やはり俺がボーダーに所属しないのはまちがっている。   作:犬ころ大佐

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お久しぶりです。

今回は書きたいことを書きました。八幡は出ません。

文章が滅茶苦茶で、情報量も分量も多いので読みづらいと思います。





【過去編】SGCと旧ボーダーと旧奉仕部?

合衆国遠征艇プロメテウス号は何度目かになるネイバーフッドに向けての遠征中である。

向かうは未知の国であり、どんな危険が待っているかもわからない。

だが、遠征艇内ではそんな緊張感の欠片もなかった。

 

 

「はあ……なんでまた私が遠征に行かなきゃならないのよ」

 

 

そう言って出発からずっと頭を抱えているのは、比企谷という女性。

彼女は戦闘員ではなくトリガーの研究開発をしており、持ち帰って来たトリガーを解析してより高性能なトリガーを作り出すのが仕事だ。

遠征は今回で三回目。初めての遠征では殺されかけ、厄介なお荷物まで連れて帰って来たのだ。遠征に行きたくないというのも無理はない。

まあそのお荷物と家庭を持ってしまった彼女が言うことではないが。

 

 

「おいおい、比企谷さんがいなきゃ、誰があいつの面倒見るんだ」

 

 

「……私はごめんだ」

 

 

「すいません、先輩……」

 

 

「ヒッキーちゃんファイト~!」

 

 

上から、林藤、忍田、平塚、由比ヶ浜である。こと戦闘においては積極的な彼等だがこうした

面倒ごとは苦手な為、由比ヶ浜以外は比企谷から目を背け、下を向いてしまう始末である。

 

 

「無様だな」

 

 

会話には参加していないが与えられた部屋は狭く、聞きたくもない会話を聞いていた雪ノ下が呟く。彼は普段無口だが、人をdisることに関しては中々饒舌になる傾向がある。

 

 

「なによ!!だったらあんたがあの人を抑えればいいじゃない!」

 

 

雪ノ下の小さく呟いた言葉も比企谷には聞こえていたようで、シートから立ち上がり彼に詰め寄る。だが彼は怒った彼女を見ても眉一つ動かさない。

 

 

「断る。俺はネイバーが嫌いだ。お前のようにあんな奴と一緒になる気がしれんな」

 

 

「ちょ、雪ノ下さんも比企谷さんも落ち着いてくれよ!」

 

 

さすがに林藤が仲裁に入る。いつも口喧嘩が絶えない先輩二人だが、今は遠征中だ。

それに忍田は我関せずと言わんばかりに目を閉じ、平塚は比企谷には頭が上がらない為、自分が仲裁をするしかないのだ。

二人に唯一対抗出来る由比ヶ浜はウフフと笑っている。

 

 

「あんたねー!!」

 

 

だが林藤の仲裁も空しく終わる。自分だけではなく、夫のことまでdisられて我慢できるような彼女ではない。

例え皆から嫌われていようと、捻くれていようと彼は自分が愛した夫なのだから。既に彼女の拳は雪ノ下に向けられていた。

 

だがそれを遮り、由比ヶ浜が雪ノ下に抱き着く。

 

 

「む~、ゆきのん君はあたしのことも嫌いなの~?」

 

 

由比ヶ浜はこちら側の世界に亡命してきたネイバーである。つまり雪ノ下は由比ヶ浜のことも嫌い……なはずである。

しかし、抱き着かれた雪ノ下は顔を赤くし押し付けられる凶悪な二つの塊の感触を味わいながら口をパクパクさせていた。

 

 

「な、なっ、離れてくれ由比ヶ浜! お、お前はネイバーだが別だ……それに俺には妻と娘が……」

 

 

と言いつつ強引に振りほどかないあたり、彼はムッツリであった。

しかしそれも仕方のないこと、彼は妻とお見合い結婚するまで誰とも付き合ったことがない。ましてや由比ヶ浜がメロンだとするなら妻はさくらんぼだろうか。

このような感触とは無縁だったのだ。さくらんぼ同士婚などと揶揄すれば資金提供が打ち切られてしまう可能性さえある。

 

 

「あたしは娘しか居ないから大丈夫よ~?」

 

 

「い、いや! 俺が困るんだ由比ヶ浜!!」

 

 

「あんたらいちゃいちゃしてんじゃないわよー!!」

 

 

すっかり毒気を抜かれた比企谷はトリオンで作った無駄に精巧なハリセンで二人をしばく。

 

 

そんな光景を見ていた林藤は顔をひくつかせ、胃を抑えていた。

寝たふりをする忍田とおろおろしている平塚を恨みながら、トリオン体で本当に良かったと思った。生身ならばすぐに胃潰瘍になる自信すらある。

 

しかし、それ以上にストレスを抱えている者が若干二名いた。

艦内の区画はシンプルでブリッジと格納庫、そして兵員輸送の為の待機室が二部屋あるだけだ。

 

全ての部屋はブリッジでモニターしており、比企谷達の騒ぎ声は丸聞こえなのだ。今回遠征に同行しているSG-3とSG-9がもう一部屋にいるのだが、さすがは軍人だからだろうか物音一つ聞こえない。

プロメテウス号艦長のカークランド大佐は生粋の合衆国空軍の軍人であるため、コースを確認しつつも眉にしわを寄せ不機嫌を隠そうともしていなかった。

まだ若いオペレーターのマークス少尉は苦笑いを浮かべるだけだったが彼もSG計画に参加しているエリートなため、彼らのやり取りには非常に驚かされたがSG-1の前例もあるため納得してしまった。こうしたふざけたやり取りをするのも連携を密にするためのレクリエーションの一環なのだろうと……盛大な勘違いだが。

 

 

『お客さん方、騒ぐなら外でやってくれ。もうじき到着するぞ! 各員配置に付け!』

 

 

「すいません大佐……ん? あいつはどこ行った?」

 

 

騒がしい先輩達に代わってカークランドに詫びを入れた林藤があることに気付く。先ほどまで話題の中心であった問題児、比企谷の夫がいないのだ。

 

 

「あら? さっきまでいたのにどこいったのかしら」

 

 

「比企谷……あのネイバーから目を離すとはどういうつもりだ」

 

 

「あんたが絡んでくんのが悪いんでしょ!!」

 

 

未だに口論を続ける比企谷達を他所にブリッジからの慌ただしい通信が聞こえてくる。

 

 

『おいどうした?! メイクピース中佐? ベントン少佐? 応答しろ!』

 

 

もう一つの部屋で待機していたはずのSGチームからの応答がないのだ。これを聞いた林藤達は

いなくなった問題児のことが頭に浮かんだ。

その場にいた全員はSGチームのいる部屋に向かう。彼らの部屋は通路を挟んで向かい側

なのですぐだ。しかし踏み込もうとする瞬間に目の前の扉が開かれた。

 

 

「おや、皆さんお揃いでどちらに? よろしければご一緒にブリッジに向かいませんか?」

 

 

そこにいたのは黒のタキシードのようなスーツで身なりを正し、厭らしい笑みを浮かべ

蛇のような絡みつく視線を送る男だった。

 

 

「っ!」

 

 

忍田はその視線を受けるだけで弧月を抜きそうになり、なんとか留まる。平塚のシェルブリットが疼き、雪ノ下は隙あらばこの男を撃つという殺気を向けていた。

それを見てニヤリを笑った男は上機嫌のままブリッジに足を進める。彼等はそれをただ見つめることしかできなかった。

 

 

「あちゃー」

 

 

沈黙の中、SGチームの部屋に入っていた比企谷の声が聞こえ、皆が我に返る。

部屋に目を向けると、SG-3リーダーであるメイクピース中佐をはじめ、SGチーム全員が床に倒れていた。

すぐさま比企谷と平塚が脈を測る。全員が気絶しているだけで命に別状はなかったため、それを聞いた林藤は安堵した。

誰がやったのか? 犯人はすでにわかっている。わかりきっているといっても過言ではない。

しかも合衆国空軍ではなく我々の中にだ。

林藤は今回の遠征で指揮権を預かっていたため、頭を抱えた。あの男の問題行動はいつものことだ。

比企谷もいるし、前より少しマシになったあの男も無茶はしないだろうと心のどこかで思っていた。だがそれは間違いだった。彼の根本は何も変わっていないし、妻がいようといまいと関係ない。彼の気まぐれしだいだ。

 

 

「何をしている!!」

 

 

ブリッジから聞こえるカークランドの怒声は事態がさらに悪化したことを告げるには十分なものだった。

 

 

「由比ヶ浜さん、彼等を頼みます。比企谷さん行きますよ!」

 

 

「はいは~い」

 

 

林藤は由比ヶ浜達にSGチームの介抱を任せ、比企谷だけを連れブリッジに急ぐ。雪ノ下や忍田を連れて行かないのは最悪の場合、遠征艇の中で戦闘が起こることを懸念しての処置だ。

 

既に遠征艇は未知のネイバーフッドに到着しており、偵察の後に部隊を展開するだけだった。

もしも友好的なネイバーが居た場合に備え、先の遠征で壊滅したSG-9を外交専門部隊として再編したのだが生きているとはいえまたも壊滅してしまっている。

そしてSG-3においても全員が海兵隊員で構成されておりSG-9の護衛と遠征艇の守備が任務であったため、今や遠征艇の安全すら脅かされている状態なのだ。

 

 

「ふむ……これですね」

 

 

ブリッジに乗り込んだ林藤が目にしたのはマークスの制止を他所に、通信装置をいじくる男の姿だった。

そして慣れた手つきでオープンチャンネルを開き、外部スピーカーを作動させる。今や遠征艇は巨大な拡声器となっていた。

男は満足そうに二ヤリと笑いマイクに向かって話し出す。

 

 

「あーあー、テステス。皆さんお元気ですか。私、無常矜侍と申します。ささやかながらプレゼントをご用意いたしましたので、是非受け取ってください」

 

 

そう言った彼はさらにコンソールをいじくる。

 

 

「無常! やめろ!」

 

 

「武器管制システムが起動!? レールガンが発射態勢に入っています!!」

 

 

林藤が無常を取り押さえるがその前に発射コマンドを入力する無常。

その瞬間、プロメテウスの艦首レールガンの発射音がブリッジに響く。

装弾数1万発のレールガンがマッハ5で目の前に広がる森や遺跡らしき建造物に放たれる。

レールガンは実弾な為、トリオン体にはさして効果はないが生身の人間にとってはオーバーキル、ただの肉片になるほどの威力を持っている。

 

 

「なんてことを……」

 

 

もし無辜の民がいたら、と思うと林藤は歯噛みする。

 

 

「大丈夫よ、林藤君。彼を放してあげて」

 

 

「比企谷さん……?」

 

 

比企谷に優しく肩を叩かれ、無常を放す林藤。無常は何事も無かったように立ち上がり、比企谷を見て厭らしく微笑む。

 

 

「気付きましたか、流石ですね。この世界に来てから感じるんですよ。かつて私が感じた心の渇きをね」

 

 

「……ゴアウルドがいるのね」

 

 

「なんだと!!」

 

 

カークランドは驚愕する。ゴアウルドを感知できる無常のこともそうだが、本当にゴアウルドがいるならすぐに撤退しなければならない。

 

ゴアウルドとはトリオンの多い人間に寄生するネイバーである。寄生された者は目が光り、トリオン体でなくても超人的なパワーを得るのだ。

癌やケガなども治療されるためゴアウルドの捕獲研究も上層部では検討されている。

しかし性格は残虐非道で他の種族から先端技術を盗み、恐怖と暴力で人間を支配しているため必ず戦闘になる。

そして、その軍は強力で数多くのトリオン兵とジャファと呼ばれるネイバーを主力として戦場に駆り出している。

ゴアウルドは自らを神と称してジャファに神として崇めさせ、奴隷としているのだ。

 

これまでの遠征でも多くのSG隊員がゴアウルドによって殺されている。しかも今はSGチームが戦闘に耐えうる状態に無く、ゲストしかいない。よってカークランドは決心する。

 

 

「撤退する。マークス、ミサイルを撒いて敵の追撃を鈍らせろ」

 

 

「お待ちなさい! 撤退は許しません!」

 

 

そこに無常が物申す。元はと言えば彼がレールガンを撃たなければ、相手に通信を送らなければ、SGチームを気絶させなければ、何もせずただゴアウルドがいると教えてくれれば……こんな切迫した撤退劇にはならなかったと、カークランドは腸が煮えくりかえる思いを呑み込み、無常に聞き返す。

 

 

「ゴアウルドがいる以上、1000人以上のジャファがいるはずだ。なのに我々に留まって戦えと言いたいのですかな?」

 

 

「その通りですよ、艦長」

 

 

「なっ!!」

 

 

精一杯の皮肉を込めたつもりだったがまさかその通りと言われるとは思わず声が出るカークランド。

支配階級のゴアウルドがいれば戦力は少なくてもジャファが1000人に母艦と大量のトリオン兵がいるだろう。

対して我々の戦力はボーダーからのゲスト5人だ。1000人中トリガー使いが400人程度としても分が悪すぎる。

 

 

「どうやら艦長は私たちのことを過少評価してるようですね。比企谷さん、貴女からもおっしゃってください」

 

 

「今はあんたも比企谷なんだけどね……名前で呼びなさいよ。あー、艦長? ちょっと外を見てくれる? 林藤君も」

 

 

なにやら寂しそうに比企谷は呟いたあと、カークランド達の目を外を映しているモニターに促す。

 

 

 

 

そこには3人の人影があった。

 

 

「おいいいいいいいいいいい?! あんのばかやろー共!!」

 

 

林藤がキレる。もう彼の胃は限界寸前だ。なんと外には部屋に残してきたはずの雪ノ下、忍田、平塚がいたのだ。

そして遠くの方からはトリオン兵とジャファの姿も見える。

 

 

「さあ林藤さん、私たちも行きましょうか。パーティに遅れてしまいますよ。んふふふふふふ」

 

 

「行ってらっしゃい」

 

 

「もう嫌だ……帰りたい」

 

 

笑顔の比企谷に見送られ、ずるずると無常に引きずられていく林藤。

無常達が外に出るのを確認した比企谷は満足そうに艦長に告げる。

 

 

「という訳で艦長、残ったミサイルも全部撃っちゃって!」

 

 

「……了解した。マークス、ミサイル全弾発射。目標正面ジャファ部隊」

 

 

「イエッサー!」

 

 

もうこいつらには何を言っても無駄だと悟ったのだろう。カークランドは素直に従った。

彼は遠征に行く前にハモンド司令から、大事なゲストであるボーダーの隊員を全員無事に連れて帰るよう命令を受けている。

ゲストを残して撤退できない以上、彼等と共に戦わざるをえない。

プロメテウスの武装は全て実弾で積載量の関係からレールガンの予備マガジンは無く、ミサイルも全弾発射を命じてしまった。

つまり今のプロメテウスに武装はない。

 

発射管からミサイルが射出される。40発ものミサイルがジャファ目掛けて進む。トリガー使いには効果がないが生身のジャファには十分だ。

カークランドはそれを見届けると自身も席を立つ。もちろん遠征にあたって、カークランドもトリオン体になっているし武器は誰でも使えるように開発された対トリオン兵用の銃もある。

SGチームが復帰するまでゲストと戦線を支えれば、まだ勝機も撤退のチャンスもある。彼はそう考えていた。

 

 

「こら、どこに行くのよ艦長」

 

 

「ぬうっ!」

 

 

そんな彼の考えを知ってか知らずか比企谷がものすごい力でカークランドの肩を押さえ、シートに座らせる。

 

 

「まあ見てなさいよ。お楽しみはこれからなんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、外に出ていた三人は……。

 

 

「俺が母艦をやるから援護しろ」

 

 

「何言ってんだ雪ノ下さんよぉ! んなもん早いもん勝ちだろ?」

 

 

「そうだ。それに援護ならあんたの方が向いてるだろ」

 

 

「逸るなよ、若造どもが」

 

 

「なんだとぉ?!」

 

 

 

 

喧嘩していた。

 

 

 

 

「皆さん、好き勝手におやりなさい。なあに、援護はここにいる林藤さんがやってくださるそうですよ」

 

 

「はあ?!」

 

 

そこに先ほど外に出てきた無常と林藤が加わる。

 

 

「るせえ!! てめえに指図されたかねえんだよ! ……まあ林藤さんなら任せられるけどよぉ」

 

 

「無常に同意するのは癪だが、無理に連携するより各個に戦った方が良いだろう。それに匠がいるなら安心だ」

 

 

「……良かろう。援護は林藤、お前に任せる」

 

 

なぜか自分に絶対の信頼を寄せる戦闘狂ども。こんな状況でなければどれほど嬉しかったか。

 

 

キイイイイイイン。

 

 

そんなやり取りをしていると上空から高速で飛翔する物体が接近してくる。

ゴアウルドの戦闘機型トリオン兵、デスグライダーと中距離爆撃型トリオン兵のアルケシュの編隊だ。

ゴアウルドの戦術はデスグライダーとアルケシュによる爆撃で抵抗を無力化した後にジャファで制圧するというシンプルなものだ。

だがシンプルなだけに物量を活かしたこの戦術は効果的なのだ。

 

 

「さて皆さん、行きましょう。楽しい楽しい宴の始まりです。んふふふふふふ」

 

 

「お前が仕切るな……旋空!」

 

 

忍田から放たれた斬撃がこちらを攻撃しようと接近してきた空中のデスグライダーを切り裂く。

 

 

「お見事」

 

 

射手ではない忍田をはじめ近接メインのアタッカー達にとって空中戦は鬼門であった。

もちろんこなせないことはないが、多対戦闘において一々跳躍していては隙が大きくなる。

「銃が嫌なら斬撃を飛ばせばいいじゃない」、これは比企谷の言葉である。

そんなアントワネッた比企谷の名言を元に開発されたのがオプショントリガー旋空である。

 

 

「やるじゃねえか! 忍田ァ!」

 

 

「……さんをつけろよ、デコ助野郎」

 

 

忍田の返しには気にも留めず、平塚が叫びながらアルケシュ目掛け跳躍する。

 

 

「まずはてめえだ! 衝撃のファーストブリットォォォォォォォ!!」

 

 

背中に3本ある内の1本の羽根が消え、さらに加速が増す。そのままの勢いでシェルブリットを突き出し、アルケシュの横っ腹を貫く。

彼女の拳の前では硬い装甲も意味を成さず、制御を失ったアルケシュは墜落していく。さらに平塚はその墜落するアルケシュを蹴り、次の獲物へと向かっていく。

 

 

「あいつめ、突っ込みおって。母艦を狙いに行くつもりだな」

 

 

そう言った雪ノ下はスラスターブーツで跳び、平塚とトリオン兵の戦闘地点から直線上に移動する。

 

雪ノ下は父をネイバーに殺されている。彼は世界的に名高い雪ノ下グループの総帥を父から引き継ぎネイバーや元々資金提供をしていたボーダーの存在を知ることとなった。

彼は自ら開発したトリガーを使いボーダーとは別に町を守っているのだ。

彼の通り名はアイアンマン。その名前の通り、トリガーを起動すると全身がトリニウムの鎧で包まれる。

 

通常の攻撃手段は両手のリパルサーレイを撃つのだが、今回は違った。彼は両手のエネルギーを胸部のトリオンリアクターに集める。

 

平塚を狙っていたグライダーの一部が、雪ノ下に収束されていく膨大なエネルギーを感知し目標を変更する。

しかし、そのグライダーが雪ノ下に攻撃をすることはなかった。

一瞬の内に、向かっていたグライダーをはじめ、平塚と戦闘をしていたグライダーやアルケシュをも巻き込む極太のビームが発射される。

もちろん射線上には平塚もいる。

 

 

「うおおおおおおおおおおおお!! あのくそじじぃ! やりやがったなァ!!」

 

 

ビームを感知した平塚は、すぐさま近くのアルケシュを蹴り、高速で地表へと退避する。

上を見上げればビームに巻き込まれたトリオン兵が爆散し、さながら綺麗な花火のようだ。

 

 

「たーまやーってか。雪ノ下のおっさんは後でボコるとして……今度はこいつらかよ」

 

 

目の前には無数に広がるジャファの大軍。しかし、その中で見慣れた飛ぶ斬撃と稲妻のような光があった。

 

 

 

平塚と雪ノ下が空中戦を開始した頃、忍田と無常は早々に分かれ、ジャファと戦っていた。

別に策略で分断された訳ではない。互いに連携を必要としなかった、ただそれだけ。

 

 

「食らいなさい。ホワイト・トリック&ブラック・ジョーカー」

 

 

無常の左腕が白く、右腕が黒く、ドリル状に捻じれジャファの身体に突き刺さる。

 

 

「ぎゃあああああああああああああああああああ」

 

 

突き刺さったその腕から電撃のようなエネルギーが放たれ、内側からジャファの肉体を焼き焦がす。

 

 

「やはり物足りませんねえ」

 

 

こうしている間にもジャファからの攻撃がきているのだが、彼のシールドがまるでそれを意に介さないかのように防いでいる。

ジャファは基本的にエネルギーガンという槍状の武器を装備している。先端から放たれる攻撃はアステロイドを超える威力で生半可なシールド程度なら一発で破れるのだが、ブラックトリガーの無常相手にはそうはいかなかった。

 

そこへ無数のアステロイドがばら撒かれる。生身のジャファはそのまま撃ち抜かれ、トリガー使いのジャファはシールドでガードする者と、そのままトリオン体を破壊され生身のジャファと同じ運命を辿る者に分かれる。もちろん無常にも当たっているがシールドが弾いている。

 

 

「おい、無常! 遊んでないでさっさと片付けろ!」

 

 

機関砲型アステロイドをぶっぱなしながら叫ぶ林藤。彼は戦闘員だけでなくエンジニアとしての顔も持っている。

無数にいるジャファは試作トリガーを試すには絶好の機会でもあった。

 

 

「ちっ、やっぱり消費が激しいな。こいつはダメだな」

 

 

後に落ち着いた筋肉が使用することになる機関砲型を消し、次の試作トリガーを出す。

 

 

「ガイスト 起動」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方の忍田は次々とジャファを斬り捨てていた。

弧月しか装備していない彼を見たジャファ達は距離を取って遠距離攻撃で仕留めようとするが、すぐさま距離を詰められ数人が一瞬で斬られる。

そもそもが1対数百の戦いのなのでジャファは同士討ちを避ける為に攻撃を控え戦力的には多勢に無勢でも忍田が一回に相手をするのは十数人くらいなのだが、倒しても倒しても現れるジャファを前にさすがの彼も辟易していた。

 

前方から迫ってくる数発のエネルギーガンによる攻撃を弧月で弾き、撃ってきたジャファに当てる。

まさか自分の攻撃を弾き返されると思っていなかったのか、トリオン体を破壊されたジャファはその場で一瞬立ちすくむ。戦場においてそれは致命的で、忍田から放たれた旋空によって切り刻まれる。

 

 

「……つまらん」

 

 

戦闘において忍田は強い奴と戦うことを楽しみにしていた。そのためには自分も強くなる必要があった為、死ぬほど訓練もしたし、目につくものは何でも斬った。

当時、ボーダー内で最硬級と言われていた城戸の車を真っ二つにしたこともあった。

その後まるでネイバーでも見るかのような目で忍田を見る城戸によって、彼の愛用していた弧月も真っ二つにされてしまったのだが。

 

とにかく忍田は、ただ目の前に現れるジャファを斬るだけの作業がひどく空しかった。無感情でジャファの命を奪っていくよりも、もっと熱く血の滾るような戦いがしたい。

 

ふと遠くに目を向ける。その行為は自ら死に向かうようなものであったが、彼はシールドも使わず、右手に持った弧月のみでエネルギーガンの攻撃を弾き続ける。

 

林藤が何やら叫んでいるが、その先に無常がいることを確認する。

無常矜侍、彼と初めて会ったのは遠征でロストグラウンドを訪れた時だ。この国ではゲートが全てロストグラウンドに繋がり、本土に行くことが出来なかった。

そこで現地のネイバーの協力を得て、本土に向かおうとした矢先に立ちはだかったのが無常である。

彼は本土側から派遣されたブラックトリガー使いで、すぐさま戦闘になったが結果は敗北。

自分だけではなく林藤や平塚も少なくない手傷を負った。その時は居合わせたネイバーとロストグラウンドの治安部隊の制服を纏ったネイバーが無常と戦闘になった為、何とか逃げおおせることができた。

 

その後のロストグラウンド全土を巻き込んだ戦いにおいて無常を追い詰めることに成功したが、比企谷によって彼をボーダーに迎えることになった為、結局彼を倒すことは叶わなかった。

だが今思い起こせば、無常との命懸けの戦いは他のどの戦いよりも自分を高揚させたと忍田は思う。

 

だがそんな思考も打ち消される。上空から多数のトリオン兵の残骸が忍田の上に降ってくる。

雪ノ下やシェルブリットを起動した平塚が他人のことを考えて、戦闘をするなど有り得ないとわかってはいたが、実際にあいつらのせいで危機に直面するとなると腹も立つ。

 

どのみち残骸を回避するなら前進して敵を突っ切るか後方に撤退するしかない。

撤退するなど端から頭にない忍田は前進を決めた。動線上のジャファだけを倒し、残りは降ってくる残骸の餌食にすればいい。今は素早く敵を抜け、母艦を潰す。

そうすれば真っ先に母艦を潰したがっている雪ノ下や平塚の悔しがる顔が見れるだろう。

後に新生ボーダーで本部長を務めるような男とは思えない私的な考えを浮かべながら忍田は走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「静ァ!!」

 

 

「シズカじゃねぇ! カズマだ!!」

 

 

「お前は静だろうがァ!!」

 

 

降ってくる残骸を避ける為、林藤は走っている。忍田のように母艦を破壊しようとは思っていなかったが仲間の援護の為なら、と前進を選んだ。

そして偶然にも残骸を降らせているアホの片割れである平塚に出会ったのである。

 

 

「おい! 流星群みたいに残骸が降ってきてるぞ!!」

 

 

「雪ノ下のおっさんに言ってくれよ! 俺より遥かにあのおっさんの方がトリオン兵落としてんだろォ!」

 

 

このシェルブリットを起動すると二重人格のように性格が激変するトンデモ女子大生に文句の一つでもと思ったが、確かに上を見れば雪ノ下が縦横無尽に飛び回り、グライダーやアルケシュをリパルサーで撃墜していた。当然その残骸は下に降り注ぎ、近くのジャファを潰していく。

 

 

「……今のは近かったな」

 

 

「林藤さん、俺よりあのおっさんをどうにかした方がいいぜ?」

 

 

おどけたように言う平塚はさらに加速し、林藤を置いて先行する。おそらく雪ノ下より先に母艦の破壊に向かうのだろう。

そんな平塚の背中を見つめ、林藤はため息を吐く。なぜあんな風になってしまったのだろう。

 

平塚は同期ではあるが、明るく先輩先輩と着いてくる最年少の彼女を林藤をはじめ皆は可愛がっていた。

中でも比企谷には懐いており、遠征では比企谷とチームを組むことが多かった。

後に弟子の木崎レイジがなるパーフェクトオールラウンダーで、弧月、MP5型、M16型、M82型を使いこなし近中遠全てに対応でき、最年少ながらもその戦闘能力は高かった。

 

そして無常を仲間に引き入れた後日、ロストグラウンドへの再度の遠征を行う為、比企谷、無常、平塚の三人が派遣された。

しかし、遠征から帰って来た平塚は血まみれで死にかけていた。比企谷の話によると、現地のネイバー同士の争いを止めようとしてトリオン体を破壊され生身に攻撃を受けたとのこと。

彼女のトリガーは破壊されたが比企谷が作ったという改造トリガーによって命を取り留めたらしい。すぐにSGCのフレイザー軍医の元、手術が行われた。

 

術後、彼女の病室には比企谷ら同期組だけでなく、空閑や最上、城戸、雪ノ下までもが見舞いに来ておりそれだけで平塚がどれだけの人に可愛がられていたかわかるだろう。

 

彼女が目を覚ます直前、右手の甲に埋め込まている改造トリガーらしき物が光輝いた。瞬間、彼女の右腕は金、赤、橙色の装甲で覆われ、背中には三枚の羽根が生えたような形状に変化した。

 

その姿はロストグラウンドで共闘した、ある人物のトリガーを思い出させる。

 

そして平塚は目を覚ます。

 

 

「劉邦ォォォォォォォォォォォ!!」

 

 

突然叫びだした平塚は飛び起き、見舞客に向け拳を振るう。彼女が変化した時点でトリオン体になっていた彼等はすぐさま回避行動を取った。

 

彼女の拳は病室の壁をぶち抜き、通路へと飛び出す。

すぐさま非常警報が発令され、アラームが基地全体に響き渡り、病室付近にいた基地衛兵が集まって来る。

数分もすれば完全武装した衛兵も駆けつけるだろう。

 

城戸は衛兵に手を出すなと告げ、空閑と最上が錯乱した平塚を抑えつける。そこに雪ノ下や忍田、林藤も加わった。

しかし、彼女は暴れることを止めず、凄まじい力で彼等を振りほどこうとした。

 

 

「暴れてんじゃないわよーーーーーー!!」

 

 

バッチィィィィン!

 

 

比企谷の渾身のビンタが平塚の頬を打ち抜く。

 

 

「いってえええええええええええええええ」

 

 

トリオン体だが痛覚を遮断してなかったのだろうか。頬を抑えた平塚が痛みで、その場に蹲る。

 

 

「ほら、さっさとベッドに戻りなさいよ」

 

 

「あ、姉御……」

 

 

「誰が姉御よ!!」

 

 

「いでっ!」

 

 

確かに比企谷と平塚では歳が10は離れているので間違ってはいないが、比企谷はそれを良しとしなかった。

痛覚が遮断されておらず、トリオン体で傷口も開く心配がないからか、遠慮なく平塚を踏みつけベッドに引きずる。

 

それから平塚が任務に復帰するまで一か月。生身はいつも通りだが、トリガーを起動すると性格が変わり口調も変わってしまうようになった。

 

その件に関して比企谷が問いただされる。

 

 

「あいつのトリガーに似せて作ったら性格まで変わっちゃったわ。てへぺろ」

 

 

このあと城戸に滅茶苦茶説教された。

 

 

 

 

遠い昔、と言っても半年前のことを思い出し、なんとも言えない気分になる林藤。

もはや降り注ぐ残骸から現実逃避しているだけかもしれないが、足だけは動いている。

 

森を抜け、残骸の降らないエリアまで退避できたことに安堵する。

そして目の前の開けた場所にはゴアウルドのハタク級母艦が鎮座していた。全長約2000mの巨大な母艦を目の前に息を呑むが、すぐに母艦の至る所から爆発が起きる。

 

母艦の内側から外装をぶち破って出てくる忍田と平塚の姿を確認する。いつの間に忍田まで母艦に辿り着いていたのだろうか。

そんな疑問を持ったが、後方から放たれたビームが母艦に直撃したことで思考を中断させられた。どうやら雪ノ下も母艦に辿り着いたらしい。

 

 

「どいてろ貴様ら、もう一発いくぞ」

 

 

「俺の獲物だあああああああああああああ」

 

 

「ちぃっ!!」

 

 

もはや母艦は穴だらけでシールドや武器も機能していないようだ。

雪ノ下の一欠片の良心からくる退避勧告に、平塚はさらに対抗心を燃やし、母艦に突っ込む。

さすがに攻撃力で劣るノーマルトリガーの忍田は、あと一撃で母艦を破壊出来ないことを理解しており悔しそうに退避を選んだ。

 

だが雪ノ下のユニ・ビームと平塚のシェルブリットが直撃する瞬間、母艦の姿がぶれ出し、姿を消した。

 

 

「あァ?!」

 

 

跡形もなく消えた母艦をすり抜け地面に着地した平塚は、何が起きたか確認する前に雪ノ下の放ったビームに晒される。

とっさに彼女はシェルブリットを迫りくるビームに向けて突き出す。

 

 

「ふざけんじゃねえええええええええ!!」

 

 

凄まじいエネルギーがぶつかり合うが、何とか相殺に成功する。しかし無傷とはいかないようで所々、トリオンが漏れ出している。

 

 

「くそっ! またてめぇか無常!!」

 

 

母艦を消したであろう犯人が誰かなのは平塚や他のメンバーにもわかっていた。

吸収能力を持ったブラックトリガー、アブソープションを使う無常矜侍だ。

 

消耗した平塚はその場に胡坐をかき、無常を睨み付けながら悪態をつく。

 

 

「これで私のスコアは母艦10隻ですネ」

 

 

そんな平塚を無視して、自分のスコアをマークする無常。平塚、雪ノ下、無常は倒した母艦の数を競っている。

一番スコアの多い者が勝者で、勝者は敗者二人に何でも命令ができる。

期限は決まってないが、現在のスコアは平塚が6隻、雪ノ下が6隻、無常が10隻である。

 

つまりこの三人だけで3隻いれば普通の惑星国家を壊滅させることができるハタク級母艦を22隻破壊していることになる。

 

 

「ちっ、ゴアウルドには逃げられるし獲物は横取りされるしよぉ。なぁ、さっさと帰ろうぜ」

 

 

パッと立ち上がり、皆に帰宅を促す平塚。母艦が攻撃される前にゴアウルドは脱出していたらしく母艦をガードしていたジャファは戦意を喪失していた。

そのおかげで平塚と忍田は楽に母艦の内部に侵入し、思いっきり暴れることができた。

 

 

「そうだな、比企谷さん終わりました。トリガー回収お願いします」

 

 

林藤が遠征艇で待つ比企谷に連絡を入れる。ここからは戦闘員ではなくエンジニアの出番である。

倒したトリガー使いのジャファ達が持っているトリガーの中で、無傷な物を回収するのだ。

作業としては、約1000人いるジャファを一人ずつ調べなくてはならないのだが、トリガーを探知するPDAと由比ヶ浜の開発した磁石のようにトリガーを引き寄せるトリガーのおかげで作業効率は格段に上がった。ジャファの死体の中を散歩してトリガーを集め、SGCに帰還後トリガーの選別をするのは開発部の連中なので楽なものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「了解、お疲れさま。さて艦長……艦長?」

 

 

「…………」

 

 

林藤から戦闘終了の報告を受けた比企谷は回収作業を行うべくカークランドに声をかけたのだが、彼は口を半開きにしたまま茫然とモニターも見つめている。

 

 

「はあ……」

 

 

ゴアウルド相手に真正面からぶつかって勝つことに驚くのはわかるが、艦長として思考停止状態になることはあまりよろしくない。

スターゲイト計画が始動して2年経つが、未だに人員の経験不足が目立つ。

おそらくSGCの中で我々と同等なのはジャック・オニール大佐率いるSG-1くらいなものだろう。

比企谷は艦長への報告を諦め、由比ヶ浜を呼びにブリッジを後にする。

 

 

 

 

 

「あ、ヒッキーちゃん!」

 

 

SG隊員達を寝かせ、看護していた由比ヶ浜は比企谷が来たことに気付く。

 

 

「トリガーの回収に行くわよ。二人で手分けすればすぐ終わるわ」

 

 

「はぁ~い」

 

 

大きく手を上げ、間延びする声で返事をする由比ヶ浜。相変わらずどんな状況でもマイペースな子だと再確認した比企谷は、またため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャファのトリガー回収を終え、比企谷と由比ヶ浜はプロメテウスに戻っていた。

今回、回収できたトリガーはわずか46個。ほとんどがトリオン兵の残骸に潰されており、この中から使える物だけを選別すると半分以下になってしまうだろう。

これには比企谷もガッカリした様子で雪ノ下にぶつぶつと文句を言っていた。シェルブリットを解除した平塚は正座している。

 

そしてプロメテウスの格納庫ではオペレーターのマークス以外、全員が集まっている。

SGチームも意識を取り戻し、今回の事情説明を求める為にカークランドが全員を集めたのだ。

 

 

「それで……我々を襲った理由を聞こうか? ミスター無常」

 

 

「私はただ、皆さんにお怪我をして欲しくなかっただけです。皆さんが傷つくと比企谷さんが悲しむ。ええ、彼女の悲しむ顔を見たくないのです」

 

 

「つまり我々が足手まといだった、と言いたいのだな?」

 

 

いつもの飄々とした態度で答えた無常に対して、ノロケはともかく無常の言わんとすることを正確に理解したメイクピース中佐が無常を睨み付ける。

彼はアビドース作戦こそ参加していないがオニールやコワルスキーらと並んで最先任士官であり、対ネイバー戦闘の経験も豊富だ。

だからこそ、SGチームの戦闘支援や遠征艇の護衛を担当する為に海兵隊で構成されているSG-3を任されている。

そんな自分を、目の前のネイバーは足手まといと言う。軍人、戦闘のプロとしてのプライドを傷つけられたが、メイクピースは自分を律して怒りを抑えた。

しかし、部下の方はそうはいかなかった。

 

 

「足手まといだと?! ネイバーの癖に舐めたこと言うんじゃねえ!!」

 

 

「ジョンソン!」

 

 

SG-3のメンバーであるジョンソン中尉が無常に殴りかかろうとするのを、他のメンバーが止める。

彼はネイバーにあまり良い印象を持っていない。

それでも、未知のネイバーフッドに遠征をするにあたっての心理テストなどはクリアしているが、味方であるはずの人間、それもネイバーに襲われたことによって感情が昂っていた。

 

 

「レイザ、ジョンソンを連れていけ! 頭を冷やさせろ」

 

 

「タークマン、ウィンタース! お前らも着いて行け」

 

 

メイクピースから命令を受けたレイザ中尉がジョンソン中尉を待機室に連れて行く。ジョンソンは素直に従ったが、レイザ一人では不安に思い、SG-9リーダーのベントン少佐が部下二人にも命令を出した。

 

 

「ともかく! 今回のことはハモンド将軍にもしっかりと報告させてもらう。二度とこのようなことはしないでもらいたいな。我々は味方だろう?」

 

 

一度仕切り直し、改めてメイクピースが無常に対し、問いかける。

 

 

「そうですね。私もいささかやりすぎました。今後気を付けましょう」

 

 

嘘か本当かはわからないが一応は改心したように振る舞う無常。後ろで比企谷が笑いをこらえているのは気のせいだろう。

 

 

「それと、そこで関係なさそうにしている三人! 君たちも遠征中、勝手な行動は慎むように!」

 

 

カークランドが声を上げた先には格納庫の隅でPDAをいじっている雪ノ下と素振りをしている忍田と正座している平塚がいる。

 

 

「ううう……ごめんなさい」

 

 

当然ながら答えたのは平塚のみだ。痺れた足を由比ヶ浜がつついているのも気のせいだろう。

 

まったく反省の色を見せないボーダー面子にカークランドもメイクピースも呆れて物が言えなかった。

 

 

「さて、話も終わったようだし帰りましょう艦長」

 

 

パンと手を叩き、帰還を促す比企谷。

 

 

「そうだな……私は疲れたよ」

 

 

「俺もです」

 

 

出発前より何歳か老けたようなカークランドと、それに同意する苦労人の林藤。

後に林藤の奢りでメイクピースも含めて三人で飲みに行ったのはまた別のお話。

 

 

こうして、SGCとボーダーの共同遠征は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「予定外のゲート接続!!」

 

 

ここはコロラド州シャイアン山の地下にあるSGC、地下28階にあるゲイトルーム。

この中のコントロールルームでゲートがいつ開かれるかどうか24時間体制でチェックしている。

 

まさに今、ゲートが開かれようとしていた。警報とともに基地衛兵が銃型トリガーを構え、配置につく。

 

 

「IDシグナルを確認、プロメテウスです」

 

 

「よし、アイリスを解除しろ」

 

 

SGCにはアイリスと呼ばれるゲート妨害装置が設置してあり、遠征に出るチームや渡航を許可されたネイバーはそれぞれ決まった識別信号を送ることによって、ゲートを開かせ帰還することができる。

しかしアスガードやトランなどかなり進んだ技術を持つネイバーには通用しないが今のところ宿敵ゴアウルドには通用している為、国内にネイバーが襲撃してくることはかなり少ない。

 

基地オペレーターであるウォルター・ハリマン軍曹の言葉を聞き、アイリスの解除を命じる基地司令官のジョージ・ハモンド少将。

その顔には部下の帰還と知り、安堵の表情が見て取れた。

 

アイリスを解除すると、ゲイトルーム内がまばゆい光りに包まれ、十数人の人影が現れる。

プロメテウスに装備された転送ビームによって転送されたボーダーメンバーとSGチームである。彼等の姿を確認すると、衛兵達が銃を下ろす。

 

 

「ご苦労だった。検疫とメディカルチェックの後は、すぐに報告をしてもらう」

 

 

ゲイトルームに降りてきたハモンドがSGチームに声をかけ、ボーダーメンバーに向き直る。

 

 

「ボーダーの皆さん、ご苦労様でした。全員無事で何よりです」

 

 

「どうも将軍、まあ……またうちのがやらかしちゃったんですけどねー」

 

 

ハモンドの労いの言葉に、あははと今回あったことを思い出して苦笑する比企谷。

 

 

「それは……報告を聞くのが怖いですな」

 

 

彼女の言葉を聞いたハモンドも今までのことを思い出したのか、同じく苦笑する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠征後、カークランド大佐はプロメテウス号艦長職を辞して原隊復帰し、後任にはライオネル・ペンダーガスト大佐がその任に就いた。

今回臨時でオペレーターの任についたケヴィン・マークス少尉は中尉に昇進し、本来のオペレーターであるエリン・ガント少佐の下でサブオペレーターを務める。

そして後に就役するダイダロス級遠征艇オデッセイでオペレーターを務めることになる。

 

雪ノ下は世界中にあるグループ傘下の企業の視察に向かい、新たな同士を見つけることになる。

 

無常、比企谷、由比ヶ浜は日本に戻り、久しぶりに会う子供たちと過ごした。

 

忍田、林藤、平塚も日本に戻り、城戸や最上に今回の遠征についての報告を行う。忍田と平塚には説教が待っているだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 




旧奉仕部
雪ノ下パパ→アイアンマン
由比ヶ浜マ→ネイバー技術者
比企谷母→エンジニア
比企谷父→無常矜侍

まあ当時、奉仕部なんてものはないんですが。

アイアンマン出したし特別製のスパイダーだけを使って戦うスパイダーマンってのが居てもおかしくないよね。

マーベルトリガー!
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