UA6万突破です。ありがとうございます。
追記:16年4月24日、誤字報告により修正しました。
ルーピンの辞職は、水曜日には全校へと伝わった。辞職の理由には、『人狼』であるが故と噂された。
保護者からの確認という名の苦情をフクロウは、職員室に何百と運んできた。
理事会は、ルーピン本人が既に辞職している為、真偽は問わないと判断したそうだ。
そして、『闇の魔術への防衛術』は、6・7年生以外は各々の寮監が担当する授業へと変更された。上級生は、なんとダンブルドアが特別講義したという。
「いやあ、こういう体験もありかな♪」
「これぞ、ダンブルドア! って感じ」
フレッドとジョージを含め、授業に参加した生徒は皆、貴重な時間だったと感想を述べた。
『O・W・L試験』の5年生が何名か文句を述べたが、マグゴナガルとスネイプの鋭い眼光に皆、口を噤んだ。
今年度に重要な試験があるというのに、母から大量の本が届いた。夏目漱石、与謝野晶子……国語の教科書で必ず目にする文豪ばかりだ。
【ご近所で、文豪ブームが来ています。お勉強にもなるので、読んでください。 かしこ】
全部、日本語版だ。ハーマイオニーは辞書片手に読み漁るが、パドマに翻訳を頼まれたので、勉強以外でも忙しくなった。
全寮のクィディッチ選考、問題なく無事に終わった。
レイブンクローの選手、7年生ロジャー(チェイサー)とザヴィアー(ビーター)、6年生はチョウ(シーカー)とエディー(チェイサー)、5年生はサリー(キーパー)とテリー(ビーター)、3年生からネイサン(チェイサー)だ。
今年も選手残留祝いで、チョウは新しい箒『ニンバス2002』を買って貰えたそうだ。
「サリーがキーパーとは意外さ」
クローディアの称賛に、サリーは胸を張って得意げに笑う。
「まあ、本来はガタイの良い男子が適任だけど、サリーの動きはすごかったわ。クァッフルを全部、防いだの」
チョウはサリーのプレイに感心していた。
「私が選ばれたのは嬉しいけど、貴女が選考にも出なかったというのが、残念だわ。一緒に空飛びたかった」
心底、サリーは残念そうだ。
ロジャーがクローディアを選ぶ事はない。私情抜きにし、皆、彼女より良い選手だと思っている。何より、今学期こそはバスケ部に力を入れたいという本心だ。
グリフィンドールではキャプテンのアンジェリーナによって、ロンがキーパーに選ばれた。
「選考前にハリーと何度も練習したんだ!」
新しい箒の出番だと、ロンは浮足立っていた。
そのロンにパーシーへの手紙を頼んだが、返事の手紙が凄まじい。まるで課題のレポートを提出されたように長い。内容は、最初の3行はロンの監督生就任を祝う言葉、ハリーとの決別を促す言葉、そしてバグマンの悪口だ。これが本当に長い。
「うげ、アンブリッジって奴、バグマンに財産の半分もやられたんだって。バグマンは、ゴブリンとの賭けに勝ってから、運が向いているんじゃない?」
しかも、ルーピンを退職に追いやった理由は何も書かれていなかった。
そして、バグマンへの愚痴や不満が、身内に魔法省勤めを持つ生徒に送られた。皆、凄まじく長い内容の手紙だった。
慌ただしい金曜日の夕食はハグリッドの家だ。クローディアとハーマイオニーは、ベッロとクルックシャンクスを連れて来た。後から、ハリーとロンも『透明マント』を被ってきた。
「ごめんね、ハグリッド。コリンとデニスや、ナイジェルがしつこくて……、遅くなったよ」
「あいつら、絶対ハリーのファンクラブ作ってるぞ。きっとだ」
下級生に追い回され、2人は疲れ切っていた。
「そうかい、安心しな。俺の飯は疲れが吹っ飛ぶぞ」
快活に叫んで、ハグリッドはシチューを食卓に置いた。表面に鋭い爪が浮かび、食欲が吹っ飛んだ。彼の傍で、ベッロはサンドイッチを丁寧に用意した。
「ルーピン先生は……任務に専念するって言ってたそうよ。ハグリッドは何か知っているかしら?」
「いんにゃ、極秘の指令ばっかりだかんな。同じ任務じゃねえなら、仲間でも知らされねえんだ」
5人と3匹は黙々と食事をとる。実際、黙っていたのはハリーとロンだ。先ほどまで、選手の選考だったのだ。
爪入りシチューは見た目とは裏腹に美味しかった。それで気力と体力を回復させたハリーはハグリッドに色々と質問した。
「どうして、教科の担当を外されたの?」
「そうそう、その話をせにゃならん。ダンブルドア先生が森番の仕事に専念するよう、御命じ下さった件もある。『暗黒の森』は今、本当にヤバい状態になっちまってやがる。前の時のように皆、ピリピリして凶暴だ。特にケンタウルスの連中は自分達の考えが合っていたとかで、俺にも当たり散らしやがった。だから、絶対に入るなよ」
森の住人が凶暴化、この事態にゾッと寒気がした。ハリーとロンは何度も森に入り、命の危険に晒されたので余計に真っ青だ。
「ケンタウルスに攻撃されたさ?」
「いんや、愚痴や苦情だ。俺が森に入る度にグチグチ言いやがる」
面倒そうにハグリッドは、ため息を吐く。紅茶を飲んだハリーは核心を問う。
「ハグリッド、教えてよ。夏の間、何処へ行った?」
「それは言えねえ……と、言いたいところだが、……しばらくすりゃあ、公になるだろう。巨人と話に行とった。同盟を結ぶ為だ」
吃驚しすぎて言葉をなくした4人を置いて、ハグリッドは語りだす。休暇に入り、マダム・マクシームと共に旅立ち、1か月かけ、巨人の居住地に辿り着いた。目立つ自分達に『死喰い人』が追跡をかけない為、寄り道などで撒く為だ。
「オリンペは一切、弱音を吐かなかったぞ」
居住地には80人程の巨人がおり、色々とからかわれた。しかし、抵抗も反抗もせず、頭のカーカスとだけ交渉した。貢物を送り、約束をして日を変えたりなど、信頼を得ようとした。
その最中に魔法省からの使者が現れた。なんと使者はカーカスの命を狙ったゴルゴマスを討ったのだ。
カーカスは命の恩人と約束を守ったハグリッド達を信頼した。
そして、同盟は成った。
「それじゃあ! ハグリッド、同盟を結んできたの!? でも、魔法省からの使者って、誰なの?」
ハーマイオニーは万歳三唱で席から立ち上がった。
「マンチと名乗ったとった。あ~、クローディアなら知っとるだろ? バーナード=マンチの親父さんだ。なんでも、ちょいと無茶な賭けをして、負けたらしい」
まさかのバーナードの父親。意外すぎて、驚きを通り越して感心した。思わず、感嘆の息が出る。
「それで、どうなったさ? もしかして、お見合いでもしてたさ?」
クローディアがからかうと、ハグリッドは満更でもなく頷く。
「まあ、そんな話もあった。だが、俺とオリンペが半巨人同士でお似合いだって言う奴も……」
「ええ!? ハグリッドって巨人の血が流れてんの!?」
吃驚仰天したロンが椅子から、転げ落ちた。
「まあロンったら、何を驚いているのよ」
「魔法界なら、混血なんて珍しくないさ」
「僕、初めてハグリッドと会った時、きっと巨人だって思ったけど……」
多少は驚いても、全く動じない3人に見下ろされ、ロンは目を見開いた。まるで、彼1人の反応が異常に見えてしまう。段々、恥ずかしくなり、ゆっくり立ち上がる。
「君達、心臓に毛が生えているんじゃないだろうね? 全く、肝が据わりすぎだよ」
「ロンの反応はまあ仕方ねえ。イギリスには巨人はいねえ。昔、魔法使いと殺し合って、数を減らして、逃げ去ったからな。魔法族の間じゃ、よくねえ生き物として、ちいせえ頃から聞かされる」
少し寂しそうにハグリッドは、ロンのカップに紅茶を注ぐ。
「まあ、そんでだ。祝いだなんだと、宴に参加したり……後は、巨人の引っ越しを手伝った。『死喰い人』に見つからねえようだ。勿論、マンチもだ。そっから、色々あって、ギリギリになった」
ハグリッド達の武勇伝に4人は気分が高揚し、興奮した。気を落ち着かせる為、紅茶を何倍も飲む。
「ハグリッド、すごいよ! この同盟で少なくとも『例のあの人』は巨人の力を得られない!」
ロンが万歳して吠えると、ファングがつられた。
クローディアは言葉が見つからず、拍手した。すると伝染して3人も拍手する。ベッロとクルックシャンクスも嬉しそうだ。
彼女達も誇らしげに見渡した後、ハグリッドは急に真面目な顔つきになる。
「裁判の話を聞いたぞ、ハリー。クローディア……ドリスは残念だったな……。2人とも、大丈夫か?」
学校に来てから、教師陣マグゴナガルなどの騎士団員はこの話を絶対にしない。純粋に心配され、2人の心に暖かい滴が落ち、目頭が熱くなる。
「大丈夫だよ、ハグリッド。ボーンズさんが公平に判決をくれたし、校長先生も弁護に来てくれたよ。勝訴したら、皆もお祝いしてくれた!」
ハリーは嘘偽りのない本心を語った。
「うん、皆がいてくれたから、私は平気さ。いっぱい泣いたさ」
クローディアは出来るだけ、満面の笑みを見せる。
2人をじっくり見つめてから、ハグリッドの瞳から、涙が滝のように流れ始めた。
「おめえさん達が大変な時に、すまねえ。……ドリスの事を……聞いた時は……俺は涙がとまんねえでな、ずっと泣き通しでおった! 新入生の案内もできねえんじゃねえかってくれえ、……やばかった。けど、ダンブルドア先生が……俺がいねえと新学期が始まらねえってんで……、クローディアの顔を見なきゃいかんと思ったしな」
涙で歪んだ視界なのに、ハグリッドはクローディアを見つめた。彼女は視線を外さず、礼を述べる。
「嬉しいさ、私よりも……ハグリッドのほうがキツイのに……ありがとう……」
ハグリッドの涙が鬚を濡らし、しょぼくれさす。
「そうだな……俺は多分、いや、絶対、クローディアより駄目だな、弱っちい。俺が教科を外れた本当の理由がこれだ。今の俺はドラコ=マルフォイを見たら、飛びかかっちまう。てめえの親父の仕業だ! ってな。いけねえことだ。校外の事情を学校に持ち込むのは……ダンブルドア先生はきっとわかっていたに違いねえ。俺は用事がねえなら、城にもあんまり行かんようにしとる。家の近くで授業される時も、森にいる……」
宙を殴りつけるハグリッドは怒りに興奮し、我が身を宥める。彼の話に4人はそれまでの高揚感が消え、重い鉛が体に巻きつかれた気分になった。
その太い拳がドラコに当たっても、少しも嬉しくない。
「たかが、マルフォイだよ」
ハリーの冷静で達観した口調はそう呟く。慰めではなく、事実をそのままに口にした。
「ええ、そうだわ。ハリーもマルフォイの相手はしていないわ。ずっと、毅然とした態度で授業を受けてるもの」
「クローディアもそうだろ?」
ロンに話を振られ、クローディアは苦笑する。
「向こうが口を利かないさ」
途端に静かになり、暖炉の薪が火花を散らせる音が耳を打つ。
ハグリッドは涙を拭き、紅茶を飲み干す。
「もう遅い。さあ、おめえさん達を送って行こう。ハリー、つれえ事があったら、『透明マント』を被って来いよ。俺でよけりゃあ、いっぱい聞いてやる」
彼らしい冗談に、ハリーは困ったようにそれでも気遣いに感謝した。
土曜日。
バスケ部の部室を開け、バーベッジは室内に魔法をかける。教室の拡大、備品の変身、内装の変化、防音と破壊への対応。
当たり前のように手際の良い腕前は、流石は教師である。
「いつも、ありがとうございます。バーベッジ先生」
「今日を楽しみにしていたわ。新学期から、色々と騒がしくて、息抜きが欲しいです」
バーベッジの小さな愚痴は、金曜までの騒動だ。
そうこうしている内に、クレメンスが自前ボールと共に現れる。次いで、ハーマイオニー、ネビルが来た。パドマやリサも新入生のトラヴィス=フルームを連れて来た。
「さあ、今日は思いっきりボールで遊びましょう」
バーベッジの掛け声と共に、部活は始まる。バーベッジがトラヴィスにボールの触れ方を教え、ハーマイオニーとパドマは、部活そっちのけで監督生の話をしていた。
遅れて、ミム、マンディがやってくる。ハンナ、エロイーズ、デレクは新入生ローズ=ゼラー、コリンとデニスもユーアン=アバクロンビーを連れてきた。ジニー、ルーナがシーサーを引きずって来た。
「扉の前でウロウロしてたんだもン」
ルーナに突き出されたシーサーは、恥ずかしそうだ。
「兄にはその……あんまり関わるなって……その」
「嬉しいさ、シーサー。来てくれてさ」
シーサーに笑いかけ、クローディアはルーナに疑問を投げかける。
「ルーナ、靴はどうしたさ?」
ルーナの色白で滑りの良さそうな素足が晒されている。
「みんな、何処かに行っちゃうんだもン。でも戻ってくるよ」
浮ついた口調で、ルーナは足の裏を見せつけてくる。
「私の靴を貸すって言ったんだけど、嫌がっちゃって。せめて靴下履いてよ」
ジニーが呆れた口調で、ルーナの素足を見やる。ハーマイオニーが気付いて、『呼び寄せ呪文』を行う。何処からともなく、ルーナの靴が飛んで来た。
『呼び寄せ呪文』を目にし、トラヴィスとローズ、ユーアンは満面の笑みで喜んだ。
「すごい、すごい。上級生の魔法だ!」
ハーマイオニーから、靴を受け取ったルーナはいつも通りの口調で礼を述べた。
「その魔法、絶対、覚えないとね」
ジニーがルーナの靴履きを手伝いながら、そう呟いた。
「魔法封じをしてなかったわ」
バーベッジは気づく。急いで、部室に『魔法封じ』を施した。
「そうそう、デメルサは来ないわ。彼女、呪文部に入る事にしたみたい」
「あらあ、こっちは優秀な選手を逃したさ」
本気で残念がるクローディアをジニーは慰めた。
一時間経った頃、ハリーとロンが飛び込んできた。しかもセドリックと一緒だ。3人とも肩で息をして疲れ切っていた。
「セ、セドリック!」
「やあ、クレメンス」
同じ寮のクレメンスが吃驚して、声を上げる。ハンナ、エロイーズも黄色い声で歓迎した。セドリックは普段の温厚な笑みのまま、皆に挨拶する。
「ハリーだ、やっぱり来た!」
コリンとデニスも負けじと声を上げる。
「何かあったの?」
ネビルが問うと、ロンは荒い息をしながら手を必死に動かす。
「あ、アン、アンブリッジが……来た!」
アンブリッジ、その名にクローディアの背筋が粟立つ。ルーピンを辞職に追いやった魔女だ。部室内も緊張と焦燥と疑問が飛び交う。
「え? アンブリッジって、あのドローレス=アンブリッジ?」
「どうして、学校に?」
マンディとミムが不思議そうに首を傾げ、ハンナは真っ青になる。エロイーズは苦虫を噛みしめた顔をし、下級生達は意味不明と困惑している。シーサーだけは、凍りついていた。
ハーマイオニーとパドマは視線で会話するように目配せをする。ジニーまで苦々しく顔を歪めると、ルーナはその顔を解そうと指先で突きだした。
騒ぎ出す生徒をバーベッジはポンっと手を叩いて、収束させる。
「皆さんは部活を続けて下さい。私は職員室に行ってきます」
余裕の表情でバーベッジは微笑む。しかし、動揺しているせいか、その顔色は白い。後ろ歩きのまま、小走りの速度で部室から走り去った。
「……はい、じゃあ、続きしようさ」
「ねえ、ハリー! アンブリッジがどうした? 教えて教えて!」
顧問がいなくなり、部長たるクローディアは続きを促す。しかし、好奇心旺盛のミムが目を輝かせて、ハリーに詰め寄る。
「ミム、今は部活……」
クローディアが咎めると、ハリーは手で制す。
「大丈夫だよ。セドリックが職員室へ行ったら、アンブリッジがいたんだ。突然、来たらしくて、先生達と揉めていたよ。校長先生は今、いないらしくて……」
「え? なんで校長先生がいないの?」
ネビルが不安そうな声を出す。閃いたパドマは手を叩く。
「『闇の魔術への防衛術』の教授を探す為よ。いつまでも穴を開ける訳にいかないじゃない」
「僕とハリーは、フクロウ小屋から帰ってきたところだったんだ。セドリックが気を利かしてくれたんだよな。ハリーとアンブリッジが顔を合わせるとよくないって、ここに駆け込んだんだ。皆に報せないといけないし」
ロンは、にんまりとセドリックに笑いかける。
「アンブリッジがホグワーツ教育改革を名目に、この学校へ来たがっているって、魔法省じゃ、知らない人はいないよ」
「学校に来たって、つまり、バグマン大臣との賭けに勝ったことにえ?」
セドリックが苦笑し、エロイーズは仏頂面で言い放つ。
突然、扉が乱暴に開いた。あまりの衝撃音に、皆の視線が扉に向く。
「やっぱり、ここにいた」
コーマックが目を見開いて、部室を覗き込んだ。まるで、彼自身が驚いている様子だ。
「いや、マクラーゲン。あんたが驚いてどうするさ? 何か用事さ?」
クローディアがツッコミを入れても、コーマックは表情を変えずにハリーを見つける。ハリーはコーマックを見慣れていない(ほとんど初対面)である為、きょとんとしている。
「おまえら今、職員室がどうなっているのか、わかってんのか?」
呆れたような口調で言われた。自然な態度で、セドリックはハリーの前に立つ。
「コーマック、やめろ。アンブリッジが勝手に騒いでいるだけだよ。ハリーは被害者だ」
セドリックの毅然とした態度に、ハリーは庇われた嬉しさで安堵の息を吐く。
「いい子ぶりっ子のセディちゃんよ。発案はおまえの親父さんじゃないっけ? 俺でさえ、知ってるぜ。おまえから優勝を奪ったって、恨んでるってよ」
嫌味ったらしいコーマックの笑顔に、セドリックの表情が強張る。
セドリックの父・エイモス=ディゴリーがハリーを恨んでいる。その発想はなかった。何故、そんな考えに至るのか、理解できない。
純粋に息子セドリックの優勝を妨害したと思っているなら、筋違いだ。
「いやいや、それは逆恨みだよ! ハリーは命を賭けて、優勝したんだ!」
ネビルが強い声を出す。眉間にシワを寄せ、ハーマイオニーは凛とした態度でコーマックに言い放つ。
「悪戯に人の不安を煽る事をやめなさい。ここには貴方に減点できる監督生がいるわ」
ハーマイオニーを目にし、コーマックは興味深そうに瞬いた。
「まあ、いいぜ。そうやって、英雄気取りのハリー=ポッターを庇ってりゃいい。いつまで持つかな?」
意味深な言葉と共に、扉は閉められた。
「どうして、ハリーにあんな態度を!? 校長先生の話を忘れたわけ?」
憤慨したコリンをエロイーズは、億劫そうに息を吐く。
「休暇が原因。一度、慣れた家に帰って、学校にいるときの緊張感がなくなったにえ。それで親から吹き込まれたり、【日刊予言者新聞】の記事を読んで、ハリーを疑うようになったにえ」
的確な回答に、ハーマイオニーは解説役を取られた気分だ。
「そんなの一部だけです! 本当です! 信じて下さい!」
半ベソでユーアンが喚いた。必死な様子に、ハリーは優しく微笑んだ。
「ああ、知ってるよ。儀式の後に君は一番に僕を励ましてくれた。ありがとう」
上級生の言い合いに、すっかり怯えた新入生達を皆で宥める。彼らが落ち着いてから、部活を続けた。
途中で、クララやマリエッタ、フレッドやジョージ、スーザンなどの身内に魔法省勤務がいる生徒達は、部室に立ち寄った。ハリーの身を心配する者もいれば、野次馬根性で見に来る者もいた。
大勢の声に紛れ、ハリーはクローディアに声をかけた。
「ねえ、クローディア。あの……ルーナって子と親しんだよね? あの子って、どういう子かな?」
躊躇うように、ハリーは視線でルーナを示す。
「どういうって……、どういう意味さ?」
「そのままの意味だよ。君の目から見て、あの子はどんな性格かって」
何故か知らないが、ハリーはルーナに興味を持っている。クローディアは脳髄にある単語を駆使し、彼女の印象を纏める。
勘が良い。空気を読める。独創的。個性的。
どれもルーナに合うが、しっくり来ない。
クローディアは、天井を見上げる。ルーナに合う言葉を吟味していると、不意に思い付いた。
「見えているモノが違う子っていうのが、しっくりくるさ」
「……それって、セストラルの事?」
ハリーが尖った声を出し、クローディアは馬なし馬車を思い返す。彼を傷つけたと思い、慌てて否定する。
「えーと、皆がバックボードしか見ていないとするさ」
焦りつつも、クローディアはバックボードを指差す。その指を窓に向ける。つられて、ハリーも窓を見やる。
「ルーナは、窓を見ているって事さ」
しばらく、クローディアとハリーは窓を見続ける。しかし、彼は不満そうに首を傾げる。
「全然、わかんない」
「今のは例えが悪かったさ」
眉間を指先で解し、クローディアは必死に記憶を辿る。
「思い出したさ。ロブ……じゃない、ロックハートさ。あいつが詐欺だって、ルーナはわかっていたさ。……それに、トム=リドルの日記……、あれの危険性に私達より先に気づいていたさ」
後半は声を落とし、2年生の頃の事を語る。
ハリーは感心し、感嘆の声を上げた。
「それにルーナの事が知りたいなら、ジニーに聞くさ。私以上に仲良しさ」
「うん、わかったよ。ありがとう」
穏やかな声で、ハリーは礼を述べる。それで、クローディアも安心した。
ハリーとロンは、クィディッチの特訓に途中で抜けた。コリンは「シャッターチャンス」と叫びながら、2人を追いかけた。
夕方になり、本日の部活動は終了。
部室を元の空き教室への変じさせた後、バーベッジは帰ってきた。
「後はやります。さあ夕食よ」
急かされて、クローディアは部室を後にする。
生徒の大半は、空腹のあまり大広間へと急ぐ。ハーマイオニーと何故か、セドリックも待っていた。
「ロジャーは来なかったね」
大広間を目指しながら、セドリックは事もなげに呟く。
「うん、私、ロジャーに呆れられちゃったみたいさ」
何のことはない。そう見えるように、クローディアは努めた。だが、強がりはセドリックに見抜かれているようだ。
「本当に酷い奴だね」
今度は悲しげに、セドリックは唇を噛んだ。
「それより、セドリックは忙しくないの? 今年は卒業を控えた身でしょう?」
ハーマイオニーの疑問は、もっともだ。
7年生は卒業がかかった年だ。来年になれば、神経を張り詰めて倒れる生徒も少なくない。ましてや、セドリックはクィディッチのキャプテンだ。寮の期待もかかっている。
「本当は父さんにも学校に戻るなって言われた……。でも、首席になったって連絡が来たら、コロッと態度を変えたよ」
呆れた口調で、セドリックは溜め息を吐く。
「現金なお父さんさ、アンブリッジを学校に来させるくらいなら、自分でくればいいさ」
セドリックに遠慮なく、クローディアは悪態吐く。
生徒の流れが多くなり、その中でチョウの姿が見える。セドリックはすぐに気づき、彼女を追いかけて行った。肩を並べて歩く2人は、お似合いの恋人同士だ。
「ディゴリーが学校に来たのってチョウの為じゃないさ? 恋人が心配って感じさ」
「それもあるでしょうね。ちょっとだけ、チョウが羨ましいわ。素敵な恋人だもの」
ハーマイオニーが唐突にチョウを羨む。何故、そんな心境になったのか、知りたくない。否、おそらく、ほぼ確実にビクトール=クラムが関係している。
(……あの野郎)
頬を赤らめるハーマイオニーに対し、クローディアの気分は氷点下まで下がった。
翌日、【日刊予言者新聞】の見出しは魔法省による教育改革。ドローレス=アンブリッジを初代高等尋問官に任命され、上級次官を兼任するという内容だ。
魔法省とホグワーツを行き来し、より正確な状況をバグマン大臣に伝える為とある。従って、アンブリッジには生徒の罰則、教職員の辞職に関する権限を与えていた。
【ホグワーツの学力低下を憂いた女史は、たちまち成功を収め、全生徒の信頼を得るでしょう】
パーシーが彼女を称賛する内容も記載されていた。
ガマガエルのように口が大きく、薄汚れたピンクで全身を覆った魔女・アンブリッジの写真も載っている。何処となく、疲労感を訴えている。
「何これ! 信じられない! バグマンさんは何をしていたのよ!」
ハーマイオニーが烈火の如く、怒り狂う。無論、クローディアの隣だ。レイブンクロー席なのに、自寮の席に座らず遠巻きに見守る生徒が多数いる。
「これでも、マシなほうよ」
げっそりしたクララは、ハーマイオニーを宥める。
「そうそう、母から聞いたけど、校長先生が欠けた教員を補充できかなった場合、魔法省が適切な人材を派遣するって話があったんだけど、これは採決が下りなかったんだって」
青ざめたマリエッタは、か細い声で説明してくれた。
「つまり、『闇の魔術への防衛術』の教授を勝手に決められないって事さ」
両手で「ドードー」と窘め、クローディアは努めて明るい声を出す。
こちらに有利な点を順番に述べられ、ハーマイオニーの憤怒の形相が落ち着いていく。彼女の様子が伝わり、安心して生徒達は腰かける。
「俺としては、このまま校長の講義を受けたいけどな」
愉快そうにジョージは茶々を入れる。彼がこちらに来たのは自作製品のチラシを配布する為だ。何人かが、こっそり受け取っていた。
月曜日の朝、空席を埋める教授が紹介された。
「この度、『闇の魔術への防衛術』に就任してくれた。ドーリッシュ=ダート教授じゃ」
ダンブルドアの普段通りの優しい声で、紹介さても、彼は愛想笑いひとつしない。白髪交じりの精悍な顔つきの男は、ただ教員席で立っていた。
「あの人、『闇払い』よ。確か、バーティ=クラウチJrの護送任務に就いていたはず」
深刻な顔つきでチョウは教えた。皆、勝手な憶測を口にする。
どんな職歴であれ、教授が決まった。これが生徒を安心させた。
ハーマイオニーは彼の授業内容について、可もなく不可もなくと結論付けた。
「何それ? 肩透かしってことさ?」
「私、『守護霊の呪文』からですって、言ったんだけど、今日は『盾の呪文』にされたの。それにあの人、授業中、一言も喋らなくて、ずっと黒板に文字を書いていたわ」
それは授業ではない。
明日の授業が全然、期待出来なかった。
火曜日の朝、噂の高等尋問官が姿を見せた。写真よりは、見栄えの良い恰好で出来る限り上品に微笑んでいる。
「ドローレス=アンブリッジ尋問官じゃ。火曜、木曜、土曜、週に3日、ホグワーツを訪問される」
「皆さんの歓迎の眼差しを嬉しく思います」
ダンブルドアの紹介が終わらず、アンブリッジは勝手に語りだす。
「魔法省は、若い魔法使い、魔女への教育は非常に重要であると考えています。それは、常であり、今までもこれからもです。皆さんの生まれ乍らの才能は、稀にして貴重です。魔法界独自にして、古来よりある技を継承する立場にある皆さんは、正しく誇り高く磨かれなければなりません」
唐突に始まった演説を皆、聞くのは面倒に思えた。実際、マーカスは一切聞かず、黙々と食事している。小声で嘲笑する生徒も現れた。
何故か、ドラコは冷笑を浮かべていた。
それでも、アンブリッジは自己陶酔に身を委ねて続ける。
「ホグワーツは、歴代の校長によって改革され、改善され、革新されてきました。しかし、それらは次の世代には、悪習として切り捨てられます。そう、今こそ、仕分けの時です。誤りを正し、開放的で効果的な、かつ責任のある新時代へと参りましょう」
言い終えたアンブリッジは満足し、着席する。ダンブルドアは拍手した。次いで、教師陣も拍手し、生徒も拍手に続く。どれも心が籠っていない。
「ありがとう、アンブリッジ尋問官。実に啓発的じゃった」
ダンブルドアの社交辞令に、アンブリッジから返事はない。
満面の笑みは、全てを嗤っている。だが、怖くない。虎の威を借る狐のように、アンブリッジ自身には威厳も何もないように思えた。
担当教授のいる授業は、一週間ぶりだ。
現役の『闇払い』が教授ということで、生徒の期待は高まっている。
しかし、授業開始と共に、教室には残念な空気が流れていく。まず、出席は目視。本日の課題は、『マグル避け呪文』と黒板に書き込む。モラグが質問すれば、顔程の小型黒板に、自動的なチョークが回答を書き込む。
ダートはこの上なく呆れる程、無口な男であった。
「うえっへん、えっへん」
わざとらしい咳払いに、全員の視線が扉を向く。カエルのように口を開いたアンブリッジがいた。
「御機嫌よう、ドーリッシュ。査察の日時は、お伝えしましたわ。よろしいですね」
アンブリッジの視線はクローディアを捉えていた。ダートは無言で無反応に小型黒板へ書き込む。
【静粛を約束せよ】
文字を見たアンブリッジは、満足そうに教室を不躾に歩きまわる。
誰も何も言わない。
時折、生徒の質問と黒板を書くチョークの音だけで、終わった。まるで『魔法史』の授業だ。ビンズの朗読がマシに思えた。退屈なのはアンブリッジも同じらしく、何度もクリップボードで口元を隠して欠伸をしていた。
終業の鐘が鳴り、ダートは黒板に宿題の内容を書いて、解散だ。
「素晴らしい授業でしたわ、ドーリッシュ。これからも、この調子でお願いします」
我先にアンブリッジは教室を出て行った。
「何しに来たんだ、あの人?」
「さあ?」
マイケルとテリーは、疑問しながら首を傾げる。
放課後、クローディアとハーマイオニーはお互いに情報交換する。アンブリッジはハリーの授業に出没した。マグゴナガル、トレローニー、ネチネチと事細かに質問を繰り返した。
マクゴナガルは、ほとんど相手にせず、自分の授業を行った。しかも、トレローニーに『予言』をひとつ頼んだらしく、いつもの不吉な予言を言い渡された。
ハリーとロン曰く、かなりアンブリッジは自尊心を傷つけられたように感情なく笑っていたそうだ。
「なんでトレローニー先生に予言させたさ?」
「ん~、トレローニー先生がカッサンドラ=トレローニの曾々孫らしくて、その腕前が見たかったんじゃないの?」
『予言者』カッサンドラ=トレローニー、【近代魔法史】に紹介される『第二の眼』を持つ魔女。存命中は、その『予言』にて数々の事件を解決に導いたとされる。
「同じ姓だからって、勘違いする人がいるのよねえ」
ハーマイオニーがせせら笑う。
3年生の学期末試験での『予言』を思い返す。あれは当たってしまい、現状だ。
「どうせなら、アンブリッジが何をするのか、当てて欲しいもんさ」
陰鬱な気持ちで、クローディアは吐き捨てた。
「今夜は『天文学』があるから、アンブリッジはまだ帰らないかも」
ハーマイオニーの言葉通り、グリフィンドールの『天文学』教室に現れた。
水曜日の朝。談話室で生徒は悲鳴を上げた。
様々な告知や広告を報せる掲示板に、覆いかぶさるような告知が貼り出されていた。何事かと、クララが読み上げる。
「高等尋問官の命により、いかなるチーム、部活動も解散とする? これより、チーム、部活動はアンブリッジに届出をし、許可を得なければ活動できない!?」
「……しかも、マグル系の部活は一切認めないモノとする!?」
ザヴィアーが締めを読み切る。途端にモラグは絶望して、倒れこんだ。
告知を一字一句、クローディアは丁寧に黙読した。瞬きも忘れ、何度も、何度も読み直した。段々、脳髄に怒りが焼き切れてしまいそうな熱がこもる。
「あのクソババア、頭をパーにしてやる! 『忘却術呪文』の力、思い知れ!!」
しゃがれた声で叫び、クローディアは談話室を飛び出そうとした。しかし、監督生全員の必死な魔法で止められた。それさえも、彼女は破りかけている。
その様子にロジャーは愕然とした。
「阿呆か! それを言い訳に毎日、学校に居座られたらどうするんだ! 俺達のチームはまだ許可を得てないんだぞ! 俺とザヴィアーは今年度で最後なんだ!」
「……だから、忘れさせてやる……何もかも」
クローディアは腹の底から、唸り声を上げる。
「駄目よ、クローディア。アンブリッジがパーになっても、別の尋問官が送られてくるだけだわ。ねえ、校長先生がアンブリッジなんかの訪問を許すのは、魔法省に対して敵意がないと知らしめる為じゃない? 校長先生の敵は『例のあの人』だって! だから、貴女がアンブリッジを攻撃すれば、校長先生は……窮地に立たされてしまう。でしょう?」
切羽詰まったパドマの声が耳に入り、クローディアは脳髄の一部が冷静になる。
「むしろ、校長先生を学校から追放させる切欠にしようとするわ。……お母さんはそう言っていたわ。校長先生は、あのブルガリア魔法省大臣が味方ですもの」
マリエッタは緊張で胃が痛そうだ。
確かに情勢が不安定な国内と違い、外国の魔法省はヴォルデモートとの戦いに備えている。ワイセンベルク大臣は、ダンブルドアと盟約に従うと誓っていた。
ダンブルドアが校長たるホグワーツで、学生であるクローディアがアンブリッジと問題を起こしてはいけない。
ゆっくりと怒りが治まっていく。瞼を閉じて深呼吸してから、抵抗を止めた。
クローディアの落ち着きに、魔法は解かれた。
「ごめんさ、それと……ありがとう」
監督生のパドマ達、母親が魔法省勤めのマリエッタ、そしてクィディッチ・キャプテンのロジャーに謝罪と感謝を込めた。
ロジャー以外は安堵していた。彼だけはバツが悪そうに顔を背けた。
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『マグル学』、授業開始と共にアンブリッジは現れた。
「おはようございます、チャリティ。お知らせした時間通りに伺いましたわ」
バーベッジは愛想なく、むしろ無表情に挨拶を返す。普段の先生は、おしとやかで朗らかな態度だ。しかし、お気に入りだったバスケ部を解散させられ、届出さえ拒否された。腸が煮え繰り返る思いに違いない。
ロジャーを含めた生徒達は、バーベッジの心情を察する。
「本日はIncomeTaxのお話をします。前回のVAT(ValueAddedTax)とは違い、こちらは収入に対して課せられる税です」
「労働で得たお金を国に支払うのですか?」
ハッフルパフのベストラは、怪訝した。魔法界にない『税金の仕組み』になってから、彼女はいつも不可解そうに質問する。
「ミス・フォーセット、マグル社会で生きていくには、納税は国民の義務です。支払いを怠った場合、その報いは国民全員が受ける事になるでしょう」
アンブリッジへの憂さ晴らしだと思う程、厳しい口調だ。ベストラは納得しにくい顔で羊皮紙にメモを取る。
「よろしい、マグルの生活がいかに生きにくいか、教えなければなりません」
上機嫌にアンブリッジが褒めても、バーベッジは見向きもしない。
「では……貴女はホグワーツに勤めてから、どれだけ経ちまして?」
「本年度で6年目です」
素気なく答える。
「何故、こちらお勤めになられたのかしら?」
「ダンブルドア校長先生から、是非にとお声を頂きました故に」
グリップボードに書き込んでいたアンブリッジは、思い返したように「ああ」と呟く。
「思い出しましたわ。確か、クィレル先生の代わりとして呼ばれたのでしたね?」
――クィレル。
その名が意味するのは『例のあの人』の功労者である。【ザ・クィブラー】を読んだ生徒は緊張で唾を飲み込む。
バーベッジの顔色が段々と赤く染まり、口元は痙攣する。
「その話が……査察に関係ありまして?」
努めて冷静に質問するバーベッジに、アンブリッジは余裕の表情で「確認です」と答えた。
「査察の結果は、10日後にお知らせいたします」
高めの声で告げると、アンブリッジは乙女のような足取りで教室を出て行った。その扉を見ながら、バーベッジは杖を手に(授業で杖を使う事はない)、一瞬、ぶつぶつと呟く。すぐに杖をしまうと、厳しいが教授として授業を再開した。
手前の席にいたロジャーは、バーベッジの「あの婆、頭をパーにしてやる」が聞き取れた。
温厚で人当たりの良いバーベッジでさえ、ここまでキレるのだ。あのクローディアがどれ程、怒り狂ったか、よく理解出来た。そして、ダンブルドアや学校の為に、怒りを抑えてくれた事に感謝した。
(正直、君には今からでも、マグルの世界に行って欲しい)
そして、ハリーや『例のあの人』と関係のない場所で、健やかに好きなバスケでもして暮らして欲しい。
ロジャーの小さな願いは、きっと叶わない。
己の無力さを嘆く暇はない。自分は卒業を控えた試験がある。卒業後はマグルの世界で生きるのだ。夏休暇中、独り暮らしの物件、希望の大学にアルバイトの目星もつけた。
気合を入れ直そうと瞑想すると、瞼にクローディアの笑顔が浮かんだ。
その後、2週間かけ、尋問官は『魔法史』を除いた全ての授業を査察し終えた。基本はハリーの授業に現れた。彼が選択していない『古代ルーン文字学』、『数占い』は、クローディアの授業が狙われた。教師陣は誰1人、アンブリッジに媚びなかった。尋問官の顔色窺いをしなければならないと思っていた生徒は、彼らの態度に心底、安心した。
だが、アンブリッジが廊下を歩いては、生徒の服装や抜き打ち持物審査をするので、堪ったもんではない。スリザリン生には、まだ甘い態度をとるのでスネイプと交流を持つかと思いきや、それもなかった。
幽霊達も気が立っており、何故かクローディアとハーマイオニーは『嘆きのマートル』から睨まれる日々を送る。八当たりににしては、何もして来ないので、不気味だ。
アンブリッジを心から歓迎したのは管理人のフィルチ、ただ1人である。
閲覧ありがとうございました。
●ドーリッシュ=ダート
原作5巻から登場の闇払い、ドーリッシュが名前なのか、苗字なのかわからない。しかし、ファッジやダンブルドアが呼ぶので、多分、名前。
職務に忠実故、いろいろと悲惨な目に合う。
●ドローレス=アンブリッジ
皆さんご存じ、ガマガエル婆。映画ではガーゴイル女。
ヴォルデモートのロケットにも影響されない程、我の強い。精神部分では、多分、最強。
魔法界って、納税ないですよね?まあ、児童書で納税の話したら、夢壊しますね。