ガンパレード・マーチ episode OVERS 作:両生金魚
※ののみが居たのをまるまる修正……久々に書いてたから忘れてました……orz
中々のスランプ状態ですが何とか捻り出し。キャラの登場頻度のバランス取るのが中々に難しいですな……。
なんとか陣地へ滑り込んだ指揮車の中で、一息つくと善行は瀬戸口に声をかけた。
「4番機の状況は?」
「付近に中型の敵影無し。数が少なかったとは言え、よくぞここまで幻獣の注意を引いたもんです」
幻獣の腹を掻っ捌いて内蔵を掴み出して踏み躙るなど、士魂号でしか出来ない芸当だろう。幻獣にも感情が有ることを利用出来る数少ない戦法かもしれない。
「猫宮君、ご苦労様です。付近の幻獣は一度途切れた様子です。君も補給と休息を」
善行がそう通信を入れると、深呼吸の後返事が帰ってくる。
「了解です。損害の方は?」
「特に問題の有る方は居ません。安心して戻ってきて下さい」
「はい。司令も休まれたほうがいいかと」
そう言うと、通信が途切れる。その言葉に、善行を始めとした指揮車の一同も苦笑するしか無い。
「ま、たしかにそうですね。通信は俺が見ときますんで、司令も休憩どうぞ」
「では、お言葉に甘えましょう」
瀬戸口の言葉に、善行が頷きハッチから出ていく。
「1番機脚部チェック、状態は!」
「GGY、下部に疲労が見られます!」
「弾薬、全部運び込んで! 殆ど空、全部載せれる!」
「9号車、側面装甲の4番、急いで!」
公園陣地に急ごしらえで作られた整備テントとその付近では、整備員たちの怒声が鳴り響いていた。付近にまとまった幻獣の姿はなく、戦況は小康状態で、その隙に各々の機体車輌を一斉にチェックしていた。その周囲では、かき集められた随伴歩兵の学兵たちが、交代で休憩を取りながら護衛をしていた。
激しい戦闘の直後であるのにこうも生き生きと動いているのは、戦闘の恐怖を忘れるためかもしれない。ふとそんなことを思って居ると、気配が近づいてきた。
「綱渡りだった」
「ええ、まったく」
振り返ると、来須が立っていた。そして、善行の内心と同じ言葉を口にした。
「周到さと泥縄式が同居していた。出来得る限りの準備は上手く行ったがそれでも想定外な事態が多ければ危なかった」
「不思議な理屈ですが、あなたも喋れたのですね」
「……」
「失敬。実はあなたの事が気になってましてね。ひとつだけ聞きましょう。この小隊に配属されて良かったと思いますか?」
来須はふっと口元をほころばせた。
「ああ」
なるほど来須君のお墨付きかと、善行も口元をほころばせた。
「その言葉が聞けてよかったですよ」
パイロットたち、指揮車クルー、整備員たち、そして他の隊のメンバーにともに配属された歩兵や、集まってきた歩兵たち。皆最善を尽くした。そしてその結果、ここにこうしている。善行の脳裏にふと原の面差しがかすめた。
善行は少し考えたが、己の心に従い原のご機嫌伺いをしに行くことにした。
機体から降りた猫宮は、整備テントから出ると大きく伸びをした。ずっとコックピットに座りっぱなしだったので適度なストレッチが心地良い。体をほぐしていると、パタパタと何羽もの鳥が近くに降り立ってきた。付近の偵察情報をまとめて持ってきてくれている。
(共生派は今のところ近くには居ない……? うん、ありがとう、引き続きお願い)
猫宮がそう言うと、こくんと頷いてから飛び立っていった。報酬は後払いだが、随分と高くなりそうだと猫宮は苦笑する。
端末を多目的結晶に接続すると、あちこちの陣地の現状が送られてくる。
「……こっちは大丈夫、こっちは損害軽微……ここは……圧力多くて放棄、しかし損害は無し。こっちは……全滅……か」
恐らく、史実よりも持ちこたえている陣地は増えている。それが圧力の低下にも繋がっているが、流石に教育もできてない送られてきたばかりの新人達の生死は、天に祈るしか無かった。
『皆大丈夫?』 猫宮
『こっちはなんとか』 玉島
『は、はい大丈夫です!』 津田
『放棄された陣地から、機銃とかかっぱらってきました!』 関根
『付近の新人たちを吸収してなんとか。雑用色々とさせてます』 一青
生き残ったものたちはそれぞれ、生き延びるための最善を尽くして助け合っている。それが、嬉しかった。
『うん、了解。まだ再侵攻まで時間が有るから物資が足りなかったらかっぱらってでも集めて。武器弾薬にそれからお菓子まで。文句言われたらこっちへ通して』 猫宮
と、泰守の連絡先を添付する。文句を言われたら芝村の力でゴリ押ししてもらうとしよう。そんなことを思いつつ、通信を終える。
「さて、次はここの物資かな……」
原作でも物資をかっぱらってくるイ号作戦が発動されたが、今は更に人も増えている。まともな受け渡し票なんて作ってる暇はないだろう。そう思うと、備品のトラックの有る方へと歩いていった。2台のトラックの運転席には中村と遠坂が、他にも加藤やら田辺やらが乗り込んでいた。
「やっ、手伝うよ」
猫宮が片手を上げつつトラックに近寄ると、一斉に首を横に振られる。
「猫宮、お前はパイロットなんだから休んどくばい!」
「そうや、一番遅くまで残ってたのに何いってんのや!」
「ね、猫宮さんはゆっくりしていて下さい!」
「ええ、休息もパイロットの仕事の内かと」
一斉にダメ出しを食らいたじろぐ猫宮。全員から念を押されて荷台に乗り込めなかった。
「う……はい……」
トラックが出発するのを眺めてから、トボトボとまた別方面へ歩き出す猫宮。あちこち見渡すと、何やらヨーコが速水の手におまじないを書いていたり、瀬戸口が壬生屋になし崩し的に膝枕をしていたり、滝川と森と茜が3人であれやこれやを言い合っていたりしている。
できれば整備テント周りに人数が増えた分の防備も増やしたいところだが……そこはイ号作戦に期待するとしよう。塹壕掘りを手伝おうとしても叩き出されそうでは有るし。
そんなことを思いつつ陣地の中に入ると、黒森峰と聖グロリアーナの搭乗員たちが一緒になって休んでいる所に、テレビの取材が入っていた。その取材に、まほと凛が笑顔で答えている。が、疲労の色はやはり濃い。猫宮はやれやれと溜息をつくと、その集団に近づいていった。
「やっ、テレビの取材?」
インタビュー中にぶち壊すように横から入る猫宮。それをびっくりした目で見てくる搭乗員達に、邪魔が入って不機嫌になるキャスター。
「な、何なんですかあなたは、取材中ですよ!」
「いや、皆疲れてるみたいだし労いに」
その言葉に、不思議そうに首を傾げる猫宮。
「か、彼女たちは宣伝部隊の一員なんですよ! だからちゃんと取材を受けてもらわないと!」
「疲労で指揮が鈍ったら取材どころじゃないんだけど。後から出来るんだから、今は休ませてよ」
「いえ、こういう情報は鮮度が!」
尚も言い募ろうとするキャスターに、スタッフの一人が慌てて駆け寄って猫宮のことを説明する。
「ま、まずいよ、あの人、士魂号のエースの猫宮さんだよ!」
そう言われ、さっと顔を青くするキャスター。猫宮は自分の体を見下ろすと、そういえば勲章付けてなかったっけと肩をすくめた。
「し、ししし、失礼しました! ね、猫宮さんはこの戦いをどう思われるでしょうか!?」
慌てて言い繕うキャスターが、マイクを向けてくる。それにため息一つつくと、テレビクルーたちを睨みつける。
「こっちは今までずっと幻獣と殺し合ってたんだけど。で、今はその合間の貴重な休憩時間。そういう取材は後からやるから今は休ませて」
低い声でそう言うと、ひっと後ずさるクルーたち。そのまま、失礼しましたと言ってすごすごと引き下がっていく。
やれやれと猫宮が苦笑すると、まほと凛から声をかけられた。
「どうもありがとうございます」
「助かりましたわ」
「こういうときに憎まれ役は必要だしね。皆お疲れ様。今だけでもゆっくり休んでて」
猫宮がそう言うと、『はいっ!』と返事が重なり皆座り込む。プロパガンダ部隊だけあり、後ろにだらしない姿は見せられなかったようだ。
「……みんな大丈夫?」
猫宮も座り込みながら、二人に問う。
「私たちは、比較的後方に居たのでそこまでは。ひやりとする場面もありましたが……」
何度か近寄られて、直射を叩き込むことも一度や二度では無かった自走砲小隊である。それでも、黒森峰に比べれば遥かにマシではあった。
「我々は疲労がかなり見られます。やはり小型幻獣の浸透が……」
「だよね」
顔を曇らせるまほに、ため息をつく猫宮。密かに、九州から撤退したら絶対90式を主力にしようと決意していた。
「……それと、みほが負傷を……」
「重症……じゃ無いよね?」
「はい。しかし、今はエリカに連れられて野戦病院に行っています」
「そっか……」
どうやら機銃座についたときに飛んできたトマホークにより負傷したらしい。現代のリモートコントロール機銃も恋しくなった。
(……これも改良点だけど……予算足りるかな……)
険しい顔をする猫宮に、顔を見合わせる二人。どちらともなく頷くと、ぽふっと横に寝かせる。突然横にさせられ、見上げると二人から心配そうな顔で見下される。
「色々と心配するのもいいですが、猫宮さんこそ少し休憩をするべきですわ」
「ええ、また倒れられても困ります」
そう言われると、お手上げである。目を閉じて、思考や脳機能を一時低下させる。それでも、戦場の気配が5感を通して伝わってきてしまうのだが、無理やり忘れる。
ゆったりとした空気に身を任せ、しばらく横になっていると、端末に通信が入った。
「猫宮君、色々とかっぱらってきたで~! 黒森峰さんや聖グロリアーナの皆さんも集めてや!」
「了解、何を手に入れてきた?」
「アンパンメロンパンチョコパンにジュースに、色々と有るで! 無くなる前にはよ呼んでな!」
「オッケー、それじゃありがと!」
そう言うと、起き上がって皆の方を向いて声をかける。
「色々と物資補給してきたみたいだよ! 菓子パンお菓子にジュースに色々と! 無くなる前に行こう!」
そう言うと、皆が笑顔になって『はいっ!』と駆け出していった。そして、その光景を優しく見守りながら、猫宮、まほ、凛は後へと続いていった。
『ソックスハンターは永遠に!』
タイガーは整備テントの片隅でひっそりと、黒光りするものを持っていた。そして、その顔には決意と、どこから晴れ晴れとした顔が浮かんでいた。
「さて……」
と黒光りするものを持ち上げるタイガー。いざ、使おうとして――
「な、なにしとるばい、タイガー!?」
それを見たバトラーが、慌てて止めに駆け寄る。
「いえ、これはやらなければならないのですよ、バトラー」
「何をバカなことを言っちょる!?」
見れば、どれもタイガーが大事にしていた数々のソックス達である。
「いえ、それを止めてはいけません、バトラー」
「バット!?」
突如のバットの登場に驚くバトラー。そして、それを見て寂しく笑うタイガー。
「……気がついていたのか、バット」
「ええ。近頃、本物以上のグレードを持つレプリカが出回っているので調査していました。本来なら貴方を告発しなければならない所でしたが……もうその必要はないようですね」
バットはタイガーの顔を見た。今までの、外面を気にしていて何もできなかったハンターではない。真のハンターとしての顔がそこにはあった。
「ああ、もうこんな、自分を偽る事は止めにしたんだ……」
そう言うと、タイガーは黒光りする大きなハサミで、手に持っていたレプリカたちをジョキジョキと切り裂いていく。純白の美しい、しかし偽りのソックス達がはらりはらりと散っていく。
「……すまん、タイガー。俺はお前の悩みに気がつけんかったばい……」
「いや、謝るのは私の方だ。こんなレプリカを、仲間内に持ち込むなど……」
首を振るタイガー。そこに、バットが近づく。
「しかし、タイガー。貴方に一体何があったのですか?」
「……これだ」
タイガーは、懐から1足のソックスを取り出す。
「こ、これは……」 「おおおおおおっ!」
食いつく二人。とても見覚えのあるソックスだった。
「はい、彼女のものです」
純白であり、あちこちに接ぎがあり、しかも左のソックスには親指の部分に穴があった。しかし、丁重に扱われたその様子から人柄がありありと思い知れる。間違いなく、田辺のソックスだった。
「私は、彼女と話し生き方を悟りました。明日はいい日だ。そして、その良い日はきっと偽りの行為では手にはいらないのだと……」
『タイガー……』
その、全てを受け入れたような笑みに、二人はなんとも言えず名前を呼んだ。
「レプリカも全て責任を持って回収します。今日から、また1からやり直しです」
「ああ、過ちがあってもやり直せる、そしてソックスハンター界にタイガーの名を轟かすばい!」
「ふふふふふ、バトラーも100万年に1度位は良い事をいいますね。しかし感動しました、私も貴方の再起に協力しますゥ!」
こうして3人の趣味仲間は、整備テントの片隅で人目をはばかりながら、しかし暑っ苦しく手を取り合った。ソックスハンターの友情は、硬い。
「……ところで、協力する代わりに片っぽだけでも俺に……」
「ノオオオオオッ!それは私に是非いいいいいっ!」
「ふざけるなっ! どちらも私のものだっ!」
そう言うと懐に手をやり以下略。
ソックスハンターの友情は、脆い。
スランプ状態でも何故か筆が乗るソックスハンター編。……何故だ!?
実家に帰省した時近所の大きめのブックオフでガンパレード・マーチTRPGのリプレイやらオーケストラの攻略本を発見し思わず購入。PS2,まだ動くかな……?
それはそれとしてTRPGリプレイの兵器にまさかの戦艦大和を発見する。……え、使えるの?これ……!?
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