やはり俺がボーダーに所属しないのはまちがっている。   作:犬ころ大佐

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戸塚ってよく天使とかトツカエルとか言われるじゃないですか。

あぁフロンが痛い。寝不足かな。


14話(千葉村)

 

「……ん~、はち……まん」

 

 

宿舎に戻った俺は寝床にいる……のだが、隣の戸塚が可愛すぎてすぎて眠れん。

そっとはだけていた布団をかけなおしてやる。……これがお泊りシチュか。

 

 

「えへへ、僕は……ずっと八幡の味方だよ……」

 

 

いったい何を寝言で言ってんだ戸塚。くそ可愛いじゃねえか。

 

 

「ありがとな戸塚」

 

 

小さく呟き、俺は目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八幡」

 

 

んん……誰だ俺を起こすのは……。

目を開けると、そこに居たのはいつもの可愛い戸塚だった。だが何故か違和感がある。

 

はっ? さっきまで俺が寝ていた宿舎じゃないぞ!

周囲を見渡せば近代的な内装で、どこかボーダー本部に似てるような開けた場所。だが本部とは違って幻想的とも思えるような雰囲気だ。

 

 

「やっと起きたね八幡」

 

 

「戸塚、ここはどこだ? 」

 

 

「僕のお家……じゃなかった。ここは八幡の夢の中だよ」

 

 

何やら聞き捨てならないようなことを言った気がするが、どうやらここは俺の夢らしい。夢にまで戸塚が出るなんて俺って戸塚大好きじゃねえか。そういや前にも戸塚が彼女だった夢を見たな。あの時は戸塚のこと知らなかったけど。

 

 

「そうか、夢か。夢でも戸塚に会えて嬉しいぞ」

 

 

そう言うと、戸塚は目を輝かせ、嬉しそうにはにかむ。

 

 

「ホントに?! えへへ、じゃあこれからも夢に出ようかな……」

 

 

何やら小声で言っているが、聞こえている。どうやら俺の深層心理では戸塚が夢に出ることを求めているようだ。間違いない。

 

 

「それで、どうして戸塚が夢に出てきたんだ? 」

 

 

「結衣ちゃんや雪ノ下さん、鶴見さんのことで悩んでたでしょ? 僕、八幡の力になりたいんだ! 」

 

 

どうして戸塚がそれを、と思ったがここは俺の夢の中だった。つまり俺が戸塚の姿をイメージしてるだけで現実の戸塚じゃない。こんな夢を見るなんて……ぼっちを極めてたと思ったが、最近人と関わりすぎて心が弱くなった証拠だな。

 

それにいくら戸塚の姿していても、つまるところ俺だろ。俺が俺の力になったって、結局は俺の力だ。

 

 

「むぅ……酷いよ八幡。ちゃんと僕のことを見てよ! 」

 

 

少し潤んだ目で睨み付けてくる戸塚。まったく怖くないし、むしろ可愛い。

ぐぅ……なんだか罪悪感が。騙されるな俺。これは俺の心の弱い部分が見せる幻だ。

あれ? そういや俺喋ったっけ? まぁ夢だし、仕方ないか。

 

 

「はぁ……八幡だから仕方ないよね。じゃあ八幡のブラックトリガー貸して? 」

 

 

戸塚にまで呆れられる始末。これ現実だったら俺泣いてるからね?

俺は何の躊躇もなく、戸塚にブラックトリガーを渡す。どうせ夢だから何の問題もないだろう。

 

トリガーを受け取った戸塚は近くにあった見たこともない機械を作動させ、小さく穴の開いた部分にトリガーをはめ込む。謎の機械は音もなく静かで、ブラックトリガーだけが淡く光っていた。

 

 

 

 

 

 

「うん、出来たよ八幡! 」

 

 

しばらくして光が消えると戸塚はそこからトリガーを抜き、俺に渡してくれる。

何やら一仕事したぜ、みたいな顔をしてる戸塚は可愛さの中にも男らし……可愛さしかなかったわ。

 

 

「何をしたんだ? 」

 

 

「シールドを強化したんだよ!」

 

 

どうやら夢の俺は前に材木座に腕を持ってかれたことを気にしていたらしい。でも戸塚が俺のトリガーを強化してくれたと思うと、本当に防御が上がった気になるな。

 

 

「アブソープションのシールド自体はそれほど強度が無いんだ。八幡のトリオンがすごくおっきいから強力なシールドとして使えてるんだよ? だからシールドを僕たちが使ってるものに改良したんだ! アスガードのシールドより強力なんだからね! 」

 

 

何やら興奮したように話しているが、いまいち話が入ってこない。決してすごくおっきい発言で俺が興奮してる訳じゃない。

 

 

「もう! 八幡聞いてる? あっ……僕ってば変なこといっぱい言っちゃったかな……」

 

 

いっぱいイっちゃっただと……?

 

 

「八幡のバカ! えっち! 」

 

 

「うおっ……」

 

 

顔を真っ赤にした戸塚に腹を殴られ、その場に蹲る。すげぇ痛てぇけど考えようによってはご褒美だ。

 

 

「あっ、ごめんね八幡……」

 

 

しょんぼりした戸塚が蹲っている俺の傍にちょこんと座り込む。

 

 

「えっとね……明日は鶴見さんを助けてあげて? 彼女を守れるのは八幡だけなんだ」

 

 

真剣な表情で俺を見つめる戸塚。ここで俺の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八幡、起きてよ八幡」

 

 

んん……戸塚の声がする。また夢か?

目を開けると、そこにはさっきまで夢で話していた戸塚の顔があった。

どうやら夢じゃないらしい。ここは俺が寝ていた宿舎だ。

 

 

「おはよう八幡、早くご飯食べに行こ? 」

 

 

「ああ、おはよう戸塚」

 

 

周りに他の連中の姿は無く、時計を見れば8時を過ぎていた。

俺を起こしてくれた戸塚に感謝しつつ、服を着替える。あれ? これって新婚みたいじゃね?

 

 

「そういえば夢に戸塚が出てきたぞ」

 

 

こんなことを女子に言えば気持ち悪がられるだろうが、相手は戸塚だから大丈夫だろう。

ただ戸塚が夢に出たことを言いたかっただけかもしれないがな。

 

 

「ふーん。そうなんだ」

 

 

あれ? なんでそんな反応薄いの? もしかして俺、気持ち悪がられてる?

 

 

「あ、違うよ八幡! 夢の中の僕は変なことしなかったかなーって……」

 

 

「いや、いつも通り可愛かったぞ」

 

 

「もう! からかわないでよ! 」

 

 

戸塚は何故か顔を真っ赤にして頭を抱えている。大げさすぎないか? ぶつぶつと何か言ってるが聞こえないな。

やっぱり戸塚は可愛い。まぁ夢の中で腹パンされるレアな体験をしたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝飯を食った俺たちはキャンプファイヤーと肝試しの準備をしている。組み木は俺と戸塚で作ったし、経路確認もやった。俺働きすぎじゃね? ちなみに今は一人で森をぶらついている。あちぃ。

そういや昨日迅さんの言った通り、小南や迅さんは居ない。平塚先生は普通に小学生達の指導をしているが、俺には何も言ってこなかった。

 

 

「やぁヒキタニ君」

 

 

そして由比ヶ浜もチラチラこちらを見ているが話しかけてはこない。雪ノ下だけはいつも通りの毒舌だったから少し安心したぞ。

 

 

「ヒキタニ君? 」

 

 

んん? おいヒキタニ君とやら、誰かが呼んでるぞ。

 

 

「ヒキタニ君! 」

 

 

さっきからヒキタニを呼んでいた金髪野郎、もとい葉山に肩を掴まれる。

ヒキタニって俺のことかよ。まぁここには俺とお前しか居ないから当然か。

 

 

「何の用だ葉山」

 

 

「今朝から結衣の様子がおかしいんだ。昨日何かあったのか?」

 

 

あーしさんといいお前といい、由比ヶ浜大好きかよ。

 

 

「何で俺に聞くんだよ」

 

 

「前にも似たようなことがあっただろ? それにヒキタニ君の方を何度も見てたしな」

 

 

あんだけ挙動不審ならお前でも気付くか。本来ならシカトしたいがこいつはともかく、またあーしさんに胸倉掴まれるのも面倒だからな……別に怖いわけじゃないからね?

 

 

「まぁ、なんだ……その、前みたいに悲しませることにはならない……と思うぞ? 多分」

 

 

言えないことを全て隠したら、こんな曖昧な表現になっちまったな。

だが俺がそう言うと、葉山は驚いた顔をしていた。なんだよ、ローマの休日で手を入れるやつみたいになってんぞ。

俺が見ているのに気付いたのか慌てていつもの爽やか笑顔に戻る葉山。

 

 

「いや悪い、まさかヒキタニ君がそんなことを言うなんてな」

 

 

確かに俺らしくなかったかもしれんが、前はよくわからんすれ違いで由比ヶ浜を傷つけちまったらしいからな。

だが今回は最初から由比ヶ浜と話し合う必要がある。何より俺のつまらん意地で由比ヶ浜が死んだら、目も当てられない。

 

 

「ヒッキーは捻くれてて素直に人と話せないって友達に聞いてたから覚悟してたんだが」

 

 

おい、その友達って由比ヶ浜じゃねえか。ってかお前にヒッキーと呼ばれる筋合いはない……由比ヶ浜にもねえよ。

 

 

「そうかよ。もういいか? 俺は散歩の途中なんだ」

 

 

散歩ってか避暑地を求めて彷徨ってるだけだけどな。まるでゾンビになった気分だ。

 

 

「まだ話はあるんだ。鶴見さんのこと聞いたか? 」

 

 

今度は鶴見のことか。そういやこいつは皆で仲良くさせたがってるんだったな。

 

 

「あん? あいつはボーダーに入るとか言ってたぞ。俺たちが何かする必要ねえだろ」

 

 

葉山はボーダーに入ることのメリットを考えているのだろう。難しい顔をしている。

鶴見がボーダーに入って、掌を返した奴らと仲良し小好しになるとは思えんが、問題の解消にはなるだろう。

 

 

「それは……ヒキタニ君の案か? 」

 

 

「知らん。鶴見が自分で決めたことだ」

 

 

俺は葉山を置いて、また歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あちぃ……どこぞから水の音が聞こえる。ついでに女子がキャッキャする声も。近づけねえ。

 

 

「八幡」

 

 

「あん? 」

 

 

カシャッ

 

 

声をかけられた方を振り向くとデジカメを構えた鶴見がいた。

 

 

「いや、何してんの。盗撮は犯罪だぞ」

 

 

もし俺なら鶴見の写真を撮るだけで一発アウトだ。

 

 

「八幡、一緒に撮ろ」

 

 

盗撮云々は完全スルーでこちらに向かって歩いてくる鶴見。

写真なんて学校の奴と撮れと言うほど俺は気の遣えない奴じゃない。この時間に一人ということはおそらく、またハブにされたのだろう。だが俺と一緒に撮るのはマズイだろ。

 

 

「いや、無理だから。写真なら雪ノ下とか由比ヶ浜とかと一緒に撮ってもらえよ」

 

 

そう言うと一気にシュンとする鶴見。そんな悲しそうな顔すんじゃねえよ。俺が悪いみたいじゃねえか。

ここで俺とお前が二人で写真撮ったら、俺社会的に終わるからね? ボーダーだけじゃなくて警察にも追われるよ?

 

 

「私は八幡とも撮りたいの。お母さんがね。皆と写真を撮って来なさいって言うけど……クラスの子たちとは無理だから……」

 

 

「じゃあ、雪ノ下達んとこ行くか。あいつらが一緒なら撮ってやるよ」

 

 

「……二人がいい」

 

 

「なんでだよ」

 

 

おかしいなー。お母さんは皆と写真を撮って来なさいって言ったんだよね? そんな写真の中に目の腐った怪しい男とのツーショットがあったらどう思うか。俺が親ならそいつを殺す。ってなんで自分を貶めてんだ俺は。

 

 

「だって雪ノ下さんとはボーダーで会えるけど、八幡とはもう会えないでしょ」

 

 

「お前がボーダーに入るなら会えるだろうよ。俺の討伐任務とかでな」

 

 

最近は防衛任務の連中とニアミスするくらいだが、未だに俺を狙ってくる奴はいるからな。

太刀川さんとか確実に俺を捕らえる気ないし、東さんなんか俺を狙撃訓練の的だと思ってんのかってくらい撃ってくる。前に1回だけ焼肉奢ってもらった俺もどうかしてたけどな。ってか今の東隊ってよくわかんねえ二人なんだよな。前は加古さん、二宮さん、三輪とかいうエグイ面子だったけどだいぶ戦いやすくなったもんだ。

 

 

「八幡嫌われてるの? 」

 

 

「ほっとけ」

 

 

もうかれこれ10年以上嫌われ者やってんだ。お前のとは年季が違う。

 

 

「……八幡しゃがんで」

 

 

「え、嫌だけど」

 

 

「むぅ……」

 

 

どんだけ俺と写真撮りたいんだよ。同い年くらいだったら俺のこと好きなのかと勘違いしちゃうぞ。

ってこんなことをしてる場合じゃなかった。鶴見にはネイバー襲撃のこと教えておかないとな。

 

 

「それより鶴見、お前に大事な話がある」

 

 

「何? 」

 

 

鶴見はきょとんとした顔で首を傾げる。

 

 

「今日ここにネイバーが襲ってくるかもしれないんだ。辛いかもしれないがクラスの奴らから離れないでくれ」

 

 

ネイバーが襲ってくると言われ、怯えた表情を見せる鶴見。だがすぐにその表情を消す。

 

 

「……わかった。八幡が守ってくれるんでしょ? 」

 

 

そう言って、じっと俺の目を見つめる。その綺麗な瞳にはもう怯えた様子はなかった。こいつ初対面の俺を信用しすぎだろ。

 

 

「俺だけじゃなくボーダーもいるから安心しろ。万が一の為にこれを持っててくれ」

 

 

「何これ」

 

 

「トリガーだ」

 

 

SGCから貰ったトリガーを鶴見に渡す。もちろん米軍のトリガーというのは隠しておくが、そもそも鶴見はトリガーやトリオン体のことを知らないようだった。考えてみりゃそれもそうか。

 

一応、一通りの使い方や武器が無い状態での立ち振る舞いを教えたが、まともには使えないだろう。使い捨ての弾除け程度の認識でいい。

 

 

「ん、わかった。トリガーってすごいんだね」

 

 

「ああ、これがあるから俺でも戦えるんだ」

 

 

「ふーん……あ、八幡」

 

 

「あん? ―――うおっ!」

 

 

……カシャッ

 

 

「―――じゃあね八幡! ちゃんとおとなしくしてるから安心してね! 」

 

 

そう言った鶴見はそのまま逃げるように走り出した。

え? 今何が起きたの? 俺は鶴見にトリガーの説明をするために、中腰になり鶴見と同じ目線で話していた。

だが、その隙を突かれたようだ。彼女は急に俺に寄りかかり、デジカメをこちらに向けシャッターを切った。

確認はしてないがお互いの顔が近づいた状態で撮られているに違いない。そして俺は今、地面にひっくり返っている。

 

これ、やばいんじゃね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鶴見に写真を撮られてから、小町や戸塚のプリティな水着姿を堪能した俺は小町に襲撃のことを話したが、小町は既に知っていた。どうやら平塚先生経由で聞いたようだ。

時刻は20時を回った頃だろうか、今は肝試しの真っ最中だ。小学生が班を組んで、森の中に入って行く。

ちなみに俺たち高校生組は皆スタート地点にいる。小学生を脅かしたり、誘導する役目は、昼に抜けていた分を埋める為に玉狛メンバーが引き受けている。もちろん木崎さんに烏丸、宇佐美も合流済みだ。

トリオン体に換装し、隊服姿になった小南達を見て、小学生のテンションも高まっている。まぁ、お前らを楽しませる為にトリオン体になっている訳じゃないがな。

 

そして未だにネイバーの襲撃は起きていない。俺もトリオン体になりレーダーを起動しているが、ボーダーメンバー以外の反応は無い。

 

ん、鶴見達のグループが出発するようだ。鶴見は他の4人の後ろをとぼとぼ着いていくが、チラリと俺に視線を向け、力強く頷いた。

あいつ……本当に俺のことを信用してんのか?

 

 

『比企谷! 来たぞ!! 』

 

 

すぐ傍にいる平塚先生からの通信が入る。レーダーを確認するとアンノウン3体の反応があった。

思ったより数は少ないが、奴らは一直線にこちらに向かっている。狙いはなんだ、由比ヶ浜か? 小学生か?

 

 

『敵を確認した。黒い人型のトリオン兵が3体だ。腐り目君にも映像頼む』

 

 

俺の視覚に迅さんが見てるであろう映像が映し出される。確かに敵は3体、全身が真っ黒でボディアーマーのようなものを装備している。武器は持ってないようだが、何だか薄気味悪いな。

 

 

『比企谷、手を出すなよ。隠密部隊で仕留めきれない時は私が倒す』

 

 

『了解』

 

 

平塚先生に答え、俺は何も気づいてない雪ノ下達の所で座っている。小町は肝試しの案内係をしていて、カマクラの危機感知能力で異常に気付いたはずだが、何食わぬ顔で案内を続けている。小町ちゃん肝が据わりすぎでしょ。

ここからはボーダーの通信に耳を傾けるとしよう。まだ森にいる小学生達からも遠いし、安全圏だ。

 

 

『こちら風間隊、これよりターゲットに接敵する』

 

 

おっ、一番乗りは風間さん達か。これなら敵を片付けるのも時間の問題だろう。

 

 

 

 

『―――奇襲には成功したが……ダメージは無いようだな』

 

 

『おかしいですよ風間さん。どこを斬ってもスコーピオンが通らないなんて』

 

 

『それほど硬そうには見えないですけどね』

 

 

見る限り風間隊の奇襲は完璧だったし、シールドで防いだ様子もなかった。なのに少し立ち止まっただけで無傷だと? しかも攻撃を仕掛けた風間隊には目もくれずに、こちらに走ってきている。

 

 

『迅さん……アレ本当にトリオン兵なんですか? あいつらから心音が聞こえるんですけど』

 

 

『何? ということは奴は人型ネイバーか? 迅 』

 

 

『おいおい、マジか。俺にはあいつらの未来が見えなかったぞ』

 

 

『つまり比企谷先輩と同じような能力ってことですか? 面倒くさいなぁ』

 

 

おい菊地原、聞こえてんぞ。ともかくトリオン兵じゃなくて人型ネイバーなんだな。

 

 

『3体とも同じ能力ってのは考えられませんね。あの全身を包んでいるアーマーに秘密が? 』

 

 

『だとしたら菊地原のサイドエフェクトも通じないだろう。もう一度仕掛けるぞ。俺たちの攻撃が効かないとなると迅や玉狛の改造トリガーに頼ることになる』

 

 

菊地原もサイドエフェクト持ってんのかよ。ってかこの通信ってボーダー隊員の情報収集し放題だな。

 

 

『迅さん迅さん、風刃でズバッと倒しちゃいなよー! 』

 

 

ん? これは緑川の声か。

 

 

『緑川、風刃は威力が高い分、千葉村の自然を損ねる恐れがある。使うのは最終手段だ』

 

 

『そういうこと。悪いな、駿』

 

 

『えぇ~~~~~!! じゃあハチマン呼ぼうよ~! ハチマンの吸収ならあっという間じゃん』

 

 

そこで俺の名前を出すんじゃねえよ。風間さん怒ってんぞ。

 

 

『ボーダー隊員ではない奴に頼るつもりはない。いい加減に比企谷は敵だということを理解しろ』

 

 

こええよ風間さん。俺が通信聞いてんの知ってて言ってんじゃねえよな。

 

 

『ガタッ』

 

 

『香取か、どうした? 』

 

 

『……何でもありません』

 

 

『そうか、お前の隊はこのまま周囲を警戒しろ』

 

 

『了解です』

 

 

通信を終えた風間隊はまた敵に攻撃を仕掛ける。いたるところをスコーピオンで斬りつけるが、今度は足を止めることもせずに、こちらに向かって走ってきている。

黒い防毒マスクのような物に覆われた顔は一切の表情を読ませず、目と思われる部分だけが光っている。

その異様な敵に俺は恐怖を覚えた。

 

 

『ダメですね。全く効きません。風間さん、メテオラを試しますか? 』

 

 

『これほどの硬度を誇る敵だ。おそらくメテオラも効果は無いだろう。それに反撃が無いのは妙だな』

 

 

そう、敵は反撃してこない。何が目的かわからないが、それがまた恐怖を煽る。

 

 

『こちらは足止めに徹する。小南を呼べ』

 

 

『ちょっとー! こっちは小学生の誘導で忙しいのよー! 』

 

 

『周りに察知されずに、一番の火力を出せるのはお前しか居ない。ここに雪ノ下陽乃が居たとしても無理な芸当だが、お前にも無理なのか? 』

 

 

風間さん、小南の前で雪ノ下さんを引き合いに出すのは……

 

 

『ぬぁんですってー!! あたしと陽乃を比べんじゃないわよー! いくら風間さんでも許さないわよ! 』

 

 

ほら、こうなった。そもそも何で小南はこんなに雪ノ下さんのことが嫌いなんだ。ちょっと過剰な気がするぞ。

 

 

『すぐに行くから待ってなさい! レイジさん、とりまる、後は頼んだわよ。それと迅! あんた役に立たないんだからこっち手伝いなさいよね!!』

 

 

『……はい』

 

 

『ちょっと迅さん?! 』

 

 

やっぱり玉狛の連中に緊張感なんてもんはないらしい。風間さんの不機嫌な無表情が目に浮かぶな。

だが、そのおかげで俺の恐怖心も少し和らいだ気がする。来るなら来いネイバー共。

 

―――ん?

 

 

「先生どこ行くんすか」

 

 

俺と同じく通信を聞いていたであろう平塚先生が交戦中の区域に向かって歩いていく姿が見えた。

声を掛けたが、もう遅い。先生はそのまま暗闇に消えていった。

 

 

「比企谷君」

 

 

「どうした」

 

 

小声で話かけてきたのは雪ノ下。由比ヶ浜は葉山やあーしさん達と話しているがやはりチラチラとこちらを窺っている。

 

 

「もうネイバーは来ているの? 」

 

 

「ああ、今ボーダーが応戦中だ。苦戦してるみたいだが」

 

 

目に見えて被害が無いとはいえ、敵にダメージを与えられないのは痛い。小南が何とかしてくれればいいが。

 

 

「そう、その割には静かなものね……貴方は行かないのかしら。ここでボーダーに恩を売っておくのも悪くないと思うのだけれど」

 

 

「そのボーダーに手を出すなって止められてんだよ。俺が好き勝手やると作戦がぶち壊されると思ってんだろ」

 

 

「それは否定はしないでおくわ」

 

 

「おい」

 

 

いつものやり取りを終えると楽しそうに笑う雪ノ下。本当にこの関係を気に入ってるのかこいつは。

それに、ここに由比ヶ浜も居たら……隠し事の無い状態の三人で居ることが出来たら、もっと……

 

 

『歌川君!? 』

 

 

『すぐに射線上から退避させろ! 』

 

 

『なんだあの連射性能は……』

 

 

通信の向こうからオペレーターと思われる女子の叫び声と現場の混乱が伝わってくる。

どうやら反撃を受けて歌川がやられたらしい。そうか、千葉村ではベイルアウト出来ずに戦闘体が解除されるのか。歌川は大丈夫なんだろうな……。

 

 

『歌川は無事です! 』

 

 

『風間さん! もう小南を待つ余裕は無くなった! 』

 

 

『ああ、やれ迅』

 

 

風刃から放たれた遠隔斬撃は、3体の敵の胴体部に同時に炸裂した。敵はその衝撃で木々にぶちあたり、そのまま崩折れた。幸いそこまででかい音じゃ無かったのか、こっちには聞こえてこなかった。

 

 

『やったか? 』

 

 

風間さん……それはフラグだ。

 

 

 

 

 

 




出てきたのはいったい何戦士なんだろうか。
今頃アルファ基地が大変なことになっています。カーター頑張れ。


そういえばまだヒロインが決まってませんね。
現在の候補は、毒舌ゆきのん、ツンデレ小南、おばかガハマ、ガチメンヘラ那須、ろりろりルミルミ、メンヘラ染井&ぽんこつストーカー香取ちゃんコンビ、えんしぇんとつか、修には悪いが千佳ちゃん、となっております。未だに出てないキャラもいるので候補はまだ増えますよー。
さすがにスターゲイトからのヒロインは無いかな。
でもアトランティスのキャドマン中尉とかバンクスは可愛いと思います。
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