Fate/Grand Order その後の日常   作:文房具

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遅くなってすみません。

グダグダだなぁ。

短編集のはずなのに続き物になってしまっている。どうしようか。


家でのふれあい

明日から頑張ろう―――と言ってしまったものの今日はまだ半日残っている。ふらふらしていたマシュのこともあるし。今日をスキップしてしまうわけにはいかない。

 

で、マシュが見当たらない。家には入ってきたから、部屋に戻ったのかな? まず水を飲んだほうがいいと思うんだけど。

 

や、でも、ワープ装置の部屋の目の前には僕がいるわけだし、部屋に帰ったって線はないか。

 

ちなみに、今僕がいる部屋、つまり僕と両親がもともと住んでいた部屋には僕のほかに金時さん、アストルフォさん、小太郎さんが住んでいる。男子のみだ。

 

ワープ装置があるから部屋が全部つながっている状態なので部屋割りとか関係ないと思うかもしれないけれど、一応男子のみだ。2回言ったぞ、僕は。

 

このワープ装置があれば、こっちに住む必要がないんじゃね? 毎朝、カルデアからこっちに来ればいいんじゃないの? と思っていたのだが、カルデアでサーヴァントに与えられていた部屋は本来カルデア職員のものらしく、職員が復活した今、全員に割り振る余裕はないのだそうだ。

 

よって、少し費用はかさむがいくつか部屋を借りるこの方式になったということだ。

 

話はそれてしまったが、マシュが部屋に帰っていないのは確定だ。となると……

 

僕は玄関とリビングの間にある扉の前に立ち、耳を澄ませた。

 

中から水の音が聞こえてくる。うむ、マシュはまずはシャワーを浴びに行ったんだな。水を飲むのもいいけど、体を冷ますのもいいな。

 

横からの衝撃で床に押し倒される。柔らかく、あったかいモノと床に圧迫される。くっつかれるのは正直かなり暑い。冷房のせいで余計にそう感じるのかもしれないけど。というか、背中に回された腕がどんどん強く締まっていく。僕を圧死させるつもりか。

 

「ああ! ああ! おかえりなさい、翔! まぁまぁ、こんなに汗をかいて、しょうがないですね」

 

必死に腕をタップするが、聞く耳を持ってくれない。

 

買い物から帰ってきた頼光さんだ。いつもの過保護っぷりが120パーセント増しになっている。

 

半分意識が持っていかれそうになったところで、拘束が緩んだ。どうやら、懐からハンカチを出すために、少し体を浮かせたようだ。

 

その好きに僕は蛇のように体をくねらせて脱出を試みる。

 

「こら、いけません、翔。汗はすぐに拭かなくては、風邪をひてしまいますよ。母が吹いてあげますから、じっとしなさい」

「い、いや、今ちょうどシャワーを浴びようと思ってたんだよね……!」

「……シャワー、ですか?」

 

今すぐというのは無理だけどね。マシュが浴びてるし……あ、マシュが浴びてるんだった!

 

「だれか入っているようですが?」

「マ、マシュだよ! 汗もかいたし順番に浴びようってね! レディーファーストでマシュに順番譲ったんだよ! それよりも、準備はもういいの!? みんなすぐに来るんじゃない!?」

「そうですか……そうですね。それでは、着替えだけでも持ってきますね」

「ああ……はい……」

 

着替えも自分で用意したかったんだけど。そこまで口にすると、『そんな……ッ! 母が必要ない、というのですか……ッ!』になるからな。妥協も大事だ。

 

「おい! どうした、大将!」

 

そこで、金時さんが倒れた音を聞きつけたのか顔を出し、そのままひっこめた。

 

もちろん、あれだけ大きな声を出して気づかれないわけがない。グルンと首を話増し、金時さんをロックオンした頼光さんは、買い物袋を回収にリビングに突撃していくのだった。

 

あーあ、金時さんも大変だな。ここから聞こえるに、頼光さん、ゲーム嫌いみたいだ。それも、ゲームのせいで、息子がかまってくれないからっぽいな。

 

ゲーム、壊されないようにしないと。

 

そんな頼光さんと金時山の格闘音に交じって、ワープ装置によって転移してきたときの独特の音が聞こえた。

 

だんだん、みんなが集まってくるな。

 

今日から始まるあるイベントのために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マシュと入れ替わりでシャワーを浴びて戻ってくると、部屋が狭く感じられるくらい人が集まっていた。もうイベントは始まったみたいだ。

 

「ひどい目ににあったぜ」

 

そんな中、一人ソファーに座ってピコピコしている金時さんと小太郎さん。

 

僕も座ってコントローラーを手にする。

 

「次のステージから混ぜて」

「もちろんです」

「ああ、助かるぜ、大将」

 

このゲーム最大4人で協力、対戦プレイができる。今は、金時山と小太郎さんが協力プレイをしてるみたいだ。

 

ジャンルは、ロボットアクション。骨組みだけの機体に自分好みのパーツや装甲、武器をくっつけて敵と戦うというものだ。

 

というか、ゲームの音が聞こえない。後ろの人たちの声が大きいからか、それとも音源が多いせいか。

 

後ろでやっているのは言ってしまえばただの料理教室だ。会場はここと、もう1カ所。頼光さんとエミヤさんが監督になっている。

 

これも、サーヴァントの希望からのものだ。誰が言ったかはわからないが、いつの間にかここまで大きなものになっていた。

 

「ああ!」

「不覚……っ!」

「ん?」

 

隣でプレイしていた2人が悔しそうな声を上げた。敵のボスにやられ、ゲームオーバーになってしまったようだ。

 

それにしても、金時山の落ち込み具合が半端ない。どうしたんだろうか。

 

「このステージ。さっき何とかクリアしたってのに……電源消されちまってなぁ」

「うわぁ……」

 

頼光さん……この様子を見るに、セーブしてなかったんだな。悲惨だよ。

 

「しかし手強いですね。主殿、あのレーザー、どうやって避ければいいのでしょうか?」

「ん? ああ、あれって、敵に密着すれば当たらないよ」

「大将! ネタバレ!」

「ごめん、ごめん。ま、それがなくても勝てるよ。任せなさい。今日は……これかな」

 

いくつか保存しておいた機体から気分で選ぶ。

 

ステージが始まった。僕たちが使っている機体の特徴をざっというと、金時さんが、がちがちの近接型彼の性格を如実に表してくれている。小太郎さんは少しスピードに振っているもののバランスのとれた万能型。僕は……

 

「火力は正義だ」

 

開始直後、僕に割り振られていた画面が一色になった。

 

見る見るうちに敵が溶けていき、たった一撃で1エリアの制圧が完了した。

 

2人とも唖然としている。

 

「ス、スゲーじゃねえかよ、大将!」

「さすがですね、主殿!」

「ふふん、まあね」

 

この機体の武器、装備スロットを全部使う上に1回撃つと1分撃てないっていうネタ武器なんだけど。こんなの縛りプレイじゃないなら、複数人プレイでしか使えないロマン機体だからね。

 

その代わりボスもほとんど一撃で倒せる。優秀なサポートがあれば強力な砲台になる。

 

金時さんと小太郎さんのコントローラー捌きがいいこともあって、僕たちは順調に白星を重ねていく。

 

そんな時、僕に何かが覆いかぶさってきた。

 

「あ!」

 

そのせいで変なところに向かってビームを撃ってしまう。

 

「マスター、これ作ってみたんだけど、どうかな!?」

 

僕が何か言う前に何かが口に突っ込まれる。突っ込んできたのはアストルフォだ。

 

僕は手を止めずに口を動かす。なんだこれ。肉? 肉だな。

 

飲み込んで一言。

 

「味、ついてないんだけど?」

「おい、大将!! よそ見すると……ッ!」

 

僕の機体が撃破されてしまった。

 

「あーあ、やられちゃった」

 

元凶は暢気につぶやいて行ってしまった。アストルフォも料理教室参加してたのか。

 

「主殿……」

「もう1回、行くか……」

 

ちなみに、夕飯は第1改良理容室で作られた料理が並んだのだが、なぜか記憶が途切れていた。結構な数のサーヴァントに自分の料理を勧められたから、誰かのが当たったのかな。それこそ、漫画で出てくるような劇物のような料理に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなも自分の部屋に戻り、食事の片付けも終了。僕は1人、リビングでソファーに座り、くつろいでいた。というか、休んでいた。意識を取り戻した、でもOK。

 

「あれ? マスター?」

 

後ろからの声の主はアストルフォだ。普段結んでいる髪はほどいてあり、首にはタオルがかかっている。お風呂上がりのようだ。

 

「お風呂上りか」

「うん、まあね。一緒に入りたかった?」

「……いや、狭いから」

 

広い温泉とかならともかく、家のお風呂で男と入る趣味はない。

 

アストルフォは見た目だけで言えば文句なしの美少女だ。事実、僕とマシュは召喚されたときは女の子だと思ったからね。

 

それにカルデアの大浴場で一緒に入ったことはあるし。そのときの、なんというか、アンバランスさ? に色々と砕かれたよ。

 

学校にはもちろん男として届けている。そうしないと何かしらのイベントの時に面倒なことになってしまいかねないからな。

 

「よっと」

 

アストルフォは僕にくっつくくらい近くに腰掛ける。

 

カチ、カチ、カチ。

 

僕たち2人は互いに無言。時計の音だけが下手に響く。

 

「そうそう、学校ではマスターはやめてくれよ。呼ぶときは名前な」

「あー……うん、わかったよ。というか、わかってる。そんなことよりもさ!」

 

あなた、理性蒸発してるからわかっても意味ない気もするけどね。そのときはその時で考えるとして、今はアストルフォの話を聞くことにしよう。

 

「お風呂上がりの乙女がこんなに近くにいるのにマスターは何もないのかなぁ。ドキドキしたり、髪の匂いをかいだり、頭撫でたりさ!」

 

乙、女……? 何言ってんだお前男だろ?

 

「あ! その目! 何言ってんだお前男だろって目だ! いけないよ、そういう性差別! 男か女かなんて些細な問題でしょ? 大事なのは本人がどう思ってるかだよね!」

 

性差別の使い方が間違ってると思う。本人がどう思ってるのかが大事というのには賛成できるけど。

 

「で、アストルフォは自分が乙女だと?」

「そう! 身も心も乙女だよ! って、そんな顔するな! このっ、このっ」

「痛い、痛いって!」

 

アストルフォは僕の頬を引っ張ってくる。僕は何とか引きはがそうとするが、びくともしない。サーヴァントとしての握力を使ってるな。うまい力加減で使ってる、ダメだなこれは。

 

「もー、マスターはボクのこと軽く見すぎじゃない?」

 

気のすむまで引っ張らせていた結果、頬がヒリヒリするくらい引っ張られてしまった。

 

「いや、そんなことないと思うけど……」

 

単に男の娘だってことを弄ってるだけで。

 

「だってマスター。ボクのことあんまり戦わせてくれなかったじゃん」

「それは……」

 

言葉を詰まらせる。

 

「あはは、わかってるよ。ボクは弱い英霊だからね。世界が大変な時にわざわざ僕を使ってる余裕なんてないもん。イジワルなこと言っちゃった」

 

カルデアではたくさんのサーヴァントを召喚しているが、一部のサーヴァントを優遇してしまうと不満が出る。令呪があってもその気になれば僕なんて簡単に殺されてしまう。

 

しかし、時間に余裕があったわけではない。特異点や時々見つかる歪みの修復、サーヴァントの霊基を強化するための種火の採集等々。強いサーヴァントを優先的に戦闘に連れて行かざるを得ないこともあり、それはつまり、そういうことだ。

 

もちろんコミュニケーションは平等にとっていたつもりだった。でもそれは、ご機嫌取り、と言ってしまうと聞こえが悪いが事実その通りだった。

 

「別に気にしてないよ? ボクは乙女だし。剣を執って敵と戦うのは勇敢な勇者の仕事だもんね。あ、ボクも勇敢だよ? 見せる機会がなかっただけで」

「す、すみません」

 

今日のアストルフォは僕の心をえぐってくる。悪かったって。謝るから本当にやめてほしい。

 

「もー、そんなつもりじゃないんだけどな。ただ思ったことを言ってるだけで」

 

それで、僕の心がえぐられてるのか。なんて切れ味だ。

 

「楽しかったよ。カルデアでの生活は。ただみんなとおしゃべりしてるだけだったのに。こういう生活もあるんだなって思った。受肉したのは驚いたけど、これから、もっともっと楽しくなるもんね! 全部、ボクを呼んでくれたマスターのおかげだよ」

 

僕が何も言えないでいると、

 

「改めて、これからよろしくね、翔君!!」

 

そう笑ってアストルフォは部屋へと戻っていってしまった。

 

あいつ、バーサーカーじゃないの? 僕の話、全く聞かないで行っちゃたんだけど。

 

「……」

 

僕もそろそろ寝ようと、腰を上げた。

 

今度こそ、明日から頑張ろう、だな。

 




・アストルフォ

性格がいまいちわからない。イベに出なさ過ぎて困る。割と好きなキャラなのに。




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