桐原静矢になったけどとりあえず最強目指す 作:田中
時は飛ぶけど俺は破軍学園に主席で合格した。俺ほどの実力者ともなれば余裕である。入学式の時の挨拶を一応したのだがあまりうまくできたとは思えない。だが、アドリブで考えたにしてはできた方だと信じたい。そういえば入学式の時一輝君を見た。原作だと彼を退学にするため何かとやらないといけないみたいだった。それをそつなくこなし、学園に対しての印象をあげたい。そして、俺の目標は七星剣武祭1位。ここまでくれば厄介事を誰にも迷惑かけず自分1人で対処できる。
「君がFランクの10年に一度の劣等生かー。僕の名前は桐原静矢。よろしく黒鉄君」
嫌味ったらしく言えただろうか。言えてるに違いない。入学式から数日後、学園長からのミッションを早速頂いた。クラスでの居場所をなくせとのことだ。ならこの煽りが効果的なはず。まぁこの程度でいなくなるはずはない。対して嫌われず、だが学園長からは真面目にミッションをしてるように見せる。そんな立ち回りをするのが目標。主要キャラに嫌われたら嫌だしね。
「よろしく桐原君」
一輝君は俺の目を見て本気で言っていないと分かってくれているはずだ。だって主人公だもん。そのくらいの見る目はあるよ。凄まじくやらされてる感を出してるもん俺!出してるよね?うん、出してる。
「黒鉄の家に生まれておきながら劣等生って、中々恥ずかしいよねぇ。多分居場所なかったでしょ?ここでもそうなると思うよ。だって能力が足りなければ実技の授業を受けられないんだから。ソースは理事長」
ハハハと笑いながら一輝君を蔑むようなフリをして情報を渡す。早いうちに自主練だけで頑張っていく方が良いよと言ってあげてるのだ。さらに、理事長は一輝君を退学にさせる気満々であるということも伝える。なんて慈悲深いんだ俺は。倒置法である。
「そうなんだ。それでも僕は魔導騎士になりたいんだ」
「まあ頑張ると良いよ。才能が全くない劣等生。僕のような才能ある伐刀者は何もせずとも高みを目指せるのさっ」
きっと今の俺の言葉を一輝君は完全に嘘だと見抜いているだろう。見る人が見ると俺は明らかに特訓をし続けている人間に見える。まあ一輝君が嘘と見抜いても周りは本当だと思い込むから良い。
「みんなも劣等生なんかに構わず僕と切磋琢磨しようじゃないかー」
一輝君を退学に追い込む役は俺1人で十分。多ければ多いほど面倒なことになっていく。一輝君の自主練中に邪魔させるわけにはいかないしね。
「じゃあ僕はもう行くよ。せいぜい僕の邪魔にならないようにすることだね」
決まった。このクラスであいつすげーやつだという地位と理事長の好感度をゲットした。その代わりもしかしたら一輝君に嫌われたかもしれない。ま、いいけど。ごめんなさいあまり良くないです嫌わないでください。
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来る日も来る日も一輝君の邪魔?をすることで理事長から俺はかなり気に入られていた。あの理事長、頭大丈夫ですか?結果出してないのに気にいるってバカじゃないんですか?
「桐原君、七星剣武祭に出たくないかい?」
「出ます。僕も伐刀者としてその高みが気になりますからね。まあ才能ある僕が出ちゃえば優勝しちゃいますけど」
俺の言葉に理事長は呆れるが次の言葉を告げようと口を開く。
「じゃあ、君の弓で黒鉄一輝を死なない程度に撃ってください。彼が反撃してくれば退学に持ち込めます」
「つまり、反撃させるよう誘導してくれというわけですね?」
「はい。彼も桐原君のことをかなり嫌っているはずです。それを利用して彼に反撃させます」
無理なんだよなぁ。主人公はこの程度でやられはしない。やられるにしても俺の手で、ステージは七星剣武祭で、そういう場所で戦いたい。いや、模擬戦とかもやってみたい。来年ならさせてくれるかな?
「わかりました。では放課後に実行しますね」
無意味だけど一応やる。どうせ結果は同じだろう。俺がやろうとしてることも原作と同じであるため、本当に原作と同じ結末となるのであった。尚、七星剣武祭には出場させてくれるらしい。やったぜ。
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時はさらに進み、七星剣武祭が始まってしまい、順調に勝ち進みむこと準決勝。そこで【雷切】こと東堂刀華さんと戦うことになった。ここまで俺は手の内を出さず全て樹海を出しての近接戦闘のみで戦ってきた。ステルスは一切使っていない。それだけ俺は強いのだ!途中原作で今年優勝するはずだった諸星雄大さんを剣技で倒すことでかなり注目されたし、倉敷蔵人とも戦い、剣で勝った。今大会最大のダークホースと呼ばれ、【森の剣鬼】とかいうダサい名前で呼ばれ出した。【狩人】の方が俺的には好みである。
話が逸れてしまった。俺の次の相手は東堂さん。正直クロスレンジで勝ちたいと思う。なぜって?そこにロマンがあるからだ。クロスレンジ最強にクロスレンジで勝てば俺がクロスレンジ最強になる。最強という響きが俺はだいすきだ。情報量では俺が圧倒的に有利。あちらはステルスがあるとも知らないし本来は弓で戦うことも知らないという圧倒的に不利な状態なはず。
はっきり言おう。この試合は弓を使えば勝ち確定だ。その上で東堂さんに挑戦する。真っ向からの真剣勝負が大好きなんだ。そのために強くなった。この強さがどこまで通じるのかを確かめたい。
『準決勝は同じ破軍学園!【雷切】東堂刀華VS【森の剣鬼】桐原静矢』
新聞に書いてあった。特に興味はないが東堂さんの画像のスカートの中身が見えそうなため見えないのが分かっていてもローアングルなら見てしまうのは男の性である。この新聞は面白く、前評判も書いてある。剣での戦いにおいては俺が圧倒的に不利と書かれており、ほぼ東堂さんの勝ちが濃厚と言われている。だが、そういった前評判を全て覆してきているためどちらが勝つかわからないと書かれている。つまり、誰もどちらが勝つかなんて予想できないのだ。予想できないのが当たり前ということはない。前大会は予想が発表され、それ通りになったらしい。準決勝前となればインタビューがあるわけでその受け答えをした後に試合というよくわからないシステムがある。今から思い出すのはインタビューのハイライトである。
『東堂選手をどう思いますか?』
「東堂?強いよね。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。だけど……僕は負けないよ」
これだけで笑いが起きた。皆将棋好きなのだろう。わからない人は序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。で検索すれば出るだろう。
あとは雷切に対しての対応や、対策を聞かれた。それには行き当たりばったりですと答えておいた。兎も角、そろそろ戦場に行かないとな。
「どうも東堂先輩。僕は前から貴女のことが気になっていました。もちろん剣士としてですが」
会場の中心で2人は顔を合わせる。何気に初めての会話であるが俺はもう東堂さんのことを知っている。それはもちろん相手も俺のことを知っているだろう。
「私もです桐原君。貴方が弓で戦うのは学園のデータで知っています。しかし、剣士としての誇りがあるのがわかります。だからこそ、剣士として、貴方に弓を使わせます」
「弓を使って欲しいんですか?」
「欲を言えば剣で勝てないと思わせて弓を使わせたいです」
「中々キツイことを言いますね東堂先輩。なら俺の剣技を越えてください」
ーーーーgoahead
試合開始の合図と同時に俺も東堂さんも動く。一瞬にして樹海を構築して剣を取る俺、刀でこちらに斬りかかる東堂さん。動きは東堂さんの方が早かった。俺は斬られないよう後退しようすることで、東堂さんが眼鏡を取っていることに気づいた。つまり後退しようとしていることは閃理眼によって読まれている。なら後退しようとする態勢で剣を振るだけである。剣を振る速度には自信がある。感じてからでは遅いはずである。
振った剣は空を斬った。だがそれは東堂さんが追わず引いたからである。もしあのまま追っていれば東堂さんを斬れた自信が俺にはある。そして東堂さんもそれを感じ取ったのだ。流石だと思う。序盤の戦闘では同等だと思われる。お互い一歩も引かない。
「次はこちらから行きますよ」
俺は東堂さんのように抜き足はできない。だからこそ身体を鍛えることで視認できない速さで動くことにした。クロスレンジにはまだはいらず、樹海の樹を足場にして接近し、背後から剣を振る。東堂さんも抜き足とは違う純粋な速度による攻撃に驚き、防御するのが手一杯の様子。この樹海において圧倒的に俺が有利である。
余裕がなかった東堂さんも俺の速度に慣れてくる。慣れることで余裕も生まれる。それが反撃につながる。お互い一歩も引かず剣を振る。俺の上段からの一撃は下段からの振り上げにより弾かれ、その隙に横薙ぎが来る。それを俺が剣を縦に添えることで防御する。一進一退の攻防だ。全ての意識をこちらに向けておかなければ獲られるという危機感も感じる。こんな戦いは諸星さんとの試合でも、蔵人君との試合でも感じられなかった。本当に強い。
いつの間にかクロスレンジで真っ向から斬り合っているが俺も東堂さんも互角である。雷切は使われていないというよりか、使うまでの余裕を与えない。雷が襲ってこようと樹海が避雷針となり自動で避けてくれる。だからこそお互いに純粋な剣技によって試合が運ばれていく。
このままでは埒があかない。予想ではこのままだと、ずっと斬り合うことになる。それは時間の無駄である。タイムアップで勝敗が決まるなんてクソくらいだ。それなら俺はーーー弓を使う。
「【朧月】」
距離を取るため渾身の力を入れ剣を振り、防がせることで距離があく。その隙に俺の愛弓朧月を発現させる。
「東堂先輩、誇っていいですよ。あのまま僕と斬り合えば引き分けになっていた。このような決着になるのは本当に残念です。今ならじゃんけんでもいいですよ?」
「ふざけないでください。私は嬉しいです。クロスレンジであるのにまともに斬り合わされ、そして互角に戦う人がいることが、本来の武器である弓をとらせることができたのが、本当に嬉しいです。だからこそ、貴方の本気を私の本気で打ち砕く」
「では、1発で決めましょう。僕のほぼ全ての魔力を込めた矢を貴女へ向けて撃ちます。これを避ければ、砕けば、貴女の勝ちです。後は本当にじゃんけんでしか勝ち目はありません」
「良いでしょう。私も見せます。最強の一撃を」
東堂先輩は眼を、脳を、身体の全てを俺の矢へと向ける。対する俺も魔力を込めきった最強の矢を作り東堂さんへと向ける。鞘に収めた刀から放たれる威圧は凄まじいものだ。結構離れているのにピリピリする。
「これが僕の最強の伐刀絶技【崩月】!」
矢は放たれた。東堂さんはその矢を見て驚き、居合する。
「【雷切】!」
バリバリと辺りに雷を散らし放たれた一撃は俺の矢とぶつかり合い、静止する。俺の矢も東堂さんの刀も全く動かない。ここまでは互角である。
だが、俺の【崩月】は星を破壊することができる一撃。具体的に言えば何処ぞの十六夜君の本気レベルの一撃だ。次第に東堂さんの刀に亀裂が入り、刀が砕ける。砕けた瞬間放った矢を幻想形態に切り替えることで東堂さんを傷つけることなく貫いた。その代り、東堂さんの意識は刈り取られ、倒れ伏した。
『勝者、桐原静矢選手!!!』
審判の声を聞くと共に右腕を上げる。だが魔力の使いすぎにより、そのまま倒れる。意識は倒れた拍子に手放された。何にせよ優勝まであと1つである。
ネタバレ
メインヒロインは一輝君(適当)