桐原静矢になったけどとりあえず最強目指す   作:田中

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新学期始まりました。

模擬戦で倒れた一輝くんを部屋に寝かしてから新入生のデータをまとめることで1日が過ぎ次の日の朝、俺はステルスしながら走るという日課をこなしている。ステルスをするのには理由がある。ステルスに対する慣れと、努力しているところを見られたくないという理由だ。俺も一応中二病を患っているのでこういう努力する姿を見られるのは恥ずかしい。一輝くんの模擬戦を見てより気合が入っているので、より恥ずかしく感じるのだ。努力することは恥ずかしくないと思うが、これは俺の性格というものであるから仕方ない。恥ずかしがり屋なのだ。

走っていればいつも通りジャージ姿の一輝くんが走っている。今日はステラさんも同じくジャージ姿で走っている。もうすでに結構走っているのかステラさんは結構疲れている。徐々に一輝くんとの距離が開くがそれに気づいた一輝くんが少しスピードを緩めることでまた距離が縮まった。流石、面倒見がいい一輝くんである。ま、もうすぐ広場だからそこで終わるだろう。俺も一旦そこで休憩しよう。もちろんステルスで。

 

 

広場に一足ついた俺はストレッチをする。別に二人を待っているわけではない。普通にこうするのが日課なだけだ。いつもならこの時間はすでに一輝くんが刀を振り回しているのだが今日はステラさんがいるから少し遅いだけ。と、ストレッチしていたら一輝くんが到着し、しばらくしてステラさんが到着する。一輝くんは日課だから余裕そうだが、ステラさんは今にも倒れそうなくらいゼーゼー言っている。やはり原作と同じで体力がないのだろう。

 

「お疲れ様、ステラさん」

「ステラよ」

 

どうやら一輝くんは呼び捨てを許されたらしい。確かこの時点で落ちているんだっけか。流石チョロイン。

 

「僕は毎日20km走ってるけど、ステラはついてこなくても」

「平気よ。このくらい」

 

見る限り平気そうには見えない。俺も今では30㎞など余裕だが初めの方はキツかったので気持ちはわかる。負けず嫌いだな。

 

「負けず嫌いなんだな、ステラは」

 

そう言って水筒をステラさんに差し出す。え、それって間接キス……いいなぁ、俺も美少女と間接キスしたい。

 

「それって……間接キス……」

 

意識しておるな。一輝くんはステラさんの態度で勘付いたみたいだ。

 

「ぁ…僕が口つけたのなんて嫌だよね…ごめん」

 

初々しい。なんだこのやりとり、口から砂糖吐き出しそうだ。朝っぱらから見せつけんなよ。そうか、本人達は俺がいることわからないから見せつけてるわけではないのか。でも敷地内でやんなよ。

 

「別に嫌だなんて言ってないでしょ!……むしろ逆っていうか」

「え?」

 

難聴系主人公やめろ。そして誰か俺にブラックコーヒーください。

ステラさんは一輝くんの水筒を取り、飲んでいる。結構長いこと飲んでいる。舐めまわしてんじゃないの?ってくらい長い。そのあとの水筒を言い値で買おう。

 

「今日妹が入学してくるんだ。会うのは4年ぶりでね」

「その妹さん…血が繋がってないとか、そういう設定じゃないでしょうね…?」

 

設定とか笑ってしまう。量産型ラノベへの批判か!さっきからステラさんの言葉聞いてたら完全に一輝くんのこと好きになってるじゃないですかヤダー。

 

「いや、ごく普通の血縁兄妹だけど」

「ならよし」

 

それは視聴者や読者の言葉を代弁してくれたんですかねステラさん。でも日本にはヨスガるという言葉がありまして、日本の闇は深いのですよ?

 

「そういえば昨日聞きそびれたけど、一輝はこの学園でどのくらい強いの?今私がどれくらいなのか参考程度に教えて欲しいわ」

「僕は授業出れてないから誰がどれくらい強いかはわからないけど、下から数えたほうが早いんじゃないかな」

 

嘘つけ。一輝くんは上から数えた方が早いだろ。何謙虚になってんだ。トップ10には入るよとか言ってもいいくらいだ。ま、1位は譲らないけどね。

 

「桐原先輩が言ってたのだけど、七星剣舞祭優勝者がこの学園にいるのよね?」

 

俺の話題出すなよ。disられたら立ち直れないぞ。でも耳を傾けちゃうんだよね。

 

「あー、桐原君がそう言っていたのか……。自分で調べてみたらいいと思うよ。きっと驚くかも」

 

「そう。ならそうする」

 

なんだよ。disったり褒めたりしないのか。てか一輝くんは良い奴だな。きっと俺がばれたくないと思ってバラさなかったんだろう。でも誘導すんなよ。

二人の会話を聞いているとストレッチも終わったので、俺は帰路に立つ。

 

 

 

 

 

 

学期の初めというものは自然と気分が高揚するものだ。新しいクラスメイト………といっても見た顔ぶれが多いな。なんでこんなに知った人多いんだよ。俺が知らない人は俺のことを芸能人を見るような目で見てくる。最近いろいろあって意識してなかったけど俺って七星剣舞祭優勝者なんだよな。だからこんなに注目浴びるのか。で、先程から担任が話しているがその内容をまとめる。

1、今年から学内選抜で七星剣舞祭に出る人を決める。2、3日に1回くらいの頻度で戦う。3、1人10戦以上する。4、戦績上位から選ぶので1敗しても諦めるな。5、頑張れ。

とのことだ。俺は原作知識で知っているため別に興味ない。きっと今頃折木先生が血を吐き出しているだろうとしか感じない。

 

先生の話が終わると今日は終わりだ。早く終わるところが学校初日の良いところだ。終わったので早めに帰ろうとするとクラスメイトに囲まれた。大変面倒くさい。面倒くさいので伝家の宝刀である『理事長に呼ばれている』を使い切り抜ける。ちなみに、新入生のデータ整理をやったおかげでしばらく仕事のことで呼び出さないと理事長から言われている。これからが俺の休暇なのだ。

通路を歩いていると一輝くんとステラさんとあと金髪ショートの眼鏡っ娘がいた。しかも眼鏡っ娘は抱きついている。

 

「私、先輩の大ファンなんです!模擬戦見ちゃったんです!先輩強いですね!」

 

あー、この娘模擬戦の観客席で見たわ。写真撮ってたな。原作にもいたよーな、いてないよーな……でもきっといたのだろう。16年経ってればどうでも良いことは忘れてしまうのだ。

 

「私、新聞部を作ろうと思ってて。是非、取材させて下さい!」

 

うわ、面倒くさそうだ。てかステラさんのオーラが物凄い。周りの生徒も「修羅場か!?」とか言って立ち止まって見てるし。ちなみに俺も立ち止まって見ている。

 

「ようやく見つけました」

 

奥から銀髪の小柄な少女が出てくる……。げ、珠雫だ。ぶっちゃけあまり原作勢に関与しないようにしたのだがこの娘とだけは少しあった。いや、少しではないのだがあまり言いたくない。子供の思い出である。

見つけたと言った珠雫は一輝くんの方へ近づいた。

 

「お久しぶりです。お兄さま」

 

一輝くんと再会したことを嬉しそうにしている。

 

「珠雫、見違えたよ。大きくなったね」

 

一輝くんは感慨深そうに珠雫を見る。てか今の発言完全に久しぶりに甥っ子が来たおじさんの反応だよね。俺去年実家帰ったら叔父がいてこんな反応してたよ。だから間違いない。一輝くんはおっさんだ。

 

「お兄さま……」

 

そう言って一輝くんを押し倒す。押し倒したことに周りの野次馬はウオーと騒がしくなる。そして、珠雫は一輝くんに抱きついた。………あれ、ディープキスは?おい、ヨスガれよ。せっかく写メろうと携帯出したのに抱きつくだけかよ。つまんね。だがそれだけでもステラさんは固まっていた。

 

「ずっと、お会いしたかった…」

 

「ちよっと待ったぁ!」

 

ステラさんが止めに入った。

 

「なんですか。兄妹のコミュニケーションを邪魔しないでください」

 

ちょっと冷えた声で言う珠雫。だがステラは引き下がらない。ご主人様を取られてムキになっているのだろう。

 

「そんな甘い声出してたら兄妹のコミュニケーション以上のことをしそうに感じるでしょう!」

 

「は?皇女様は何を勘違いしてるんですか?コミュニケーション以上って一体何すると思ってるんですか?」

 

「それはその………キスとか…………」

 

「皇女様っていうのはませてるんですね。確かに、お兄さまにならキスをしても良いですけどね。もちろん、コミュニケーションとして」

 

「え、珠雫?」

 

徐々に珠雫の顔が一輝くんの顔に近づいていく。いいぞいいぞ!ヨースーガ!ヨースーガ!

 

「ダメー!」

 

一輝くんの口を目標に突き進む珠雫をステラさんは引き剥がす。邪魔されたことに珠雫は不機嫌なようだ。

 

「どうして邪魔するんですか?貴女には関係ないですよね?」

 

「関係あるわよ……一輝は私のご主人様で…私は一輝の下僕なんだからぁ!」

 

周りの空気が死んだ。今の言葉で盛り上がっていた空気も凍結した。そして、珠雫が無表情になった。

 

「特大スキャンダルキターーー!創刊号の見出しは…俺の腕の中でMOGAKE!鬼畜なルームメイトと奴隷な皇女の淫らな密室72時間に決定!」

 

この空気を打ち破ったのは珠雫が来るまで一輝くんの腕に抱きついていた眼鏡っ娘だった。てかこの眼鏡っ娘、思い…出した……。綴る!ではなく、普通に思い出した。こんなキャラいたわ。なんでここまで濃いキャラを忘れていたのかわからない。原作でも思ったがセンスある見出しだ。

 

「長いよ!」

 

いや、ツッコムところはそこじゃない。もっと別にある。的外れなツッコミである。

 

「一輝、言ったじゃない。『ステラ、俺と同じベッドで寝ろ』って」

 

「本当ですかお兄さま?」

 

無表情のまま、一輝くんに問う。一輝くんはそれに少し頬を赤くする。肯定しているようなものである。

 

「一応本当かな…2段ベッドのことで…」

 

「お兄さま……今、自由に………」

 

流石にこれはヤバイ雰囲気だ。固有霊装出したら面倒なことになる。だから出す前に止める。

 

「無許可で固有霊装出そうとするな」

 

「イタッ」

 

そう言って珠雫の頭にチョップをかます。当たると同時にイタッと聞こえたがあまり強くしてないつもりだ。

 

「誰ですか私の邪魔をするの……は………」

 

振り返って俺を確認すると固まった。

 

 

 

なぜ、原作と違い、問答無用で一輝くんの唇を奪わなかったか。

 

 

 

それはすぐわかることになった……。

 

 

 

 

 

「静矢さん……」

 

 

 

そう言って珠雫は俺の唇を奪った………。

 

 




やってやったぜ。カナタさんをヒロインにという案もありましたがこっちの方が物語に組み込みやすそうなのでこちらにしました。
NTRではない。次説明回。
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