やはり俺がボーダーに所属しないのはまちがっている。   作:犬ころ大佐

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7話

俺は毎日、妹の小町と一緒に登校している。小町の学校は三門市立第三中学校なので

総武高校に通う途中にある。というか朝に小町から元気をもらわないと一日学校でもたない。

 

 

 

「にゃー」

 

 

「わっ、かー君出てきちゃダメだよっ」

 

 

 

小町が鞄からでてきたかまくらを押し込んでいる。

 

かまくらは俺の能力で作った多目的型自立トリオン兵だ。普段は表に出ないように超小型カプセルに収納してある。

 

本来、小町が俺の居ない間に襲われても大丈夫なように作ったのだがペット的な扱いで落ち着いている。

 

なぜ猫でもないのに、にゃーとしか言わないのかは俺にもわからない。

 

 

 

「人前でかまくらをだすなよ? ボーダーに見つかったら面倒だ。」

 

 

「わかってるって。それにお兄ちゃんこそもう事故ったりしないでよね!」

 

 

 

俺は高校初日、交通事故にあっている。朝からボーダー隊員に出会うのが面倒なので1時間も早く家を出た。そのとき車に轢かれそうな犬を見つけ咄嗟に飛び出した。

 

犬を抱えることには成功したが発見するのが遅かったのか車から逃げる時間がなかった。

 

トリオン体だった俺は車を壊してしまうと思ったが通常ではありえないような衝撃を

シールドに受けた。後にわかったがその車はボーダー所有のトリオンで作られた車だったらしい。

 

しかも後部座席に乗っていたのは雪ノ下さん。俺は吹っ飛ばされたものの無傷であり、犬も助かったが一緒にいた小町が泣き叫びながら俺の元に駆け寄ってきた。

 

その間に雪ノ下家の意向を受けたボーダーによりすぐに規制線が張られ、周囲を取り囲まれてしまった。

 

戦闘員はおらず厄介な雪ノ下さんも車から降りてこないため強行突破も考えたが、運転席から降りてきた一人の男が俺の前に現れた。

 

その人は雪ノ下家の運転手兼ボディガードをしている都築さんで、自己紹介と謝罪をしたあと電話を渡してきたので出てみると相手は雪ノ下さんだった。

 

内容は今回の事故で俺は多くの一般人や犬の飼い主に顔を見られたため入院を装った方がいいとのことだ。

 

しかも病院は雪ノ下家が用意し、金もいらないという。俺は怪しんだが、如何に大手スポンサーといえどボーダーの機密の塊を私用で使って事故を起こしたのが表に出ると困るとのこと。

 

たまたま俺だったから普通の事故に見えたが、一般人だったらただの肉塊になっていただろう。

 

入院中、俺や小町に手を出せば一般人が居ようと病院を吹き飛ばすと忠告し、申し出を受けた。まあ、他にもいろいろと便宜を図ってもらったのだが。

 

そんなこともあり小町は俺にいつも事故に気をつけろと言ってくるのだ。

 

 

 

「そういえばお兄ちゃん、あのわんちゃんの飼い主さんが病院にお礼に来てたよ!お菓子美味しかったよ!」

 

 

「いや、それ俺聞いてないし食べてないよね?」

 

 

「だって面会謝絶だったじゃん。それに同じ高校だから直接言うって言ってたよ?」

 

 

「へ? マジで? 名前とか聞いたか?」

 

 

「うーん、忘れちゃった!てへっ」

 

 

 

あざといポーズで誤魔化すマイシスター。可愛いから許す。

 

まあ、その飼い主もぼっちな俺に話しかける勇気はないだろう。

 

そうこう話してるうちに中学校は目の前だ。

 

 

 

「じゃあ行って来るでありますお兄ちゃん!」

 

 

 

小町を見送り、学校に向かおうとするが小町を見ている眼鏡の生徒に気づく。

 

なんだあいつ、小町を狙ってやがるのかこら。

 

ん、あれは・・・・・・なんだ三雲か。

 

俺に気づき会釈してきたので手を振って返し、俺も学校へと歩く。

 

三雲の奴、千佳を守るためにボーダーに入るとか息巻いてたけど大丈夫だったのか?

 

あれからまだ一ヶ月か。千佳の兄貴と鳩原さんがゲートの向こう側へ逃亡した事件。

 

実は俺も千佳の兄貴に誘われた、小町がいるため断ったが。妹を置いていくなんて千葉の兄妹として許せん。

 

ましてやみんな大好きサムおじさんも絡んでるとくりゃ関わりたくもない。

 

 

あ、職場見学の希望調査の提出今日までだ。玉狛支部でいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、いったいなんすか?」

 

 

放課後、平塚先生に生徒指導室に呼び出された。何度目だよ。

 

 

「職場見学に玉狛を希望してるそうだが、見学は三人一組だ。誰か当てはあるのかね?」

 

 

「まじっすか」

 

 

聞いてねえよ。だったら普通の職場を選ぶしかないか。

 

 

「しかもさっき調査票を集計したら君以外のクラス全員がボーダー本部と書いていたよ。他のクラスも似たようなものだ」

 

 

「うへえ、一年で見学があったのに職場見学でもボーダー行きたいなんて奇特な奴らですね」

 

 

全員とか組む奴もいないじゃん。仕方ない休むしかないな。

 

 

「上からは全員まとめてボーダーでの職場体験にしてはどうかと言ってきたよ」

 

 

「じゃあ俺は休みですね」

 

 

「いや君を含めて全員だ。城戸司令が直々に伝えにきた。」

 

 

そう言うと先生は腕を組んで苦い顔をする。

 

城戸さんが俺を呼んでるってことか? 同級生がいる中、敵のアジトに招かれるなんて

罠としか考えられない。

 

地の利は敵にあるし、たとえ勝ったとしても正体がバレれば平穏な学校生活は終わったようなもんだ。行く選択肢はないな。

 

 

「中間管理職は辛いですね、まあ俺は休みますんで。そんじゃ・・・・・・うえっ」

 

 

平塚先生を見捨て帰ろうとしたらものすごい力で肩を掴まれた。

 

俺生身だから!肩が取れちゃうから!

 

 

「まあ待て、最後まで話を聞け」

 

 

「いやいや、俺を害する気満々じゃないすか。なんすか先生も城戸派になったんすか?」

 

 

「バカを言うな!!私が城戸派に入るわけがなかろう!!」

 

 

急に大声を上げ、立ち上がる平塚先生。しまった、年齢と結婚の話以外にもNGがあった。

 

先生は遠征先でネイバーに救われたらしく、ネイバー強硬排除派の城戸派に真っ向から対立している。そのため、ネイバーに友好的な玉狛に異動したとも聞いた。

 

 

「軽率でした、すいません」

 

 

ここは素直に謝るに限る。・・・・・・殴られたくないからじゃないからね?

 

 

「いや・・・・・・私こそ熱くなってすまない。話を戻そう、城戸司令が話があるそうだ」

 

 

「話? 行った途端にボーダーの総力を挙げて攻撃してきたりしませんかね」

 

 

「それはさせないと私と忍田さんで約束を取り付けたし、話には私達も立ち会う。この通りだ、頼む」

 

 

そう言って頭を下げる先生。

 

 

「いやいや頭上げてくださいよ、先生にそんなことされたら言うこと聞くしかないじゃないですか」

 

 

「行ってくれるか?!」

 

 

すぐ頭を上げる先生。あれ? この人、頭下げれば俺が何でも言うこと聞くと思ってないよね?

 

まあ俺も頭を下げて言うこと聞いてもらえるなら、いくらでも下げるし土下座するまである。

 

 

「わかりましたよ。行けばいいんでしょ」

 

 

「すまん。当日の担当は嵐山隊だ、他の隊員はなるべく見学中は離れるように通達しておいた」

 

 

「そりゃ助かりますね」

 

 

とんだ面倒な事態になったもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒指導室を後にした俺は奉仕部の部室に来ていた。部屋には雪ノ下だけか。

 

 

「会わなかったの?」

 

 

「誰と?」

 

 

ガララッ!

 

 

そう聞いた瞬間に扉が勢いよく開かれた。

 

 

「ああ!いたーー!!」

 

 

「な、なんだよ」

 

 

扉を開けたのは俺に指をさしている由比ヶ浜だった。人に指さすなって習わなかったか? ああ俺は人じゃないってか。

 

 

「あなたがいくら待っても部室に来ないから探しに行っていたのよ、由比ヶ浜さんが」

 

 

「その倒置法で自分は違うアピールはいらねえから、知ってるから」

 

 

倒置法と言えばスナイパーの穂刈さん、荒船さんとチーム組んだとか聞いたな。

 

 

「わざわざ聞いて歩いたんだからね!そしたら、比企谷? 誰? って言うし。ちょー大変だったんだからね!」

 

 

怒りながら俺に詰め寄る由比ヶ浜。近い近い。

 

 

「悪かったよ・・・・・・」

 

 

そう言って少し後ずさる。

 

 

「別にいいけど・・・・・・そ、その・・・・・・携帯教えて!!ほらわざわざ探して回るのもおかしいし、恥ずかしいし・・・・・・どんな関係とか聞かれるのとか・・・・・・ありえないし」

 

 

また急に詰め寄ってきたかと思うと身を引いてもじもじしだす由比ヶ浜。

 

 

「いいけど・・・・・・」

 

 

まあ連絡先くらいいいかと思ってスマホを由比ヶ浜に渡す。

 

 

「あ、あたしが打つんだ。っていうか迷わず人に携帯渡せるとかすごいね」

 

 

「まあな、見られて困るようなもんないし」

 

 

由比ヶ浜はすごい速さでアドレスを打ちこんでいく。速いな、最近のJKがこういうもんなのかやはりスパイなのか。

 

 

「打つのはええな」

 

 

「普通じゃん? ヒッキーはメールする相手がいないから指が退化してるんじゃない?」

 

 

由比ヶ浜は何食わぬ顔で答える。っていうか由比ヶ浜、お前も雪ノ下の影響でだいぶ毒舌になったな。

 

 

「失礼な。俺も女子とメールくらいするぞ」

 

 

小町を筆頭に宇佐美、小南、今さん、那須、染井、千佳とそうそうたる面子だ。あ、平塚先生と沢村さんは女子じゃないんでパスで。

 

・・・・・・ボーダー本部と職員室から殺気を感じる。

 

そのとき何かが落ちる音がした。

 

 

「嘘・・・・・・」

 

 

俺のスマホを落とし、愕然とする由比ヶ浜だった。いやいや何してくれてんの。

 

 

「おい、それ俺のだから」

 

 

「あっ、ごめん。ヒッキーが女子とメールってのが想像できなくて・・・・・・」

 

 

由比ヶ浜があわてて俺の携帯を拾う。

 

 

「まあ、基本電話だからな。メールなんて今は小町からおつかい頼まれる時くらいだ」

 

 

「え・・・・・・」

 

 

「おい!」

 

 

また俺のスマホを落とす由比ヶ浜、しかし今度はキャッチに成功した。なに? まじでわざとやってんの?

 

 

「ねえ、どんな子と電話してるの?」

 

 

なんだよ俺と電話してくれる奇特な奴らに興味津々かよ。

 

 

「そりゃあ、可愛くてお茶目で俺を理解してくれて天使みたいな子だよ」

 

 

まあ小町のことだが。やっぱり妹が一番だ。

 

 

「比企谷君、嘘をつくのはやめなさい。あなたにそんな人がいるわけないでしょう」

 

 

本を読んでたはずの雪ノ下がそう言う。うるせえよ。

 

 

「バカにすんな。俺の愛すべき妹、小町がいる」

 

 

「あなたは・・・・・・はあ」

 

 

「なんだ、小町ちゃんのことだったんだ」

 

 

ため息を吐くな、シスコンなのはお前もだし。なんで安心してんだ由比ヶ浜、他にもいるからな?

 

 

「ってか由比ヶ浜って小町のこと知ってんのか?」

 

 

「へ? し、知らないよ!!」

 

 

お前はあわてたり落ち込んだり安心したり忙しいな。見ず知らずの小町をちゃん付けで呼べるとかコミュ力高すぎだろ、さすがクソリア充。

 

そう思いながらキャッチしたスマホを調べる。本当にアドレスを入れただけか・・・・・・トラップを仕掛けておいたが、かかった痕跡はないな。由比ヶ浜は白か? 一応、電話帳も開いてみる。

 

 

「はい?」

 

 

俺は目を疑った。電話帳に追加されたのは由比ヶ浜の名前だ・・・・・・多分。

 

☆★☆ゆいゆい☆★☆

 

どう見てもスパムメールの差出人にしか見えない・・・・・・

 

 

 

 

「あ・・・・・・」

 

 

「どうかしたの?」

 

 

由比ヶ浜が携帯を見てため息を吐いた。ってかお前反応早すぎだろ、由比ヶ浜大好きかよ百合ノ下。

 

 

「いやあ、ちょっと変なメールがきたからうわあって思っただけ」

 

 

「・・・・・・比企谷君。裁判沙汰になりたくなかったら今後、そういう卑猥なメールを送るのをやめなさい」

 

 

「内容がセクハラ前提で、しかも犯人扱いとかひどくね?」

 

 

決め付けやがって、証拠を出しやがれ。

 

 

「いやあ、ヒッキーは犯人じゃないと思うよ?」

 

 

由比ヶ浜、お前はいい奴だ。信じてたぞ。

 

 

「あら、そうなの?」

 

 

「うん、内容がうちのクラスのことなんだよね。だからヒッキー無関係かなって」

 

 

「なるほど、それなら比企谷君は犯人じゃないわね」

 

 

よし由比ヶ浜、短い間だったがお前を信じた俺がバカだった。スパイ決定。

 

そんで証拠能力認められちゃったよ・・・・・・確かにクラスに無関心ですけどね。

 

 

「まあ、こういうの時々あるしさ。気にしないようにするよ」

 

 

そう言って由比ヶ浜は携帯をしまう。俺も由比ヶ浜からメール来たら差出人見て、うわあって思うんだろうなー。メールなんて来ないだろうけど。

 

 

「依頼人も来ないし、今日はここまでにしましょうか」

 

 

雪ノ下の帰宅提案で帰り支度を始める。奉仕部の活動時間は雪ノ下のさじ加減次第なので終わる時間はまちまちだ。

 

 

 

コンコン

 

 

 

帰ろうと思っていた矢先、扉がノックされた。えー、もう帰る気分の時に依頼とかマジでモチベーション駄々下がりなんだけど。

 

 

「どうぞ」

 

 

椅子に座り直した雪ノ下が入室を促す。やるんですね、わかります。

 

扉を開けた人物を見て俺は完全にやる気を失くした。

 

 

「やあ、ちょっとお願いがあってさ、奉仕部ってここでいいんだよね?」

 

 

いけすかない笑みを浮かべ、あの可愛い戸塚の笑顔を曇らせた最低集団の主犯格の片割れ。

 

金髪イケメン野郎だった。

 

 

「平塚先生に、悩み相談をするならここだって言われてきたんだけど。いやあ、中々部活から抜けさせてもらえなくてさ」

 

 

どうでもいいことをべらべらと喋る金髪野郎。

 

先生、こればかりは恨みますよ。ネイバーでも出ねえかな、今日なら警戒区域を全部更地にするくらい余裕な気分だ。もちろんボーダー本部ごとだが。

 

 

「能書きはいいわ。用があるからここに来たんでしょ? 葉山隼人君」

 

 

もっと言ってやれよ雪ノ下!お前の毒舌はこんなもんじゃないだろ。

 

 

「あ、ああ。これなんだけどさ」

 

 

そう言って携帯を見せてくる金髪野郎もとい葉山。

 

 

「あ・・・・・・変なメール」

 

 

メールの内容を要約するとこうだ。

 

戸部は稲毛のヤンキー、ゲーセンで西高狩り。

 

大和は三股、最低のクズ野郎。

 

大岡はラフプレーで相手校のエース潰し。

 

 

「チェーンメールね」

 

 

どうでもいい内容だなー、事実でも嘘でもどっちでもいいでーす。

 

 

「これが出回ってから、なんかクラスの雰囲気が悪くてさ。それに友達のこと悪く書かれてたら腹も立つし・・・・・・」

 

 

クラスの雰囲気が悪いか、いつもと変わらず平和だと思ったが大変だなリア充は。

 

 

「あっ、でも犯人探しがしたいわけじゃないんだ。丸く治める方法を知りたい、頼めるかな?」

 

 

「つまり事態の収拾を謀ればいいのね?」

 

 

雪ノ下は葉山の顔を冷めた視線で見つめ、そう言った。あれ、図るのニュアンス違くない?

 

 

「うん、まあそういうことだね」

 

 

「そう。では、犯人を捜すしかないわね」

 

 

「うん!よろしく・・・・・・え、あれ? なんでそうなるの?!」

 

 

言質は取ったと言わんばかりにやる気を見せる雪ノ下。

 

やっぱりかよ。収拾を図るってか、葉山が謀られてるじゃねえか。

 

 

「チェーンメール、あれは人の尊厳を踏みにじる最低の行為よ。自分の名前も顔も出さず、ただ傷つけるためだけに誹謗中傷の限りを尽くす。止めるならその大元を根絶やしにしないと効果がないわ、ソースは私」

 

 

また実体験かよ・・・・・・ってか根絶やしにしたのか。

 

 

「とにかく、そんな人間は確実に滅ぼすべきだわ。それが私の流儀、私は犯人を捜すわ。一言、言うだけでぱったり止むと思う。その後どうするかはあなたの裁量に任せるわ、それで構わないかしら?」

 

 

あなた絶対一言じゃ収まりませんよね? 犯人が転校する未来しか見えないけども。

 

あの葉山もさすがにびびったようで笑顔がぎこちない。

 

 

「あ、ああ。それでいいよ」

 

 

「それでメールが送られ始めたのは、いつ頃からかしら?」

 

 

「先週末からだよな?」

 

 

「うん」

 

 

葉山に聞かれた由比ヶ浜も頷く。

 

 

「クラスで何かあった? 由比ヶ浜さん、葉山君」

 

 

「とくになかったと思うけどな・・・・・・」

 

 

「うん、いつも通りだったよ」

 

 

先週末か・・・・・・

 

 

「一応聞くけど、比企谷君あなたは?」

 

 

ああ、俺は聞かれてなかったのね。聞かれてないのに考えてたわ。

 

 

「最近といえば職場見学の調査票の提出があったろ」

 

 

「ああ、それだ。グループ分けのせいだよ・・・・・・」

 

 

グループ分け? そんなもん全員でボーダー見学になったんだからもう関係ないだろ。

 

 

「犯人分かっちゃったかも!」

 

 

続けて由比ヶ浜が自信ありげにそう言う。

 

 

「説明してもらえるかしら由比ヶ浜さん」

 

 

「こういうイベントのグループ分けは、その後の関係性に係わるからねー。ナイーブになる人もいるんだよ」

 

 

「三人一組の職場見学でハブられるのが嫌だから、このメールが回ったと言うこと?

つまり犯人はこの三人の中にいるということね」

 

 

「ちょっと待ってくれ!俺はあいつらの中に犯人がいるなんて思いたくない。三人を悪く

言うメールなんだぜ? あいつらは違うんじゃないのか?」

 

 

盛り上がってるとこ悪いが、犯人が誰だろうとグループ分けがないと知れば勝手に収まると思うぞ。

 

それにしても葉山はすげえな、どういう精神構造してんだよ。

 

 

「バカかお前、そんなの自分に疑いがかからないようにするために決まってるだろうが。もっとも俺ならあえて一人だけ悪く言わないで、そいつに罪を被せるけどな」

 

 

「ヒッキー最低だ」

 

 

「知能犯と呼べ。ってじゃなくてだな!このチェーンメールが職場見学のグループ分けが原因で回ってるとしたら犯人を探すことなく解決できるぞ」

 

 

「ほんとか?!」

 

 

「・・・・・・どういうことかしら?」

 

 

雪ノ下は俺を睨みつけ、葉山は詰め寄ってくる。寄るな臭い。

 

 

「さっき平塚先生に聞いたが、そもそもグループ分けはなくなったぞ。ほぼ全員の見学希望がボーダー本部だったとかで、まとめて本部見学に変更だそうだ。つまりこのメールは直に止まる」

 

 

「そうなの?!」

 

 

「なるほど、そういうことね。葉山君、この変更がみんなに伝わるまで様子を見ましょう。それでもチェーンメールが来るなら、犯人を見つけて処断するわ」

 

 

「・・・・・・わかった」

 

 

さっき葉山の裁量に任すとか言ってなかったっけ。

 

 

「一応、それまでは容疑者三人の観察もお願いね。比企谷君」

 

 

「なんで俺だよ、由比ヶ浜の方が適任だろ」

 

 

「彼女にそんなことさせられるわけないじゃない」

 

 

俺ならいいってことかよ、まあいいけどね。

 

 

「あたしもやるよ!ヒッキーばっかに迷惑かけられないし!」

 

 

俺を遮るように由比ヶ浜が手を挙げる。

 

 

「仲がいいんだな」

 

 

葉山がそんなことを言ってくる。

 

確かに雪ノ下と由比ヶ浜は仲がいいな。

 

 

「ああ、そうだな」

 

 

「ヒキタニ君も入れた三人がだよ」

 

 

そんな俺の考えを読んでいるかのように葉山が言った。

 

ヒキタニなんて奴はこの部活にはいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、俺はトップカースト集団を監視するために寝たふりをしている。

 

すると肩が叩かれたので顔を上げる。

 

 

「おはよう比企谷君」

 

 

そこには天使がいた。

 

 

「彩加、毎朝俺に味噌汁を作ってくれ」

 

 

うおっ!!可愛すぎてプロポーズを口走ってしまった。

 

 

「ええ?! どういうこと?」

 

 

「いや・・・・・・なんでもない」

 

 

「い、今さ・・・・・・名前で呼んでくれたよね?」

 

 

なんでもじもじするの? 可愛いからやめて!戸塚ルート入っちゃうから!

 

 

「ぼ、僕も!ヒッキーって呼んでいい?」

 

 

「いや、それはやだ」

 

 

咄嗟に断ってしまった。いや戸塚にならなんて呼ばれても嬉しいけどね。

 

 

 

 

「じゃあ・・・・・・八幡?」

 

 

 

ぶっはああああああああああ!キマシタワー!!

 

は、鼻血出てないよな。あまりの破壊力に椅子から落ちてしまった。

 

やばい、人目が・・・・・・見るんじゃねえ。

 

 

「大丈夫?」

 

 

そんな俺の目の前に手が差し出された。

 

 

「悪いな」

 

 

そう言って差し出された手を取る。冷たくて気持ちいい、戸塚の手・・・・・・あれ?

 

ふと掴んだ手の奥を見る。戸塚って制服だっけ? スカートとか履いてたっけ?

 

 

「大丈夫八幡?」

 

 

ふと横から戸塚に声をかけられる。

 

 

「ああ、大丈夫だ」

 

 

戸塚の声に答えながら立ち上がる。

 

やっぱり戸塚じゃないか。・・・・・・んん、なんで戸塚が横にいるんだ?

 

じゃあ、この手は・・・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒキタニ君はろはろー」

 

 

そこには眼鏡をかけた悪魔がいた。

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

そこから俺の記憶はない。気づいたら昼休みだった。

 

受けだとか攻めだとか、戸塚が俺のどうとか、葉山を狙っている三人がどうとか、友達の壁に一歩引いた奴らを差し置いて俺がどうとか、何か曖昧な記憶があるけど俺は思い出すのをやめた。

 

由比ヶ浜になぜか問い詰められたが、スルーした。葉山もなぜか謝ってきたがどうでもいい。

 

戸塚に八幡と呼ばれた、その事実だけが重要なのである。

 

ああ、そういえば職場見学がボーダー見学に変更されることが伝えられた後、チェーンメールは来なくなった。

 

 

 

さて城戸さんの話とやらはなんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

比企谷八幡定時報告。

今日もはちま……比企谷は部活に向かったようだ。そういえば2年の職場見学が全員ボーダー本部になったって華が言ってた。

しかも八幡も来るって!! 絶対学校休む!

なんて喜んでたら、忍田本部長と平塚先生から職場見学中に防衛任務以外の隊員は来ないようにって通達があった。

あの年増だけじゃなくて忍田本部長までアタシの邪魔すんの?! ほんとムカつく!

華にどこかと防衛任務代われないか聞いとこっと。

 

 




次回はボーダー見学です。

ワートリで海老名隊出ないなー。
海老名隊の隊長が海老名さんになっちゃいますよー(真顔

小南みたいに戦闘体が変わる感じで八幡もわからない(眼鏡なし←
桜子と相性は良さそう。
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