桐原静矢になったけどとりあえず最強目指す 作:田中
この日、破軍学園の生徒は全員体育館に集められた。何か不祥事があったから集められたのではない。ただの全校集会…七星剣武祭任命式である。そして壇上には既に生徒達と向き合うように5名立っている。一輝くん、ステラさん、葉暮姉妹、俺である。一応有栖院凪も出場者であるが所用で席を外している。正直俺もサボりたかった。
「では次に代表選手団の団長を発表する。名前を呼ばれた者は前へ出ろ」
マイクの前に立つ理事長が静まっている会場の中で話し出す。今年の団長の発表を前に静かな会場の中、唾を飲み込む音が聴こえる。誰が団長になるのか。それは誰にも予想ができていない。
ヴァーミリオン皇国の皇女であり、人類最高の魔力を持つ【紅蓮の皇女】ステラ・ヴァーミリオンになると予想する者。
【七星剣王】である俺、桐原静矢になると予想する者。
年長者で年齢に伴う経験のある葉暮姉妹のどちらかになると予想する者。
どんな相手に対しても戦略で圧倒していた【黒い茨】有栖院凪になると予想する者。
魔力が少なく、落第騎士と馬鹿にしていたが努力で【雷切】東堂刀華という天才を倒した【無冠の剣王】黒鉄一輝になると予想する者。
全員が個々の予想を立てる中、団長となる者の名がその口から放たれる。
「団長は、1年Fクラス黒鉄一輝」
【無冠の剣王】黒鉄一輝が破軍学園団長とわかった瞬間、先程までの静さが嘘のように歓声に包まれる。一輝であれば任せられると全員が納得していた。
名を言われた一輝君は内心戸惑っていた。本人は確実に俺が団長になると思っていただろう。残念、俺は辞退した。
「えっ、僕が…団長…どうして……?」
「君がこの中で最も成長したからだよ。ほら、みんな納得して、期待もしている。胸を張ってくれ」
隣にいる一輝君の背中を押す。俺に背中を押されたからか俺の言葉に納得したからか堂々と前に出た。
「それでは、これより団長に校旗の預託を行う」
理事長がそういえば裏でスタンバってた東堂先輩が旗を持って歩いてきた。
「黒鉄一輝くん。勝つというのは背負うということです。負けていった者たちの思いを受け継ぐということです。この旗には代表になりたくてもなれなかった者を初めとする沢山の人達の想いと願いが籠っています。ですからどうかこの旗と一緒に私達を連れて行ってくださいーーーーー七星の頂へ」
東堂先輩はそう言って旗を一輝君へと渡す。その旗の重みを一輝君は実感していることだろう。この旗には生徒達全員の思いがこもっている。七星剣武祭本戦では、その全てを背負って戦わなければいけない。信じられない程に重い。だが、その想いを背負わないわけにはいかない。その重圧が俺にとっては鎖になるだろうだから団長をやりたくなかったんだ。俺には乗り越えることができないであろう重圧だ。
「必ず、約束します」
一輝君の言葉でさらに会場は盛り上がる。というか『頑張れよ』などの鼓舞が飛ぶそして一輝は全員の想いをのせた旗を持ちながら元の場所へ戻る。
「ステラ…僕は、他人の評価はどうでもいいと思ってた。自分が納得できればそれでいいって……だけど、人に認められるって嬉しいものなんだね」
「ええ!」
まるで最終回みたいなことを言う二人を横目に理事長の閉会の言葉を聞く。終われば即帰る。これ以上いても得られるものはない。
「桐原くん」
帰ろうとすれば後ろから一輝くんに呼び止められた。仕方なく振り返るとまるでこれからラスボス戦に行く勇者のような覚悟を決めた表情の一輝くんがこちらを真っ直ぐ見ていた。
「本戦までには仕上げる」
この言葉に意味はすぐに理解した。一輝君は本戦までに僕と戦えるようになるつもりらしい。僕の能力を知った上でのこの言葉。流石主人公だ。だから俺はこう返す。
「楽しみにしているよ。だけど待つつもりは少しもない。より先へ行った所で僕はいる」
カッコつけながらその場から去る。ちょっとカッコつけすぎたかもしれないと後悔した。だけど本当のことだ。俺が目指すものは世界最強。この程度ではまだインフレするこの世界で最強は名乗れない。
「もう超えることができないと思っていた限界を超えるしかないか」
ここにきての修行編突入である。もうすぐ合宿があるけど無視。理事長がコーチを用意する云々言ってたけど無視。合宿なんかで俺の魔力は伸びることはない。魔力を出涸らしになるまで使い果たし、それでもまだ足りない。寄越せという魔力への渇望が覚醒への近道だ。既に何度もそれに成功し、死にかけている。
「とりあえずしばらく破軍学園とはさよならだ」
この日、破軍学園2年Aクラス桐原静矢は失踪した。
プーサーも無事宝具5にできました。
育成が終わりません。助けてください。なんでもしますから(なんでもするとは言っていない)
前回で合宿に出ると言ったな。あれは嘘だ。というのも作者が出ると言わせたことを忘れていました。ま、人間気分なんですが変わりますし、すぐ掌返しますし、静矢くんも気分が変わったんでしょう。プロットでは合宿の描写がどうのこうのって書かれてましたが全て無視。物語を進めることを優先しました。修行編も書きません。次回はもう襲撃されてます。掌返ししてしまって申し訳ない。
本文過去最短だから今日もう一本投稿する可能性が微レ存