やはり俺が軽音部なのはまちがっている。   作:キリマンジャロウ

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なんかやっぱ前の話読み直すと大分空気感違うな…まぁいいか。
あと俺ガイルの結の製作が決定したらしいですね。俺が書き始めたと同時に決定…?
これがシンクロニシティか(違う)。
何にしても嬉しいことです。


⑨そうして比企谷八幡は彼女たちと〇〇になる。

私こと中野梓は、入学式で隣同士なり、そのきっかけで話すようになった田中さんと部活動見学をしてした。

彼女と私は入りたい部活は違うが、一人で見学に行くのも緊張するということで、お互いがお互いの入りたいと思っている部活を一緒に見学し合おうと約束をしたのだ。

昨日までは彼女の入りたい部活の見学に付き合っていたが、今日からは私の入りたい部活を見学しに行く。候補は音楽活動ができる部活だ。…と言っても種類は豊富ではないけれど。そしてちょうど今、その候補のうちの1つであるジャズ研の見学をしてきたのだが…。

 

「私にはよくわからなかったけど…どうだった?中野さん」

 

「うーん、ちょっとわたしのやりたい事とは違うかなー…って」

 

「そっかー」

 

話が変わるが私の両親はジャズ奏者をしており、私自身幼少の頃から音楽に触れ続けてきた音楽一家である。一通り様々な楽器に触れて、今はギター一本に絞って練習をしている。そして将来は両親と同じように音楽を仕事にして生活したいと考えている。

そのために私は、お互いのレベルを高め合えるような部活があれば入りたい…と考えていた。しかしやはり現実はそう甘くない。高校の部活動なら、もっとやる気があってレベルも高いものだと思っていたが、期待は大いに裏切られた。

今見学したジャズ研もそうだが、ほとんど音楽を真剣にやりたいなどとは考えておらず、楽しめればそれでいいという考えの部活ばかりだった。

それどころか、男子の先輩に「君、かわいいね。僕はジャズ歴5年なんだけど、入部してくれたらなんでも教えるよー?」などと下心丸見えの勧誘をされて気分を害するレベルだ。音楽に性別や容姿も、年数も!関係ないのに!

 

「そ、それじゃあ次は…昨日チラシもらったっていう軽音部だっけ?」

 

私がそうぷんすこ怒っているのを察してか、田中さんが話題を変えようとしてくれる?ちょっと気を遣わせすぎたかもしれない。反省しなければ…。

 

「うん、この部活で見学は最後の予定」

 

「そっか、つぎは良いところだといいね!」

 

田中さんの気遣いに心の中で謝罪をしつつ、私たちは軽音部の部室があるという音楽準備室へと向かった。

 

 × × ×

 

軽音部の部室の前についた私たちは、一先ず中に入ろうとノックをしようとした時、部室の中から演奏の音が流れた。その音を聞いた瞬間私は――――――

 

―――――――上手くない。率直にそう思った。ドラムは走りすぎだし、ベースもそれに引っ張られてペースを乱している。反対にギターはマイペースすぎる。合わせる気があるのかないのか。唯一いいなと思ったのはキーボードぐらいだ。

 

「わっ、演奏してるとこだね…どうする?」

 

「うーん、邪魔するのも悪いから、終わってから入ろうかな…」

 

「そっか…。あ、でもこの窓から覗けるよ?なんかジャージで演奏してる…。あ、私たちと同じ一年生もいる」

 

そう言われて、私も窓ガラスから部室を覗いてみる。

 

「へぇ…あれ、私たちと同じクラスの平沢さんと…鈴木さんじゃない?」

 

「あっほんとだ。…でもなんか平沢さん、困ってそうな顔してない?」

 

田中さんの言葉に私も頷く。まぁ、わたしもこんな演奏を聴かされたら困ってしまいそうだ。

 

「あんまり真面目にやってる部活じゃないのかもね」

 

「うん…」

 

ここもダメか…と中に入る前からもう見切りをつける。やはり、高校の部活動で真剣に音楽をやるなんて無理なのだろうか。少なくとも、この高校では。

どこかのギターを募集しているバンドでも探そうかな…そう考えていると、後ろから声をかけられた。

 

「よう、見学か?」

 

急に声をかけられたためびっくりしてしまい、私たちは振り返った。

するとそこには、昨日軽音部のチラシを渡してくれた先輩がいた……何故か執事服の姿で。

 

 × × ×

 

「あっ軽音部の方…ですか?すいません!」

 

黒髪ツインテールと一緒にいた女子がとっさに謝ってくる。声も少し怯え気味だ。別にそんな気を使う必要はないのだが、やはり上級生の男であるということで少し怖いのだろう。

 

「中野さん…この人なんで執事のコスプレしてるのかな…?」

 

「うん…この人も軽音部の人のはずなんだけど…なんか怖…」

 

違った。ただただ執事服を着て現れた俺を不審がっているだけだった。いやまぁ確かにいきなり後ろから話しかけて驚かせたのは俺なのだが、

だけど執事服でも別にいいだろうが。女子は執事好きだろ。黒執事とかメイちゃんの執事とか。巷には執事喫茶なんてものもあると言うのに、何故俺が着るだけでここまで評価が下がるんだ。

憂ちゃんだって似合ってると言ってくれたんだぞ。いやあれはお世辞か…とグダグダ考えていたが、そもそもここは学校であり、軽音部の部室(の前)である。そんなところでコスプレしているやつなんてどう考えても痛い通り越して怖いな。八幡反省……いやする必要ねーわ。元々から軽音部のあいつらそして山中先生の所為だわ。

俺は悪くない!全部あいつらが悪いんだ!しかしそんな事情をこの一年生に説明したところで「はぁ?知らんし」となることは目に見えているので誤解を解くことは諦めるしかないのが悔しいところだ。

 

「この格好には海よりも深い事情があってだな…まぁそんなことはどうでもいいとして」

 

「どうでもいいんだ…」

 

「ああ、それより部室を覗いてたってことは見学だろう。入らなくていいのか?」   

 

俺は黒髪ツインテールもとい中野のツッコミをスルーして2人に提案をした。

 

「あっ、えーっと…」

 

「いえ、もう十分なので帰ります」

 

「十分?」

 

俺はその中野の言い草に引っかかってしまい、つい聞き返してしまう。

 

「…ここに私のやりたい音楽は無さそうなので」

 

「なっ、中野さん!?」

 

中野の連れである女子生徒が、思わず悲鳴をあげる。男子の先輩と思わしき人に失礼なことを言いすぎだと感じたのだろう。

まぁ俺は年下から舐められることに慣れているので(主に小町)、特に問題はない。ないのかよ。

ともかく俺はその言葉を聞いて俺は中野の言いたいことがわかった。

中野の背中にはギターケースと思わしき物が背負われている。ただの見学にも関わらず、ギターを持ってくるあたり、こいつが経験者なのが見てわかる。まぁ高校デビューを夢見て、入学してすぐギター買っちゃったちょっと痛い女子という可能性もあるが、ギターケースの使い込み具合からするとそれも無さそうだ。

おそらくこいつは真面目に音楽に取り組みたいストイックな奴なのだ。軽音部に来たのも、志を同じく持つ仲間を探しに来たんだろうが、ちょうど演奏しているところを覗いて、自分のレベルとは合わないと思ったのだろう。ま、俺あいつらのレベルとか聴いたことねーから知らないけど。

 

「そんな変な格好で、真面目に音楽に取り組んでいるなんて思えないので」

 

違ったわ、俺のコスプレのせいだったわ。しかし何度も言うように(言ってない)、これは俺の意思でなく軽音部の連中が…いやでも結局あいつらもコスプレしてたわけだしこいつの感想は間違いじゃないな。うん。

しかし格好だけで決めつけるっていうのもどうなんだ。世の中には顔を白塗りにして黒い星を描いたり、狼のマスクをかぶって演奏しているバンドだっているだろうが。人を見た目で判断するのは良くないって道徳の授業でも習ったろ。

俺だって目こそ腐っているが、性格も腐っているからな。ってそれじゃダメじゃん。やっぱ人は見た目だよね!第一印象は大事っていうし!(手のひら返し)

 

「あー確かにな…。だけど俺は新入部員でな、まともに楽器なんて弾けないが、中にいる奴らはまた違うと思うぞ」

 

そう言って咄嗟に軽音部の彼女たちを庇ってしまった自分に少し驚く。この中野が言うように、軽音部が真面目に音楽に取り組んでいると思えないのは俺も同意だ。

実際、俺が入部してから結局演奏をしているところを見たことがないし、ケーキとお茶を楽しみながら駄弁っている印象しかない。そう考えると庇う必要なんてなく、むしろ中野の為にも「軽音部はやめとけ」と言っといた方が良さそうな気がするが、俺は不思議とそんな気にはなれなかった。

…まぁこいつが見学を拒否したのは俺の格好のせいだからな。その格好にさせたのが彼女たちだとしても、着替えると言った時に俺も着替えとけばよかったわけで…。

俺のせいで見学者が帰ったなんて田井中なんかが知ったら、文句を言われるのは必須だろう。それを避けるためにも、引き止めておく必要がある、んだろうな。

 

「新入部員?失礼ですが、先輩ですよね?」

 

「別に2年生から部活に入るなんてないわけじゃないだろ。なにか?音楽に年齢は関係あるのか?」

 

「…っ」

 

別に音楽をやりたくて入部したわけでもない(というか無理矢理入部させられた)くせに、ついつい論破癖が出てしまい口を出してしまった。中野も言い返せずにいる。

だが俺はこんなことが言いたいわけじゃない。

 

「あー…、まぁなんだ。俺が言いたいのは、見学するしないの判断が早すぎるんじゃないかってことだ。別に怒ってるわけじゃない。ただ、見た目だけで決めつけるのはまだ早いだろ」

 

「確かに…そうかもしれませんけど…」

 

中野は俺に同意を示しつつも、先程かましてしまった手前、今更「じゃあ見学します」なんて言いづらいのだろう。

下を見てどうするべきか考えているが、なかなか答えは出ない様子だ。

 

「…今度、新歓ライブを講堂でするらしい。それ観に来たらどうだ?」

 

このままでは埒があかないので、折衷案としてそう提案する。

 

「…私、ドアの前でですけど、演奏は聴きましたよ」

 

「そんなところより、講堂のでかいホールで聴いたほうがよく聴けるだろ」

 

この中野とかいう奴、ああ言えばこう言う奴だな。ちょっとイライラしてきた。

やっぱり、そもそも俺がこんな風に部活の見学に勧誘するなんてらしくないのだ。そもそも今まで部活に入ったことなんてないかららしくないもクソも無いのだが。

軽音部の彼女たちに文句を言われないためだといえ、もうそろそろ義理は果たしたと言えるだろう。諦めて部室に戻るか…?

 

「…そんな、場所で変わるなんて思えませn

「ありがとうございました先輩!是非新歓ライブ観に行かせていただきます!それでは今日はこの辺で!」

えっ、ちょ、田中さん!?」

 

中野がまた反論をしようとしたところで、その連れの女子(田中というらしい)が口を挟み、強引に中野を連れて部室から離れていった。

思えば俺たちが話している間、田中はずっと顔を青くして成り行きを見ていた。そしてついに我慢できなくなったのだろう。中野にみなまで言わせないようにして、去っていった。

 

「はぁ…俺も何をムキになってんだか」

 

中野達が去っていった方を見ながら、俺はそう呟やいた。

 

 × × ×

 

すると、部室から憂ちゃんと鈴木が出てきた。そしてその後には軽音部の連中がつられて出てくる。

 

「あっ、比企谷さん」

 

「見学は終わったのか?」

 

「はい!」

 

憂ちゃんが笑顔でそう返事してくれると、先程の捻くれた下級生と話した時の嫌な気分が浄化されていくような気になってくる。

 

「比企谷ー!お前トイレに何分かかってるんだよ!サボりかこら!」

 

「まぁまぁ、りっちゃん。比企谷くんきっとお腹壊してたんだよ。ねっ?」

 

そんな浄化していた気分も、田井中からの文句で吹き飛ぶ。俺は軽音部のためにだな…。つーか平沢、勝手に俺がうんこしてたみたいに言うな。

 

「ははーん、お前うんこしてたのかよ!うんこマンめ!」

 

「ガキかお前は」

 

「律…それは流石に小学生以下だぞ…」

 

田井中の精神年齢がだいぶ低いことがわかったところで、見学に来ていた鈴木が口を開く。

 

「そ、それじゃあ私たち、そろそろお暇しますね!」

 

「あっ、うん。来週には講堂で新歓ライブやるから!それも是非見に来てね~」

 

「はい、それでは!」

 

「あっ、純ちゃん!…じゃあ、お姉ちゃん、また後でね。皆さんもありがとうございました!」

 

鈴木はそう言うと足早に部室から去っていった。それを追いかけて憂ちゃんも、挨拶もそこそこに去っていった。あの様子からすると、演奏はどうやら上手くいかなかったらしい。

 

「…演奏、あんまりだったのか?」

 

そう尋ねると、秋山は深くため息を吐く。

 

「うん。律がドラム走らせまくって…」

 

「なっ、にゃにおー!?私のせいだって言うのかよ!」

 

「どう考えてもそうだろ!もっとみんなのことを考えろ!」

 

「そ、そういう澪だって早かったじゃん!」

 

「あ、あれは律に合わせるために…」

 

「まぁまぁりっちゃん、落ち着いて…」

 

「唯だって遅すぎるぞ!」

 

「うぇ!?私は練習通りに〜…」

 

「唯、律の言うことにも一理あるぞ。確かに練習なら1人だけだからいいけど、合わせるんだったら周りも見るべきだ」

 

「しょ、しょんな〜」

 

田井中、秋山、平沢が先程の演奏の反省点を巡って口論を始めてしまった。揉めるな揉めるな。俺は内輪揉めは好きだが、それは俺が内輪にいない時に限る。

中学からの経験則から言うと、俺が内輪にいると最終的に「なんだかんだ比企谷が悪い」ってなるんだよ。なんでそうなる。俺何もしてねーじゃん。

その点、俺が内輪にいない場合は俺に責任転嫁もされないし、端からその光景を楽しんでいられる。これだからぼっちはやめられないんだよなぁ。

中学時代のトラウマを軽く思い出して思わず涙目になったが、そんな俺に構いもせず3人はあーだこーだ言い合っていた。

 

「…止めなくていいのか?」

 

俺はその様子をニコニコと見守っている琴吹に尋ねる。

 

「フフッ、心配?比企谷君。」

 

「…心配というか、来週には新歓ライブなんだろ。こんな調子で上手くいくのかって思っただけだ」

 

「それが、心配ってことじゃないのかしら?」

 

「…どーとでも受け取ってくれ」

 

変に反論すると逆にこっちが打ち負かさせるような凄みが琴吹にはある。下手に言い返さないでおこう。

 

「素直じゃないのね?…まぁ、こんなのいつものことなの。気にしないで?」

 

「さいですか…」

 

まぁ、俺よりも付き合いの長いこいつが大丈夫というのなら大丈夫なのだろう。俺の返事を聞いた琴吹は、またニコニコと3人の言い合いを見守って……いやこれニコニコと見守ってるって言うか、ニヤニヤと視姦してる気が…。

い、いや、俺の気のせいだな。うん、気のせいということにしよう。聞こえない聞こえない、俺には「ハァハァ…いいわぁ~♡3人とも」なんて声は聞こえない。

 

 

 

しかしそれは別として、演奏のレベルが低かったというのはいささか問題があるだろう。このままでは新歓ライブを観に来る中野からも結局「大したことない」と思われて終わりだろう。

いやだがそれ自体俺に対してデメリットはあるのだろうか?こんな成り行きで入った部活だ。正直他人にどう思われようと…

 

  

  『…ここに私のやりたい音楽は無さそうなので』

  『真面目に音楽に取り組んでいるなんて思えない』

 

 

ふと、中野の発言が頭の中でフラッシュバックする。…確かに彼女の言い分は正しいのかもしれない。しかしそれは、1つの見方から見たら(・・・・・・・・・・)、である。

こいつらは練習には不真面目だし、こうやっていつもくだらないことで泣いたり笑ったり怒ったりしている奴らだ。だが、

 

秋山澪は男性恐怖症だったり極度のあがり症であるなか、芯に一本強いものを持っている奴だ。

 

田井中律は性格は粗暴であるが、人間関係においては気配りができる良い奴だ。

 

平沢唯はマイペースなお調子者だが、俺みたいな捻くれ者を歓迎してくれた心根の優しい奴だ。

 

琴吹紬は…お菓子をくれるな。うん。後たまにちょっと怖い。冗談はさておき、軽音部全体の癒しとなっている。

 

この軽音部には、そんな奴らがいる。ただちょっと窓から覗いただけで見限ってしまうには、惜しい奴らが。

田井中に、軽音部が楽しいかどうか聞かれたとき、俺は答えることができなかったが…今なら思える。俺はこいつらとの数日が楽しかった。

そして、そんな奴らを1つの見方で判断する奴が許せないのだ。だから俺は、中野にあそこまで食い下がってしまった。はっ、我ながら笑えねぇな。俺だって最初この部室に来たときは、中野と似たような目線でこいつらを判断していたっていうのに。

だが、それでも知ってしまった。こいつらが良い奴らだと。そして思ってしまった。こいつらとなら…××になれるかもしれないと。だから俺は、新歓ライブを成功させたいと、思ってしまったのである。

 

 

 

…だが、俺にどんな方法が取れるというのだろうか。新歓ライブを成功させるために、こいつらを一致団結させて練習させるための方法を、俺が提示できるのだろうか。

 

本当は分かっている。俺に出来る方法なんてこれくらいだと(・・・・・・・・・・・・・・・・・)。だが…はぁ、気が乗らないが仕方がない。いつだって比企谷八幡は、捻くれてて、陰湿で、最低なのだから。

 

 × × ×

 

「…おいお前ら、そんな言い合いしてる暇があったらその反省を踏まえて練習しろ。そんなんだから下手糞なんだよ」

 

俺は3人に言い放つ。3人とも一瞬反応が遅れて

 

「う、うぅ…確かにその通りだけど」

 

「ヒッキーにまで言われた~うぇ~ん!」

 

「比企谷ぁ!お前実際に聴いてもないくせによく私たちにそんなこと言えたな!?」

 

と反省やら悲嘆やら反論やらバラエティーに富んだ返事が返ってきた。しかし俺もそんな反応には怯む様子も見せず

 

「部室に戻るまでに聴こえてきたんだよ。はっ、聴けたもんじゃなかったがな。まぁ仕方ねーよな。俺が入部してからお前らが練習してるのなんて1回きりだ。そんな奴らがまともに演奏できると思ってた俺が悪い」

 

と悪態を返す。先ほどよりキツめに言ったのが功が奏したか、今度は反論すらできず狼狽える。

 

Q.集団を最も団結させるのは何か?

 

A.明確な敵の存在。

 

このように3人の怒りや反感を矛先を俺に向けることで団結を促し、俺みたいなやつにさんざん言われた屈辱を糧に練習をさせるというわけだ。我ながら完璧な作戦で震えるぜ。

…だが、こうすることで、結局こいつらとは離れることになるだろう。しかし仕方がない。こうするのが一番効率がいいのだ。

ビンタの一発はくらいかもしれないと覚悟しながら、軽音部の面々の反応を待つ。

すると一番最初に口を開いたのは、秋山だった。

 

「比企谷君…」

 

「なんだ、秋山。しかしこれは事実d「うん、そうだよ!その通りだよ!」…は?」

 

「比企谷君の言う通り、私たちは全然練習できてなかった…。それなのに今になって、こんなはずじゃなかったー!って騒いでるなんて、可笑しいよね。こんな言い合いをしてる場合じゃなかったんだ!」

 

な、なにやら秋山が俺の予想の斜め上を言っているが…まぁ問題はない、残りの奴らが…

 

「なるほど澪ちゃん!なんかヒッキーの言ってること怖かったけど、つまりは私たちを励ましてくれたってことなんだね!?」

 

おい平沢、あれのどこが励ましに聞こえるんだ。お前のポジディブは底なしか?

 

「むっかー!!比企谷にあそこまで言われるなんて…!言われっぱなしは女が廃る!絶対お前を唸らせる演奏を聴かせてやるからな!覚悟しとけ!」

 

唯一田井中が、俺の狙い通り(?)の反応をしているが…こいつもこいつで軽いな。むしろそれくらいでいいのか。

 

さっきまで言い合いしていた3人が、一転して「練習するぞー!えい、えい、おー!」とやる気を出している。それを眺めていた俺は軽く混乱する。

 

「…なんで、こいつら」

 

「比企谷君、私たちには敵なんて必要ないの」

 

「っ!…琴吹?」

 

俺が思わず呟いていると、琴吹に声をかけられた。

 

「比企谷君がしたかったことは…まぁ想像はつくかな?ちょっとバカみたいだけど」

 

フフッ、と琴吹が笑いをこぼす。こいつ、俺にはその手段しか選べなかったというのに…。

 

「私たちに必要なのは、友達だけ。それだけで一緒に頑張れるんだよ?」

 

「…そーかよ。じゃあ、俺は必要なかったな」

 

「何言ってるの?だから比企谷君が必要なんでしょ?」

 

琴吹が怒ってますよとアピールするように、頬を膨らます。どうでもいいがマンボウみたいだ。

俺は何を言ってるのかわからないという視線を琴吹に飛ばした。

 

「私たちは友達なんだから、そんな友達が心配して言ってくれたことを、否定するわけなんてないんだよ。私たちのためを思ってくれてありがとう。比企谷君♪」

 

琴吹は俺にそう言うと、「今週末はみんなで集まって練習だー!」と騒いでいる3人のほうへ向かい、「私も混ぜて~」とその輪の中に入っていった。

しばらくボーっとしていた俺だが、ハッと鼻で笑ってしまう。それはもちろん、自分自身に対してだ。

 

「俺なんかより、あいつらのほうが何枚も上手だな…」

 

そう、ポツリと自嘲した。するとそんな俺とふと目が合った田井中が、

 

「おいっ比企谷!お前いつまでボーっとしてんだ!比企谷から言い出したんだからお前も練習に参加だからなっ!」

 

と言い出した。

 

「…はぁ?楽器の弾けない俺に何を求めてんだ」

 

「そこはまぁヒッキーの応援パワーを私たちに…ね?」

 

「いや、『ね?』と言われても全くわからんぞ平沢」

 

そこに平沢も増援に駆け付け、

 

「まぁまぁ、比企谷君。来てくれたらおいしいケーキ御馳走するわよ?」

 

「琴吹、世の中には【イカのお寿司】という言葉があってだな…「飲み物はマックスコーヒーでいいかしら?」何ィ!?」

 

こいつ、どこで俺のソウルドリンクの情報を仕入れた!?しかし、俺がそんな餌に釣られクマ―――?!

 

「ひ、比企谷君が客観的に聞いてくれるだけでも、為になるから…どうかな?」

 

最後に、秋山が上目遣いでこちらを見てくる。

……はぁ、今朝は明日は休みだ花金だと浮かれていたんだがな。

 

「わかったよ…。で、場所はどこでやるんだ?」

 

珍しく休日に予定の入った俺は、少しだけ微笑んだ。

 




なんか書いてるうちにちょっと最終回っぽくなった気もするけどまだ続けます。

それと読んでくれた方に言いたいことが3つ。

①お礼というか…
5年も前に書き始めて、たった1か月もしないうちにエタってしまい放置してたのですが、それでもこの駄文に「続きを待っています」と感想をくれた方々、そしてすんげー久しぶりに投稿したにも関わず怒りもせず「待っていた」と感想をくれた方々。ありがとうございました。

②再び書き始めた経緯というか…
まーでももう書くことはないかな~と思っていたんですが、最近MAD動画とか作りはじめましてね。創作熱に再び火が付いたと申しますか。「なんかあれの続き書きたくなったな」と思いまた書きました。

③あさましく宣伝というか…
なんかこれ書いてたら、俺ガイルのMAD作りたくなったんで作ります。作ったらここでも報告するんで興味あったらどうぞ。(まだ何にもやり始めてないけど)
https://www.nicovideo.jp/user/29465897/video?ref=pc_userpage_menu
なお、MADのせいでまた投稿が遅れる模様。
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