やはり俺がボーダーに所属しないのはまちがっている。   作:犬ころ大佐

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まだまだ千葉村です。全然終わらない千葉村。次で終わらせたい。




12話(千葉村)

未だに気を失っている迅さんを放置し、俺と雪ノ下はオリエンテーリングを

楽しんでいる小学生達を見回っている。

 

 

「そういえば比企谷君、あなた何か私に隠してることは無いかしら?」

 

 

ふと雪ノ下にそんなことを言われる。

 

 

「は? いきなりなんだよ。別にお前に話すようなことはないぞ」

 

 

隠してることってなんだよ。俺がお前の瞼にマジックで目を描いて、寝ている時も起きてる人に

した覚えはないぞ。その流れなら当然、額に肉と書くだろうが俺はそんなことはしていない。

 

 

「さっきあなたと一緒に寝てたセクハラ男とも知り合いなのかしら?」

 

 

やっぱりセクハラされたの? ってか隠してることってそっち関係の話かよ。

 

 

「あなたは妙にボーダーに詳しいし、戦闘能力も私以上だったわね。もしかしたらボーダー隊員

かと思って調べたのだけれど名簿にも無かったわ」

 

 

淡々と語る雪ノ下。まあ俺はボーダーじゃないから隊員名簿に載ってるわけは無い。

 

 

「でもさっきのやりとりを見て思ったの。玉狛支部最強と言っていた陽太郎君、あなたの

幼馴染と言っていた小南さんは玉狛のボーダー隊員のはずよね。そしてあのセクハラ男もとい

迅悠一は玉狛支部のS級隊員、セクハラのSかしら?」

 

 

「S級のSはそういう意味じゃねえよ」

 

 

しまった雪ノ下の珍しいボケに思わずツッコんでしまった。それにしてもこいつ、すげえ

調べてやがる。一般人だろ、ボーダーのこと調べてんじゃねえよ。

 

 

「S級隊員のことも知ってるのね? 私は彼が何故S級なのか、どういう経緯でなれるのかも

調べることができなかったわ。なぜ仮にもボーダーのスポンサーを親に持ち、A級トップ

チームの姉を持つ私より唯の一般人であるあなたの方が詳しいのかしら」

 

 

「俺だって知らんが、セクハラのSじゃないことくらい誰だってわかるだろ」

 

 

ブラックトリガー持ちだからS級隊員なんですよねー。やっべ、俺知ってるわ。

 

 

「そ、そうね、それは認めるわ。でもあなたが玉狛支部の面々と接点を持ってるのはどういう

ことかしら? そういえばあなたを紹介した平塚先生も玉狛支部ね。あと由比ヶ浜さんから

聞いたわ、ずいぶんとお綺麗な従姉弟をお持ちのようね? 宇佐美栞さんだったかしら。

確か彼女も玉狛支部で、米屋君という従姉弟がいたわね。あなた米屋君とも従兄弟なのかしら?」

 

 

ばかのん可愛い!・・・・・・じゃなくてやばい、全部バレてる。もう宇佐美が従姉弟じゃないって

こともわかってるんだろ!真綿でじわじわ首を絞めるようなことしやがって。

 

もういっそバラすか・・・・・・いや殺すって意味じゃなくて打ち明けるって意味だからね?

 

その時だ。

 

 

「あれ雪ノ下さんにヒキタニ君?」

 

 

リア充筆頭の葉山が現れた。

 

 

「何か用かしら葉山君、私は比企谷君と二人で大事な話をしているのよ」

 

 

「えっ?」

 

 

雪ノ下が不機嫌そうに言うと、驚きの表情を見せる葉山。男女が二人で大事な話・・・・・・

もうちょっと言い方がありませんか雪ノ下さん。

 

 

「勘違いするな葉山、俺と雪ノ下はただ話してただけだ」

 

 

「いいえ、二人きりでしなくてはならない大事な話よ。だから葉山君には悪いけど席を

外してもらえないかしら」

 

 

お前、わざと言ってんだろ。どうしたらそんな言い回しになるんだよ。

 

 

「いやあ、今はオリエンテーリング中だから話は後にして小学生のサポートをして

もらえないかな。俺達だけじゃ手が足りないんだ」

 

 

葉山の言ったことは正論だ。俺達はサポートスタッフの仕事をしなくてはならないから

お喋りをしてる暇などない。葉山、ちょっとだけお前を見直したぞ。

 

 

「というわけだ雪ノ下、仕事に戻るぞ。葉山も行こうぜ」

 

 

「・・・・・・わかったわ。この話は後でしましょう」

 

 

渋々だが雪ノ下も納得してくれたようだ。

こうして俺と雪ノ下と葉山という珍妙なパーティで小学生達を見回ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、あの子たち何をしているのかしら」

 

 

雪ノ下が、ある方向を見ながら言う。

その方向に目を向けると、女子小学生のグループが何か怯えたような声を出しながら

固まっていた。

 

 

「ちょっと見てこよう」

 

 

すかさず葉山が小学生グループに駆け寄る。仕事が早いことで。

 

葉山と小学生が何かをしているのを眺めながら、あることに気づく。

 

 

「はあ・・・・・・」

 

 

雪ノ下も気づいたようだ。ぼっちはぼっちを見つけることに長けているということか。

一人の女子だけがその小学生グループの輪に入らず、なんとも言えない表情を浮かべ俯いている。

 

そのことを葉山は気づいてないようで、小学生グループと自慢のイケメンスキルで親しげに

話している。

どうやら葉山はこのグループがチェックポイントを探す手伝いをするらしい。特に

やることもない俺達も葉山と小学生についていく。

ぼっちな少女はグループの三歩後ろを、古風な女性よろしく着いて歩いている。

時折グループの女子達が振り返り、ぼっち少女を見て蔑むように笑っているのが俺を苛立たせる。

 

こいつら・・・・・・ぶちのめしてやりたい。

 

 

 

チェックポイントを探し周囲を捜索している中、ぼっち少女がグループからそっと離れる。

葉山もそれに気づいたようで、その子に声をかける。

 

 

「チェックポイント見つかった?」

 

 

「い、いえ」

 

 

ぼっち少女は少し緊張したように葉山の問いに答える。

 

 

「そっか、じゃあ皆で探そう。名前は?」

 

 

葉山お得意の皆でやろう攻撃が炸裂する。

 

 

「鶴見・・・・・・留美」

 

 

「俺は葉山隼人、よろしくね。あっちの方とか隠れてそうじゃない?」

 

 

そう言ってぼっち少女の肩を抱き、小学生グループのいる方に連れて行く。

 

 

「見たか今の。あいつ超ナチュラルに誘ったぞ。さりげなく名前聞き出してるし」

 

 

「あなたには一生かかっても出来ない芸当ね・・・・・・けれどあまり良いやり方とは言えないわね」

 

 

雪ノ下お得意の罵倒はともかく、確かに良いやり方じゃねえな。

 

グループのいるところに連れて行かれ、また蔑みの笑いを向けられるぼっち少女。

 

 

「やっぱりね・・・・・・」

 

 

「まあそうなるだろうな」

 

 

こうして俺は胸糞悪い気分でオリエンテーリングの時間を終えた。

 

 

 

 

 

 

「ざっとこんなところだな」

 

 

「すごーーーい!!」

 

 

夕食の準備ということで平塚先生が木の棒とおがくずを使い、火をおこし

小学生達を驚かせている。

 

 

「めちゃくちゃ手馴れてますね」

 

 

「これでも大学時代は軍でサバイバル訓練を受けたからな。遠征時に戻れなくなった時にも

役に立つぞ」

 

 

先生はいったいどんな大学生活を送ってたんですか。正直怖くて聞けないです。

 

 

「よし、男子は火の準備、女子は食材を取りに行きたまえ」

 

 

「はーーーい!」

 

 

すっかり平塚先生を尊敬した小学生達は素直に言われたとおり行動する。

 

 

 

ふと後ろを見ると食材の入ったカゴを持った由比ヶ浜がいた。

 

 

「よーし、ヒッキー!あたし美味しいカレー作るからね!」

 

 

「雪ノ下!!」

 

 

「ええ」

 

 

俺の声で察した雪ノ下が由比ヶ浜から食材の入ったカゴを奪う。

さすが雪ノ下、由比ヶ浜に料理をさせるなど食材を無駄にするようなものだ。

 

 

「ゆ、ゆきのん?!」

 

 

「ゆ、由比ヶ浜さん・・・・・・あなたはじゃがいもの皮むきをお願いできるかしら」

 

 

涙目で見つめる由比ヶ浜に罪悪感が湧いたのか、一応作業を与える雪ノ下。

今日のカレーはじゃがいも抜きか・・・・・・

 

 

 

 

「八幡、あんた起きてたのね」

 

 

「ああ、雪ノ下や葉山と仕事はしてたぞ」

 

 

そこにはエプロン姿の小南がいた。

 

 

「ふーん、まあいいわ。そういえば八幡はあたしの作ったカレー食べるわよね?」

 

 

小南のカレーか、もう半年は食ってないな。カレーしか作れないだけあってか、小南のカレーは

中々美味い。そういえば由比ヶ浜が意気込んでいたが、こっちは結局雪ノ下のカレーだよな?

 

 

「待ちなさい小南さん、比企谷君が食べるのは私と由比ヶ浜さんが作ったカレーよ」

 

 

あれ、お前らと食べるって言ったっけ? ちょっと考えてみよう、カレー鍋は三つある。

奉仕部のカレー、玉狛支部のカレー、リア充軍団のカレー、そう考えると俺は奉仕部で

食べるべきだよな。よし考えは決まった、小南のカレーは惜しいがここは雪ノ下のカレーを

食べよう。言い方は悪いが小南のカレーはいつでも食えるが雪ノ下のカレーは今しか食えない

気がする。

 

 

「なんですって?!八幡!あんた、あたしのカレーより雪乃のカレーを食べるの?!」

 

 

まさに今、それを言おうとしたところで小南がすごい剣幕で詰め寄ってくる。

言うタイミング逃したじゃねえか。ってか普通に雪ノ下のこと呼び捨てなのな、妹に罪はないぞ。

 

 

「ひ、ヒッキーはあたしたちのカレー食べたいよね?」

 

 

今度は由比ヶ浜が上目遣いで俺を見つめる。意識しちゃうからやめろ!あとお前はじゃがいもの

皮むきしかしてないからな。

雪ノ下のサポートもあってか、どうにかじゃがいも様は生還し鍋の中でぐつぐつ

煮込まれている。若干、痩せ細っているがそれでも存在を主張できるぐらいの形は残っている。

 

 

「八幡!答えなさいよー!」

 

 

小南は俺の胸倉を掴みぐわんぐわん揺らす。やめてー。

 

 

「ヒッキー!こなみんのよりあたし達のカレー食べるよね?!」

 

 

由比ヶ浜は俺の腕を掴んで抱き寄せるように引っ張る。お、おい当たってるから!

あとこなみんってなんだよ、知らないところで仲良くなってんじゃねえよ。

ってか俺の身体と右腕がバイバイしちゃいそうなんだが、誰か助けてください。

 

 

「小南、ガハマちゃん、そこまでだ」

 

 

俺を助けてくれたのはまさかまさかの本日、ほとんど気絶していて出番の無かった迅さんだ。

 

 

「なによ迅!邪魔するなら承知しないわよ!」

 

 

俺の胸倉から手を離し、迅さんに牙を剥く小南。

 

 

「ヒッキー・・・・・・あの人ってセクハラの人だよね?」

 

 

そう言って少し怯えたように俺の影に隠れる由比ヶ浜。迅さん・・・・・・あんたセクハラ男

として認識されてますよ。

 

 

「大丈夫よ由比ヶ浜さん、あの男が何かしたら私が制裁を加えるわ」

 

 

「ハハハ・・・・・・皆手厳しいなー」

 

 

もう迅さんの扱いが俺以下になってる気がする。今度飯でも奢らせてください。

 

 

「ところで腐り目君、小南と雪乃ちゃんのカレーを両方食べるのはダメか?」

 

 

「俺に2杯食えってことですか?」

 

 

まあ俺は大食いではないが、普通の男子高校生だ。カレーの2杯くらい食える。

だがそれをやると味勝負になって結局痛い目を見る気がするんだが。

 

 

「きっとその方が良い未来になるさ」

 

 

そう言って小南に向けてウインクする迅さん。

未来って・・・・・・あんたインチキ占い師にでもなったのかよ。

 

 

「――っ!八幡!あたしと雪乃のカレー両方食べなさいよ!雪乃もそれなら文句ないでしょ!」

 

 

急に迅さんに賛成する小南。いったいどうした。

 

 

「え、ええ、それなら構わないわ。比企谷君も美少女が作ったカレーを2種類も食べれて幸せね」

 

 

雪ノ下も小南の勢いに押され同意する。2種類って言っても具やルーは一緒だろ。

 

 

 

 

こうして小南はカレー作りに戻り、俺達の鍋もあとは火が通るのを待つだけとなった。

 

 

「暇なら、見回って手伝いでもするかね?」

 

 

平塚先生が来てそんなことを言う。

 

 

「小学生と話す機会もないし、行こうか」

 

 

どこまでもポジティブな葉山が、リア充共を連れて小学生達の元へ向かう。

 

 

俺はそのまま少し離れた場所にフェードアウトした、そんなめんどくさいことしたくない。

そこから料理の工程を見ていると、先ほどのぼっち少女が目に留まる。

 

 

「カレー好き?」

 

 

何やら葉山が話しかけているようだ。

 

 

「はあ・・・・・・」

 

 

雪ノ下がため息をつく、お前いつからそこにいたの?

だが、同感だ。ぼっちに声をかける時はあくまで秘密裏に、秘かにやるべきだ。

さらし者にならないように最大限の配慮をする必要がある。

 

 

「別に、カレーに興味ないし」

 

 

ぼっち少女はそう答え、その場を離れる。

いい答えだ。好意的に答えれば周りから調子乗ってると思われ、素気無く答えれば、

何様? 調子乗ってる? となる。この場は戦略的撤退しかない。

 

 

「せっかくだし、隠し味入れるか。何か入れたいものある人!」

 

 

葉山は空気を換えるためか、そんな提案をする。

 

 

「はい!あたしフルーツがいいと思う!桃とか!」

 

 

手を上げる小学生を押しのけるように由比ヶ浜がアホなことを言い放つ。

 

 

「あいつバカか」

 

 

「ホント、バカばっか」

 

 

横を見るとぼっち少女がさっきまで居た場所を睨みながらフェンスにもたれかかっていた。

 

 

「まあ世の中は大概そんなもんだ。早く気づけて良かったな」

 

 

「あなたもその大概でしょ」

 

 

「あまり俺をなめるな。大概とかその他大勢の中でも独りになれる逸材だからな俺は」

 

 

「そんなことをそこまで誇らしげに言えるのはあなたくらいなものでしょうね。呆れるのを

通り越して軽蔑するわ」

 

 

雪ノ下といつも通りのやりとりをしていると、ぼっち少女が俺達に話しかけてくる。

 

 

「名前」

 

 

「あん?」

 

 

「人に名前を尋ねるときは、まず自分から名乗るものよ」

 

 

ああ俺達の名前を聞いてんのか。それにしてもさすが雪ノ下、礼儀作法には厳しいな。

俺に対しては適用されてないみたいだが。

 

 

「・・・・・・鶴見留美」

 

 

「私は雪ノ下雪乃。そこのは・・・・・・ひき、ひきが・・・・・・ひきがえる君だったかしら」

 

 

「おい!なんで俺の小4の頃のあだ名知ってんだよ」

 

 

マジで昔のトラウマ抉るのやめてくれませんかね。

 

 

「比企谷八幡だ」

 

 

自己紹介をしていると、由比ヶ浜がこっちに走ってくる。

 

 

「んで、そこのが由比ヶ浜結衣な」

 

 

「鶴見留美ちゃんだよね!よろしくね」

 

 

鶴見は少し俯き何かを考えているようだ。

 

 

「なんか、そっちの二人は違う気がする。あの辺の人たちと。私も違うの」

 

 

「違うって、何が?」

 

 

俺と雪ノ下が普通じゃないみたいなこと言ってるけど俺は普通だからな?

普通のぼっちだからな?

 

 

「みんなガキなんだもん。だから別に独りでもいいかなって」

 

 

「でも小学生の時の思い出って大事だと思うなー。あたし達ってネイバー侵攻があったから

あんまり良い思い出ないんだよね・・・・・・」

 

 

由比ヶ浜、お前侵攻なんて単語知ってたのか。

 

 

「・・・・・・思い出とかいらない。中学入れば、他所から来た人と友達になればいいし」

 

 

「残念ながらそうはならないわ。あなたを仲間外れにしている子も同じ中学に進学

するのでしょ、なら同じことが起きるだけよ。それにネイバーが出る三門市に好んで来る人

なんて極少数よ。それが嫌なら引っ越すか留学をオススメするわ」

 

 

雪ノ下、三門市の人口が減っちゃうだろ。ネガキャンやめろ。

 

 

「やっぱり・・・・・・そうなんだ。ホント馬鹿みたいなことしてた」

 

 

「何があったの?」

 

 

「誰かをはぶるのは何回かあって・・・・・・けどそのうち終わるし、そしたらまた話したりする。

いつも誰かが言い出して、なんとなくみんなそう言う雰囲気になるの。

そんなことしてたら、いつの間にか私がそうなってた。

別に、何かしたわけじゃないのに・・・・・・中学でもこんな風になっちゃうのかな?」

 

 

鶴見はそう言うと、ぐっと拳を握り締めていた。明確な理由のないいじめというのは、

そういう順番があるのだ。だがそこで躓くとずっといじめの対象になる。みんなも

自分が標的にされるのが、怖いのだ。だから長く同じ人間がいじめの対象になることで

安堵する。

 

 

 

 

 

 

 

小学生が食事を終え、俺達は遅めの夕飯を食べていた。小南のカレーも、雪ノ下のカレーも

美味いのだが如何せん量が多い。

 

 

「ほら、あたしが食べさせてあげるわ!」

 

 

「いや、子供じゃねえんだから一人で食える」

 

 

小南がカレーをすくったスプーンを俺に差し出すが、それを拒否する。

なんでお前にあーんされなきゃいけないんだよ。

小南は拗ねたかと思うと、迅さんに話が違うと怒っていた。食事中に騒ぐなよ。

カチューシャ男とか、お前の悪い方のギャップにどん引きしてるぞ。

 

ふと雪ノ下と由比ヶ浜を見ると、さっきの鶴見のことが気になるんだろう、どこか

難しい表情をしていた。

 

 

 

なんとかカレーを食べきり満腹になった俺は皆が談笑してる中、先に離脱し森を散策していた。

ぼっちは集団行動が苦手なのだ。

 

 

「比企谷」

 

 

「なんすか」

 

 

声をかけられた方を向くとタバコをふかしている平塚先生がいた。

 

 

「今、鶴見という少女をどうするのか雪ノ下や葉山たちが話し合っていたぞ」

 

 

やはりその問題を出してきたか。まあイジメなんてのは俺達にどうにかできる問題ではない。

当人がなんとか切り抜けるしかないのだ。

 

 

「どうせ葉山はお得意の皆で話し合おうとか言ったんでしょう」

 

 

「ほう、よくわかったな。それで雪ノ下から口撃を受けていたよ」

 

 

やはりか、葉山のやりそうなことはだいたい想像がつく。あいつはいじめられたことが

ないから、そんなことが言えるのだろう。

 

 

「で先生はどうしろと?」

 

 

「あいにく私はいじめられたことがないのでな。鶴見や君の気持ちは想像でしか把握できん」

 

 

まあ先生が小学生なら友達も多そうで孤立もしないだろう。今は独身という人生の孤立を

味わっているが。

 

 

「比企谷、何か言ったかね?」

 

 

「いいえ何も」

 

 

なんでみんな心が読めるの? 俺サトラレなの?

 

 

「あいつらには任せると言ったが、我々が介入してどうにかなるものかね?」

 

 

「まあどうにもならないでしょうね。現状より悪化するのが目に見えてます」

 

 

「そうか・・・・・・仮に君が介入するならどうする?」

 

 

先生は、はぁとため息を吐き俺を見る。

 

 

「俺なら人間関係をぶち壊してリセットさせます。問題の解決ではなく解消ですかね」

 

 

「どういうことだ?」

 

 

「明日は肝試しがありましたよね、そこで鶴見のグループに俺が脅しをかけます。まあ

二人だけ助けてやるから残る奴を決めろとか言えば、鶴見以外の奴らで争いが始まります」

 

 

この方法なら仲間割れで全員が孤立する、これから友達を作れるかは鶴見次第だが。

あと俺が停学か、最悪退学になるから正直使いたくない手だ。

 

 

「その方法は教師としては認められないな」

 

 

先生は腕を組んで首を振る。まあ、そうでしょうね。

 

 

「時に比企谷、仮にだがトリオン兵が襲ってきたとしてそれを鶴見が撃破したらどうなる?」

 

 

「は?」

 

 

どういう仮定の話ですか。ここは千葉村で警戒区域外だし、ましてやボーダーでもない

鶴見がトリガーの使用なんてできないでしょ。

 

 

「いいからどうなるか答えたまえ」

 

 

俺が黙ったのを見て、先生が答えを催促してくる。

 

 

「まあ仮に鶴見がトリオン兵を倒せば、クラスでの地位は確実に上がりますね。ボーダー

に入るというのは一種のステータスになりますから」

 

 

三門市の小中高生が憧れる職業No.1がボーダー隊員だ。それに顔で選んでるんじゃないか

ってくらいボーダーには美男美女が多い。鶴見も一般的に見ればかなり美人だ。

まさかいじめていた奴がボーダーだとわかったら胆が冷えるな。

 

 

「ふむ・・・・・・ああ、そうだった。君にこれを渡すのを忘れていた」

 

 

わざとらしく思い出したように言って、何かを渡してくる先生。

 

 

「これは?」

 

 

「SGCで使われているトリガーだ。武装はないからトリオン体になることしかできないが、

SGCとボーダーの連絡員をしているデイビス少佐からのプレゼントだそうだ」

 

 

アメリカ軍のトリガーを俺に? あの人、マジで俺をスカウトしようとしてるのかよ。

しかし、武装がないってどうやってネイバーと戦ってるんだ?

 

 

「このトリガーは君に譲渡された物だ。ボーダーではない君に我々は何も強制できない。

それに、君にはトリオン兵のかまくらがいたな?」

 

 

先生がニヤリと笑う。俺はすぐさまその意味を考える。

 

 

「つまりこのトリガーを鶴見に渡してかまくらを撃退するように仕向けろと?」

 

 

「私は何も言ってないぞ、何をするか決めるのは君次第だ。そうだな、もし鶴見がボーダー

に入りたいと言うのなら玉狛預かりにしても良かろう」

 

 

相変わらずとんでもないことを言う先生だ。これじゃボーダー見学のときの三文芝居と

変わらない。とにかく明日鶴見に接触するか。武装は無くてもトリオン体の身体能力なら

派手に戦ってるように見えるはずだ。

あと小南や迅さんに手を出さないように言っておかないとな。かまくらを壊されたら小町が

悲しむ。

 

 

 

 

 

 

平塚先生と別れた俺は、迅さんと小南に話をするため二人のところへ向かっていた。

すると、なにやら話し声が聞こえてくるためその方角に向かう。

 

木の陰から覗くと、そこには由比ヶ浜と迅さんがいた。

おいおい、まさか由比ヶ浜に手を出そうとしてるんじゃないだろうな。いくら迅さんでも

それは見過ごせないぞ。

 

俺は念のためスマホの録音機能を作動させ、聞き耳を立てる。

 

 

「急に呼び出して悪かったねガハマちゃん」

 

 

「あ、あの・・・・・・あたしに何の用ですか?」

 

 

由比ヶ浜は少し怯えているようで声が上ずっている。

 

 

「いやあ、そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。ちょっと腐り目君のことで話があるんだ」

 

 

迅さんは、ハハハと苦笑しながら頭を掻いている。俺の話だと?

 

 

「ヒッキーの?」

 

 

由比ヶ浜はそう聞いた途端、怯えた表情から真剣な表情に変わる。

 

 

「ああ、その前にガハマちゃん――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――君、ネイバーだろ? ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・なんだと? 今、迅さんは何と言った。由比ヶ浜がネイバー?

 

迅さんの言葉に俺は衝撃を受け、頭が真っ白になる。そんなバカな、あのおバカで

リア充で誰にだって優しくしてくれる由比ヶ浜がネイバーだと?

 

俺はその場で木にもたれかかりながら地面に腰を下ろしていた。二人が何か話していたが

頭に入ってこず、俺は呆然としていた。

 

 

 

ふと気がつくと、もう迅さんも由比ヶ浜もそこにはいなかった。

 

俺は宿舎に戻る気も起きず、その場から動くことができなかったが手に持ったスマホで

会話を録音していたことに気づき、停止を押した。

そして再生を押し、二人の会話に耳を傾けた。

 

 

 




ガハマさんがネイバー? な展開で終わりました。

一応、補足ですが迅さんは八幡の未来は見えませんが他の人の未来予測から八幡が
何をするか限定的にですが推測できます。
あくまでも推測ですので、そこは作者のご都合主義で当たったり外れたりします←
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