戦国自衛隊 in wonderful world 作:名無し様
異世界 漂流 21日目
街の街道を、90式戦車がゆっくりと動いている。街の街道は結構狭く、戦車でなんとかギリギリ通れるぐらいだった。
それでも、街道沿いにある家を少し削りながら、戦車は強引に前進した。その後ろには89式戦闘装甲車がいて、更に後ろに96式装輪装甲車と73式中型トラックが二台、列を作っている。
車両が通過すると、その振動で家屋の中にある物が落ちて、住人達が何事かと外を見ると住人達は車両を物珍しく見ている。
『コブラ、先行します。』
「了解。だが、交戦はまだするな。」
『了解。』
上空を、AH-1S コブラが独特の音を出しながら、車両を通り越して飛行する。
住人達は、空を飛んでいるコブラを指差し何かをしゃべっている。しかし、それはコブラのローターの音でかき消された。
すると、街の正門が見えてきた。そこには、冒険者達が何かと、対峙している。それは、魔王の幹部であり、つい先日この街にやってきたデュラハンだった。
先に来ていた冒険者達の顔色が悪いのはデュラハンの後ろに多くのモンスターを率いている。
朽ちて、ボロボロになった鎧を身にまとった騎士逹、アンデットナイトは鎧や兜の隙間から腐った体が見え隠れしている。
あの襲撃で、隊員達を殺したのと同じ奴ららしい。
すると、後ろの方にいた冒険者達が的場達に気がつき、道を開けた。それと同時にコブラが空から飛来した。
デュラハンは、恐らく初めて見るであろうヘリを眺めていた。
ヘリに気をとられている内に各車両がデュラハン達を囲むように、半円に並んだ。
「総員、下車。」
その言葉と共に、トラックと装甲車に乗っていた隊員達が自分の小銃を持ち、外に駆け出した。
隊員達は車両や装甲車を盾にしたり、地面に転がり89式小銃や5.56mm機関銃MINIMIを構えて照準をデュラハン達に合わせた。
90式戦車や89式戦闘装甲車、96式装輪装甲車、AH-1Sコブラはそれぞれの火器をデュラハンに向ける。
「………っ!」
デュラハンは、その光景に震えていた。それは、恐怖なんかじゃなくやっと自分と真面目に戦ってくれる相手が現れたと歓喜して震えていたとは、的場達は知るよしもない。
格好や行動は、見た事はなく地面に伏せたりして何かを構えている。
「確か………、デュラハンと言ったか………。」
的場は、静かにただしはっきりとしゃべりだした。
「あぁ、そうだ。俺はデュラハンの「それは、どうでもいいっ!」…っ!」
怒鳴り、デュラハンの会話を遮る。それを見ていた冒険者達は息を飲む。デュラハンは少しまともな奴だと思ったら会話が遮られて少し落ち込んでいる。
「お前が連れてきたそのアンデット達はつい先日、この街の郊外で現れた奴らと、同じ奴らか………?」
「あぁ、そうだ。あれ程のアンデットナイト達を倒すぐらいならお前達は、相当やるらしな………。まぁいい、直に貴様らも一緒に殺してやる。」
ベルディアはあちこちから黒い煙を吹きながらも、ゆらりと右手を掲げ、振り下ろした。
「街の連中を、………………皆殺しにせよ!」
それと同時にアンデットナイト達が的場達めがけて突っ込む。すると、的場は口元の無線に向かって号令をかけた。
「総員、構え…………撃てっ!」
その号令に、弾かれるように隊員達がそれぞれの小銃や機関銃をアンデットナイトに向けて撃つ。
920m/秒で発射された5.56mm普通弾はアンデットナイトの鎧に着弾して貫通する。それが一分間に七百発近いペースであちこちから飛来する。
アンデットナイト達も負けてはおらず、仲間が倒れるとその死体を盾として使い、接近をはかろうとする。
しかし、そうは行かない。隊員達が発射している5.56mm普通弾より強力な12.7×99mmNATO弾(普通弾)を車上に設置してある12.7mm重機関銃M2から撃つ。
5.56mmとは全く違う空気を叩く音が響く。その弾丸は、5.56mm普通弾の約2倍の破壊力があり、アンデットナイトの死体ごと文字通り消し飛ばした。
負けじと、アンデットナイトも突き進み接近する。しかし、後一息の場所で最後の一体が上半身を失い、倒れた。
「ひょええ。」
「何なんだ今のは………。」
「魔法……ではないな……。」
「一体、……何なのだ…………。」
後ろで眺めていた、冒険者達やデュラハンですら今起こった事が解らなかった。
そんな反応をよそに、的場はデュラハンの方を向く。デュラハンの手前には、アンデットナイトの死体が転がっている。
デュラハンにも、小銃の弾が数発は当たったはずなのだが………。と、考える。それから、考えるとあのデュラハンはアンデットナイトよりもかなり強固であることがわかる。
「与田、…………撃て………。」
的場は、自分のすぐ後ろにいる90式戦車に乗っている与田二尉に命令した。
『それでは、的場さんの耳が!』
「撃てえええぇぇぇぇ!!」
喉が張り裂けないかと、心配になるほどの怒号が的場の口から響く。次の瞬間、衝撃、轟音が同時に鳴る。
90式戦車の44口径120mm滑空砲から、120mm TKG JM33装弾筒付翼安定徹甲弾がデュラハンめがけて飛来する。
それは、1500m/sをゆうに超える速度で発射され、さらに、コンピューターを導入して射撃管制装置などで寸分狂わず、デュラハンの頭どこ、貫通してすぐ後ろに着弾した。
90式戦車の砲撃で土が舞い上がり、パラパラと降ってきている。冒険者達の中には、砲撃で耳をやられたか耳を押さえている者がいる。
そんなことを知りもせず、黒煙が上がる空を眺めて的場はまるで世界そのものに語りかけるように喋った。
「世界、そして異世界の者共よ、これが我が意の声としれ……。」
その言葉は、不思議と冒険者達にも聞こえた。