「明日修行するからついて来てくれるかしら?」
「は?」
ライザーが帰り、俺も帰ろうとした瞬間、リアス先輩は俺に修行するから着いてこいと言ってきた。
なんで俺も行かないとダメなんだよ。
修行とかそっちで勝手にやってろや。
「断る」
「あら、いいのかしら?貴方レーティングゲームに参加出来なくなるわよ?」
「そもそもレーティングゲームってなんだよ?」
「・・・悪魔は知ってるのにこういうことは知らないのね・・・」
知らないものは知らないから。
「レーティングゲームっていうのは「王」と下僕をチェスの駒として、対戦相手の駒と戦うゲームね。簡単に言うならなんでも有りのリアルチェスってとこかしら」
「チェスってことは将棋みてぇに限られたところしか動けないとかそういうルールはないのか?」
「そういうルールもあるかもしれないけど、今回はないわ。なんでも有りよ。チェスっていうよりも戦場ね」
「へぇー」
何それ超楽しそうじゃん!
十日後が楽しみだぜ!
「それでなんで俺が修行に参加しねぇといけねぇんだ?」
「それは少しでもライザーに勝つ確率を上げるためよ。と言っても本音は貴方の実力を知りたいだけなのだけれど」
実力ねぇ?
「それでも断ったら?」
「別に断ってもいいわよ。ただゲームには参加させないだけだし」
修行に参加しないとゲームとやらには参加できないのか・・・
めんどくせえな。
でも仕方ないか・・・
「・・・分かったよ。行けばいいんだろ、行けば」
こうして俺は修行に参加することになってしまった。
#
「ヒィ、ヒィ、ヒィ」
俺たちは今山にいる。
そして着いた瞬間にいきなり大量の荷物を持たされた。
これイジメじゃね?
もう嫌がらせの域超えてね?
そう最初は思ったのだがこの荷物、案外楽に持てる。
多分死ぬ前ならこの荷物に埋れて動けなかっただろう。
やはり、力が上昇しているようだ。
で、隣でヒィヒィ言ってるのは、俺と同じくらいの荷物を持っている兵藤だ。
「ハァ、ハァ、なんで黒峰はこの荷物を平然と持てるんだよ」
「知るかよ」
ちなみに斬魄刀もちゃんと持ってきた。
その時黒歌に「ちょくら修行してくる」と言ったらすごい驚いてた。
それからちゃんと事情を説明すると黒歌は、
「家でカオルを待っててあげるニャン」
と言われた。
なんか単身赴任する夫みたいな気分だった。
別に悪い気はしない。
行く時に「行ってらっしゃい」と黒歌が言ってくれた時、家族が居るとこんな感じなのかなぁ、と思った。
「・・・お前、もう人間じゃないだろ・・・」
「・・・かもな」
そんなことを話しながら山の中を進んで行った。
#
進んだ先に一軒の木造のログハウスが立っていた。
この木造の別荘はグレモリー家の所有物らしい。
さずかここを管理してる悪魔ですわ。
俺と兵藤が入ってから少し休憩すると、女性陣達は動きやすい格好になってくると部屋から出て行った。
「さて、僕は着替えてくるよ」
そして、木場も立ち上がった。
木場はジャージを持って浴室に入る。
「覗かないでね」
「マジで殴るぞ!!この野郎!」
「殺してやろうか!?」
は!?条件反射で言ってしまった。
・・・木場恐るべし。
#
まず俺たちは木場と訓練することになった。
「________はっ」
「おりゃ!おりゃぁぁ!」
兵藤は木刀を振り回す。
その攻撃は全く力が伝わっておらず、こちらから見ても一撃が軽く見える。
木場は軽やかに兵藤の攻撃をいなす。
そして木場は兵藤の木刀を叩き落とした。
「そうじゃないよ。もっと視野を広くして相手の視線とかもちゃんと見るつもりでやらないと」
えーそうなのかー。
普通に知らなかったよ。
「次は俺の番か」
やっと俺の番か。
楽しみだなぁ。
「さてやろうか」
俺は木刀を持つ。
兵藤は俺と木場の試合を観るために横にチョンと座っていた。
その横にリアス先輩が座る。
「見ておきなさい。イッセー、これが格上の闘いよ」
あんまり見られながら闘うのは嫌なんだが仕方ないか・・・
「いつでもいいぜ」
「なら行かせてもらうよ!」
木場は兵藤とやっていた時よりも何倍も早く俺に突っ込んでくる。
そして俺に突きを放った。
「ぐッ!?」
俺は木場のことをどうやら甘く見ていたらしい。
そのせいで、突きにまともに反応出来ずに倒れこむ。
しかし、俺は倒れみながら木刀を無理やり木場になぎ放った。
「________な!?」
どうやらあの体制から攻撃が来るとは思わなかったようで木場は驚きの声をあげる。
でもそれだけですぐに木刀で防がれてしまった。
そして俺も左手を着き、着地を成功させた。
「・・・驚いたよ。一撃で決めるはずが反撃まで返ってくるなんてね・・・」
この時、木場は戦慄していた。
本気で放った突き。
それも不意打ちに近い一撃を躱されて、しかも反撃が返ってきたのだ。
それもあの無理な体制からの一撃。
普通なら力が入らずに軽い一撃になってしまう。
しかし黒峰の放った一撃は防いだコッチの手が痺れてしまうほど重かったのである。
(・・・あれをまともに喰らったらヤバイね)
恐怖を覚えずにはいられない。
木場は再度黒峰の認識を改めた。
「俺も驚いたぜ。強いな木場先輩は」
「僕のことは木場でいいよ」
「そうかよ。行くぜ木場!!」
黒峰は真っ直ぐにこっちに向かってきた。
木場も冷静に木刀を構える。
(どうやらスピードは僕の方が上みたいだね)
やはりスピードは騎士の駒を持つ木場の方が速かった。
しかしあっちには力の差は歴然だった。
黒峰の攻撃は一言で言うなら「嵐」だった。
息を付く余裕さえ与えない連撃の嵐。
しかしまだ太刀筋は荒かった。
そして木場はギリギリで木刀を躱しながら隙をつく。
完璧な一撃。
普通なら身体が反応せずに喰らうしかない一撃。
それでもやはり黒峰は超人的な反射で躱した。
(このまま相手に攻撃の暇を与えない!!)
木場はスピード重視にして黒峰の攻撃よりも素早い攻撃を繰り出す。
それでも何回やっても何回やっても攻撃は当たらない。
それどころかたまに反撃さえ返ってくる。
そして木場は時よりワザと隙を作ってやる。
本当に僅かな隙。
もはや隙とは呼べないくらいの隙。
それでも黒峰なら攻撃してくるだろう。
そう思っていたのだが黒峰はヘェイントに全く反応しない。
初めはたまたまかと思ったが、絶対に違う。
(本当に彼は人間かい?)
そう思わずにはいられなかった。
そう思っていると黒峰はいきなり距離をとった。
「マジで強えな」
黒峰も木場の強さに舌を巻いていた。
(マズイな、このままじゃ決定打にかけるな)
「黒峰君も強いじゃないか」
「そうか・・・よ!!」
俺は一気に駆け出す。
そしてイメージする。
自分の攻撃が洗練されて行くイメージを。
そして攻守交代でまたこっちが一方的に攻める。
それでもやはりスピードはあっちの方が早いので全て躱されてしまう。
チラリと木場の顔を見る。
木場の目にはギラギラと内なる炎を燃やしているのを感じ取る。
「オラァア!」
思いっきり横薙ぎに払う。
そしてその一撃で俺の懐に木場が入り込む。
俺は思いっきり後ろに飛ぶ。
木刀は俺の顔ギリギリを駆け抜けた。
(あっぶねぇ)
黒峰はそのとき冷や汗が止まらなかった。
それでもなんだろうか?
嫌な感じは一切しない。
それどころか興奮している。
まるで自分は闘いのために生きているとでも言われているような気さえした。
木場が時より見せる確かな隙。
それを攻撃したい衝動を直感で抑えつける。
こんなことでさえ愛おしく感じる。
チラリと木場を見る。
木場の目にはギラギラと内なる炎を燃やしているのが分かる。
「楽しいなぁ!!木場!!」
「確かにその通りだね!!」
この時木場もこの闘いを全力で楽しんでいた。
黒峰はドンドンこっちのスピードについていくようになってきていた。
しかも一撃一撃の鋭さも増してきている。
恐ろしい成長速度だと思う。
それでも・・・
(絶対に負けたくない!)
木場は感じていた。
自分以外のものがドンドン遅くなっていくのを。
そしてその中で動いているのは自分と、黒峰だけ。
チラリと視線が合ったような気がした。
黒峰は笑っていた。
きっと僕も笑っているのだろう。
そしてお互いに笑いながら木刀をぶつけ合った。
#
結局、木場との試合は引き分けで終わった。
というか俺の木刀が折れた。
正直、あれだけやって、あんだけもった木刀を褒めたい。
「またやろうぜ」
「よろしく頼むよ」
そう言って木場と握手する。
今、最高に青春って感じする!
ある意味修行に付いてきて正解だったな。
さて、次の修行するか!!
#
俺は魔法が使えないらしい。
姫島先輩曰くそうらしい。
魔法と聞いてワクワクしながらきたのに非常に残念だ。
魔法と言ったら人類の夢だと言っても過言では無いとおもうんだ。
兵藤は姫島先輩のところで修行し、俺はその間、塔城小猫こと子猫と修行することになった。
そして今俺たちは組み手しいる最中だ。
小猫が俺に何度もパンチを放つのを全て避ける。
「ハッ!」
「おっとっと」
「・・・ちょこまかとしつこいです」
ちょこまかってただ避けてるだけじゃん・・・
「しゃぁーねぇなぁ!」
俺は小猫のパンチにパンチをぶつける。
そして小猫の胆力に驚く。
「そのちっせぇ体のどこにそんな力があるんだ?」
そう言った途端小猫の周りの温度が急激に下がった。
・・・どうやら地雷を踏んでしまったらしい。
「・・・死んで謝ってください」
そう言って右ストレートを放つ。
その一撃には何故か嫌なくらい殺気がこもっていた。
「・・いや、マジで済まん」
「・・・本当に済まないと思ってるんなら動かないでください」
そう行って小猫は全力で拳を放ってくる。
そのとき頭の中で「死」の文字が踊る。
「グハッ!?」
なんか知らないけど避けれなかったよ・・・
そして俺は気を失ったのだった。
イッセーサイド
「さて、イッセー。今日一日修行してみてどうだったかしら?」
部長が俺にお茶を飲みながら尋ねる。
「…俺が一番弱かったです」
「そうね。それは確実ね」
そう、俺は一番弱かった。
初めは人間の黒峰よりはマシだろうと思った。
しかし現実は違っていた。
「正直私も黒峰君があそこまで強いと思っていなかったわ。それこそ今のイッセーより少し強いくらいだと思っていたもの」
リアスも黒峰の実力に驚愕していた。
リアスは思い出す。木場と互角以上に戦っていた黒峰を。
「それでも焦る必要はないわ。着実に実力をつけましょう。イッセーには才能があるんだから」
「はい!!」
「ふふ、いい返事よ」
イッセーを部屋に戻し、考える。
黒峰はどうしてあの力を手に入れたのだろうか?
一体どんな生活を送ってきたのだろうか?
「やっぱり悪魔に誘っておけば良かったかしら?」
彼が悪魔になるとは思えないが、それでも誘っておけば良かったなと考えてしまう。
それでも・・・
(・・・彼は殺すことに抵抗がなさ過ぎる)
あの日を思い出す。
レイナーレを躊躇なく殺した彼を。
「・・・はぁ」
夜はいつまでも続くような気がした。
主人公は戦闘中に覚醒して行くパターンです。
でもまだ弱いです。