ジュエルがあれば何でもできる   作:羊毛ローブ

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8猫「コヨミがいればカイルも落ち込む」

無事に着地も成功してギャラリーが仕事や家に帰っていく中、俺とカイルさんは召喚術によって呼ばれた幼女の話を聞いていた。

 

「にーに達のお名前は?」

「ワンワン」

 

つぶらなで純粋な瞳から聞かれてる幼女の名前はコヨミ。

薄い水色の髪色でもふもふの犬耳とふわふわの尻尾が生えている獣人だ。

うろ覚えだがこの女の子は狼の獣人であり、頭に乗っかている子狼?で「ワンワン」言ってるのはタローというコヨミちゃんの実の弟である。

 

白猫の世界では獣人というカテゴリーが存在し、コヨミちゃんはバロンのような獣がそのまま二足歩行になったようなタイプの獣人とは異なり、人にそのままケモミミや尻尾が付いているタイプの獣人なので可愛いさ満点である。

 

何故そのような違いが出るかはバロン曰く、人間の肌の色の違いのようなものらしい。

 

「俺は、ジェクトよろしくね」

 

「俺はカイルだ」

 

二人で自己紹介を済ますとコヨミちゃんは幼女特有の首をかしげる仕草をしながら人指し指で俺たちを指す。

 

「えーと、赤いお髪がジェクトにーにで、金ピカのお髪がカイルにーに?」

 

なんだこの可愛い生物は……

 

本来なら「人に向かって指を指すとは何事だ!」 と説教するところなのだがその可愛さに何も言えない。

ちゃんと指摘できない赤い髪ですまない……

 

そう言えば、何でコヨミちゃんって冒険者になったんだろう?

冒険者になる人って基本的に何か願いがあってそれを叶える為になる筈だし、聞いてみようかな。

 

 

「そうだよ、コヨミちゃんは何で冒険者になったの?」

 

「えっとね、コヨミはお母さん達がケガしちゃって人の姿になれなくなっちゃったの……だから雪のルーンを集めてお母さん達を人の姿に戻したくて冒険家になったんだよ!」

 

なんやこの健気なお子さん

、俺もこんな子を育てたい。

 

「そうなんだ……お母さん達も喜んでるね」

 

「うん、コヨミ頑張るね!」

「ワン!」

 

おもわず母性愛か父性愛かよく分からないようなモノが出てしまった。

 

コヨミ……恐ろしい子……!

 

 

ふと思ったのだがコヨミちゃんが仲間になったのは素直に嬉しいのだが問題が一つある。

ゲームの白猫なら気にならなかったのだがこんな小さな子を魔物と戦わせても良いのだろうか?という事だ。

 

実際に冒険者になっているのだからケガをする覚悟があるとは思うがやっぱり子供に無理をさせたくないと思うのはいたって普通の考えだろう。

 

「ジェクトこの子の潜在能力は半端ないぞ」

 

そんな事を考えているとカイルさんが話しかけてきた。

 

「潜在能力ですか?」

 

「そうだ、お前が何かを考え込んでいる間にソウルボードを確認させてもらったんだが中々の潜在能力だ」

 

そうなの?

ていうことはソウルボードが俺と同じぐらいあるとか?

 

「ソウルボードが8つあった「そんな訳あるか」とか……えぇ」

 

食いぎみに否定されたんだけど……

 

「ソウルボード8個って言ってみれば創造神みたいなもんだぞ?」

 

「そんなに!?」

 

そこまで異常な存在なの俺!?

 

「まぁお前の事をどう考えても理解できないから俺は諦めたからどうでも良いけどな」

 

どうでも良くはないだろう!?

でも確かにソウルボードの解放を聞いた後辺りからカイルさんの様子がおかしくなっていったからなぁ……

聞けば聞くほど俺という存在の異常さが浮き彫りになってくパターン。

もう怖くてうかつに聞けないわぁ……

 

「普通に一つだけだよ。けど解放して上がる能力値の上がり幅が高いんだよ」

 

「あー、そういう事ですか納得です」

 

確かにソウルボードを見れば潜在能力が分かるからなぁ。

その能力の上がり幅がデカイって事はそのまま潜在能力が凄いって事になるだろうし。

 

そんな会話をしているとコヨミちゃんは俺の裾を軽く引っ張りながら少し震えていた。

何で!?

俺何かした!?しでかしちゃった系?

 

「あのね、コヨミとタローだけだとね雪のルーン集めるのすっごく大変なんだ……だからね、にーに達に手伝って欲しいの……」

 

「クーン……」

 

 

ケモミミがしょんぼりしている。

何もやっていなくて良かったとはいえ親御さん達の為と言っても、まだ親離れできない年齢ではないのだから不安で仕方ないんだろうな……

これは一肌脱がないと男が廃るぜ!

 

「ジェクトにーにとカイルにーにに任せれば安心だよ!」

 

「そうだな俺達に任せておけ」

 

こんな良い子の想いを踏みにじる訳にはいかない。

俺とカイルさんは顔を見合わせて頷いた。

 

「分かった!よろしくねジェクトにーに、カイルにーに」

 

「ワォーーン!!」

 

 

花が咲き乱れんとする程の眩い笑顔がそこにはあった。

この笑顔の為に頑張ろうと思える。

……これ親の心理状態じゃね?

 

「でも不安ですよね……コヨミちゃんを連れて行くのは。コヨミちゃん戦えると思えませんし……」

 

協力する事に関して言えば何も文句はないのだが潜在能力がいくら凄いと言っても不安は残る。

 

コヨミちゃんが自分の身を守れる程度の実力がないと連れて行くのは難しいからだ。

まだ子供と言える年齢のコヨミちゃんがいくら潜在能力が高いとは言っても今の段階でも戦えるかどうかは別なのだ。

 

確かに白猫の世界では生後7日には弁慶みたいな風貌になって普通に戦える奴もいるけどそれは例外だから……

 

「何言ってるんだ?冒険家飛行船協会に登録している時点でコヨミはグレイルジャガーは倒せる実力はあるぞ?」

 

「へ?」

 

「言っただろ、ある程度の実力か潜在能力がないと冒険家飛行船協会に登録できないってその基準がグレイルジャガーを単独で倒せるってものなんだよ」

 

「いやそれハードル低くないですか?グレイルジャガー程度じゃ、やっぱり不安ですよ」

 

まだソウルボード解放してなかった俺に一撃で倒されてしまうような魔物。

それがグレイルジャガーだからなぁ……

 

「グレイルジャガーは第3危険魔獣指定されてるんだがなぁ……無知とは恐ろしいもんだよ全く……」

 

カイルさんがボソッと何かを言ったが聞き取れなかった。

イチイチ聞き直すのも悪いからそのまま流しとくか。

 

「物は試しだ、森に行けば魔物にも出くわすだろう。コヨミはそこで自分の力を俺達に見せて欲しい」

 

「カイルにーに、魔物を倒したら良いの?」

 

「あぁコヨミの持っている力を俺達に見せて欲しいんだよ

 

「わかった!コヨミ頑張るね!!タローも一緒に行こうよ!」「ワンワン!」

 

そう言うとコヨミちゃんとタローは森の中へと走っていってしまった。

 

「一応言っとくがこのアストラ島に限らず、グレイルジャガーは人を殺す事もある危険な魔物だ。それを倒せる力がなければ冒険家飛行船協会に登録できないからな」

 

「でもやっぱり弱いと思うんですけどねぇこの島のグレイルジャガー」

 

「ハァ……他の島に行った事がないからそう思えるだけだろうよ……コヨミ達を追いかけるぞ」

 

「そうですね、迷子になるかも知れませんし」

 

「コイツはどう話せば俺の心労を理解してくれるんだ?」

 

そんな会話をしながらコヨミちゃん達を追いかけるとコヨミちゃん達はグレイルジャガー三匹に囲まれていた。

 

「な!?三匹も……」

 

流石にグレイルジャガーを三匹を相手にするとなるとケガをする可能性の方が高い。

例え一対一では確実に勝てる相手だとしても三対一ではその可能性は低くなってしまうからだ。

 

「マズイ……コヨミちゃん逃げて!」

 

この位置からだとコヨミちゃんにも俺のビームが当たってしまう……

ゲームの時とは違い、自分の攻撃は仲間にもヒットするのは確認済み(バロン)で知ってるから攻撃できない……

 

俺は全力でコヨミちゃんを助ける為に走ろうとした瞬間だった。

 

「クマロンのバカぁぁぁ!!」

 

コヨミちゃんを助けようと俺の真横をバカデカイ雪だるまが通り抜けたのだ。

 

コヨミちゃんの手からは煙が立ち上っている。

どうやら自分のSPを使って雪だるまを錬成し、グレイルジャガー達に向かって投げつけたようだ。

グレイルジャガーはその雪だるまの威力が強かったらしくぶっ飛ばされてルーンに変化した。

 

「あれ?どうしたのジェクトにーに?」

 

色々と聞きたい事があるが、そのセリフを言うキャラじゃないでしょコヨミちゃん!?

 

「く、クマロンって何かな……」

 

そんな眩い笑顔で話されるとゴリ押しツッコミできない……

 

「あのね、飛行船にいた時にお友達になったリーゼちゃんがこの言葉を言うと元気になるって言ってたの。クマロンはねぇリーゼちゃんのお友達のお名前だよ!」

 

「あぁそれでか……」

 

 

コヨミちゃんが言っているリーゼちゃんとは白猫のキャラの一人であるリーゼロッテと呼ばれるキャラだ。

このキャラの特長として挙げられるのは人見知りがはげしいのとクマロンという腹話術の人形らしきものを使用しているという事。

 

そしてそんな彼女が必殺技を使うときの掛け声が「クマロンのバカぁぁ!!」というものである。

 

だから仲良くなったリーゼに教えてもらったやり方をしたんだろう。

いや本当に素直な良い子だよコヨミちゃん。

 

このリーゼの記憶を俺がここまで覚えているのは正直奇跡に近い。

年々記憶が薄れていくからなぁメモを取ろうにもそれができないのだから仕方ないんだけどね。

 

「でもクマロンのバカって言うとね、胸のところがチクッとするからあんまり言いたくないなぁ……」

 

悪口を言うと心が傷むとか、なんやこの天使は……

飴ちゃんあげたくなるやろぅ!!

 

そんな気持ちをグッと抑えて紳士的に頭を撫でてあげると気持ち良いのか耳がピクっと動いた。

 

「そうだね、胸のところがチクってなるなら言わないでおこうね」

 

「うん……リーゼちゃん教えて貰ったのにゴメンね……」

 

あー、やばい保護者になりたい。

 

どっかに素直で純情なお子さんが落ちてないかなぁ……

いや、もし落ちてたら落とした奴をブン殴るから落ちてない方がいいな。

 

「不安は俺の勘違いでしたね……流石はカイルさんですね……」

 

自分の気持ちを落ち着かせる意味も込めてカイルさんに話しかけたがカイルさんはボケっと突っ立てるだけだった。

 

「カイルさん?」

 

「俺よりも強いとか……冒険家って何だろう?」

 

あ……

 

と、とりあえず遺跡に行くのに不安要素はなくなった訳だし……

 

 

 

うん

行くぞ世界の果てへ!(白目)

 

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