魔法科高校の劣等生 ~四と零~   作:ブーミリオン

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嵐の前の…

深雪の用とは今日家に来てくれということだった。

そして言われた通り行くと達也がブランシュについて説明してくれた。

母さんから聞いて知っていると言ってもよかったのだが、達也たちは母さんをあまり好ましく思っていないと知っているため余計なことをわざわざ言う必要なないと感じ素直に達也の話を聞いていた。

 

「…そしてそんな奴らを十師族が放置しておくはずがない。特に四葉家が、な。だから今のうちから十分気を付けておかなければならない」

 

最後にそうまとめた達也に深雪は顔を少し蒼褪めた。

俺はそんな2人を複雑な思いで見つめていた。

 

 

***

 

 

 

「250ms…。零夜君、すごいです…」

 

「ん、そうか?」

 

感嘆の声を上げる美月に少し照れながらも軽く答える。

俺は授業の課題が時間内に終わらずに居残りをしていたエリカやレオたちに差し入れを持って行っていた。

達也が深雪に頼んだらしいのでそのお供だ。

他にもほのかや雫も同行している。

そうして俺たちが演習室に着いて彼らの課題が終わると、エリカに零夜君もやってみてと頼まれたのだ。

別に断る理由もないのでやってみたところ先ほどのような結果になったというわけだ。

 

「深雪と言い零夜君といいすごい数値よね…」

 

「2人の処理能力は、人間の反応速度の限界に迫っている」

 

俺の結果にほのかと雫はそう小さく呟いた。

って言っても俺は正直意味のないものだと思っている。

こんなことをしたところでノイズばかりのCADを使っていては何かが伸びるとも思えない。

 

「でも零夜は狙ってその記録を出したんだろ?」

 

俺がそう考えていると達也が余計なことを告げる。

変なこというなよ、と思うがすでに遅かった。

 

「達也くん、それってどういうこと?」

 

「あぁ、零夜はキリの悪い数字が嫌いでな。入試の時の結果も総合50位だし、今回の記録も250ms…。狙って出していると思わないか?」

 

「そう言われてみれば確かにそうかも…。って入試も狙って手を抜いたってこと!?」

 

エリカが途中で気づいたのか大声を出す。

ったく達也の奴余計なことをペラペラと…

 

「あぁ、零夜は目立ちたくないっていう理由であまり高い順位は取りたくなかったらしいんだ。つまり今回のこの記録も全力ではないってこと」

 

「それ本当、零夜君?」

 

達也の言葉を受け達也と深雪以外の全員が俺の顔を凝視する。

こういうことが起こらないように手を抜いているんだけどな…

 

 

「あぁ、合ってるよ」

 

俺の言葉に場が歓声に包まれる。

俺はその様子を苦笑いしながら見ていた。

するとレオが何を思ったのか俺に質問する。

 

「ってことはよ、零夜の本気はどの程度なんだ?もしよかったらやってみてくれよ」

 

その言葉に周りのみんなはうんうんと首を縦に振る。

め、めんどくせぇ…

こんな汚い起動式を受け入れるなんて嫌なのに…

とは思いつつも俺がやらないといけない雰囲気だったので俺は再びパネルに向かい計測を開始した。

そして先ほど同様一番近くにいた美月が計測結果を見ると顔がかなり強張っていた。

 

「美月、どうだった?」

 

「……108ms……」

 

「えっ……?」

 

この記録には達也や深雪も驚いていた。

まぁあいつらの前で本気に近い実力を見せるのは久しぶりだし仕方ないか。

俺だってこの記録が異常なことは理解しているつもりだ。

 

「…零夜って本当に人間?」

 

「当たり前だ!」

 

雫の本気とも冗談ともとれる物言いに俺はすぐさま突っ込んだ。

そんな俺たちを見て固まっていた一同はようやく動き始めたのだった。

 

 

 

***

 

 

 

 

やっと俺にも平和な時間が来た…と思っていたのも3日と持たなかった。

なぜなら帰り際、謎の集団に絡まれているほのかたちを見つけたからだ。

…ナンパか?

そんなことを思い俺は彼らに注意をむける。

もしほのかたちに何かしようモノであればすぐ動けるためにだ。

幸い奴らに俺のことはまだ気づかれていないらしい。

と、次の瞬間「GO!」という掛け声とともにほのかたちが駆け出した。

まぁ相手は魔法師じゃないみたいだし、あの3人(1人は誰かしらないけど)なら大丈夫だろと思っていた。

が、次の瞬間謎の集団の手をかざしたと思ったらほのかたちが頭を抱えながら地面にひれ伏した。

まさかあれは…

そう思った俺はすぐさま魔法を起動し駆け出す。

このままだとほのかたちが危ない!

魔法師じゃない奴らのあれなら俺の場合別に気にすることはないと思い奴らの元へと急ぐ。

 

「我々の計画を邪魔するモノには消えてもらう。この世界に魔法使いは必要ない!」

 

「はて?本当にそう思います?」

 

ガッ!

俺はナイフをほのかたちに振り下ろそうとしていた奴の腕を思いっきりつぶした。

『圧縮』

俺の指定した範囲のモノを強制的に圧縮し一つに圧縮してしまう収束系統の魔法だ。

余り大きい範囲を指定できないところが俺には不自由だが今の場合範囲は関係ない。

 

「零夜くん!!」

 

俺が魔法を使いほのかたちの前に現れるとホッとしたような表情を浮かべながら叫ぶ。

雫やもう一人の女の子も声こそ出さないもののだいぶ安心しているようだ。

こんなか弱い女の子によってたかって…

 

「まぁ色々聞きたい事とかあるけど面倒くさいから後でいいか?というか後にしてくれ。……それはそうとアンタ。俺の友達に何してくれてんの?死にたいのか?」

 

俺は表情を変えずに集団にそう問いかける。

ヘルメットをかぶっているため顔は見えないが、どうやら少しびびっているらしい。

 

「バカな!?このアンティナイトは高純度の特注品なんだぞ!その影響下で魔法が使えるわけが…!おい!もっと出力を上げろ」

 

俺の質問に答えず彼らは出力を上げ始める。

…まぁ俺には関係ないことだけど。

 

「ねぇ、俺の話聞いてる?ってかお仲間さん助けないでいいの?」

 

俺はそう告げ俺の圧縮によって左腕を失ったヘルメット男を指さす。

仲間ならまず心配するんじゃないだろうか?

まぁ男かどうかは分からないけど…

 

「お、おい!出力は上げてるのか!?何も奴に異変がないぞ!?」

 

俺の話なんて聞いていませんよと暗に伝えてくれる謎の集団。

まぁそっちがそういう態度をとるなら俺にも考えがある。

俺はCADを操作し魔法を発動させる。

使う魔法は先ほどと同じ圧縮。

それを集団全員の両足に発動させた。

 

「ぐわぁぁ!!」

 

一斉に彼らはそう告げると気を失った。

人の話を聞かないから…

もし俺の質問に答えてくれていれば足を失うことはなかったかもしれないのに。

そんなことを頭の片隅で考えながら俺はほのかたちの方へと向き直す。

と、そこで違和感を感じた。

………あっ。

もしかして俺面倒くさいからってやりすぎちゃった…?

 

「ぜ、零夜くん。助けてもらっておいてこんなことを言うのもなんなんだけどちょっとやりすぎじゃないかな…?」

 

「ちょっとじゃない。明らかにやりすぎ」

 

ほのかは恐る恐ると言った感じで、雫は何やってんだお前と言った口調で俺へと告げる。

もう一人の女の子はというと、

 

「………」

 

俺と謎の集団を見比べながら唖然としていた。

 

「まぁやりすぎかもしれないけど…ナンパを退治してやった俺にそのセリフは辛いよ雫…」

 

「「「え?ナンパ?」」」

 

「…違うのか?」

 

 

どうやら見解の相違があったようだ。

どうやらほのかたちは達也を攻撃していた一人をつけていたらしい。

そうしたらそれがばれてあのような形になってしまったと……

 

「…はぁ。まぁ今回は無事だったから良かったからいいけど、今後こんな危険なことするなよ?って言っても今日の出来事で懲りただろうけどさ」

 

「うん。ごめんなさい…。そして本当にありがとう!もし零夜くんが来てくれなかったら私たち……」

 

「あぁ。…っとまぁほのかたちはそろそろ帰れ。さすがにもうこんなことないと思うが時間がたつにつれてそれもわからないからな。こいつらの処理は俺がしておくから」

 

「うん!」

「分かった」

「……」

 

3人はそう告げその場を去っていった。

あの赤毛の女の子は一体誰なんだろうか…?

一言も話さなかったし、なんだか俺を変なものを見るような目で見ていたけど…

……まぁ明日にでもほのかたちに聞こう。

そう自分の中で一つ区切りをつけて、俺は後ろを振り返る。

 

「深雪いるんだろ?ほのかたちも帰ったことだし出てきても大丈夫だから」

 

「そうですね」

 

俺がそう告げると深雪はまるで元からそこにいたような態度で話す。

だったら見てないでほのかたちを助けてあげればよかったのに…と思うがあの場合俺の方が早く動いたのだから別段文句はない。

 

「で、こいつらをどうするかなんだけど…、どう思う?」

 

こいつらはブランシュの手先である可能性が高い。

きっと深雪なら尋問でもすればブランシュについてより詳しく分かり達也のためになるかもしれない、と考えているかもしれない。

きっと達也と共に通っている寺の和尚さんにでも頼むつもりなのだろう。

しかし、俺は…

 

「ええと…先生にお願いするというのはどうでしょう?」

 

俺がそんなことを考えていると案の定深雪は俺が考えていたことと同じことを告げた。

まさかそのまんま言われるとは思わなかったけど…

 

「それでもいいかもしれないけど…俺あの人苦手なんだよな…。尋問したってこんなやつら大した情報もってないだろうし、消しちゃっていいんじゃね?」

 

多少ごまかしながら俺は自分の思っていることを深雪へと告げる。

すると深雪は少し悲しそうな顔で、

 

「……ずいぶんと怒っているようですね」

 

と告げた。

まぁ深雪なら分かるか…と俺は心の中で小さく溜息をつき深雪へと返答する。

 

「そりゃあまぁ。せっかくここ何日か面倒事に巻き込まれてなかったのにこいつらのせいでそれが台無しになったからな。それに…あいつらはほのかと雫に手を出した。俺にとってそれは到底許せることじゃない」

 

俺はあふれだしそうになる怒りを鎮めながら深雪にそう告げる。

はっきり言って今回の件に関しては前半つげた面倒事がどうのこうのなんてあまり考えてはいない。後半告げた内容が俺を怒らせた主な原因だ。

 

「確かにそうかもしれません。でも……それでも私は殺す必要はないと思います。それに…私は零夜君に人を殺してほしくありません」

 

深雪はまるで達也へと告げるような口調で俺へと告げる。

昔からこんなときは決まってこうなるんだよなぁと心の中で苦笑いしつつ俺は深雪へと告げる。

 

「……はぁ。分かったよ。俺の魔法を使えば一瞬で片づけられたのに。でもまぁ深雪がわざわざ面倒くさいことを引き受けてくれるなら、俺がわざわざ手を出すまでもないな」

 

俺はそう告げ歩き出す。

 

「どこへ?」

 

「どこへって帰るんだよ。後のことは任せていいんだろ?俺八雲さんの番号知らないし。これ以上面倒事はごめんだ」

 

俺はそう告げると今度こそ帰路へついた。

その最中深雪が「ありがとうございます」と言ったことは俺の耳に強く印象に残った。

 

 

 

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