桐原静矢になったけどとりあえず最強目指す   作:田中

23 / 26
誤字とかあるけどニュアンスで理解してください。
誤字報告割と真面目に待ってます。




予選最終戦観戦しました

 

 

黒鉄一輝と東堂刀華。二人は確実に一刀で決めるつもりだ。原作では【雷光】と【雷切】がぶつかり合って一輝くんが勝った。だけど、俺が介入することで二人とも成長させてしまったという自覚と確信がある。逆に成長していなければ期待外れだ。

 

「始まりますね……」

 

珠雫が自分の試合であるかのような緊張を顔に出す。俺の時と同じくらいだ。やっぱ好感度は一輝くんと同列くらいなのね。

観客を見てみれば有名どころが結構いる。理事長も西京先生もいるし、【闘神】南郷寅次郎もいる。そして狸…もとい赤座のおっさんも見ている。赤座が笑っているということはこの対戦カードは仕組まれたものだろう。だが、結局のところ七星剣舞祭で優勝するなら乗り越えないといけない相手であるからいつ戦っても同じだとは思う。

 

「この戦いで注目するべき箇所は東堂先輩の【一刀修羅】への対応。もし、確実に勝つために長引かせれば黒鉄くんは負ける。でも東堂先輩の性格上、絶対に真っ向勝負をするからどちらが勝つかは予想しにくい。……もし原作通りなら興醒めだなぁ」

 

「原作?」

 

「あぁ、こっちの話。珠雫が東堂先輩と戦うならどうやって戦う?」

 

「私がですか…そうですね、第一前提として剣を交えません。近づかれず、純度100%の電気を通さない水を使って戦います」

 

「うん。珠雫らしい戦法だね。僕も珠雫の能力を持っていたとすればそうしてるよ。予想では今の珠雫と去年の東堂先輩であればその戦法で8割勝てると思う」

 

俺と戦法が同じと分かって嬉しそうにな顔になるが、8割で勝てると言うと少し表情が暗くなった。珠雫の予想ではこの戦法で100%勝てると思っていたのだろうか。そうだとすれば見通しが甘いと言わざるをえない。

 

「残りの2割はどうなるのですか?」

 

「水を掻い潜ってくるし、まず彼女には抜き足がある。これの対処ができるかどうかも考えれば2割で負ける」

 

原作とは違い、今の珠雫なら抜き足を攻略できると思うため2割の敗北。もし抜き足の攻略ができないなら10割負け。ちなみに去年の俺は攻め続けることで抜き足をされないようにした。今戦うとしても同じ戦法を取る気がする。

 

「抜き足ですか……?」

 

「うん。相手の無意識に自分の存在を潜り込ませて気づかなくする技術だよ」

 

「それは…」

 

珠雫があまり理解していないようなので言い終わる前に俺が抜き足をして移動し、珠雫の額にデコピンをした。

 

「こんな感じだよ」

 

「………痛いです」

 

珠雫がジト目でこちらを見つめてくる。可愛い。じゃなくて力が強すぎたのかな。最近力が大きくなりすぎて加減が分からなくなってきたな。

 

「ごめん。それより、今のが抜き足だよ。どう感じた?」

 

「瞬間移動をしたかのように感じました」

 

「それがこの技の強みだからね。ま、もっと強い一撃をされたら本能で避けられるだろうけどね」

 

「そうですか…」

 

珠雫が何か考える素振りをしてその後目の前から消えた。それに少し驚いた背後から抱きつかれた。

 

「こんな感じでしょうか?」

 

「参ったな。説明しただけで実践するなんて……僕でも会得するのに2時間かかったのに」

 

抜き足をされたという事実が胸に突き刺さる。自分はどこか抜き足にかからないと慢心していた。まだ慣れない珠雫にされるようでは本家の抜き足に対処できない気がする。まだまだ修行不足だな。

 

「完璧だとは言えないけど抜き足になっている。少なくとも僕は回避できなかったから実戦で使えるかもしれない」

 

言いながら俺も珠雫も観客席に座り直す。今は気を抜いていたから通用しただけかもしれないから『かもしれない』と保険をかけておいた。勘ではあるが通用すると個人的には思っている。だけど伸び代があるなら曖昧にして伸ばしてもらった方がためになるだろう。

 

『まもなく、七星剣舞祭予選最終戦【雷切】東堂刀華選手対【無冠の剣王】黒鉄一輝選手の試合が始まります!』

 

実況の声が聞こえてきた。だが解説は誰もいないだろう。だって南郷寅次郎の隣に夜叉姫いるし。俺もここにいるし。と、考えていれば東堂先輩も一輝くんも出てきた。2人が出てくるだけで歓声が沸き、次第に静まる。

2人が何を話しているかは分からないがお互いが万全の状態で戦えることを話しているのだと推測する。

 

 

 

ーーーlet's go ahead

 

 

戦闘が開始された。2人は固有霊装を出し、一輝くんは早速【一刀修羅】を使う。対して東堂先輩は目を閉じて息を整えるだけ。俺にはそれが不気味に思えた。嵐の前の静けさと言うに相応しいだろう。俺の直感が危険だと警報を鳴らしている。

 

「【避雷針】」

 

一輝くんの立つ場所付近に目を向けながら刀を地面に突き刺しそう唱えた。一体何をと思ったがその疑問はすぐに晴れることになる。

 

「【疾風迅雷】」

 

東堂先輩は一瞬で一輝くんの背後に回った。いや、回ったのではなく、そこに瞬間移動したと言った方がいいだろう。

 

「【雷切】」

 

自らクロスレンジに瞬間移動をして【雷切】を放つ。一輝くんは為すすべなくただ斬られる。というわけではなく、背後に現れてどこを斬られるか予想したのかギリギリガードが間に合った。刀と刀の打ち合う音が鳴り響いた後に一輝くんの吹き飛ばされる音が聞こえてくる。そして吹き飛ばされた先は先ほど東堂先輩が地面に刀を突き刺した場所。

 

「【落雷】」

 

そう言うと雷が地面から一輝くんを襲った。雷に身を焼かれ倒れた。

 

「お兄様!」

 

雷に直撃した一輝くんを心配した珠雫が悲痛な声をあげる。圧倒的に東堂先輩は強い。先の先まで見通していた。これは一輝くん負けるのではないだろうか。

 

いや、痛々しい姿をしてはいるが一輝くんの目はまだ死んでいない。すでに満身創痍であり、力の差は歴然であるのにもまだ諦めていない。諦めていない限りチャンスはある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一体何が起きた…?

 

東堂先輩が後ろに現れてから全てが分からなくなった。もし、苦し紛れに【陰鉄】を出さなければ直撃して終わっていた。いや、すでに今終わりかけている。身体中が痛い。雷に直撃したから当たり前か。

 

こんな状態で勝てるのか?いや、疑問に思っちゃおしまいか。勝てるかどうかじゃなく勝つんだ。勝って七星剣舞祭に出て、優勝しないといけないんだ。

 

まずは瞬間移動のタネを考えろ。と言ってもすでにだいたいが分かっている。最初の目配りの場所に微弱な電波か何かでマーキングをしてその場所に現れたんだ。事実、あの時背後に現れる前にバチっと音がした。地面からの雷は簡単だ。最初に剣を突き刺していた場所。突き刺した時に地面に雷を仕掛けていたのだろう。

 

おそらく東堂先輩は再び瞬間移動で接近してくるだろう。東堂先輩の性格から考えて次は真正面に来るだろう。その一瞬が勝負だ。その一瞬で僕が打ち込める最速の技を使う。それを成功させるにはやはり……【一刀夜叉】でより短い時間強化するしかない。タイミングを間違えれば負け。速さで負ければ負け。

 

「いきます」

 

集中することで次第に世界から色がなくなる。東堂先輩はまだ動かない。まだ…まだ……まだ………動いた!!!

ピクリと動いたと思えば消えた。

 

 

予想通り真正面に現れた。

 

 

この1秒……いや、0.1秒間だけに全てを集約させる!!!気力も魔力も根気も全てこの0.1秒に詰め込んだ。

 

東堂先輩も【雷切】を使って来ようとしている。それを避けて仕舞えばチャンスはない。真っ向から打ち砕くことでしか道は開かない。

 

いつだったか、桐原くんが使っていた【秘剣・燕返し】を練習していたら偶然作れた最速の技。その名をーーー

 

「ーーー【零閃】!」

 

「【雷切】!」

 

音を置き去りにした一撃。音速を超えた一撃。自分の技の中で最も速く、桐原くんの剣技に近づけた技。斬った手応えはあった。

 

だが、それと同時に斬られた感覚もある。

 

「カハッ」

 

口から血を吐き出し跪く。胸の辺りを触れば血がべっとりと手に着く。これは致命傷と言われてもおかしくない傷だ。

それより、東堂先輩はどうなった……。

 

後ろをボヤける視界の中、どうにかして見れば東堂先輩は立っていた。対して僕は跪いて血を吐き出すしかできない。魔力も気力も空っぽでいた気絶してもおかしくない状態。僕の負けだ。ごめん、ステラ……。

 

 

『試合終了!!!東堂選手の気絶により、勝者【無冠の剣王】黒鉄一輝選手!!!!!』

 

内容を理解できないアナウンスが流れると同時に僕は意識を手放し、倒れ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壮絶な結末だった。一輝くんの目の前に東堂先輩が現れると同時に一輝くんも東堂先輩も居合で勝負が決まった。一輝くんはただでさえ満身創痍だったのに胸まで切られてまさに死にかけ。でも意識がある。

対して東堂先輩は一輝くんと同じように肩から横腹まで綺麗に斬られて、【鳴神】を持って立ったまま気絶していた。とりあえず原作とは違った形で試合が終わったことに歓喜する。ちゃんと2人とも強くなっている。それも予想以上にだ。

 

試合が終わり、2人の成長に喜んでいたら赤座という狸親父の様子がおかしくなっていた。一輝くんが勝ったと分かれば狸親父の顔色が青く染まる。そして顔色が少し戻ったと思えば一輝くんの倒れている場所へと一直線に向かう。それも斧型の【固有霊装】を展開して向かっている。それだけで何をしようとしているか分かるだろう。

 

勝者に対してそんな横槍を入れられるのは伐刀者として不快だ。狸親父が黒鉄家からの刺客だとしてもこれ以上何かしようとするなら俺が許さない。東堂先輩の敗北、一輝くんの勝利を汚すのは絶対に許さない。

 

「【朧月】」

 

一本の矢を、猪のように一直線で向かう赤座を狙って放った。

 

放った矢は狸親父に当たるとその場から蔦が生えてきて狸親父を覆っていく。結果、マリモのような緑の丸い物体が出来上がった。この状態では狸親父も動けないだろうし、ステラさんも一輝くんの元に駆けつけているし、これ以上は無粋だろう。俺は大人しく珠雫と一緒に帰るとしよう。

 

桐原静矢はクールに去るぜってね。

 




マーリン全くでなかったんで無記名霊基で交換しました。43個しかなくて4枚しか交換できなかったけど後悔はしない。


次回更新目標は年内に更新するよう頑張ります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。