渓流暮らしの泡狐竜   作:狐火(宇迦之御魂)

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ネタが浮かばなくなった。
気付けば1ヶ月、しかしタマミツネ小説のハーメルン一作目の誇り....それまで捨てた覚えは無いです。
ミツネさん布教のためにネタの貯水湖探して来ます。


閑話.幕引きへの一手

おこだった。

聖人、聖母、菩薩、何かを宛行わせるならソレが確実という。

ゆけむり村のお母さん、ミツさんはおこだった。

かつて無いほどに、おこだった。

 

「君は何をやってるんだい!」

 

「え....いや、その私に言われましてもですね.....」

 

怒られてるのは以前の転移事件の元凶。

コイツが異界の来訪者が来た、三日後の朝。

村をコソコソしてゲートを弄り飛び込もうとしたところをとっ捕まった。

 

それだけならミツさんは怒らない。

だというのにおこなのは、コイツがコソコソしてる時に電気を起こしてゲートを弄りまわしていたのだが。

その時に電撃が明後日の方向に、よりにもよって狩猟班の使う爆弾庫に直撃。

爆弾庫が完全大破、幸いにも周囲に建物もなく、怪我人も居らず、被害は爆弾庫だけだった....のだが。

 

爆弾は、狩猟班の扱う武器。

一部はユクモ村で行商人に売る、アイルーの扱い易さに特化した特殊爆弾としてオトモアイルーの強化を望むハンターの為に用意していた物もあり。想定される損害は、貯蓄が十二分にあるので問題無いとはいえかなりの物となる。

 

さて、だがしかし。

金銭ではミツさんは住人が本格的に困窮したりしないなら大して怒らない。

それでも怒るのは、狩猟班の主力武器が使えない事による戦力低下に伴う負傷率の上昇だ。

 

その結果がこのザマである。

 

「君は、前もトラブルを起こして、今回は被害も相当大きくなって!ちゃんと許可を得てからやるとか、考えないと駄目だろう!?」

 

「いや....その、はい、面目無いです....」

 

お母さんに勝てる奴は世界に居ない。

それが実証された瞬間である。

 

「さあ!後処理があるから早く帰った帰った!」

 

「あ、え?あ、バグは一応治したんで後はイレギュラーさえ無ければ何も起きないんで、とりあえず、すみませんでしたー!」

 

脱兎の如き速さでゲートをくぐりその場から消える。

 

「......帰しても良かったのか?」

 

「そりゃそうだろう?彼女だって故意じゃない、事故をずっと責めてもどうしようもないだろう?」

 

「......そうか。」

 

逃げた容疑者に視線を送り語るのは、今回の被害者の1人。

異世界の火竜リオレウス。本来なら当たり前だが、この村で今唯一種族名で名乗る1人だ。

 

「ところで、アイツ.....ディーアだったな、何処にいるか知らないか?」

 

「ディーアちゃん、多分ホール君の所に居るんじゃないかな?」

 

「...そうか。」

 

そんな会話が繰り広げられている中。

食堂で、案の定ディーアは居た。晴嵐と共に。

 

「お主!何て事を!何て事をしてくれたのじゃ!」

 

「ご!ごめんなさいぃ!」

 

おこだった。

晴嵐はおこだった。

かつてない程におこだった。

 

もう1人の被害者、ディーアに取り寄せが難しいという素材で作られたミツさんお手製のケーキを食われたのだ。

鎌鼬を起こして斬り刻んでやろうかと、嵐に巻き込ませて大地に叩きつけてやろうかと。

己が出来うるありとあらゆる攻撃を想像して怒りを鎮めようとする。

 

だが怒りは収まらず、無論無くなったケーキも戻る訳も無く。

苛々と机をトントントントン、しつこく鳴らして怒鳴っていた。

 

尚、コック達は無視して料理している模様。

騒がしい日常に慣れた結果がコレだよ!

 

「うぐぐぐぐ....もう良いわ!早う妾の元から立ち去れ!」

 

「はいぃ!」

 

古龍の癖に器が小さいとか言ってはいけない。

根本的な問題としてミツさんと会うまでは、近くにいる連中をサーチアンドキルする構ってちゃんである。

そんな常識を奇声あげて溶岩に放り投げた様な奴がここまで対話出来るだけマシなのだ。

 

それ以前にミツさん以外とコミュニケーションを取らなかったのでコミュ障の一面もあるのだが。

故にコレは仕方のない事なのだ。

 

激おこぷんぷん丸晴嵐から逃げた少女、ディーアは怒り狂う厄災(笑)から少しでも離れようと移動を繰り返し....

 

「此処は.....どこ....?」

 

迷った、そりゃあもう見事に迷った。

普通に考えて、此処は山間部で地図か土地勘でも無ければ問答無用で迷う。

遭難ですか?はい遭難ですとかいう凍死寸前の寒いギャグ言える余裕があればマシな方。

 

しかし精神年齢が幼いとくれば普通に無理である。

至って普通に泣き始めて、普通に騒がしくして、普通に外敵を呼び寄せた。

 

やって来ましたるは青熊獣と呼ばれるアオアシラ、その名の通り青い熊。

亜種に黄色い体色の個体が存在すると言われて居るが誰も見たことは無いが、研究者の間では愛称として熊のプ○さんと呼ばれて居る。

ちなみにその名を呼んだ研究者達は二足歩行する巨大なネズミに連れ去られるとかなんとか....

 

恐ろしい逸話を持つアオアシラ、それが偶々(・・)冬眠の為に餌を貪り食らう時期にディーアと遭遇した。

 

「ヴヴァ...」

 

「あ、あ....そ、そうだ攻撃、攻撃しないと....」

 

普段は活力に満ちていたとしても、命の危機が迫ればそんな活力容易く消える。

武器であるパチンコに球を装填し発射する。

 

無論、アオアシラも攻撃を仕掛けてくるが偶然にも一発目が眼球に直撃、視力を奪い取る。

その隙にディーアが脱兎の如き素早さで逃走。

しかしアオアシラは圧倒的弱者から受けた一撃に憤怒、唯の餌という認識から排除すべき敵に認識を変えた。

 

だが、自然というのは狩る側だったのが突然に狩られる側になるというのも有り触れており。

 

「死ぬが良い」

 

「ガヴァ!」

 

飛来したリオレウス、陽炎に潰され潰れたゴキブリの様に死に絶えたアオアシラ。

直ぐ様近くのドキドキノコを口にして人型に戻りディーアに近寄り、介抱する陽炎。

恐らくミツさんに育てられて母性スキルを習得したのだろう。

 

「晴嵐に、アオアシラの棲息域に逃げたので見て来てくれと言われたから見に来て見たら、案の定か...早く戻るとしよう。母様も心配しているしな」

 

「ご、ごめんなさい...」

 

「謝るな、謝るなら態々救助を願い出た晴嵐にしろ」

 

そそくさと、ディーアを引き連れて村に戻る陽炎。

この時、ゆけむり村では一番のトラブルが発生していた。

 

□-□-□-□-□-□-□-□-□-□

 

「どうだい?晴嵐」

 

「不味いの...千剣山で浴びたクソ蛇の瘴気の様な物が渦巻いておる」

 

「....どういうことだ」

 

ゲートの前で神妙な顔もちをする晴嵐やミツさん、そしてリオレウス。

件のゲートは今までにも増して、その禍々しい色を酷くしていた。

 

「ちと、妾が邪気を払う。さもなくば何が起こるか分からんでの」

 

そういうと同時にゲートに渦巻く嵐の様なものが発生する。

嵐は秒単位で風を強めて有りとあらゆるものを吹き飛ばさんと、轟音を立てて勢力を強める。

 

「さて、蛇が出るか鬼が出るか....」

 

嵐が唐突に収束、真空となり強烈な爆風が発生しゲートの靄を弾き飛ばす。

そしてその爆風が、この事件の幕引きの事となるのはもう直ぐの話。

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