桐原静矢になったけどとりあえず最強目指す 作:田中
ただ課金するためにバイトに命懸けてました。
9万でアストルフォ1とか絶望。天草四郎3もいらんわ。アストルフォと交換しておくれ。
ーーー夢を見た。
木々に囲まれた場所で剣を振る少年。それが俺であるとすぐわかった。
木の陰には少女もいた。それが珠雫であることもすぐわかった。
これは5年前の記憶だ。珠雫と久し振りに会ったからこのような夢を見たのだろうか。
これは黒鉄厳によって珠雫が許嫁となってから1ヶ月くらいのことだ。まだ黒鉄家で剣を教わっている頃である。
「そこで見てる暇あるなら剣の1つでも振ったら?」と少年は言った。それに対して少女はバレていたことに驚き、一度隠れる。その行動にため息を吐き、再び剣を振る少年。それを静かに見る少女。黒鉄家ではこのような日々を過ごしていた。
「なぜ、そこまで強くなろうとするのですか?」
この日はいつもと違い、少女は今まで聞けなかったことをつい口に出した。なぜそんなことを聞いたのかと後悔している様子だ。
「最強になるため」
少年は迷い無くそう言った。少年を見る少女はその目を見て思う。この人は本気で言っていると。見ている場所、目指す場所が違うと。
「そう言う許嫁さんはなぜ強くなろうとしてるんだい?」
少年の問いに少女は答えられなかった。ただ言えたのは「私の名前は珠雫です」という名前の主張のみ。自分の兄なら『父に認められるため』と答えられただろう。だが少女には目的がない。ただ父に言われるがまま強くなろうとする。『父に言われたから』とは答えられない。
「人形のようだ」
少女は少年の心の内を見透かしたような言葉にピクリと反応する。図星である。
「あなたに……何がわかるんですか………」
少女は何のしがらみもなさそうな少年に怒りが湧いた。自分が怒られるような真似をしても怒られず特別扱いをされる。そんな中で生活すれば嫌でもこうなる。
「わからない。でも、知ることはできる。僕は珠雫の許嫁だから。そういうものは知っていかなきゃならない。苦しみは半分、楽しさは二倍。昔の人は良いことを言う」
まさか分かち合おうとするとは思わず、少女は一歩引く。少女は少年のことを心底バカであると思った。父の計画で勝手に許嫁とされたのに、相手を気遣う必要などどこにあるのだろうか。普通は気遣うことはない。だが少年は少女を尊重しようとしている。
「貴方はバカです」
「座学は未だに満点しか取ってないけど……」
「頭脳では無く、人間的な意味でバカと言っているのです。なぜ勝手に作られた許嫁を気遣うのですか。普通は放っておくものです」
「僕は普通じゃ無く天才だから」
「そういうところがバカなんです」
「ぐぬぬ…」
バカバカ言われることに少年は悔しそうにする。見た目は少年でも中身は憑依した青年。少女にバカバカ言われて悔しいのは当たり前である。
「ですが、貴方の……静矢さんと話したおかげか私も1つ目標ができました」
「ほう、どんな目標かな?」
「静矢さんに言う必要はありません」
「そうか。なら聞かないでおくよ。ただ、強くなるなら僕の相手をしてくれないか?」
少年は少女の心の内を見透かしたように頼んだ。少女はその頼みに、少し間を空け微笑む。
「はい。お願いします」
少年は少女の笑顔を初めて見た。その瞬間、少年は許嫁というのもありだなと、密かに思った。
ーーーーーーーーーーーー
「懐かしい夢だなー」
目が覚めればそんな言葉しか出てこなかった。確かあれから長い期間珠雫と特訓して実家に戻ったんだよなー。その間に何度か戦って思ったのは『水の無い場所でこれほどの水遁を』ということが強かった。ちなみに卑劣様は結構好きだった。
負けたことは一度もない。珠雫との特訓がなければ水を斬るという芸当ができるようにはならなかっただろう。
「着信28件………」
携帯を見ればそう書かれていた。中身を見れば珠雫から5件。友人から3件。理事長から20件………。ヒエッ怖い!最後のメールなんて空メールだし、途中で『無視するな』とかあるし、理事長怖い。
珠雫は『珠雫です。これからも宜しくお願いします』というのが1件目、其処から『今から行きます』となり、『部屋の前にいますが、起きてますか?』→『寝ているようなので帰ります』→『おやすみなさい』という綺麗なメールである。理事長のような汚いメールは送ってこない。流石である。
珠雫には『申し訳ない。寝ていた。本当に申し訳ない』と返信し、理事長は無視することにした。友人もクラスで言えば良いので放置。
今日は早く起きれなかったためランニングができない。久し振りの二度寝を堪能することにした。
起きた後、学校へ向かえば理事長が待ち構えていた。逃げようとすれば回り込まれ、ヘッドロックをされた。痛いのでやめていただきたい。
「で、言い訳は?」
「正直寝てました。朝返信するのも面倒だったので仕方ないです」
「ふむ、私も大人だ。その事はもう良い。メールには目を通したか?」
「空メールと無視するなってやつだけしか見てないです。それ以外は見ずに削除しちゃいました」
「………仕方ない。放課後部屋に来い。そこで話をする」
「また仕事ですか?」
「それは来ればわかることだ」
うわ…次はどんな仕事だろうか。ま、なんやかんやで充実した日々を送ることができてるから文句は言えない。
「おはようございます。静矢さん」
背後から声がかかった。声に気づいて振り返れば珠雫と横にキャラの濃そうなオカマが立っていた。オカマの名前は忘れたが心は乙女と言っていたのを覚えている。
「おはよう珠雫」
「なんだ。黒鉄妹と知り合いだったのか。とにかく、放課後に来てくれればいい。私は行く」
そう言って理事長は去っていく。今、俺はそっちに気を向ける余裕はない。オカマが性的な目で見てくるのだ。怖い。怖すぎる。
「あなたが桐原静矢先輩……聞いていたよりもイイ男ね」
サッと血の気が引き、鳥肌が立った。これは想像以上にきつい。そんな目で俺を見ないでくれ。あと珠雫、オカマにそんな殺意の宿った視線で見ないでやってくれ。さすがに殺人はいけない。
「大丈夫よ珠雫。私は狙ったりしないから」
「いや、そもそもおかしいのは男が男を見る目じゃないところだよ。で、君は?」
思わず声が出てしまった。なぜ男に性的な目で見られなくてはならない。俺はノーマルである。男で興奮するなんてありえない。
「あらごめんなさい。私は有栖院凪、アリスって呼んでちょうだい。珠雫のルームメイトをやらせてもらっているわ」
「やっぱオカマの包容力は凄いな。人見知りな珠雫が一夜にして慣れているなんて……」
「あら、抱かれてみる?」
「ノーサンキュー」
オカマ怖いです。今まであまり登録されていなかった怖いものリストにオカマを登録するレベルであの性的な目が怖かった。
「珠雫、一応良いルームメイトでよかったね」
「はい」
珠雫は良い笑顔で言ってくれた。教室に着くまで色々話していたがオカマがどんどん苦手になっていく時間であった。
放課後になれば猛ダッシュで理事長室へと駆け込んだ。ただでさえ昨日のことを聞いてくるクラスメイトに邪魔されて休憩が休憩じゃなかったんだ。このままでは理事長室に辿り着くことができない。だから授業が終わるとともに教室を出た。授業が終わってすぐだったため他の生徒はほとんどいない。おかげで足止めされず理事長室に辿り着いた。
ノックをすれば入れと声があった。
「失礼します」
扉を開ければいつものように椅子に座り、碇司令を彷彿させる体制をとっている。きっとエヴァが好きに違いない。
「来たか。思ったより早いな。長話もお互いのためにならないから単刀直入に言う。エキシビションマッチをしてもらいたい」
「エキシビションマッチ?」
「あぁ。七星剣舞祭出場を懸けた選抜戦を行う前に、【七星剣王】の強さを見てもらおうと思ってな。新入生に戦いというものがどういうものか見せるのにちょうどいい」
なるほど。折角【七星剣王】である俺がいるのだから頂点の実力を見せてモチベーションを個々に高めてもらいたいのか。勿論バッチこいである。
「別にその程度なら良いですよ。それで相手は?」
「お前が決めろ。もちろん私でも構わない。選ばれれば拒否権はない」
理事長でもいいとか凄いな。でも理事長に勝っちゃえば生徒から不信感が出るかもしれないからやめておくけどね。そもそもいつまでに決めればいいんだ。もう来週からは選抜戦は始まる。初戦の直前だとしても長くて5日しかない。
「いつまでに決めればいいですか?」
「今、決めてもらいたい。もし生徒が選ばれるなら通知をしなければならないからな」
「そうですか。僕としてはもう決まっていますよ」
心の中では決まってる。ずっと一度戦いたいと思っていた。憑依してからずっと、戦ってみたかったんだ。
「ほう。それ程戦ってみたいやつがいるのか」
当たり前だ。なんのために理事長を貴女にしたと思っている。彼と戦うためにはそれしかないからだ。主人公ってやつとずっと戦ってみたかった。
「黒鉄一輝。彼をエキシビションマッチの相手に指名します」
ようやく11話目。11って2番目に好きな数字です。
あの理事長なら【七星剣王】がいたら迷わずエキシビションマッチしそう。そんなこと思ったから無理やり一輝くんと戦います。
三人称視点の方が書きやすいと感じる。一輝くん戦では三人称視点で書きたいと思います。
就活のセミナー行かないといけないので次回も遅く更新しそうです。
『黒鉄珠雫はヨスガりたい』という小説を書いて消した。