ガンパレード・マーチ episode OVERS   作:両生金魚

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5121小隊の日常を見直すと、ヘタするとepisode TWO より酷いんじゃないかってくらいな問題が見える……序盤はやはりパラレルだろうか……。

 そして、熊本城決戦までは5121小隊の日常、5121小隊の日常Ⅱ、もう一つの撤退戦の3つの物語が時系列上あちこちに組み合わさって居ます。





5121小隊と黒森峰戦車中隊と猫宮の日常
我は世界を救う者


 熊本市県庁舎。そこのホールで、多数のマスコミと軍事関係者に囲まれて、猫宮と西住みほの二人が市長の前に立っていた。みほと同乗している他3名は、その後ろに立っていた。

 関係者列の椅子には、5121小隊のメンバーや黒森峰のメンバーが座っているが、ほとんどが居辛そうにしていた。回りは何やら偉そうな大人ばかりである。

 そして、市長がコホンと咳をすると、高そうな御盆に載せられた2種類の勲章を1つずつ、猫宮とみほに渡していく。

 

「おめでとう猫宮君、西住さん。……同郷の人間として、この勲章を君たちに渡すことが出来るとは誇らしい限りだ。君たちは郷土の英雄だよ」

 

 県知事が咳払して、おもむろに演説を始める。

 

「この新しい英雄たちは、我々日本国民、いや世界市民のために戦った! 誇り高いことであります。我々は英雄を生み出したのだ!我々は英雄を生み出せるのだ! きっと後に続く若人が、次々と出ることでしょう!これこそが私が夢に見てきた教育の姿であり、民主主義の成果であります!」

 

 やら何やら、演説が続いていく。正直退屈である。そして、これがテレビで流されている。そして、会津派閥や薩摩派閥のお偉いさんとやらが握手を求めてきたり何だりと。宣伝と、猫宮の取り込みに熱心なことである。

 

 

 あの日の戦闘で、猫宮と西住みほの二人は、銀剣突撃勲章と黄金剣突撃勲章の2つの受賞条件を満たした。悪化する戦況でこれは明るいニュースでもあり、なので政治的判断というやつでこんな大々的な式典が行われたのだ。まあ、階級は上がって給料も増えて、ついでに年金も貰えるらしい。

 ふと横を見ると、みほも中々に居辛そうだ。なんとなく、目が合うと、お互い思わず苦笑してしまった。

 

 

 御大層な、おまけに長々とした式典がようやく終わると、皆体を伸ばしたりストレッチしたりと。居眠りするわけにも行かず、大分疲れたようだ。

 とりあえず、貰ってしまった勲章を胸につける猫宮。何だか制服が派手になった気がした。

 

「おお~、すっげー!」 「わ、わ!すごいすごい、触ってもいい?」 「ふっ、まだまだこの程度で満足してちゃダメだよ」 「ふむ、先を越されたな……」 「でも、僕達もすぐに追いつけるよ」

 

 勲章を胸に付けると、皆が寄ってきた。そして、我が事のように喜んでくれる。それが、とても嬉しかった。

 

「あはは、みんなありがとう!」

 

 そして、そんな様子はみほも含めた黒森峰の4人も同じであった。和気藹々と、皆で勲章を眺めている。

 

「おめでとうございます。金銀の勲章でなんとも綺麗ですね」 善行も笑っている。

 

「ははっ、まだまだ増やしますよ。それに、他の4人の胸にもすぐに勲章が付くでしょうし!」

 

「ええ、そうなるでしょう。……これからも、がんばって下さい」

 

「勿論です!」

 

 と、そんなところへ護衛を連れた将官が歩いてきた。慌てて、一斉に敬礼する5121と黒森峰中隊。やってきたのは、西住しほ中将だ。そして、中将もまた敬礼をする。

 

「全員、楽にしてくれ」 一斉に休めの姿勢を取る。

 

「黒森峰戦車中隊、そして5121小隊共に本当によく戦ってくれている。ありがとう」

 

「はっ! ありがとうございます」 一部の隙もない表情で答える善行。

 

「善行千翼長、少し、猫宮百翼長を借りても良いだろうか?」

 

「はっ! 勿論であります!」

 

「了解です!」

 

 善行、猫宮共に敬礼して答える。

 

「そうか、ありがとう。ではこちらへ来てくれ」

 

 と、応接室へ案内される猫宮。護衛も外に出され、西住中将と二人きりだ。猫宮は勿論座らず、直立不動である。

 

「ここには他に誰もいない、座ってくれ。それと、階級も気にする必要はない」

 

「はい、了解です」 

 

 そう言うと、猫宮の表情が人懐っこい笑顔に変わる。それを見て、思わず西住中将も微笑する。

 

「まずは、一人の親として礼を言わせて欲しい。娘の命を救ってくれて、本当にありがとう」

 

 そう言うと、しほは頭を下げる。そこには、軍人ではなく、人の親である女性の姿があった。

 

「兵士として当然のことですが……それでも、どういたしまして」

 

 その気持を察して、猫宮も微笑みつつ受け入れる。

 

「で……人払いをしたということは、それだけではないですよね?」

 

「ああ、当然だ」

 

 しほが顔を上げる。と、そこには母親ではなく、軍人の姿が有った。

 

「恐らく知っての通り……私は薩摩と会津、その両方の派閥に属していることになっている。そして、黒森峰の中隊もな……」

 

 頷く猫宮。

 

「単刀直入に言おう。君が欲しい。芝村閥より、こちらの側に立ってくれ」

 

 駆け引きも何もなく、ストレートに言われた。そして、それに対する猫宮の答えもシンプルだ。すぐに首を横に振る。

 

「士魂号は、芝村閥の兵器です。生産、整備、運用まで、全部が芝村の手が及んでいる……。パイロット一人を引き込んでも、あまり意味があるとは思えません」

 

「先日の君とみほの戦闘、そして、荒波機を中心とした阿蘇戦区の戦闘など……そのデータやレポートはこちらの閥にも流れてきている。そして、会津、島津でも独自に使える人型戦車の部隊が欲しくなったのだな」

 

「それで……『士魂号は芝村ではなく軍の物である。情報を開示せよ』って所ですか?」

 

 渋い顔になるしほ。そっくりそのまま図星であった。

 

「そして、仮に芝村から機体や技術を提供されても、今度は肝心のパイロットがいない……。そして、パイロットまで提供してもらうとしたら、あまりにも芝村への借りが大きくなりすぎる……と」

 

 ため息を一つしほ。

 

「まったく、君はそのまま軍の政治の世界に入れても通用しそうだ」

 

「あはは、まったく興味ないですね。自分が興味あるのは……軍人だろうと民間人だろうと、一人でも多くの人を助ける事、です」

 

 揺るぎなく答える猫宮。汚い政治の世界に絡めるのが、恥ずかしくなってくるしほ。

 

「そもそも、自分、ただの学兵で徴兵されて、たまたま芝村の兵器を使ってるだけです。だから、根本的に派閥って言われてもピンと来ないんですよ」

 

 苦笑する猫宮に、しほはハッとした表情になる。

 

「だからまあ、芝村だの会津だのの派閥は関係なく、手伝ってと言われれば手伝いますし、訓練しようって言われれば訓練しますし、教えてくれと言われれば教えます。それに……黒森峰の皆さんと戦うと、戦果の桁が跳ね上がるから、出来れば一緒に戦いたいですし」

 

 穏やかな猫宮の言葉に、同じくやわらかな表情になるしほ。

 

「なるほど……。では、こうした勧誘も徒労だったというわけだな」

 

「いえいえ、一介の学兵にわざわざ中将が面談をしたり裏事情を話していただいたりと、本気度が分かりましたし」

 

「それは、私が礼を言いたかったのも有るからな」 微笑むしほ。思わず見とれてしまうほどの、笑顔であった。

 

 

「では、そろそろ失礼するとしよう……また後でな」

 

 立ち上がって、敬礼する猫宮。……?

 

「また後で?」

 

「ああ、この後君たち5121小隊と黒森峰の合同訓練だろう? そこに、私も視察に入るのだ」

 

「えっ」

 

「では、その時はよろしく頼む」

 

 そう言って、しほは出て行った。そして、猫宮も出ようとするといきなり太った男がぬっと入ってきた。芝村準竜師である。

 

 

 

「座れ」

 

 敬礼も挨拶も何もなく、いきなり座れである。それに従う猫宮。ウイチタ更紗は、外のドアの何時でも突入できる場所に控えている

 

「お前は、何だ?」

 

「人が滅びようとしている。だけどそんなのは嫌だって言う想いに応えるためにやってきた。そして、自分も人が、この国が滅びるのは見たくない」

 

 それを聞くと、準竜師は愉快そうにガハハと笑った。

 

「なるほど、そういうモノか」

 

 それだけ聞くと、立ち上がる準竜師。

 

「5121の司令室に俺の直通回線が有る。好きなモノを陳情しろ」

 

「止めたりしないんですか?」

 

 苦笑しつつ猫宮も立ち上がる。

 

「止めようと止めまいと勝手に動く、お前はそういうものだろう。なら、せいぜい恩を売っておく。それに、お前の動きは人類の利益になる。それを一部、我らの利益にも変える」

 

 なるほどと頷く猫宮。

 

「じゃあ、御用が有ったら連絡を。何か有ったらできるかぎりは手伝いますんで」

 

「義理堅いな。何か有れば連絡を入れよう」

 

 それを言うと、出て行った。そして、ウイチタ更紗は明らかに困惑していた。こんな短い間、何を話したのだ?

 

「……良いのですか? 明らかに怪しいところがありすぎますが」

 

「怪しすぎてかえってこちらが困惑するほどだろう。スパイだの工作員だのなら、こんな事をするわけがないし、奴も開き直っているのだ。問題はない」

 

「……まあ、この間もあなたへの暗殺を止めましたし。敵ではないのですか」

 

 まったく、振り回されるこちらの身にもなってほしいものだ。そうため息を付きながら、ウイチタ更紗は準竜師の横を歩くのだった。

 

 

 

 

 授与式が終わった後、5121小隊はまた黒森峰女学園へと訪れていた。勿論、シミュレーション訓練を行うためである。

 

 そして、また1小隊と1機ずつの訓練であるが、これは組み合わせによって与えられる任務がかなり変わるのだ。

 

 壬生屋は前線へ切り込む完全な囮型、滝川は遠距離支援と狙撃、3番機はバランスが良く、またいざというときのミサイルでの殲滅力が有り、そして4番機猫宮はありとあらゆる状況に対応できる。

 

 一方まほの第1小隊は通常の戦況で絶対にミスを犯さず、エリカ率いる第2小隊は支援が上手く、みほの第3小隊は混沌とした戦況になるほどその指揮が光った。

 

 つまり、強力な支援をさせたければ2番機と第2小隊を1方面に出したり、混沌とした状況に対応したければ第3小隊に3,4番機を組み合わせたりと、ケース毎に組み合わせを変え、各戦線に派遣できる。勿論、1番機と第2小隊と言ったそれぞれを補いあう組み合わせも有効である。

 

 何度もシミュレーションを繰り返し、それぞれがそれぞれの個性を理解していくことで、戦果が加速度的に上がっていった。

 

 

 

 2番機が、バズーカでスキュラを狙撃する。命中し爆発、2番機に敵の注意が向いた。そこに、隠蔽された3輌のL型からそれぞれ別の幻獣へと砲撃が飛ぶ。

 複数からの攻撃に困惑する幻獣。その隙に、滝川はまた別の地点へ移動、そしてまたスキュラを狙撃する。空の脅威が消えた

 

「スキュラ2、撃破っす! 」

 

「了解! 全車、県道を北上、走りながら1斉射!」

 

 走りながら3輌のL型がミノタウロスに1斉射、ウチ1発が命中、体制が崩れた。そこに、2番機の92mmも飛んで来る。

 爆発炎上し、周囲の小型厳重に酸を撒き散らすミノタウロス。

 

 2番機に視界が向いたらL型が、L型に視界が向いたら2番機が、お互い位置を変え続け、ゆっくりと、しかし確実に敵を削っていく。

 派手さはないが、堅実なこの戦法は、戦区の幻獣を確実に足止めしながら、すり潰してく。

 

 

 訓練が終わり、シミュレーターから出る滝川。その顔は、興奮に満ちていた。

 

「やっぱ凄いっすねエリカさん、めっちゃ動きやすいです!」

 

「こちらもだ。何時も、渋いタイミングで援護を入れてくれる」

 

「ふむ、滝川、このタイミングだが……」

 

「エリカさん、この場面では……」

 

 そして、シミュレーションが終わるとすぐに皆が集まって検討である。あちこちから意見が飛び交い、時に言い争い、なだめられ、まとめられていく。

 それにしても、新しい戦術を思いつく時とはこれほどまでにワクワクするものだろうか。皆が、子供のように――事実子供では有るのだが――議論に夢中になっていた。

 

 そして、その横でレポートを纏める猫宮。時々、みほやまほ、エリカも手伝う。

 

「ふむふむ、やっぱり複数の中型はまず分断して……」

 

「例えばこんな場面だと、こう、ですか?」

 

「うん、いい感じ、ありがと」

 

 そして、その提出されていく試案を次から次へと回し読みする善行、蝶野、そして西住中将。全員が、食い入る様に見つめる。

 

「しかし……学兵からこんなレポートが出されるなんて……」 

 

 蝶野が驚いたように呟く。猫宮作成の叩き台として出されているレポートであるが、図も多数取り入れられ分かりやすく、とても学兵が作ったものとは思えなかった。

 

「まあ、彼は才能が豊かでして……」

 

 そんな蝶野の驚きに、善行はもう慣れたとばかりに苦笑している。

 

「ふむ……しかしこうなると、彼は教官にも回せるな……」 

 

 考えこむしほ。

 

 こうして、黒森峰と5121の合同訓練は回数を重ねられていくのであった。

 

 

 

 

――以下どうでもいいおまけ――

 

「……次もまたゲットして来いって言われてもなぁ……」

 

 滝川の戦闘は、他3機とくらべて地味である。そこがコンプレックスでもあるが、それでも戦うときには頼もしい。そして、頼もしくて下品でもなく、優しそうな男の子は結構な目で見られるものだ。しかし、コンプレックスの有る滝川は中々気が付かないのではあるが。

 そしてそんな滝川なので、女の子とはあまり話せない。どうしたものかな~と歩いていると、またしゃがみこんでいる女の子が見えた。黒髪ロングでいかにも日本のお嬢様と言った感じの人である。

 

「あ、あの、どうしました?」

 

「あ、確か……滝川さんでしたね」 

 

 ぺこりとおじぎをする少女。それにつられて思わず滝川もお辞儀をした。

 

「はい、滝川です。それで、どうしました?」

 

 首を傾げる滝川。そうすると、少女は困ったように下を向いた。

 

「はい。間違って靴下ではなく、足袋を持ってきてしまいまして……これだとブーツに合わないのです」

 

 困ったように足を見る少女。見ると、本当に足袋のようだ。

 

「あ、それじゃあこれ使います?俺、汗っかきなんで予備の靴下持ってるんスよ」

 

 実は交換用だの置引きした時のすり替えようではあるが、そんなことをおくびにも出さず言う滝川。ぱぁっと、少女の顔が明るくなった。

 

「は、はい、是非お願いします!」

 

 そう言うと、いそいそと靴下を脱ぎ出す少女。その艶めかしい動作に思わず生唾を飲み込む滝川。そして、滝川からもらった靴下を履いた。

 

「わぁ、ぴったりです、どうも、ありがとうございます!あ、もうこんな時間……では、お礼は後ほど!」

 

 と、走っていく少女。

 

「……あ」

 

 と、そこには足袋が残されていた。

 

 

 

 

「それでそれで、今日はどげんしたばいね!?」

 

 またいつものように人がいないところに集まるハンター4人。なぜだかその内3名はボロボロであるのだが。

 

「え、えーっと、靴下は……無理だった」

 

「そう、ですか……」

 

「むううう、仕方ないですぅ! 連続は流石に難しかったですかァッ!」

 

 落胆する3人。まあ、流石に連続は無理だろうと気を取り直し成果を聞こうとするが、滝川が何かを漁っているのを見て、止まる3人。

 

「えっと、代わりにこんなの手に入れたんだけど……」

 

 真っ白い、足袋だ。和服を着た女性がしずしずと歩く動作がまるで目に見えるかのようだ。その足袋には、何のほころびもない。しかし、何故か香りが高い……

 

 

「こ、これはどぎゃんしたとね、ロボ……」

 

 震える声で、バトラーが尋ねる。

 

「え、えーっと、何か靴下の代わりに間違って持って来ちゃったやつらしくて……これでブーツを履いていたみたいなんだ」

 

「エクセレエエエエエエエエント!」 叫ぶバット。興奮が隠せない。

 

「よし、言い値で買いましょうロボ。では早速……」

 

「ノオオオオオオッ!今度こそ私のですううううううううっ!」

 

「シェラしかっ!俺のばいっ!」

 

 なんかもう説明するのも面倒なのであるが、また懐に手を突っ込む3人、だがそこに足音が聞こえる。怯えた様子でそちらを見る4人。

 

 するとなんか、太った、マスクをつけた、どっかで見たこと有るようなオッサンが居た。

 

「いや、報酬は俺が出そう……」

 

「ミ、Mr.B、なぜここに……!?」

 

「ふはははは、何やら近頃期待の新人がとてつもないグレードのブツを手に入れられると聞いてな……是非俺も直々に見てみようと思ったのだよ……」

 

 何故だ、タイミングが良すぎる……まさかっ!?

 

 懐に手を突っ込み、一つの靴下を取り出す中村。ま、まさか……!? 

 

「そうだ、その熊のアップリケが俺に教えてくれたのだよ……」

 

「盗聴ソックスとは……貴様、そこまで……!」

 

「フハハハハ! 勝てば官軍よ!」

 

 何かどっかで聞いたことがあるような声と見たこと有るような体格であるが、滝川は何も見なかったことにした。

 

「というわけだ、ロボよ。その足袋は俺が貰おう」

 

「ふざけるなっ!」 「ノオオオオオッ! そうは行きませんよおおおおおっ!」 「それは俺が貰うばいっ!」

 

 Q:ソックスハンターが4人に、一つのレアソックスがあります。さて、次に起きることは? A:勿論大戦争である。

 

 一斉に懐に手を突っ込む4人。だが、Mr.Bが一瞬早かった。トリップすると、イー・アル・カンフーとスパルタンXを足して2で掛けた勢いで突っ込んで3人を吹き飛ばす。

 

「「「ぐはあっ!?」」」

 

 大ダメージを受ける3人。それを見下すMr.B

 

「ふんっ、なんと他愛のない。所詮、俺と貴様らではソックスに賭ける愛が違うのだ……」 そう言うと、封筒を持ち、ロボに手を伸ばすMr.B

 

「では、報酬はこれだ。よくやってくれた。これからもソックスをハントし続けるが良い……」

 

 だが、Mr.Bが言ってしまった言葉が、3人に火をつける。

 

「愛が、違うだと……」 バトラーが

 

「我々はみな夢狩人……その愛の重さに、差など無い……」 タイガーが

 

「ラアアアアブ! ソックスラアアアアアブッ! あなたは、他のソックスハンターを……そして、そのソックスの無限の愛を無礼(なめ)たっ!」

 

 立ち上がる3人。残った力を振り絞り、懐に手をやり、顔に持っていく。トリップ、そして、力がみなぎってきた。ソックスの、大いなる愛が、3人へと流れこむ。

 

「ほほう、少しはやるようだな……なら、見せてみるが良い!」 Mr.Bもまた新たな女性ものソックスを取り出し顔へ持っていく。

 

 

「「「「うおおおおおおおおおおっ!」」」」

 

 

 こうして、愛と愛の戦いが、幕を開けるのだ…

 

 

「…………えーと、報酬は勝った人からもらいます、後で届けて下さい、ソックスロボより」

 

 ロボは隅っこに丁重に畳まれた足袋とメモ書きとMr.Bの封筒を置くと、そそくさと逃げ出した。

 後ろでは、中華ワイヤーアクションとオーストラリアのぶっ飛び世紀末と遙かな銀河のちゃんばら騎士達を足して4でかけたような一大スペクタクルが広げられていた。

 

 

 立て!ソックスロボ! 負けるな、ソックスロボ! 

 まだ見ぬソックスが君を待っている! 

 そして、ソックスロボのお陰でソックスハンターの友情にヒビが!?

 

 待て、次回!

 

 

 

―――終われ……終わってくれ……頼む……!

 

 




……おかしい、ソックスハンターの段になると過去最高のペースで筆が進む……何故だ……何故なんだ……!?お、俺は、どうしてしまったんだ……!?

短編が出るとしたらどんな話が良い?

  • 女の子達とのラブコメが見たいんだ
  • 男連中とのバカ話が見たいんだ
  • 九州で出会った学兵たちの話
  • 大人の兵隊たちとのあれこれ
  • 5121含んだ善行戦隊の話

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