「つか、俺はもう部員の一人なのかよ…」

 

入部さえ了承したものの、ろくに練習もせず、本ばかり読んで部活を過ごしてまったく会話もなかった俺は、あれ俺って本当にここに入部したんだっけとさえ思っていた。

すると田井中が、急にニヤニヤし始めた。

 

「何言ってんだよ~昨日澪と一緒に部活来たくせにぃ~~。聞いたぞ?昨日のウ・ワ・サ♡」

 

どうやら、昨日俺がクラスで軽音部に入部したことをカミングアウトした話を言っているらしい。情報はえーよ。

 

「もう噂になってるのか」

 

「ふふ~ん、女子はスキャンダルに敏感なんだよん」

 

「さらっと俺と関わること自体がスキャンダルって言うのやめてくれない?」

 

ああ、めんどくせぇ…。今日もクラスでジロジロとみられていたし。ぼっちは視線に敏感なんだぞ。何度言えばわかるんだ!いや一回も言ったことなかったわ。

たいなかが ニヤニヤと こちらを みている。

まったく仲間になりたくない顔である。

 

「いやぁ~F組の子から聞いてさ~、まるでナイト様みたいに颯爽と澪を助けたらしくて…」

 

田井中が椅子から立ち上がり、さながらブロードウェイの如く立ち回る。ブロードウェイとか見たことないけど。

 

「え!何何くわしく!」

 

平沢と琴吹が身を乗り出してくる。

こいつらは俺に何を期待しているんだ。

 

「グッ…あれはだな」

 

「ちっ、違う!ああ、あれはただ、比企谷くんが部活一緒に行こうって言っただけだし!なんでもない!なんでもないから!!ぜーーーーったい!!」

 

俺がどうにか弁解の言葉を捻り出そうとしていると、秋山が割って入ってきた。

うん、まぁ別にいいんですけどね。俺も昨日そういったし。

ただ顔真っ赤にして全力否定されると心に来るわー。

 

「ん、まぁそういうことだ。どんな噂か知らねーけど、お前らが想像してるようなことじゃない」

 

「なーんだ、つまんねーの」

 

田井中は口を尖らせ、そのままドカッと椅子に座り、お茶を啜る。

そして秋山が体を震わせる。

 

「だから…練習だって言ってるだろー!!!!」

 

 × × ×

 

秋山の練習熱に押されて(というかビビって)、軽音部はようやく練習を始めた。

秋山はベース、平沢はギターを手に持ち、田井中と琴吹は自分の担当するドラムとキーボードの前にいる。

一方俺は、先ほどと変わらずソファーに座っていた。

俺はまだ楽器が弾けないのであるから当然だ。おとなしく本でも読んでいよう。

 

「てぇい!!」

 

「ぃだっ!?」

 

突如、俺の頭にドラムのスティックが投げられる。

 

「何すんだよ」

 

「それはこっちのセリフだー!あたし達が今から練習するっていうのに、なに本読んでんだよ!」

 

田井中がそう俺に文句を告げる。

 

「いや、俺まず楽器持ってねーし。それに弾けねーし」

 

「弾けなくても、手拍子とかできるだろーが!」

 

「お遊戯会かよ」

 

これで暗に自分たちの演奏はお遊戯レベルだといっているのであれば、

俺は田井中をだいぶ見直す。5から10くらいに。

あ、ちなみに100が上限な。これが俗に言う八幡ポイントである…。ちがうな。

 

「まぁまぁりっちゃん。でも、このまま比企谷君に役割がないっていうのも心苦しいわよねぇ…」

 

琴吹が口を挟む。

 

「いや、俺は働きたくないからな。このままで大丈夫だ。むしろずっとこのままがいい」

 

お気遣い感謝だが、ほんと有難迷惑っていうか余計なお世話っていうかマジでやめろっていうか、マジお気遣いありがたいんですけど、ほんと。

 

「あーそういえばこの前配ったビラまだ余ってなかったっけ?」

 

おい平沢、お前アホの子じゃなかったのか。何故そんなことを今思い出す。

 

「あ…うん、まだ余ってたと思う」

 

秋山がごそごそと棚の中を調べる。

 

「えっと…あった!」

 

どん!とそこに置かれたのはざっと200枚はありそうだった。どんだけ刷ってんだよ。

新入生200人くらいだって聞いてるぞ。それでこんだけ余らせるとは…。

 

「よーし…比企谷。部長命令だ!このビラを――――」

 

あとは、言うまでもない。

 

 × × ×

 

「軽音部でーす。よんしくおんしゃしゃーす」

 

俺は校門前で軽音部勧誘のためビラを配っていた。何故俺がこんな事を…。

ビラ配りとかティッシュ配りとか、そう言う仕事は別に苦手ではない。仕事は嫌いだけど。

なぜなら誰も俺に興味を持たないから。

人の興味は配ってるものに行くのである。それに配るという仕事は一人で黙々とする作業だ。誰とも馴れ合わずに済む。適当な奴にビラを押し付けておけばすぐ終わる……と思っていたのだが、一向にビラ減らない。

別に知ってたけどね?俺が目つき悪いことぐらい。

ちょっと話しかけたくらいで怯えられるくらいだし??

だけどそこまで拒否反応を起こされると、さすがの俺もこの先生きていけるか不安になるわ。

新入生に俺がビラを配ろうとしても、顔を見た瞬間固まってしまう。

近づこうものなら後ずさりされる。

 

これ、勧誘にはどう考えても逆効果だろ…。

 

そうは思ったものの、配り切るまで帰ってくるな、と俺は部長の田井中に言いつけられていたので帰れないのである。

 

そして新入生からは避けられているのに、二年生から上の奴らには逆にジロジロみられていた。

「軽音部に男…!?」「噂って本当だったんだ…」という声が聞こえる。

ああ…こうして俺が軽音部に入部したことが知れ渡っていくのか。恨むぞ田井中。そして軽音部に入部させた山中先生。ついでに政治家も恨んでおく。早く人が働かなくてもいい社会を作ってくれ。

 

しかし、だ。こんなことでは埒があかない。今はもう放課後。ビラを受け取ってくれる学生はどんどん帰っていく。

まぁ俺としては新入部員が来ようが来まいがどちらでもいいのだが。

さすがに一枚も配れませんでした。というのは格好がつかない。 

どうにかしなければ…そう悩んでいると、後ろから誰かが話しかけてきた。

 

「あ、あのっ!」

 

「ん?」

 

振り返ると茶髪のポニーテールの女生徒だった。リボンは赤。新一年生である。

うちの学校の女子はリボンの色によって学年がわかるようになっているのだ。

ちなみに二年は青である。

 

「比企谷さん…ですか?」

 

「お…おう」

 

誰だこの子?俺に後輩の知り合いはいないはずだが。

 

「あ、やっぱり…。自己紹介が遅れました。私、一年生の平沢憂と言います。お姉ちゃんがいつもお世話になってます」

 

平沢…ということは、あの平沢の妹か。ややこしいなおい。

そう言われて見れば、顔が平沢(姉)と似ている。しかし、アホの子の匂いがないな。クンクン。

うわ何この子めっちゃ良い匂いする。

 

「お姉ちゃんからお話を伺っていて、いつか挨拶をしなきゃって思ってたんですよ」

 

そういい、平沢(妹)は笑った。何この笑顔。守りたい…おおっと危ない。危うく惚れるとこだった。最近俺危うすぎじゃね??

しかし、よくできた子である。わざわざ姉と同じ部活というだけであいさつに来るとは。

というか平沢(姉)は姉だったのかよ。そっちに驚くのだが。

 

「ん、まぁ俺は別に何もしてないけどな。わざわざどーも。それじゃ」

 

「あ…」

 

俺がその場から立ち去ろうとすると、平沢(妹)が声をあげる。

 

「どうした。まだ何かあるのか」

 

「い、いえ…せっかく会えたので、もうちょっとお話したいなぁって…エヘヘ」

 

「…………………………ハッ!?」

 

危ない、可愛すぎて抱き着くところだった。しかしこの子のこの愛らしさはどこから…。

そうか、妹だからか。考えると小町こそタイプは違えど、この子の妹力も相当高い。

よくできた妹から「もーお兄ちゃん!」とか…。いや「お兄様」がいいかな…。この子のためになら俺劣等生になれそう。今も劣等生とかいう奴は許さない。

 

「ひ、比企谷さん?」

 

危うく夢の世界へとだいぶ思想になった俺を、平沢(妹)が呼び止める。

ふぅ、ここはクールに。クールに行こうぜ、八幡。

 

「お兄ちゃんって呼んでくれ」

 

「ふえっ!?」

 

ってオイイイイイイイイイ!?何言ってんの俺の口!この馬鹿!縫い付けるぞ!

あぁ、これは絶対に引かれた。そして一年生全員に「比企谷ってキモイ先輩がいる」と知れ渡り、

平沢(姉)経由から軽音部にも知れ渡り、俺は晴れて退部できる。晴れてできちゃうのかよ。

とにかく俺の学校生活終わった…。

と思ったが平沢(妹)を見るとモジモジしている。

 

「あ、すまん…忘れてく――――」

 

「…お、お兄ちゃん…。こ、これでいいですか…?」

 

上目遣い。最高です。

つかしてくれるのかよ。何この子?天使か?天使なのか?

 

「お、おう…へ、変なこといってわりゅかっちゃ…」

 

ドキドキして滅茶苦茶噛みまくりである。

 

「い、いえ…私もお兄ちゃんがいたらいいなぁって思うことあるので、えへっ」

 

俺がなってやる。おっと、今度は心の中に抑えられたようだ。何やってんだよ俺の口!ちゃんと言ってあげろよ!

 

「そういえば、ビラ配りの途中でしたよね」

 

「ああ、そうだった。全然配り終わらなくてな」

 

「…よければ、手伝いましょうか?」

 

…why?なん…だと…?

 

「…俺としてはありがたいんだが、いいのか?」

 

確かに平沢(妹)が手伝ってくれるのなら、配り終えるかもしれない。

平沢(姉)に似てるとあって彼女もまた、美少女と言われる容姿を持っている。

馬鹿な男どもが釣れそうだ。ちなみに俺はもう釣られてます。

 

「はいっ!私も軽音部に新入部員入ってほしいので!」

 

「…そうか、なら頼んだ」

 

そう言い俺は半分…いや7…8割ほどビラを彼女に渡した。

だって俺だと誰も受け取ってくれないんだもん。

 

 × × ×

 

平沢(妹)と協力するとビラ配りは驚くほどスムーズになった。

というかほぼ平沢(妹)のおかげである。彼女が手伝ってくれて、男どもがまぁ平沢(妹)に寄って来る寄って来る。もちろん普通の女子生徒もいたが、男子生徒の割合が半端じゃなかった。ビラもらうのに列ができていたし。アイシールド21でこんなの見たことあったわーと懐かしの名作を思い出した。

2年と3年まで混じっている始末である。

ちなみに俺はまだ一枚も配れていない。俺いる意味あるかな。

 

そろそろ新入生の数も見えなくなってきてしまった。

さてどうするか…。そう考えながら周りを見渡すと。一人の女生徒が平沢(妹)を見ていた。

黒髪のツインテールでちっこい女子。またしても美少女である。リボンの色は赤。友達か?とも思ったがどうやら様子が違う。

…なら、ビラだろうか。軽音部に興味を持っているのかもしれない。

まぁ勘違いなら勘違いで、俺が恥ずかしいだけだしな。

俺は彼女に声をかけることにした。

 

「おい」

 

「にゃっ!?」

 

黒髪ツインテールが驚いたように飛び跳ねる。猫みたいなやつだな…。

 

「な、なんですか…?」

 

恐る恐るといった感じで尋ね返してくる。まぁそうビビるな。

 

「ビラ、欲しいのか」

 

「え…?」

 

「あいつ、見てただろ」

 

そういい、俺は顎で平沢(妹)を示す。

 

「あ、はい…そうです」

 

「そうか、ならこれをやる。軽音部、よろしくな」

 

「えっ、ちょっと…!」

 

一方的にビラを押し付け、俺はその場を去った。

軽音部で多少は慣れたが、俺は基本女子と話すのは苦手だ。いつまでも構うことはできない。

ちなみに平沢(妹)は別である。彼女は…そう…天使…?そう天使だからな。

なので、呼び止める声を俺は無視した。

 

 × × ×

 

「ふぅ~配り終わりましたね~」

 

日がすっかり傾き、夕焼けに学校が照らされる頃、ようやくビラ配りが終わった…ただし平沢(妹)の分だけだが。ちなみに俺は黒髪ツインテールに渡した一枚しか配れていない。

 

「ああ、すっかり頼っちまった。ありがとな」

 

「いえいえ、私もいつもお姉ちゃんがお世話になってるので」

 

「世話した覚えはないけどな」

 

そういうと、平沢(妹)はクスッと笑った。

 

「どうした?」

 

「なんていうか、聞いた通りの人だなぁって思って」

 

おい平沢(姉)、この子に何を吹き込んだ。

 

「それじゃあ、私そろそろ帰りますね!夕飯の支度があるので」

 

「ああ、じゃあな」

 

「それでは!」

 

平沢(妹)は平沢(妹)は頭をぺこりと下げお辞儀をして去っていった。最後まで礼儀正しい子である。

しかし今回のビラ配り、ほとんど馬鹿な男子共しか受け取っていなかったが、本当に新入部員が入ってくるだろうか。

 

「ま、俺には関係ないけど」

 

ついつい独り言を言ってしまいながら、俺は軽音部の部室に戻った。




ムギが空気()
うーんムギメイン回作ろうかな…。ムギが空気過ぎて不憫です。
そして若干唯も空気…。
まぁいいですよね!今回は憂ちゃん回だもの!
そして今回は地の文少ないかなぁとちょっと反省。
原作の雰囲気についていけているか不安です。

感想、誤字の指摘、ご意見等ありましたら是非どうぞ。

※読み返していていきなりミスに気づき訂正しました。
というかいつもそうなんですけどね…。

投稿して読み返してミスに気づいて訂正する。

投稿する前にちゃんと読めって話なんですけども…すみません。
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