ジュエルがあれば何でもできる   作:羊毛ローブ

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3猫「カイルがいれば話も進む」

あれから2年経ってもカイルさんが来る気配がなかった……

流石にこんなに時が流れるとある程度の事もすっかり忘れてしまった。

とりあえず昼間は海辺で腹筋しまくるのが日課になってしまう程には彼の到着を待ちわびている。

 

なぜ海辺で腹筋しているかと言えば物語の冒頭は主人公が海辺でトレーニングしているところにカイルさんが登場するところから始まるからだ。

そしてそれが日課になってしまう程待てど暮らせど現れないという事でもある。

 

夜に魔物とか倒しまくってソウルとか5000万あるし、ゴールドは2000万も貯めている。

ゴールドがあまり貯まってないように思うかもしれないが生活するにはゴールドは必要不可欠なのでヘレナさんとこで色々食べたり家を住みやすくする為に改築したりしていたらゴリゴリ減っていったので仕方ない。

 

ていうか本当に俺が主人公に憑依しているのかも怪しくなってきたな……

でも赤髪の男とかこの島には俺しかいないから間違いではないと思うんだけどなぁ……

 

ここ1年毎日同じ事を考えながら腹筋していると海辺から1人用の舟に乗った金髪の青年が降りてきた。

 

あ、カイルさんようやく来たんだ!って思った?

残念ながら俺は思えなかった。

 

2年も待ってれば1人用の舟でこの島に来る人間なんて50は普通に越えている。

 

初めの頃は1人用の舟でやって来る人間は全員カイルさんだと思っていたけど流れの商人だったり、とうもろこしの着ぐるみのオッサンだったり、「僕の家知りませんか?」っていきなり聞いてくる兄ちゃんだったり毎度毎度、期待を裏切られて来たんだぞ?

そう簡単に信じると思うなよ?

 

 

「よう、この島の人間かい?」

 

「そうですけど何か用事ですか?」

 

はいはいどうせ村に連れて行って欲しいとかそんなんでしょ?

いいよ確かに初めてこの島に来たら村の場所とか分からないだろうし。

 

「俺は冒険家やってるカイルって言うんだよろしくな」

 

ふーん、カイルって名前なんだね。そんなカッコ良い名前の商人とか珍し……

 

うん?

い、今、か、カイルって言った?

 

「か、カイルさんって名前なんですか?」

 

「うん?そうだって言ってるだろ、変な奴だな」

 

よ、ようやく現れたか……

苦節二年、雨の日や曇りの日以外の晴れの日を毎日毎日海辺で腹筋しまくった成果がここに現れたんだな……

 

「な、何で泣いてるんだ?俺が何かしたか?」

 

「い"え"、ズルルル……何でもないでずぅ」

 

もうこの島で平和に暮らしていくだけなのかとちょっと思ってた事もあったけど、島の仕事の手伝いもしないのに魔物をこっそり倒しまくってお金持っているせいでご近所さんからヒソヒソと変な噂されまくってるのもあったけど、それも今日で終わりかと思うと普通に嬉しくて泣けてしまった。

 

特にご近所さんのヒソヒソ話は辛かった……

 

何故働いてなかったのかと言えば、この島では俺は就職できないからである。

より詳しく言えばこの島で働こうにも雇ってくれる人間が存在しないからだ。

バロンもヘレナさんも雇ってくれないし、町の人も自分達の給料で精一杯らしく雇う余裕がないらしかった。

この島を離れたらどう物語が進行するのか分からないから他の島で働くのも難しかったのだ。

 

だがそんな日々も今日で終わりだ!

 

「……飛行島の事を知ってるかどうかと聞きたかったんだがなぁ……」

 

 

あ、カイルさんが困った顔をしている。

とりあえず泣き止もう。

スゥーーーー、ハァーーーー

スゥーーーー、ハァーーーー

スゥーーーー、ハァーーーー

よし落ち着いた。

 

「……飛行島ですか?何でそんな事を俺に?」

 

 

「このアストラ島に飛行島への手掛かりがあるらしいんだよ」

 

 

「なるほど……俺はあんまり詳しくないんでとりあえず村に行きますか?物知りの獣人がいるので多少は答えられると思いますよ?」

 

「……『あんまり』?という事は何か知ってるのか?」

 

うげっ、この人やっぱり優秀な冒険者なんだな。

会話から飛行島について俺が少しは知っている事を見抜いてるもんな。

 

「知ってると言ってもその詳しい人から飛行島というのが浮かんでいる島って事を聞いたぐらいですよ?」

 

「へぇ……やはりこの島には手掛かりがありそうだな」

 

 

どうやら納得してくれたみたいだ。実際に飛行島に関しては詳しい事は俺にはよく分からないからなぁ……

白猫をプレイしていた時なんて「それなんてラピ○タ?」と思ったぐらいだし、詳しい事なんて説明されていたとしても忘れてるプレイヤーの方が多いんじゃね?

 

「じゃあ悪いが、その詳しい人がいる所まで案内してくれないか?」

 

「良いですよ、でも俺も冒険者になりたいんで色々と教えて貰っても良いですか?」

 

「そうなのか?お安い御用だよ念願の飛行島の事について一歩近づいたんだからな」

 

よっしゃぁあああ!!

コレで色々と分からない事があっても聞ける事ができる!

 

「さて、じゃあさっそく村へ行こう……ん?」

 

カイルさんが何かが近づいた事を察知したらしくさっきまで微笑んで顔が急に凛々しくなった。

 

「魔物だな……冒険家になるつもりなんだろう?ならお手並み拝見といこうか」

 

魔物っていうけど星たぬきですやん……

今は槍の練習をしていたので、木槍(ウッドランス)を使って星たぬきをブン殴った。

 

「へぇ、お前も槍を使うのか奇遇だな俺の武器も槍なんだ」

 

「そうなんですか?確かに奇遇ですね」

 

「筋が良いな、コレなら今すぐ冒険家になっても通用するんじゃないか?」

 

他愛もない雑談をしながら村への道を進んで行くと、そこグレイルジャガーが立ち塞がっていた。

 

「グレイルジャガー?なんでこんなところに?」

 

「珍しいんですか?」

 

 

コイツ等幾ら倒しても次の日にはまたいるからゴキブリぐらいの感覚だったんだけど……

 

「あぁ、割りと凶暴な魔物だからな

……よし二人でなら倒せるだろう行くぞ!」

 

 

とヤル気満々のカイルさんには悪いが、さっきも言った様にゴキブリの様に沸いてくるグレイルジャガーを倒すのに一々気合い入れるのもバカらしい気がする。

 

「まぁ弱いんすけどねこの島のグレイルジャガー」

 

「は?」

 

前にバロンに聞いたのだが、比較的平和な島なアストラ島は他の島と比べると比較的に魔物が弱いらしい。魔物も他の魔物を食べたり色々する事で強くなるらしいが残念ながら星たぬきとハチぐらいしかいないような島では強くなりようがないらしい。

 

「とりあえず邪魔だからサクッと倒しますね」

 

「何を言って……」

 

槍に魔力を溜め込みグレイルジャガーに向かって開幕ブッパでビームを出すとグレイルジャガーはそのビームをモロに喰らって絶命した。

 

「はぁ!?」

 

あれ?

すげぇ驚いてるんだけど何で?

 

 

「魔力や気力の放出を光線状にして撃てるとはな……しかもグレイルジャガーを一撃とは一体何者なんだお前……」

 

え?そうなの?

あ……そう言えば俺も最初は自分でこの身体のスペック高いなって思ってたの忘れてた。

どう言い訳しよう……

 

 

 

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