そんな武器ガチャ回
「考えても分からない」
とカイルさんは開き直った様である。
あれこれ考えても分からない物は分からないからそれよりも当初の目的である飛行島についての情報を調べる事を決めたようだ。
そうなるまで1時間以上考え込んでたけどそれはこの際どうでも良い話だろう。
村へ到着した俺達はそのまま村の奥にあるバロンの鍛冶屋まで歩いているとヘレナさんに会った。
「あら、ジェクトそちらの方は?」
「冒険家をやっているカイルという者です。飛行島について調査しているんですが聞いた事はないですか?」
"飛行島"というところを強く言っているのは何故だろう?
「いや……聞いた事ありませんね」
「そうですか……」
「ただこの村で一番物知りが鍛冶屋をやっているのでそこで聞けば何か分かるかもしれません」
「そうですか、情報ありがとう」
そう言ってその場を後にしようとする俺達。
やっぱりバロンに聞くのが一番てっとり早いよね、ヘレナさんもそう思ったんだろう。
「あの、カイルさん」
ヘレナさんがカイルさんを呼び止めた。
何でだ?
「ジェクトは昔から冒険家になりたいって言っていたんです。だから色々良くしてあげて下さい」
へ、ヘレナさん……
やっぱりアナタはこの島で唯一の俺の味方やで。
「……あぁ構わないさ」
カイルさん、若干口ごもったのは何でなんですか?
そんなこんながありながら村の外れに到着するとライオンの獣人であり、この村唯一の鍛冶屋であるバロンの店に着いた。
「バロンって言うライオンの獣人がいる場所はここか?」
「そうですね。バロンはこの島で一番のバロンですからある程度の事は聞けると思いますよ、ただ……」
「ただ?」
「凄い情報を小出しにしてくるんですよ……」
「うん?」
「例えて言うなら宿題が分からないならそのヒントはくれるんですけど答えは教えてくれない感じですかね」
バロンは本当にもったいぶるのが大好きな性分らしく、なんでもない事ですら何かがあるような言い方をしてくる。
だからバロンに聞くのはある意味最終手段なのだ。
「だからあんまり期待し過ぎるも良くないですよ?」
確か遺跡の方へ行けば良いとか言う話をカイルさんにバロンがすると言う事は微かな記憶で覚えているんだけどね。
本当にもったいぶるから俺もバロンに対して少しイライラしているのだ。
ソウルボードの事で怒ってる訳じゃないよ?
教えてくれたらすぐなのに何でか教えてくれなかったからイライラしてる訳じゃないよ?
「そこにいるのはジェクトか?どうした何か用か?」
そんな事を考えているとバロンが鍛冶屋から出てきた。
声が聞こえたから様子を見に来たらしい。さっきまで武器を鍛えていたらしくカナヅチを握ったままだ。
「いや、俺が用事があるんですよ」
「うん?そこにいるのは何方かな?」
「俺は冒険家のカイルだ。飛行島についてこの島で一番物知りだというアナタの話を聞きたいと思ってここに来た」
「……残念ながら教えられるような事はありませんな」
うわ、こうなると中々バロンは話さないぞ?
カイルさんどうするんだ?
「……アナタが持っているそのカナヅチ、古代文字が刻印されてるな?」
「!!古代文字が分かるのか!?」
「えぇ、それが旧王朝時代の物でそれを売ればガレオン船一隻が買えるぐらいの価値がある事も」
バロンがそれを聞くと何やら考え込んでいる。
「……ふむ、この奥の森に遺跡がある旧王朝時代の遺跡だそこに行けば何かがあるかもな……」
「情報感謝する」
おぉぉ!!
流石はカイルさん、自分の知識でバロンから情報を捻り出したか!
でもこの島を探索すれば普通に遺跡までたどり着く事が出来たんじゃね?と思ってしまっている俺もいるが、まぁ早い段階で分かったならそれで良いんじゃね?
と言う事で早速その遺跡に向かおう。
「待てジェクト、お前も一緒に行く気か?」
「だったらどうしたの?」
「あそこの魔物は海辺の魔物より強いからな、流石にウッドソードだけでは心許ないだろう」
いや、今装備してるの木槍(ウッドランス)なんだけどね……
コイツの目は節穴か?
「ジェクト、お前ランス以外にもソードが使えるのか?」
カイルさんが確認するように俺に聞いてきた。
いやランスとソードどころか殆どの武器扱えるんだけど……
流石にそれは黙っておこう、何か気の毒だし。
「そうですね使えますよ」
「……そうか、ジェクトだから仕方ないか」
カイルさんが俺だったら何でもありだって顔してる!?
いや何でもありじゃないんです。
確かにビームとか回復魔法とかスタンドみたいなものとか召喚できるけど何でもありな訳じゃ……
いや何でもできそうな気がしてきた。
俺のスペック高すぎね?
「なんと!ランスも使えるようになったのか!?流石としか言い様がないな……」
あれ?バロンも驚いてるけど納得してる驚き方だな?
コイツやっぱり何か知ってるんだろうな、絶対言わないから突っ込まないけど。
「しかし、ここから先は魔物も強くなるからな。コレを使え、今の物よりはマシな装備が手に入るだろう
」
そう言って渡された袋の中身を確認すると15個のピンクがかった結晶があった。
え?もしかしてこれジュエル!?
ジュエルってこの世界にもあったのか!
どんだけ探してもないから存在しないもんだと思ってたわ。
と言う事は……
「コレを売ってお金にしろって事ですか?」
「違うわ!」
凄く怒られたんだけど……
ちょっとした冗談だったのに。
とりあえず中身を確認したので落とさないように袋をくくっておこう。
「ジェクト、これはジュエルと言ってルーンとは違う魔石だ」
うん、知ってる。
けど知らない振りして色々聞いておこう。
俺の知ってるジュエルと違うかもしれないし。
「ジュエルですか?」
「ジュエルは魔力が詰まっている不思議な魔石だ。指標性を持っていない魔力を自分の意図で色々と変換できるのが強味なんだが稀少な物で手に入り難いんだ」
難しい言葉を使って俺が理解できると思っているのか?
指標性なんて初めて聞いた言葉だぞ?
「指標性って何ですか?」
「簡単に言えば、何かを判断する時の目印って事だ。それがないから色々な事に使えるって訳だな」
つまり、まっさらな純粋な魔力だからそれに指示を与えると色々できるって事か?
つまり。
「なるほど、ジュエルがあれば何でもできるんですね?」
「身も蓋もない言い方だが……まぁ大体そんな感じだ」
でもこのジュエルを貰って何するんだろう?
俺の装備をジュエルを使って鍛えたりするのかな?
「よし二人とも着いてこい」
そう言ってバロンの鍛冶屋の中へ入った。
特に何もないんだけど今からジュエルを使って鍛えたりするのかな?
「よし、下がっていろ」
そう思ってるとバロンが鍛冶屋の木の床をカナヅチで思いっきり叩いた。
そうすると鉄と鉄を叩いた時の大きな音が鳴った。
う、うるせぇ……
て言うか木の床じゃなかったのかよ!?
そう思っていると床が下に落ちてそこに現れたのは地下へ続く階段だった。
「降りるぞ」
バロンがそう言うのでカイルさんと俺は一緒に階段を降りていった。
一番下に着き広い部屋に出た。
その奥まで進むと現れたのは人の二倍はある大きなライオンの置物だった。
「これこそが私が産み出した最高傑作!ジュエル変換システム搭載の鍛冶マシーン"バーロン"だ!!」
興奮気味にライオンの置物こと"バーロン"の事を話すバロン。
ネーミングセンス皆無だな。
「何ですか、これ」
「いやこれ旧王朝時代の古代文字で術式組まれてるぞ!?凄いな!」
カイルさんが若干興奮気味である。どうやら古代系の物を見るとテンションが上がる傾向にあるらしい。
「説明しよう、ジュエルを15個このバーロンに投入する事によって新しい武器を精製する事ができるのだ!」
そしてバロンもテンションMAXらしくいつもの口調ではなかった。
なんだこれ。
「つまりジュエルをこの中に入れれば武器が出てくると?」
「うむ、そう言うことだ」
「なら俺、今2000万ゴールドあるんでそれで武器買っても良いですか?」
「な、何を言っている!?」
「だってこれどんな武器出るかランダムなんですよね?ならお金で買った方が確実じゃないですか」
遺跡には何度も木の武器装備で行った事があるから装備はなくても良いと思うんだけどここでわざわざジュエル使うなら他の時に使いたいし、お金も貯めてばっかりじゃ腐るだけって聞くから良くね?
「…………ならジュエルは返して貰おうか武器は1つ2000万ゴールドだ」
お、大人気(おとなげ)無いな!
そんなにこのバーロンなる置物を使って欲しいのかよ?
「ジェクト、ここは大人しくバロンさんの言うことを聞いておこう。それなら無料で武器が貰えるし得しかないだろ?」
何かカイルさんが説得しに来た。
「そう言いますけどカイルさん、このバーロンが動くとこみたいだけでしょ?」
「……冒険家としては珍しい物を見てみたいと思う気持ちに嘘はつけないという事だけ言っておこう」
うん、確かに俺には得しかない話だしさっきから俺の事で色々と心労が酷いらしいカイルさんの頼みだし仕方ないから使ってみるか……
「ごめんバロン、やっぱりこのジュエルでバーロンを使わせてもらっても良いかな?」
「そうこなくてはな!」
テンション戻るの早いな、おい。
「作ったは良いがジュエルを使用するから使用する機会が皆無でな、私も二、三度しか動く姿を見ていないんだ、楽しみだ!」
バロンが自分で 貯めたジュエルを使ってまでこのバーロンを使って欲しいのか……
「本来なら武器の種類は選べないが今回はジェクトの為に特別に調整して剣が出るようにしてやろう」
そう言ってバロンは上に上がっていった。
……あのドヤ顔の獣人の顔をブン殴ってやりたいと思うのは俺だけなのだろうか?
もういいや別にどんな武器でも使えるから調整なんてどうでも良いや。
さっさとジュエル入れてやろう。
「ジュエル15個どこに入れるのかな」?
バーロンの近くに行き、口が空いていたので多分そこにジュエルを入れるのだろうと思い、ジュエルの入った袋を開けようとしたらバロンが帰って来た。
「あ!直接入れたらダメだ!!」
「へ?」
袋からジュエルを取り出そうとした瞬間、バーロンの目がギランッと光り物凄い勢いでジュエルを吸おうとしている。
そしてその吸い込みが俺すらも吸おうとしている。
「ぬおおおおおお!!!吸い込まれそうなんだけどおおぉおおおぉおおぉ!!!??」
「言わんこっちゃない!バーロンはジュエルを吸引するだけのただ1つの鍛冶マシーンじゃないんだぞ!」
それ関係あるぅぅ!?
袋をもう手放しているのにも関わらずジュエルは律儀に一個ずつ吸おうとしているせいで吸う時間が長い。
そう言えばカイルさんは大丈夫なのか!?
「ふぅ……危険を察知する事も冒険家に大切なことだからな」
いつの間にか階段のところまで距離を取っていたらしく全然大丈夫だったよ畜生!!
「踏ん張れ!じゃないとお前が武器になってしまうぞ!」
なにそれ怖い!?
ぬおぉぉぉこの世界に来てから最大のピンチじゃねーかぁぁぁぁぁ!!!
何とか吸引が終わるのを耐えきるとバーロンが思いっきり光り出した。
「スゲェ光ってる金ピカなんだけど、何コレ!?」
「吸い込みが終了したか……まずい!そこから離れろ!
」
「えぇ!?何で……」
バロンが叫んでいたから用件を聞こうとするとバーロンの口から思いっきり何かが俺の腹へと射出された。
「ぐぼおおぉぉ!!」
「ジュエルを武器に変換したバーロンは武器を凄い勢いで吐き出すんだ……」
グレイルジャガーの回転アタックの数倍の痛みに俺は悶絶した。
「言うのが遅い……」
バロンいつか覚えておけよ……
「け、剣先じゃなく柄の部分で良かったな。と、とりあえず武器の確認をしておくとしようか」
カイルさんが話題を変えようとそんな事を言っているが俺はバロンへの恨みがもの凄い。
お前の飛行島での居場所ねーからな!
イライラメーターが上がりまくるのを何とか抑えて俺の腹へと射出された武器を確認してみるとそこにあったのはスコップだった。
「スコップか?」
「スコップですね……」
「うむ、スコップだな」
「……バロン?」
自分で言うのも何だが物凄く冷たい声が出た。
死にそうになって出てきたのがスコップって何だよ!
てかそんな武器が白猫にあったのかよ!
「ち、違うぞジェクト!コレはスコップでも鍛えれば相当に強くなるスコップなんだ!」
「いやスコップって言ってる時点でギルティ」
俺はそのスコップを手に取りバロンへと詰め寄る。
もはや一発ぶん殴らないと気がすまん。
何か髪が黒色になっていく気がするが気のせいだろう。
「そ、その武器の名前はデビルディッガー!剣の中でも名剣と言われる1つだ!」
バロンが凄く怖がりながら俺に説明している姿を見て思い出した。
そういやスコップの剣ってネタ武器だと思っていたら中々に強い武器だったわ。
なんか思い出したら冷静になってきた。
俺も勝手にバーロンを使わなかったらこうならなかった訳だしな。
髪もどんどん赤色に戻っていくような気がする。
「ふぅ……一瞬が髪が黒くなった時はどうなるかと……」
何か赤い髪が黒くなると色々と問題があるんだっけ?
もうすっかり忘れてるからなぁ……
「ジェクト、お詫びにジュエルを15個やろう。そしてもう一度武器をバーロンで作らないか?」
……バロン?
やっぱり1回殴って良いかな?
後書きと言う名の白猫の補足
白猫では武器ガチャという物が存在し、ジュエル15個で1回できます。
武器の種類は選べませんが最初のチュートリアルガチャのみ剣士の武器が出てきます。
武器にはレアリティが存在し武器ガチャでは星2~星4(期間により星5)が出ます。
ガチャ産の星3~星4武器は鍛えて進化させる事で星5までなりますが、基本的には星4武器から進化させた星5武器の方が強いです。
このssでは期間限定のガチャ概念がない事にしていますのでご了承下さい。
スコップ
スコップこと正式名称デビルディッガーは星5武器です。白猫内では割りと強い剣士の武器に入ります。
コレが初めてガチャで出た当初は某サイトで一位になる程には強い装備です。
現在は……
まぁ普通に強いです。