こうして、私達は出会う(完結)   作:珍明

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閲覧ありがとうございます。

残酷な表現があります。


17.暗転

 ダンブルドアがクローディアを退学に追い込もうとしている。

 そんな事実のような噂は城中に伝わり、パドマやリサでさえ彼女の扱いに困った。

 心の距離が縮まっていたはずのベーカーは入学時の監視する目つきに戻り、ヘレナもクローディアが加害者に回った事で遠巻きにするばかりで話しかけて来なかった。

 そんな中で、退院したハリーは普段と変わらぬ態度で接してくれた。

「あの呪文、服が弾ける魔法じゃなかったね」

 ちょっとした冗談を混ぜた会話にクローディアは嬉しさのあまり、涙が溢れた。

「へい、クローディア! ハリーとやりあったって本当!?」

 久々のザカリアスからの容赦のない質問をアーミーがヘッドロックで黙らせた。

 スネイプの件について、お互いに何も言わない。ただ、ハリーも『半純血のプリンス』の教科書を手放したので、それが答えなのだろう。その結果、彼は『魔法薬学』の授業でボロボロになったが、それでも取り戻そうとはしなかった。

「アルバスまでクローディアに厳しくなりおって、なあに心配するな。退学になっても就職先の世話くらいはしてやるとも。友人の君が落ち着けば、ハリーの調子も戻るじゃろう」

 スラグホーンは噂にハリーが動揺していると解釈していた。

 

 スネイプの用意した罰則は古い書類の整理整頓、文字が霞んでいたり、紙が脆くなっている物は書き写して保管するという。想像していたより普通だ。

 寧ろ、これまでで一番易しいとクローディアは思う。

「書き取りは君のお得意だろう? さあ、思う存分やりたまえ。魔法は使うな、そこの使い魔も尻尾を出すな」

 手伝おうとしたベッロはピタッと動きを止めた。

「はい、スネイプ先生」

 薄暗い地下研究室で2人きりだが、きちんと向き合ってもらえるだけの価値がある証明だ。

 書類の内容はおそらく創設時からの罰則の歴史。知らない名前もあれば、同級生と同じ姓をいくつも見つける。主に被害者側が多くて苦笑いした。

 午前10時から始まり、午後1時に一先ず終わった。

「どこまでやったか印をつけておけ、次の土曜日も同じ時間だ」

「はい、先生はどこまで進みましたか?」

 何気なく問うたが、返事はない。見るとはなしにスネイプの手元を見て【ジェームズ=ポッターとシリウス=ブラック】の名前が見えてしまった。

 思わず、渋い顔をしてしまい勘付かれたスネイプは書類を手で隠した。

 

 部活も部室には行けなくなったが、デレクと時間を合わせて図書館や大広間で引き継ぎを行った。

「そのまま、キスしちゃえよ」

「このまま何も言えないままでいいのか?」

 ペロプスやナイジェルが意味深に笑い、デレクを困惑させる為にクローディアはしっしっと2人を追い払った。

「いきなり、試合を組み合わせろなんて言わないさ。今学期は私の話を聞いて欲しいさ」

「はい、僕はやれます」

 まだ引き継いでもないのに、デレクは部長の責任に押しつぶされそうだ。

 ちなみにバーベッジは珍しくスネイプへ烈火の如くブチ切れ、ベクトルやバブリングの同僚にドン引きする程の罵詈雑言をブチ撒けているらしい。マダム・フーチに教えて貰った。

 

 噂の的以外でクローディアが困ったのは、杖振りだ。

 杖を握って構えた瞬間、血まみれのハリーが脳裏に浮かんで呪文も唱えられない。杖なし状態でも幾分かは魔法が行えるが、実技試験には杖の振り方も採点される。

「右利きですから、左手でやって御覧なさい」

 素直にフリットウィックへ相談しに行くと簡単そうな口調で助言された。

 左手の持ち方を指導されながら、クローディアは一年生で最初に学んだ浮遊呪文を試す為にこれまた懐かしい一枚の羽根を狙った。

「ウィンガーディアム レビオーサ(浮遊せよ!)」

 正しい発音と杖の振り方から、羽根は風もない部屋をふわふわと浮かんだ。

「おお、流石です。本当に逆手でやってのけました! レイブンクローに10点!」

「右手と変わらないと思いますが……今、本当にって言いました?」

 質問にフリットウィックは悪戯が成功したような悪い笑みを浮かべる。生真面目な寮監の悪人面は笑いを誘った。

「ペンを持つのと同じです。両利きでもなければ、正確な魔法は使えないでしょう。貴女は素晴らしい! これからは授業以外で左手による杖の練習を欠かさないように」

 適切な助言に感謝しつつ、クローディアはハーマイオニーにも逆手の話をしてみる。彼女も興味津々に杖を逆手に呪文を唱えたが、上手く行かなかった。

 試しにパドマとリサにも教えたが、ハーマイオニーと同じ結果だった。

「もしかして、貴女の杖には前の持ち主がいて、その方が左利きだったのではありませんか? ちょうど『魔法史』で杖について学んでいますが、持ち主の癖が残る話を聞きましたわ」

「いいや、この杖は私が最初さ」

 リサの質問に嘘偽りなく、答えた。

 ニコラス=フラメルがクローディアの為だけに用意した杖、少なくともオリバンダーはそう言っていた。

「でも逆手の練習はいいわね、模擬試験の項目に足しておこうかしら?」

 それは来年の皆が大変なので、2人で必死にパドマを止めた。

 

 『姿現わし』試験日、ハーマイオニー達は無事に合格する。ただ、ロンやモラグのように不合格の生徒もいた。

「次も僕と受けよう、モラグ」

「また試験なんて嫌だよ、ロン! もう免許いらない!」

「あいつ、本当にレイブンクロー生か?」

 喚き散らすモラグにアンソニーはやれやれと肩を竦めた。

 

 そんなロンは本当に運がない。

 ハリーは彼に『フェリックス・フェリシス』を渡しそびれた事を後悔する。試合一週間前、ロンはジャスティンと共に大怪我を負い、医務室へ入院してしまったのだ。

 『必要の部屋』で何かしていたらしく、怪我の原因も教えてくれない。ただ何かの爆発に巻き込まれたように全身が火傷による裂傷を受けていた。

 しかも、怪我の状態があまりにも酷すぎて、ロンは出場停止を言い渡された。

「聖マンゴへ移されないだけ、有りがたいと思いなさい」

 マダム・ポンフリーは怒りを抑えて言い放った。

 この事態にグリフィンドールチームはロンへ容赦のない失望と怒りを露にした。

「ケイティも戻ってこないっていうのに!」

「ロン、ジャスティンを何に巻き込んだ!」

 ハリーは見舞いのお菓子をロンに投げて言い放ち、アーミーもカンカンだ。

「これは男の約束だから」

 ジャスティンはパドマに聞かれても、頑なに口を閉ざした。

「そんな約束、破ってしまえさ」

 包帯で顔も見えない2人にクローディアも心配を通り越し、呆れた。

「そういばケイティ=ベルは戻らないさ?」

「うん、彼女から手紙が来てね。ご両親に止められたんだって、……うわあ、ミム!」

 クローディアの後ろに控えていたミムに気付かず、ハリーはケイティの復活はないと教えてしまう。彼女はすぐにエディーへ伝えに行ってしまった。

「今から代役って……」

「キーパーの代役……」

「やっぱ、マクラーゲンしかいないんじゃ?」

 ジニーとデメルサ、ジミーまで代役の心当たりは1人しかいない。

 しかし、ハリーは最後の試合はロンに出て貰いたい。その一心でコーマックに知られぬように過ごし、マダム・ポンフリーにも何度もせがんだ。

 結局、試合2日前になっても校医の許可は下りず、ハリーは断腸の思いでコーマックへ代役を頼んだ。

「なんで、こんなギリギリに言うんだ! 今すぐ練習だ、競技場は押さえたか!? 作戦の紙とかあったら今、見せろ。更衣室までに読む!」

 試合出場を諦め、N・E・W・T試験に専念していたコーマックは喜びよりも、怒りが勝る。予想外の真面目な反応にハリーは少々、反省した。

 練習へ駆け出すグリフィンドールチームを廊下で見かけ、クローディアはロンの代役はコーマックと知る。

「どうされましたか?」

「いや、ハリー達を見かけただけさ」

 リサを連れ、マクゴナガルの事務所を訪れる。パドマはハーマイオニーと一緒に恋人の見舞いだ。

 羨ましくなどないと言い聞かせ、扉を開けたマクゴナガルは今にも罰則を与えそうな程に眉間へシワが寄っている。

「ミス・ターピンもありがとう。ベッロはこっちで食べていなさい」

 鼠の唐揚げを差し出され、ベッロは喜んで部屋の隅で貪る。

「今朝、ようやく届きました。魔法省から、正しくはアーサー=ウィーズリー氏からの推薦状です。彼だけではありません、他の方々もサインして下さいました」

 見せられた羊皮紙はクローディアにN・E・W・T試験を受ける資格があり、その証人欄にアーサー=ウィーズリー、エイモス=ディゴリー、ガウェイン=ロバースの名を連ねた書類だった。

「N・E・W・T試験を受けるのに推薦がいるのですか?」

 逸早く、文章を読み切ったリサは確認する。

「O・W・L試験を合格していれば、一般でも受けられます。ただ、ミス・クロックフォードは事情が事情です。校長自ら退学を宣告された生徒でも、就職には何ら問題はないと示さなければなりません。明後日には校長先生が最終決断を出すでしょう。どんな答えでも、貴女が志した『癒者』への道を残さねばなりません。無駄になるかもしれませんが、この推薦状はお持ちなさい」

 『癒者』への道。

 そう、クローディアは『癒者』になる。それを他の誰でもないスネイプに誓ったのだ。

「先生、ありがとうございます」

 少しだけマクゴナガルは優しく微笑んだ気がする。自分の為に用意された大人達からの想いを胸に、教頭へ感謝した。

「クローディアはずっと頑張って来たんです。その行いが報われたんですわ」

 寮へ帰る途中、リサも暖かい言葉をくれる。談話室には、無言でベーカーが待ち構えていた。

「届いたんですね、良かった」

 クローディアの手にある推薦状を見つめ、ベーカーはそれだけ告げて男子寮へ走って行った。

「そうか、ベーカーが自分の伯父さんに……」

 退学の報せを聞き、局長ロバースは彼なりの意図を持って推薦状を作成したか、サインしてくれたのだ。

「『癒者』になりましょうね、クローディア」

 状況を察したリサは優しくそう告げ、クローディアも決意した。

 

 

 そんな足早に迎えた試合日。

 空ひとつ見えない曇り空、雨はなくても、雷が鳴っており豪雨は時間の問題だ。

 最後の試合を飾るには生憎の天候、それでも生徒の注目は集まっている。何故なら、勝敗により優勝と最下位が決まるのだ。

 クローディアには判決の日。ドリスやボニフェースの写真を見ながら、緊張で震える臓物に喝を入れる。お守り代わりにジョージから貰ったイヤリングを着けようとした。

「今日も罰則でしょ? スネイプ先生に没収されるわよ」

 パドマの指摘でイヤリングは紐を通し、首飾りとして首にかけた。

「罰則についてだが、場所を変更する。時間は10時のままだ。くれぐれも遅れないように」

 大広間に着いた途端、スネイプに告げられてガッカリした。

「いっぱい、写真を撮っておくからね」

 罰則で観にも行けないクローディアへコリンは悪意のない笑顔で慰め、勝手に写真を一枚撮って行った。

「ふふふ、私には『銀の矢』がある……『銀の矢』がある」

「チョウ、その震えは武者震えかしら?」

 クローディアの『銀の矢』を手にし、チョウはガタガタ震えている。指摘したサリーもさっきから歯の音がうるさい。

「今日は勝利を貴女へ贈ります」

「うわー、冗談でもそういう奴、初めて見た」

 笑顔のまま緊張で強張るシーサーにオーラはドン引きした。

「キャプテン、それはナプキンです。食べられません」

「わ、わかってるって!」

 チームで一番、緊張のあまりテーブルナプキンを齧るエディへネイサンは困った笑顔を向けた。

「皆、もうちょっと落ち着いてよ。向こうの連中を見てみなさい、堂々としているわ」

 サリーに言われ、グリフィンドール席を見やる。

 目の下に隈を作ったハリーがピリピリと殺気立っている。他のチームメンバーはそんなキャプテンを刺激しないように普段通りの態度を貫いているだけだ。

 観客席の場所取り合戦の為か、生徒はさっさと朝食を済ませて大広間を出て行く。クローディアも時間を確認し、二重扉を出ようとした。

 急にハリーに強い力で腕を掴まれた。

「振り返らずに聞いて」

 緊迫した声は試合の為ではない。

「夕べ、ロンに渡そうと思って荷物を探したら、無くなっていた……幸運が……、僕しか知らない場所に隠してあったのに」

 ゾッと寒気がした。

 ハリーの『フェリックス・フェリシス』が何者かに盗まれる。しかも昨晩、盗まれた事実が発覚したなら、犯行はそれより以前だ。

「今、ドビーとクリーチャーに探して貰っているけど、絶対1人にならないで……」

「私は1人じゃないさ。スネイプ先生がいるさ」

 それが心配だと言いたげにハリーは訴えるような目つきになる。その表情から、クローディアは今こそ伝えるべき瞬間だと悟った。

「ハリー、先生はプリンスさ。あれは先生の教科書だったさ」

 一瞬、ハリーは意味不明と怪訝な顔になったが段々と驚愕して口を開ける。そして、否定の意味で首を横に振った。

「先生を信じられないなら、プリンスを信じて欲しいさ」

 教科書に書き込みをしていた頃、学生だったスネイプを信じる。それは今のスネイプを信じるのと大差ないが、ハリーにとっては違う。

「……わかったよ」

 苦渋の決断と言わんばかりに鼻息を荒くし、ハリーは一気に息を吐く。クローディアは彼の肩に手を置き、後で話し合おう約束をした。

「ハリー、もういいかしら?」

 ジニーに声をかけられ、ハリーは喝を入れる気持ちで頬を叩く。勇み足で競技場へ向かって行った。

 ハーマイオニー達に護衛されながら、目的地に着く。スネイプは先に中で準備していた。

「スネイプ先生、やっぱり貴女に甘いわね。試合が終わったら迎えに来るから、ここに居てね」

 念を押しされ、クローディアは教室へ押し込まれた。

 窓の外を覗けば、競技場が見える。窓を開れば、試合の実況や歓声も聞こえてくるだろう。成程、スネイプが甘いとはこういう意味だ。

 時間を見れば、ちょうど10時。クローディアは言われる前に書類を探して、前回の続きから取り掛かった。

 沈黙したまま、作業を続けているといきなり窓が開いて冷たい風が舞い込む。折角、仕分けした書類も飛んだ。

「ああ、11時さ」

 試合が気になるらしく、ベッロが窓を開けたのだ。

「ベッロ、開けるな」

 スネイプは杖を振い、窓を閉める。宙を舞う書類も彼の魔法で元の箱へと納まる。しかし、そのせいで印もなくなり、クローディアは中身を確かめようと箱を持ち上げた。

 箱の下にダンブルドアの顔があった。

「――!!?」

 反射的に箱を天井へ投げつけても、悲鳴を上げなかった我が身を褒めたい。スネイプは箱を魔法で回収したが、机にあるダンブルドアの顔に同じくビビった。

「校長! 何をしておられる!?」

「2人と一匹だけでは寂しかろうと思って、ここに潜んでおった。気づいて貰えんで、ワシのほうが寂しくなっておったところじゃ」

 陽気な声で笑い、ダンブルドアは机から文字通り這い出てきた。

「こ、こんにちは」

 予想もせぬ登場にまだ心臓がバクバクと鼓動を速く打つ。

「……校長はそこなる蛇とでも戯れて下され」

 眉間のシワを解し、スネイプは呆れた口調で罰則の邪魔はするなと頼む。捨てられた子犬のような上目遣いをしてから、ダンブルドアはベッロを抱えてクローディアの隣へと腰掛けた。

 視線でスネイプへ訴えかけても、手振りで続きを促されただけだ。

 仕方なく、箱から書類を出して済んでいる物と分ける。

「ほお、懐かしい名があるのう」

 済んだ書類を箱に入れれば、ダンブルドアは呑気に手を取って内容を黙読する。しかし、読み終えた書類を別の箱へ入れてしまう。気づいたスネイプは彼女の箱へ戻す。コントのように片づけを邪魔する行為は10分も続けられた。

「校長、お忙しいでしょう。我輩達だけで足りますから、どうぞ、ご自身のお仕事にお戻りください」

 相手がダンブルドアではあるものの、流石のスネイプも怒りが募って声が低い。

「ワシに構うでない、セブルス。今良いところ……」

 唐突にダンブルドアは言葉を切る。のんびりと膝にいたベッロも警戒の体勢で、扉を睨んでいた。

 使いの反応からクローディアは咄嗟に杖を取る。スネイプも杖を手に席を立つ。扉の様子を窺いながら近寄り、眉間のシワを深くして目を細める。

「扉の向こうには誰もいません」

 何かの魔法かスネイプには見えている様子だ。

「ワシが見て来よう」

「いえ、我輩が見てまいります」

 スネイプが呪文で扉を開けた瞬間、興奮したベッロは先行して廊下へ飛び出た。

「クロックフォード、ここから出るな。校長も我輩が来るまで開けてはなりませぬ」

「うむ、くれぐれも用心するんじゃ」

 返事もせず、スネイプは扉を施錠して行った。

 万一に備え、クローディアは杖を持ったまま椅子へ座る。ダンブルドアも髭を撫でつつ、手袋の裾を引っ張った。

 どんな事態が迫っているかを想定し、脈打ちが速い。杖の感触を確かめていれば、ダンブルドアの視線を感じる。そういえば、事件から今日まで顔を合わせていない。退学の予告もフリックウィックだった。

 自覚してしまい、別の緊張が生まれる。いつ宣告されるのか考えが離れず、嫌な汗が流れた。

「大きくなったのう、信じたれるか? 君はこんなにも小さかったんじゃ」

 その手で再現されたのは、野球ボール程の大きさだ。

 和ませてくれようとしている。そう思いクローディアは素直に笑う。

「ええ、皆のお陰でここまで大きくなりました」

 自分の頭を両手で撫でてから、万歳して体を大きく見せる。ダンブルドアはゆっくりと頷き、髭の中で優しく弧を描いた。

「おまえはワシにとって、いつまでも何も知らず培養器にいる小さな命じゃよ」

 慈愛に溢れた言葉を穏やかな口調で語られた。

 嬉しさよりも妙な違和感が胸にシコリとなり、思わず探るような視線をダンブルドアに向けた。

 

 ――コンコン。

 

 窓をノックする音へ反射的に杖を向ける。そこには年明けから会っていない婚約者が箒に跨り、愛しい笑顔で手を振っていた。

「お迎えが来たようじゃの」

 ダンブルドアが指を鳴らし、窓を開ける。ジョージの登場はクローディアを素直に喜ばせ、迷わず駆け寄った。

「ジョージ! こんなところで何をしているさ!?」

「その前に、マダム・パディフットの店で俺とデートした時……ロジャー=ディビーズは誰と一緒だったでしょうか?」

 指先をチッチッと動かし、質問してくる。本人確認の為、相手が婚約者でも重要だ。

「デメルサ=ロビンズさ」

「正解。さあ乗って、試合を見に行こうぜ」

 箒の後ろを指さし、誘ってくる。しかし、クローディアはハーマイオニーやスネイプとここにいる約束をしている。そこへダンブルドアが背を押してくれた。

「行きなさい、クローディア。セブルスはワシに任せておくれ」

 嬉しさで胸が弾み、クローディアは窓辺に手をかけてヒラリとジョージの後ろへ乗り込む。彼の胴体に手を回し、落ちないように手を組んでしっかり捕まる。

「ありがとう校長先生、行ってきます」

 優しく微笑みダンブルドアは黙って手を振り、見送った。

 競技場からルーナの実況と歓声が聞こえ、そちらを目指す。

「いつ、学校に着いたさ?」

「試合が始まる前だな。許可は貰っていたのに検問に時間がかかってよ」

 ジョージが答えた瞬間、強風に煽られる。後ろにいるクローディアでも、箒の制御が難しいと感じる程の強さに流されて、『暴れ柳』へと到着してしまった。

 近寄る者は何でも薙ぎ払う『暴れ柳』は2人にも気づき、木々が構える姿勢を見せた。

 ひとつひとつの動きを一枚の画像として捉え、以前、自分が通った木の根元の穴を見つける。上手くそこへ入りたいが、ジョージは風の抵抗を受けぬように箒を傾けるのが精一杯。

 木の攻撃は避けれたが地面へと転がり込む。お互いの身体がクッションになっていたとはいえ、ブツけた衝撃に呻く。強風は目的を済ませたように止んだ。

「ジョージ、大丈夫さ?」

「……ああ、君こそ」

 草や土埃に汚れた顔や服を見渡し、お互いの顔を無事を確かめる意味で見つめる。周囲には何処かに潜んだ『闇払い』がいるだろう。それを気にしない程にジョージへキスしたくなった。

 0.3秒後にはジョージから唇を当ててきた。

 驚いて声を出しそうになり、クローディアは口を開ける。その隙間からジョージの舌が入り込んだ。

 

 ――異物と共に――

 

 反射的に顎の力を強めた為、異物を噛んでしまう。液体を閉じ込めたビーンズだった。

 吐き出そうとしても、ジョージの唇と手がクローディアの顎をしっかりと掴んで離さない。ギラギラした眼光を睨み、ようやく相手は婚約者の姿をした別人だと気づいた。

(エヴァーテム・スタティム(宙を踊れ!))

 相手の胸元に手を置き、無言呪文を仕掛ける。魔法は成功し、偽物は吹き飛ぶ。唇が離れた拍子にビーンズは吐き出せたが、液体は喉を通ってしまった。

 なんとか吐き出そうと嗚咽を繰り返す。そんな意思とは裏腹に段々と脳髄の奥から感情が分泌液になり、視神経を通って指先まで広がっていく。かけがえのない彼の事しか考えられない。

「ドラコ……」

 今でも、たった独りで苦しんでいる。そんな彼に会わなければならない。慰められるのは自分だけだ。

「ドラコ! ドラコに会わないと……」

 きっと競技場だ。

「待て……」

 煩わしい気持ちで偽物を振り返る。背中を強打した偽物は起き上がりながら、何故か競技場の方角を見据える。クローディアも見てみれば、その真上には何十体もの吸魂鬼が群がっていた。

 防衛魔法により、空からも侵入できないにも関わらず押し入ろうとしているのだ。

「どうして吸魂鬼が……尚更、ドラコが危ない!」

「ドラコ=マルフォイはここだ」

 叫んだ偽物はちょうど変身が解けるように、赤髪から金髪へ変わり、背と体格が服に合わない。ドラコはジョージの姿に変身して、クローディアを連れ出したという事実に胸が高鳴った。

「ドラコ、ずっと傍にいたのか!?」

 湧き起る衝動のまま、クローディアはドラコへ抱き付く。彼は抱き返さず、深刻そうに肩へ手を置いた。

「僕の為に……君の命をくれ」

 それが愛の告白とは程遠いとわかっている。けど、ドラコが欲しがるなら今すぐ肋骨を暴いて心臓を渡してやりたい。行動に出る前にどうしても確認しなければならない。

「ドラコ、私の命が欲しいのは本当にあんた? 誰かに無理やり命じられたんじゃない?」

 ドラコは真面目な表情のまま、身を低くして『暴れ柳』へと近寄る。神経質になっている柳は太い枝を振り回すが、彼は臆せず進んで木の根元にあるコブへ触る。途端に枝の動きは止まった。

「どうして、そんな方法を知っている?」

「ピーター=ペティグリューだ。そいつから聞いた情報をクィリナスが僕に教えたんだ」

 ドラコの役に立てるなら、ペティグリューも喜ぶ。クローディアは真剣にそう思う。彼女の反応を余所に彼は震えた手で杖を向けた。

「もうすぐ援軍が来る……君がここで……命をくれたら、他には犠牲はでない。君のお仲間も……誰一人として」

「ドラコ、質問に答えて。私は命が惜しいんじゃない。本当の事が知りたい、私が死んであんたにどんな利益が出る? ドラコの為になるなら、命はあげられる。でも、本心じゃないなら駄目、レギュラス=ブラックのように後悔する」

 そう、シリウスの弟レギュラスは何も考えずヴォルデモートに命じられるまま、クリーチャーを差し出した。その結果、『死喰い人』としての忠誠は崩れ去り、命を賭けて偽のロケットを本物とすり替えた。

「そんな奴と一緒にするな! あいつは『死喰い人』の役目から逃げた! 僕は違う、僕は殺れる」

 ドラコにはレギュラスの間違った解釈が伝わっている。正さなければ、ならないが後にしよう。今は彼の本心を確認したい。

「ドラコ、私を殺す為にケイティとラベンダーを巻き込んだ。巻き込んだけ、あんたに人は殺せない」

「違う、君の手に渡れば確実だった。でも、まるで幸運に恵まれているように君から離れた」

 そう告げた瞬間、防衛魔法が突破されて吸魂鬼が競技場へと傾れ込んだ。

 冷たい風に乗って悲鳴も聞こえる。でも、クローディアは気にしないし、気にならない。大切な人は目の前にいるのだから、それ以外は何も必要ない。

「幸運……ハリーの『フェリックス・フェリシス』を盗んだのは……」

「ウィンキーにやらせた」

 意外だった。

「バーティが言った。『屋敷しもべ妖精』なら、手を借りても数に入らない。ウィンキーは君を悪い魔女と呼んでいた。クラウチ親子がおかしくなったのは、君ら親子のせいだと……だから、懲らしめたいと」

 ウィンキーはクラウチ家に忠実だった。否、今でも忠実だ。

「首飾りをケイティ=ベルに渡したのは僕だ。僕の失敗を知ったウィンキーは食べ物に一服盛ろうと提案してきた。だから、僕は毒をウィンキーに持たせて任せた。その毒入りをラベンダー=ブラウンが口にして、ウィンキーは益々怒った! 君は毒に気づいて他人に押し付けたとね」

 確かにウィンキーの目から見れば、そう見えるだろう。

「あんたには見張りをつけていたのに……どうやってウィンキーと話した?」

 ドラコは懐から金貨を取り出し、見せつける。

「セオドールから、金貨に呪文をかけて連絡する手段を教えて貰った。僕はこれでウィンキーに命令していた!」

「わあ、ドラコ。『変幻自在』の呪文を使えるようになったんだ!」

 ドラコの涙ぐましい努力に感心して誉め称えた。

 クローディアもポケットに入れっぱなしだった偽金貨に指で触れ、『暴れ柳』と文字を書き込む。ハーマイオニーはハリーの偽金貨から他に伝達を送れるという説明をしていたが、これでも出来るはずだ。

 ロンは常に偽金貨を持っている。ドラコを助ける為に来てもらいたい。

「盗んだ『フェリックス・フェリシス』はもう飲んだ?」

「ああ、飲んだよ。ここまで順調だった。……もう薬の効果は切れている。あの感覚は最高だった」

 吐き捨てるように言い放ち、ドラコは睨んでくる。最高な不味さだったのかもしれない。

「ドラコ、あんたに私は殺せない。本当にそうしたいなら、とっくにやっている。あんたはやりたい事は必ず成し遂げる。失敗したなら、本気じゃなかった」

「僕は本気だった!」

 本気で失敗を望んでいたのだろう。クローディアはドラコの叫びに胸が痛くなる。

「スネイプ先生に助けを求めよう。あの人は絶対、助けてくれる」

 助けという単語にドラコは途端に怯えを見せる。小刻みに痙攣しながら、否定した。

「助けなんかいらない、わからないのか!? やるしかないんだ……そうしないと僕が殺される……」

 ドラコは啼く。涙ひとつ見せずも、顔を歪めて啼いている。死にたくない、殺したくない。そんな魂の叫びは誰にも明かせず、苦しみの坩堝へと投じる羽目になった。

「ドラコ……その名前は猛々しい竜を意味している。蛇は長い修行の果てに龍へと昇華する。こんな偶然がある? ドラコがスリザリン寮にいるなんて」

「僕の一族は代々スリザリンだ」

 反射的に答えたドラコの声は震え、クローディアは彼の杖を掴む。

「ドラコ、あんたは生まれた時からスリザリンの先を歩いている。わかる? そんなあんたが、たかだかスリザリンの末裔を自称するトム=リドルを恐れる必要がある?  いいや、ないね」

 掴まれた杖を見ながら、ドラコは引き抜こうともがくがビクともしない。本気で取り戻そうとしていないからだ。

「嫌な事は嫌と言ってきた。それがドラコ=マルフォイだ! 私は従う、あんたの意思に! 本当に私を殺したいなら、今、やって!」

 断言し、杖から手を離す。ドラコは驚愕に目を見開き、クローディアを凝視してから杖を構え直した。

 1分にも満たない時間。

「できない……」

 自分への失望と微かな勇気を言葉に込め、ドラコは呟いて杖を下ろす。本音を聞けた嬉しさにクローディアは彼を抱きしめた。

「出来ないと言ったか? ドラコ」

 声に振り返れば、『暴れ柳』の根元からクィレルが出てきたところだった。

 ドラコ以外はどうでもよいはずなのに、脳髄の奥から神経を焼きそうな熱が発せられた。

 

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 英国一怖ろしい幽霊屋敷、その名は『叫びの屋敷』。

 魔法使いだけが住むホグズミード村にあり、魔法族に関わらないマグルは屋敷の存在を知る由もない。

 クィレルが学徒の頃、屋敷の全貌を探ろうとした同窓は何人もいたが、誰も真実は暴けなかった。ペティグリューからルーピンの人狼化対策と聞いた時、ダンブルドアの正気を疑った。そして、全貌も分からずに恐れられた理由も納得できた。

 初めてこの抜け道を行こうとしたが、抜け目のないダンブルドアは既に防衛対策を張っていた。

「クィリナス、やったぞ」

 待ち侘びたギボンの言う通り、行く手を遮っていた防衛魔法が解けていく。昨晩から、屋敷の抜け穴で待機していた甲斐があった。

「上手く行ったな」

 ホグワーツの防衛魔法を突破する方法は2つ。それ以上に強力な闇の魔法を放ち、ぶち壊す。もしくは『死喰い人』にしか伝わらぬ感知魔法にて中へと移動する。

 どちらともヴォルデモートの協力が必要であり、特に2つ目を実行するには時期尚早。

 故にクィレルは1つ目を提案し、ヴォルモートと同等の魔力を持つソーフィンにその役目を負わせる。代償として彼は死ぬだろうが、覚悟の上だ。頼れるバーティをあちらの補佐に付けた甲斐があった。

 今頃、クィディッチの試合で盛り上がった会場は阿鼻叫喚の地獄となっているだろう。

 それもこれも、ダンブルドアがクローディアの退学を言いだすからだ。

 ドラコの任務を果たせる機会が今日までしかない。逃せばクローディアの所在が掴みにくくなってしまう。それでは任務を果たせず、マルフォイ家はいつまでも名誉を回復できない。

 もっとも、ヴォルデモートは最初からドラコに期待などしていない。だが、奮闘する彼に手助けくらいはしてやろう。あくまでもクィレル達の任務は見届けるだけだ。

「ダンブルドアの鼻が明かせるなんて楽しみだなあ」

 期待を胸にトラバースは喉を鳴らして笑う。確かに老いぼれが必死に守っている学校へ奇襲を仕掛けるのだ。

 どうせ、セブルスがダンブルドアに伝えているだろうとクィレルは思う。

「できない……」

 存外に長い道を歩き、外へ出てきてみれば冷たい風と共にドラコの声が届いた。

 クィレル達の姿を見て、ドラコは恐怖に顔を歪める。彼の前にクローディアが敵意を剥きだして立ちはだかった。

「まさか、自分の命が狙われていると気づいていないのか?」

「知っている。でも、ドラコはやらない。そう決めた」

 『愛の妙薬』か『魅惑の呪文』で彼女の心を虜にしておく手筈だったが、その効果があるのか判断しにくい態度だ。わざわざ、その為に口うるさいジュリアにジョージ=ウィーズリーが使いそうな合言葉を考えて貰ったのだ。

「では、ドラコが死ねと言ったら死ぬのか?」

「勿論」

 この即答の仕方は完全に心を奪われている。正常な判断ができなくなる程、相手へ夢中になるのが常の効果だ。彼女は耐性が強いのかもしれない。探究心が擽られたが、今はやめておこう。

「私達は手を出せない、ドラコ」

 こうなってはドラコに『服従の呪文』をかけてでも、任務を果たして貰う。クィレルが杖を構えた瞬間、風の音に紛れているエンジン音に気づいた。

 トルコ石色の車が猛スピードで宙を走ってくる。それを目の端で捉え、急いで飛び退く。ギボンも逃げたが、逃げ損ねたトラバースは大木と車の間に足を挿まれる。衝撃も加わって相当に痛いだろう。

 運転席にいたのはロナルド=ウィーズリーだ。

 戸が開け放たれ、『闇払い』ニンファドーラ=トンクスが飛び出しながら杖を構える。クィレルも杖を構えて応戦した。

 その間にクローディアはドラコを連れて城へと走り出す。車に衝突されたせいか、『暴れ柳』が意思を取り戻したように動き出す。車とトラバースを薙ぎ払った。

「クルシーオ(苦しめ!)」

 ギボンがトンクスへ仕掛けた為、クィレルへの意識が逸れる。その隙にドラコを追う。そこへユニフォーム姿のハリーが箒に乗って来るが、彼自身も3体の吸魂鬼に追われている。クローディアが気づいて杖を構えて叫んだ。

「エクスペクト・パトローナム(守護霊よ、来たれ!)」

 叫びに応じて放たれた銀の光はアルマジロの姿となり、吸魂鬼を追い払う。彼女も『守護霊の呪文』が使えるとは報告になかった。

「ハリー、ドラコはやらない! 決めたんだ!」

「見ればわかる! そのままダンブルドアに伝えて!」

 箒から飛び降り、ハリーはクィレルの前へ威風堂々と立つに立ちはだかる。車から這い出てきたロナルドもクィレルの後ろだ。

「お前達の目論見は終わりだ。もうすぐ大勢の助けが来る」

 こうして対峙するのは『賢者の石』を奪い合った時、奇妙な懐かしさに思わず笑みが零れた。

「……『不死鳥の騎士団』か、君もその1人だと?」

「そうだとしても、おまえには関係ないだろ。ここまで大がかりな事しておいて、ご主人さまには失敗しましたと報告されるんだ」

 ハリーは優勢を示しても笑みを見せない。

「ステューピファイ!(麻痺せよ!)」

 ロナルドが叫んだかと思えば、足の痛みに耐えながらトラバースが攻撃していた。

「任務は果たされる。ドラコがやらなくてもな」

 言い切ったクィレルはその場で飛び上がり、ハリーに顔面へ蹴りを入れる。両腕で受け止めた彼を踏み台にし、宙を文字通り飛んで2人を追いかけた。

 ハリーは攻撃せず追ってくる。少しでも狙いを間違えれば、2人に当たる可能性があるからだ。

「先生! スネイプ先生、ドラコを助けて下さい」

 こちらへ向かって来るセブルスへクローディアは喜びの声で助けを求める。彼の目がクィレルと絡み、一瞬で状況を理解した。

 

 背後からしか見えないが、手を伸ばせばクローディアに届く距離まで縮まってからセブルスは杖を構える。勿論、彼女へ向けていた。

 ドラコが任務を放棄した時、代行できるのは悔しいがセブルスだけだ。

「やめろ!」

 勘の良いドラコが叫ぶより先に、セブルスの静かな声は奇麗な発音で唱えた。

「アバダ ケダブラ(息絶えよ)」

 杖を胸に突き立てられ、クローディアは逃げる判断も出来ず、眩い緑の光は彼女を笑顔のままにして倒れ込ませた。

 腕を掴まれたままのドラコは絶望した表情でクローディアを抱きしめて、座り込んだ。

 クィレルは反転し、無言呪文にて『全身金縛り術』を放つ。対してハリーは激情に顔を歪ませても冷静に『盾の呪文』で防いた。

「イモビラス(動くな)」

 次いでスネイプの唱えた呪文はハリーの動きを完全に止める。瞬きしか出来ぬ状態でも、『選ばれし者』の眼光は鋭い。

「先生! こっちです、早く!!」

 4階の窓から様子を窺っていたジャスティン=フィンチ-フレッチリーが恐怖に慄き、助けを請う。他の窓にも幽霊を含めた人影が何人も見えた。

 大変、お粗末な結果になったがクィレルは確かに見届けたのだ。次は我々が任務を果たしたその証を全てに見せつける。

「モースモドール(闇の印を!)」

 緑の煙が描く巨大な髑髏は完璧だ。

「逃げるぞ」

 セブルスはドラコの腕を掴んで立たせようとしたが、彼は乱暴に振り払う。

「嘘吐きめ! 僕の味方をすると言ったのに!」

 悲痛な声を上げ、ドラコはスネイプを批難する。

「スネイプ、キサマァ!!!」

 窓から飛び降りたのは、ジョージ=ウィーズリー。怒り狂った表情で迫ってきた為、クィレルは魔法で吹き飛ばす。『隻眼の魔女像』に背を強打し、倒れ込んだ。

 セブルスと協力してドラコを無理やり立たせ、クローディアと引き離す。抵抗せず地面へ叩きつけられた彼女は、やはり笑顔のままだ。

 柄にもなく、この時だけは彼女の冥福を祈った。

 




閲覧ありがとうございました。

日常からの暗転。
屋敷妖精には感情があります。勿論、憎悪もです。
映画のドラコは苦悩がとてもよく伝わり、見ていて泣きました。
クローディアの守護霊は感想でもご指摘があった通り、アルマジロでした。
●ギボン
 原作六巻にてソーフィン=ロウルの『死の呪文』の乱発に巻き込まれて死亡。
●トラバース
 白髪のもじゃもじゃ男。原作四巻から名前だけ出ていた人。原作七巻にて出番がある。
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