渓流暮らしの泡狐竜   作:狐火(宇迦之御魂)

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コラボ回ですん。
自虐性症候群さん、コラボ感謝ですん。


閑話.とある少女の物語

私は、『マリ ナミヅキ』元々私は『雨宮 麻里』という名前だったのですが。

神を名乗る少年に転生させられ、何故か記憶があります。

生前は親に暴力を振るわれる毎日を過ごしていましたが、今世もそれは変わらず両親に暴力を振るわれる毎日です。

 

そして、3歳になった時に両親に捨てられました。

例え暴力を振るわれてもこんな私と一緒に居てくれた両親、泣きに泣きました。

この世界は生前と違って、所詮ファンタジーで龍が当たり前に蔓延る世界。

 

殴られ、蹴られてもこの世界唯一の『居場所』だった場所を無くした私にはもう死ぬという道しかありませんでした。

 

住んでいたユクモ村の裏路地に捨てられた私はもう誰にも見つからずに死ぬのかと思っていました。

そして、普段受けた怪我でまともに動けず栄養失調で死にかけた時に、今の『お母さん』が来ました。

栄養失調で痩せ細った私を抱きかかえて、村の近くにある渓流に入ってアイルー達の村へ連れてこられました。それからは、村でお粥を食べさせてもらったり、傷を治してもらって何とか動ける様になりました。

 

村で、私を診てくれたアイルーの医者はお母さんが人ではなくモンスターのタマミツネという名の竜ということ。

ここが、色んな事情で行き倒れたり路頭に迷っていたアイルーをお母さんが集めてできた村という事などを。

 

お母さんは、傷を治せる泡を使えるそうだけど私を見つけた時に使わなかったのはお医者さん曰く、唯でさえ弱っている時に泡で濡らすと死んでしまうかも知れないからだそうだ。

 

だが、こんな私がここに居ていい筈もない、看病してくれた事を感謝して出て行こうとするとお母さんが引き止めてくれた。

 

私は、出て行くと言ったが。お母さんは『行くあてがないなら、ここに居ていいんだよ。何があったかは知らないし、聞こうとも思わないけど、君みたいな小さな子を放り出すなんて出来ないから。ここに居なよ。』私は、あの時に初めて『優しさ』に触れたのだろう。痛みや恐怖で零れ落ちる涙ではなく、優しさに触れて、涙が勝手に溢れ出てきた。

 

それからは、お母さんに育てられた。周りのアイルー達も私と似た様な目に遭った子も居るらしく、人が嫌いだという子も、私には優しくしてくれた。

怪我をした時は、お母さんに凄く心配された。

料理も、今まで見たいなボソボソした安いパンではなく、しっかりと料理されバランスも考えられた物を作ってくれた。

 

普通だったら、そんなに喜ぶ事ではないのだろうが私にとっては何もかもが、嬉しくて嬉しくて泣いて心配させてしまう事が何度もあった。

そして、お母さんに助けられ3年経ち、この世界で6歳になった時にお母さんについて行き3年ぶりにユクモ村へ行った。

 

その時にモンスターを狩る職業のハンターをしているレイスさんに会った。

私は、モンスターを狩ると言われてお母さんが殺されると思い本当に怖くなったが。

実際は、お母さんが好きみたいで私にも優しくしてくれた。

一緒に居たシュガーちゃんには飴を貰った。ユクモ村では、お母さんが色んな物を買ってくれた。

 

お菓子や玩具など、今までお洒落を出来なかったからか、ジッと見ていた簪も買ってくれた。

初めて村を回った最後に温泉に行った、水着を着て入る公衆浴場と男女で別れるのがあるらしく、お母さんと公衆の方に入った時に初めてお母さんが女性では無く男性なのを知った。だけどお母さんはお母さんそれは変わらない。

 

生前含めて初めて入った温泉は、とても気持ちよかった。

お母さんに会えなかったら絶対に入れなかったと思う。

だけど、渓流に戻る直前に私の、この世界の両親に出会ってしまった。

 

今までの私は、暴力が優しさと思っていた。

お母さんに会って、本当の優しさを知った今の私には以前の親は恐怖でしか無かった。

お母さんは、震えている私に気付いて手を握ってくれた。

 

だけど、あの両親に見つかってしまった。

3年経ち、顔立ちも変わった私を目敏く見つけ近寄って来た。

その時に小さく上げた悲鳴が、お母さんの耳に入り。

私の震えの原因が2人とわかった途端に、私を自分の後ろに下げてくれた。

 

血の繋がった両親は、お母さんに対して罵倒していた。

『私の娘を何故連れているの!?』とか『娘を返せ外道め!』などと、私のせいでお母さんが悪く言われたのが本当に悲しかった。

 

でも、お母さんが初めて怒った。

自分が罵倒されたからじゃない、私の親を語った事にだ。

その時の話は今も覚えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君達、マリの両親なのかな?」

 

「そうだ!解ったら娘を返せ!」

 

「そうよそうよ!」

 

「....君達、本当に腐ってるね。」

 

「何!?誘拐犯が何を言いやがる!マリ!さっさと帰るぞ!」

 

「マリに触るんじゃない!」

 

ミツが男がマリに伸ばしてきた手を叩き触れない様にする。

 

「イタッ!?この....何しやがる!」

 

「マリは僕が捨てられていたのを拾ったよ。医者が言うには2週間は放置されてたみたいだけど。それに、それ以前の殴られたアザもね。」

 

「なっ何を言ってるんだ!?マリが迷子になって見つからなくなったんだ!傷だってお前が付けたんだろう!俺たちは関係ない!」

 

「へぇ?君さっき誘拐って言わなかったかな?それと、僕は君たちがやったなんて一言も言ってないんだけどね。」

 

「そ、それは間違えただけだ!」

 

「...まだ言い逃れするかい?まず、1日でも子供が帰ってこなかったら捜索願ぐらい出すんじゃ無いのかな?」

 

「そ、それは....」

 

「今までこの村で子供が消えたなんて聞いたことが無い、大方、産まれてから家から出そうともせず監禁して暴力を振るってたんだろう。」

 

「言いがかりはよせ!」

 

道の真ん中で口論をしたため、多くの野次馬が集まって来る。

 

「人が集まってきた。まだ言い逃れするのかい?」

 

「あ、貴方ね!言い掛かりも大概にしなさいよ!」

 

「言い掛かり?じゃあ集まった人に聞くけど、この2人に子供が居る。もしくはこの子を知ってる人は?」

 

周囲からは「あの子知ってるか?」「あの2人、子供居たか?」などとしか聞こえなかった。

 

「...で、如何するつもりだい?」

 

「こ、このアマがぁああ!調子に乗るなあああ!」

 

反論出来なくなり、逆上した男が飛び掛かってくる。

それを合気道の構えでカウンターをしようとするミツだが。

 

「それはお前だよっと。ミツさん、有難うございます。」

 

レイスが後ろから手刀を浴びせ意識を奪い去る。

それと同時に女の方もシュガーが麻痺毒を塗った矢を打ち込み行動不能に陥らせる。

 

「レイス君、そいつら、処理任せるよ。」

 

「申し訳ないです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、あの2人は牢に入ったと聞く。

 

あの後、お母さんには『ごめんね、ごめんね、僕が今日連れて来なければ嫌な思いをしなかったのに...』と、泣きながら言われた。

 

お母さんには罪なんて無いのに、全部私が悪いのに

。あの日から5年経ち、私は11歳になった。

レイスさんは割と若かったみたいで今年で20歳らしい。

 

それを言ったら、レイスさんには『俺、そんなに老けて見える....?』と言われ、お母さんには『あははっ、マリも冗談が言える様になったねぇ。頑張れレイス君。』と言われた。解せぬ。

 

今では、私も少し不自然ながらも笑える様になった。

お母さんに会うまで私にとって笑顔は人の機嫌を取るためのものだった。

今は、面白ければ笑って、悲しければ泣いて、嬉しければ喜ぶ。

 

転生して11年、ようやく暴力の恐怖から抜けられたと思う。

お母さんに自分は転生して、記憶がある事を伝えた時は捨てられるかもと思っていた。

 

だが、そんな事は無くて『前世の記憶が有ろうと無かろうとマリはマリだよ、そんなのは関係無いからね。』お母さんは優しすぎると思う。

今に詐欺にでも遭わないだろうかと割とハラハラしている。

 

私は、今までの人生が灰色にしか見えなかった。転生しても、それは変わらない。

暴力が当たり前の世界で生きていた。

 

だけど、お母さんに会って、世界に色が付いた。

 

料理は、美味しく感じられて。寝床も冷たくなくて、暖かく。

 

周りも殴って来たりしない、優しい人ばかり。

 

何度も言うがきっとこれは普通の人には当たり前なのだろう。

 

だけど、私にとってはお母さんに会ってこれが漸く当たり前になった。

 

私は、転生して。一度は諦め、そして救われた。

 

お母さんに転生して会えた事が本当に嬉しい。

 

私は、お母さんに数え切れないほどの事をしてくれた。

 

私には何も出来ないが、ならばこの幸せを、優しさを享受して......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この竜の世界で私は今日も生きていく。

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