桐原静矢になったけどとりあえず最強目指す 作:田中
前回ドロンすると言いましたが出来ていた話がありましたのでこちらをあげてドロンします。
「ここは……」
一輝が目を開けるとそこはあまり見慣れていない天井。すぐそばのカーテンで病室であることが分かった。そしてどうしてここにいるのかを考え、思い出した。
「そうか…僕は負けたのか………」
負けた。これがもし選抜戦であったならチャンスを逃すことになっていた。エキシビションで良かったと心から思うと同時に勝てない悔しさからか涙が出てきた。
「僕と桐原君にはあそこまで差があったのか」
悔しい。負けたのが悔しい。努力が実らなくて悔しい。差がありすぎて悔しい。勝てるビジョンが思い浮かばないのが悔しい。
思い返せば終始静矢のペースで試合が行われていた。何がいけなかったと言えば沢山ある。その中で最も痛手であったのは初手の不意打ち。【一刀修羅】を使う前に受けた八極拳と呼ばれる中国の拳法を用いた一撃に全てを持って行かれた。その一撃が【鳥籠】への切符。その後の一輝は酷い有様だった。初めから掌の上で転がされていたのだ。
「自覚するとかなりキツイな。でも、次は負けない。負けられない」
圧倒的な実力を見せられても尚、目に闘志が宿る。それは魔導騎士となり、父に認めてもらうためだ。そのための努力は決して惜しまない。
最初に考えたのは最後の一撃。【一刀夜叉】によって強化されていても見えなかったあの一撃がなんだったのかだ。ただ単純に振るのが速すぎて見えなかったという答えはありえる。だが【狩人の森】を使った不可視の斬撃だとすればしっくりくるのだ。それでも剣の速さは一輝より上なのは確かだ。あの時の一輝は観客も一部の実力者しか視認できていなかっただろう。そのような速度で移動している一輝を相手にそれを超える速度で剣を振っているのだ。【狩人の森】を使っていなければギリギリ見えただろうが回避をできたかと問われれば頭を横に振る。あの状態で見えていても回避は難しかった。回避したとしても態勢は崩れ、トドメを刺されていただろう。どちらにせよ積みだったのだ。
次に、【一刀夜叉】を初めから使えていれば勝機はあっただろうかと考え始める。静矢との試合の途中で導き出した新たな力。それが初めから使えたとしたら勝てただろうか。その答えは否。勝てないだろう。左腕を切り落とせたのは虚をつくことができたからだ。初めから使えても虚をつけなく、腕を奪うことができたかすら怪しい。
次に考えるのは次に戦った時の対策だ。打倒桐原静矢をするのにどうすればいいか。
この答えは全く出ない。考えられるすべての剣技を持ってしても勝てるビジョンが全く湧かないのだ。剣だけでもあれだけの腕であるのに本来の武器は弓だ。次に戦えば確実に剣ではなく弓を使うだろう。いや、どちらも使う可能性も高い。考えるだけで頭が痛くなるほどの手数の多さに悩んでしまう。
「起きていたか黒鉄」
一輝が思考に耽っていると部屋に理事長が入ってくる。入ってきてまず足の部分を見、大丈夫そうだと判断したのか安堵の表情を作った。
「はい。おかげさまで足も正常です」
「それは良かった。……ボコボコにやられたな」
「そうですね。僕はどこか剣技であれば桐原君に勝てるかもしれないと思っていたのですが、結果勝てませんでした」
「次は勝てそうか?」
「………次は勝ちます。そうしないと卒業できませんから」
「そう言うと思ったよ。そう言えば知ってるか黒鉄。桐原のやつはずっとお前に期待していたぞ」
「桐原君が?」
疑問符が付くのは仕方のないことだ。今まで接触といえば言うのが嫌そうに嫌味を言ったりすることだけだった。努力してる姿も見られていなかったと思う。それなのになぜ?と疑問に思うのだ。
「そうだ。なぜかは知らないがお前が相当な剣客であることを見抜いていたみたいだぞ」
「対策されてたんですかね……」
「初めの一撃は【一刀修羅】への対策だろうな。最初に使ってくることを読んでいた……いや、最初に使うしか選択がないことを読んでいてのだろう」
「敵わないな。【七星剣王】はそこまで強いのか」
「そうだな。私も今のあいつと絶対に戦いたくないと思う。だが黒鉄はあの試合で何か掴んだんじゃないのか?」
「はい。今までの自分の限界を超えることができました。まだまだ強くなれると感じれました」
「そうか。それなら大丈夫そうだな」
「ありがとうございます。わざわざ話に来てくれて」
「それじゃあ私は行く」
部屋から出て行こうと扉に手をかけた時に少し止まる。
「忘れていた。桐原から伝言だ。『次やるときまでにもっと強くなれ』と言っていた。あいつなりの鼓舞なんだろうな。じゃあな」
そう言って理事長は部屋から去っていく。静矢からの伝言を聞き、一輝は今すぐ修練したい衝動に駆られるが理性でそれを押さえつけ、からだの調子を戻すことを優先させる。その間はずっとイメージトレーニングだ。
一輝が目を覚ました頃、静矢は解説席に座っていた。
エキシビションマッチの後に普通の選抜戦が行われ、その解説役が回ってきたのだ。本来回ってくる事などなかったはずだが西京先生が逃げたこともあり、頼まれたのだ。まだ左腕が完全には付いていないにも関わらずそれを承諾し、今に至った。
現在試合しているのはステラと桃谷という男だ。桃谷の固有霊装は全身を覆う鎧であり、ステラとの相性は悪い。そのこともあり、桃谷は動けない。
『なぜ動かないのでしょうか?』
『ステラさんと桃谷さんの相性は桃谷さんの方が若干不利ですからね。あとは実戦形式という事もあって死ぬ事もある。だから動けないのでしょう。防御力が高い桃谷さんでも炎は防げません。下手に動けば熱が内部に渡り、ファラリスの雄牛を味わう最悪の事態になりますね』
当たり感触なく解説する静矢。その解説にだから桃谷は動けないのかと納得する観客。この場にいる誰もが桃谷の負けだろうと予想した。そしてその結果は
「俺の負けだ……」
桃谷の降参で終わった。
『勝者、ステラ・ヴァーミリオン!』
『桃谷さんには悪いですが流石に勝てませんね。勝ち筋といえば決死の特攻くらいでしょうが、消し炭になるかもしれないですからね。負ける可能性が高かろうとこの試合に出て、勝つ方法を模索した桃谷さんには尊敬しますよ』
降参に対して批判が行かぬようフォローをする静矢。後で自分で言った事を復唱されれば顔を赤くする事は確実だろう。
『次の試合は10分後に黒鉄一輝選手の妹の黒鉄珠雫対3年の垣下選手ですね。西京先生が帰ってこなければ次も解説お願いしてもよろしいでしょうか?』
『はい。もちろんいいですよ。ところでいつマイクオフにするんですか?』
『あ!忘れてました!もうオフになっているとばかり!』
『うん。その声を出す前にマイクオフにしようね』
『すいませ…』
2人のやりとりに会場が和み、実況は顔を赤くする。解説の静矢も苦笑いだ。この後試合が始まるまですいませんと謝り倒され、いいよいいよと許し続けることになった。
『では本日最後の試合、黒鉄選手と垣下選手の試合が始まります。どちらが勝つと思います?』
『そうですね。1年生と3年生ですから経験が違います。垣下さんの破壊力は凄まじいですが、公式戦に出ているのでデータはあります。だから攻略法を考える事もできます。その反面データのない黒鉄さんの対策を練る事はできません。黒鉄さんが勝てる可能性は十分あるのではないでしょうか』
『なるほど!対策していれば勝てるかもしれないのですね!両者固有霊装を出し、万全の状態です』
ーーlet's goahead
垣下と珠雫の試合が始まった。垣下の固有霊装は大剣であり、珠雫の固有霊装は短刀。見た目では明らかに珠雫が不利に見える。
だが、この勝負は一瞬で決まることになる。
大剣を大きく振って珠雫に攻撃する垣下。それを短刀で軌道を変えてギリギリでかわし、顔に手を向ける。
「【水牢弾】」
水の玉が垣下の顔面に当たる。そして、張り付いた。
これには会場内も驚く。垣下もどうにか水を顔から取ろうともがくが無意味であり、やがて息が続かなくなる。そしてもがかなくなり、倒れた。
『勝者、黒鉄珠雫!』
『これは可哀想ですね。水を貼り付けて相手を窒息させるなんて魔力操作が相当うまいのでしょう。垣下さんも水をはがそうとせず、息が続く限り黒鉄さんを狙っていれば勝機はあったのですが残念です』
『そうですか。それではこれで終わりたいと思います。ありがとうございました』
『ありがとうございました』
試合が終わり、解説から解放される。実況をしていた生徒に感謝された後、珠雫にメールでおめでとうと送りながら左腕を本格的にくっ付けるためips再生槽へと向かった。
感想に木刀の強度の件で突っ込まれていましたが、某万事屋の甘党侍の木刀をイメージしてください。あれもなかなか折れないでしょう。あれより硬いです。
書こうと思ったけど時間がなさすぎて書けなかった没作品
桐原くんをアスタリスクに入れた話。
これは落第騎士本来の桐原くんを入れるためゲス枠が1つ増えるだけ。
今作の桐原くんを聖杯戦争に入れる。
FGOの爆死が頭にフラッシュバックするからあまりしたくない。
球磨川禊を落第騎士に入れる。
これはただ面白いかなと思った。
やる予定があったのは桐原くんがアスタリスクにいたらの話ですが面倒なためやりません。この作品だけで手一杯です。
あと、一度だけこの作品に転生者を入れてやろうかと思いましたが寒くなるのでやめました。これからも出ません。