少し落ち込んでしまっているカイルさんを無理矢理引っ張って連れて行き、遺跡に行く途中にある森の中腹まで三人と一匹でやって来た。
「そう言えばコヨミちゃんって武道家なの?」
ドッピューン!
「うん、コヨミは武器使うのあんまり得意じゃないの」
ドカドカドカドカ!
「そうなんだ」
バシューン!
「けどコヨミお母さん達の為に頑張るね!」
ドッカーン!
会話をしながら俺とコヨミちゃんはそんな感じの擬音祭の必殺技で近寄る魔物をちぎっては投げ、ちぎっては投げ向かうところ敵なしだった。
「俺もソウルボードの再解放も検討しないといけないな……」
そんな様子を星たぬきを倒しながら見ていたカイルさんはボソッと独り言を言っていたので聞き取れなかった。
「何か言いました?」
「いや……こっちの話だ」
なら良いかな、今のカイルさんは吹けば何処にでも行きそうな感じがするのであまり刺激できないし、ソッとしておこう。
「そう言えば……あったあった、コヨミちゃんコレいる?」
「わぁぁ!ジェクトにーに何でコレもってるの?」
バーロンで出た毛糸の手袋を鞄から取り出してコヨミちゃんに渡すと驚いていた。
何でだろ?
「うん?コレは知り合いのおじちゃんから貰ったんだけど、どうして?」
「だってコレ、コヨミのだもん!」
「へ?」
コヨミちゃんの手袋なのこれ?
……おいバロン色々と言いたい事があるぞ。
あの武器装置って武器を召喚してるのか?
俺はてっきりジュエルを使ってあのバーロン内のデータにある武器を作っているもんだと思ってたんだけど?
そうじゃなかったら今の俺って幼女の手袋を盗んだ変な奴じゃないか!
というか盗んでる事になるんじゃねーの?
それ普通に色々と問題じゃねーの?
「ほら、見て見てにーに!コヨミの手袋にそっくりでしょ?」
そう言ってコヨミちゃんは自分のポケットに入れていたらしい俺の持っているのに瓜二つの手袋を見せてくれた。
「うん、そっくりだねぇ。不思議だねぇ」
そんな事を言ってはいるが頭の中は割りとパニックになっている。
どういうこと?
「なるほど、どうやらバーロンは飛行船冒険家協会に登録している冒険家の武器を参考にジュエルから作っているらしいな」
なんだか復活したらしいカイルさんが考察していた。
「どういうことです?」
「簡単に言えばバーロンで作られるのはレプリカだって事だな、ただ武器の性能として言えばオリジナルと全く同等みたいだが」
「つまりバーロンはレプリカ製造機って事ですか?」
「いや、それは少し違うみたいだな……その手袋を見てみろ」
そう言われてコヨミちゃんに渡した俺の毛糸の手袋を見ると先程までは俺の手のサイズにピッタリだった毛糸の手袋がコヨミちゃんの手のサイズピッタリに変化していた。
「えぇぇぇ!!?どういうこと!?」
「どうやら装備する対象者によって大きさ等が変化するらしいな……あのバーロンとか言う機械は本当に凄いものらしい、それを作ったバロンという獣人もな」
どうやらバロン本当は凄い獣人らしい、けど俺は信じたくない。
だってバロンだもの。
「ねぇジェクトにーに、あそこに猫さんがいるよ?」
カイルさんとそんな無駄な会話をしている間にコヨミちゃんは森の中で猫を発見したらしい。
こんなところに猫?
森の中は魔物だらけで普通の犬や猫は近寄る事はない筈なんだけど何でいるんだ?
そう思ってコヨミちゃんが指し示した方向へ視線を向けるとそこには白い一匹の猫がいた。
首におしゃれなリボンを巻いていおり佇まいは優雅にみえる。
……ていうかその白猫キャトラじゃねーか!?
キャトラとは白猫プロジェクトでもメインキャラの一匹である。
メインヒロインであるアイリスというキャラクターと常に行動を共にしているのでアイリスを落とすならまずはキャトラと仲良くならなければならないと白猫をプレイしてた時は思っていた。
懐かしいなぁ……
そのキャトラがいると言う事は近くにアイリスがいると言う事だ。
「あの猫、俺達を誘っているのか?」
尻尾をこっちに来いと言わんばかりに振っている。
「あ、走っていった」
キャトラは俺達が走ったら追い付ける程度のスピードで走り出した。
「追いかけるか?」
「そうですね、猫とは言えこの森に置いていくのは気が引けますし」
「猫さん助けてあげようよ」
満場一致でキャトラを追いかける事に決まった。途中で魔物もいたが擬音祭でササッと倒して後を追い続けていると女の子が倒れていた。
「おい、大丈夫か?」
「ジェクトにーに、この人大丈夫かな?」
「息はしてるから大丈夫だと思うけど……」
流石に女の子が森の中で倒れているなんていうシチュエーションに遭遇した事がない為はっきり大丈夫だと断言できない。
「アンタ達、アイリスを助けなさいよ!」
キャトラが女の子の前で大声で叫んだ。
やっぱり喋れるんだ、なんか感動。
「猫が喋ってるのか?」
「なによ!猫が喋ったらおかしいかぁ!」
ライオンの獣人やら狼の獣人もいるから別に猫が喋ってもおかしな事なんてないと俺は思うがカイルさんにとっては驚く事なんだろう。
許してあげてこの人色々とイッパイイッパイなんだよ……
「うぅ……キャ、キャトラ?」
「アイリス!心配したんだからぁ……」
「ごめんね、もう大丈夫だから」
アイリスと呼ばれた女の子が目覚めるとキャトラは涙目になりながらアイリスに身体を預けた。
「何だ?俺達は彼女の為に呼ばれたって事か?」
「そうみたいですね」
「ねーねが元気で良かったねタロー!」
「ワン!」
因みにだがアイリスと呼ばれているこの女の子は先程も話した通り白猫プロジェクトのメインヒロインである。
プレイヤー自身も操作できるキャラクターでもあるし白猫がリリースした当初は回復できるキャラクターが少ないのもあり御世話になったユーザーも多いだろう。
ノリが良く、敵対するキャラクター以外は彼女の事を嫌っている素振りを見せないし性格も良いので彼女の事を嫌っているユーザーはあまり聞かない。
そんなアイリスだが物語としての役割は巫女らしい。"白の巫女"と彼女の事を知っている人物はその名で呼んだり、古代文字を読めたり、うろ覚えだが主人公が暴走しかける時に呪文を唱えてそれを抑えたりする。
簡単に言えば犬夜叉のかごめの「おすわり」的な感じと思ってくれたら良い。
全く違うけど雰囲気的にはそんな感じだから。
「あの……あなた達はいったい?」
アイリスは俺達に気がついたらしく話しかけて来た。
「アイリスが目を覚まさないから暇そうな人達を探してたら見つかったから連れてきたの」
「おい」
カイルさんが思わず突っ込んだ。俺でもコヨミちゃんでもなくカイルさんというところが泣けてくる。勘弁してあげてよ!
「すいませんこの子悪い子じゃないんですけどこういうところがあるんです」
「えへへ」
いや褒めてないのに照れ笑いっておかしくない?
「何でこんな場所で倒れていたんだ?」
そんなキャトラを無視してカイルさんはアイリスに問いかける。
そう言えばなんでこんな所でアイリスって倒れてたんだろう?
「えぇっと、それは……すいません記憶が曖昧なんです。確か大きな地震があったのは覚えてるんですけど」
地震?
そんな大きな地震なんてなかったけどな?
どうやら記憶が混乱しているようでアイリス自身が何故ここにいるのかも分かっていないらしい。
記憶障害ってやつか?
「……遺跡、そう私達は遺跡に向かう途中だったんです」
俺達が向かうのも遺跡だし連れていっても何も問題ないな。
「……一旦村へ帰るか?」
と思っていたらカイルさんからのストップが入りました。
何で?
「何でですか?」
「いや倒れていた女性を無理に連れて遺跡に行かなくても良いだろう?場所は分かっているんだし後日俺達と一緒に行くなりすれば良いだろう」
うん、すごく正論だった。
そうだね、倒れてたんだから無理矢理連れて行くのは普通に考えたら良くないよね。
「いえ私達も行きたいです、このまま連れていって貰えませんか?
」
と思ってたらアイリス自身が一緒に行きたいと抗議してきた。
「そうは言ってもな……」
「もう体調も良くなりましたし、私はこう見えて魔法は得意なんです」
「うーん、カイルさんどうしましょ?」
「そうだなぁ……本人の希望だから連れて行っても構わないんだが……危ないぞ?」
カイルさんはアイリスの目を見て再度意志を確認する。
「行きたいです。お願いします」
アイリスの目は覚悟を決めている目だった。
「……本人の意志を尊重するのも大切だからな、よし分かった一緒に行こう」
「そうですね、あそこの魔物もそんなに強くないですし俺達がいれば安全ですからね」
「ジェクト、お前……」
カイルさんが凄いジト目で見てきた。
いやだって2年も6色ルーンやソウル集めてたからね?
そりゃ遺跡に入った事あるし、敵のレベルも分かってるからそんな顔で見られても困るんですけど。
「いえ、私達は自分の身は自分で守れますから」
「そうは言ってもなぁ魔法職だろ?戦闘はそこまで得意じゃないだろうから俺達に任せてくれ」
魔法が得意と言っていたので後衛の回復役にとカイルさんは考えているのだろう。
魔法を使うサポートなら良いのだが、言っちゃ悪いがアイリス自身の実力はそこまで強くない。
実際に最難関の縛りプレイ等で使われる程度の強さなのでそこら辺は御察しの通りである。
「そうですね……確かに口だけでは納得できないでしょうから今からそれを証明します」
そう言い終わるとアイリスはキャトラを撫でるの辞めた。
キャトラも何かを感じ取ったのかアイリスから離れてお互いが見つめ合っている。
何するつもりなの?
「じゃあキャトラ準備は良い?」
「OKよ、アイリス」
準備が整ったらしい一人と一匹の足元には何かよく分からない文字で構成された魔方陣が形成されていた。
「白より白く誰より気高き神の化身よ、今この身と一つとなりて我等の悲願を叶えたまえ」
「心清き純白の巫女よ、我等の意志を理解する唯一の巫女よ、我等の悲願を叶えるならば我等の全てを受け入れよ」
「「ここに契約は結ばれた、我等の魂が一となる」」
呪文の詠唱を言い終わるとキャトラとアイリスが物凄く光っている。
え、え?何これ!?
流石にこんな事は白猫にはなかったぞ!?
俺こんなの知らないよ!?
「「巫女猫合体!!」」
いやマジでまるで意味が分からんぞ!?
巫女と猫が合体するから巫女猫合体なの?
嘘だと言ってくれないか?
ていうか合体って何!?
『どうもキャリスと言います宜しくね!』
光が収まるとそこに現れたのは猫耳と尻尾を付け、空中に浮かびながらスカートの裾を摘まんで挨拶してきたアイリスの姿だった。
「わあぁぁ!ねーね達カッコいい!」
コヨミちゃんの素直な称賛の言葉が音としてしか認識できない。
ナンダコレ?
……オレノシッテル白猫ジャナイ
少し考察になりますが、アイリスは白の巫女と言われてます。
巫女とは本来、神様の言葉を託されてそれを人々に伝えるという役割です。
なのでその巫女であるアイリスの近くにいたキャトラが本来は神様だったり、その遣いだったりする可能性も少なからずあると私は考えてたりします。
だから巫女として神様と憑依合体はあると思います(小並感)
色々と考察という名の妄想を膨らますのもssを書く楽しみの一つですし、自分だったらこうだと思うというのを文章におこすのもssの楽しみの一つだと私は思っておりますので御理解頂けると嬉しいです。
長々と書きましたが読んで下さりありがとうございました。
お時間がある時にでも感想や評価を頂けますとモチベーションも上がりますので是非お願い致します。