ガンパレード・マーチ episode OVERS   作:両生金魚

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『運命』を破壊する

「はあ、今日も疲れましたわ……」

 

 と、工藤が食堂でへにょりとしていた。訓練は順調では有るが、やはり人型パイロットの疲労の蓄積は速い。猫宮も注意しているが、第2師団の将官達は、新しいおもちゃを貰えた子供のように夢中になっていたのだ。

 

「本当ですね……次から次へと新しいシチュエーションを試されます……」

 

 いつも元気な横山も流石に疲れたようだ。いつものようにシャキッとしていない。

 

「猫宮教官と久場教官のとりなしで明日は休みだってさ。助かったよ……」

 

 小島が、5人分のお茶を持ってきながら会話に加わる。

 

「うん、適度な休息も必要だ。人型戦車のパイロットなら尚更だと教官も言っていた」

 

 いつも凛としている佐藤にも精細があまり無い様子。

 

「よし、明日はパイロット全員自宅待機だな!」

 

 と石田が張り切って言うと。『え~』と不満そうな態度が多数上がる。

 

「な、何故だ!? 休むのもパイロットの任務の内だろう!?」

 

「まあ確かにそうなんだけど……」

 

「それだけじゃ味気ないと言いますか……」

 

 小島、工藤が続けて控えめな抗議をする。健全な青少年たちにとってそのままの意味での自宅待機は暇である。石田は生真面目な分、そのままの意味で受け取ってしまったのだろう。

 

「遊んで精神をリフレッシュするのも大事だと、猫宮教官が言っていた」

 

 佐藤もそこに援護射撃をする。ちなみに横山はどうするべきか悩んでいた。

 

「ううう、教官命令……しかし何をするべきか……」

 

 石田と同じく生真面目な分、何をするか悩んでいるのだろう。

 

「よーし、じゃあ親睦を深めるために明日どっか行こうか!」

 

 と、脈絡なく唐突にやってきた猫宮である。それに驚く一同。

 

「け、敬礼!」

 

「あ、今はオフだからいいからいいから」

 

 また生真面目に敬礼しようとする石田を抑える猫宮。相変わらずの無邪気な笑顔である。

 

「どっかって……どこでしょう?」

 

「そうだねえ……あ、美味しいお店見つけたんだけど行く? 奢るよ、島田屋の豚カツ定食!」

 

『行きます!』

 

 お高い豚カツ屋の名前に、真面目組二人も含め、全会一致で賛成した訓練生一同であった。

 

 

 

 次の日、即受けてしまったが、いざ店の前に行くとその高級感に少し恐縮する5名。しかし、猫宮はささっと入ってしまう。

 

「はい、いらっしゃいませ!」

 

 扉を開けると、威勢のいい声と、豚が揚がる景気のいい音が6人を包む。

 

「6人で!」

 

「はい、6名様入ります!」

 

 案内される6名。お冷を出され、置いてあるお品書きに目を通してみると、その高さに改めてびっくりする。

 

「て、定食が2500円……」

 

 ゴクリと息を呑む工藤。

 

「こ、これだけあれば4日は生活していける……」

 

 そして悲しいことを言う佐藤。だが財布に余裕のある猫宮、そんな心配を他所にささっと注文してしまう。

 

「豚カツ定食6人前、お願いします!」

 

「へい、豚定6人前!」

 

 威勢のいい声で返事が帰り、また厨房で新たに揚がる音がする。

 

「さて、折角の親睦会みたいなもんだし、何か聞きたいこととかあれば聞いていいよ~」

 

 と、教え子たちに向き直る猫宮。早速石田が食いついてきた。

 

「教官は何時までこちらに?」

 

「うーん、曖昧なんだよね。君たちの練度が十分になったらって事なんだけど……皆頑張ってるから意外と速いかも?」

 

 首を傾げる猫宮。次は小島である。

 

「5121と一緒に出撃することは有るのでしょうか?」

 

「あんまり無いだろうね……元々、善行戦隊をもう一つ作ろうって試みだし。やっぱり別々の戦場かな?」

 

「そうですか……」

 

 少し不安そうにする小島。

 

「あ、でもでも、初陣の時位は一緒に出撃してあげたいかな、自分だけでも」

 

「ほ、本当ですか?」

 

 そう問われ、大きく頷く猫宮。どうやら小島も少しは安心した様子である。

 

「最も、君たちはもう初陣の5121より練度が上のような気もするけど」

 

 そう言って苦笑する猫宮。あの時の自分たちは、本当にすぐに戦場に出されたものだ。

 

「みんな才能があるから、実戦を経験すればきっとすぐに追いつくよ」

 

 だが、半信半疑な訓練生達。実戦を経験してない以上仕方ないだろう。

 

「うーん、なんかお仕事の話になっちゃうね……例えば皆、彼氏彼女とか居ないの?」

 

 その質問に、顔を逸らす4名に、「居るぞ」と頷く1名。

 

「お、佐藤君は居るの?」

 

「ああ、居る。年上の彼女だ。そして、俺が守ると誓った相手だ」

 

 その顔はとても誇らしそうであり、決意に満ちている顔である。流石白の章で一番しっかりしていると言われているだけは有る。

 

「そ、そういう教官はどうなんですの……?」

 

 ダメージを受け流しつつ猫宮に質問する工藤。

 

「訓練学校時代からずっと忙しくてね、そういう相手は中々。それに……自分相手だと相手さん苦労ばっかりしちゃうだろうしなぁ……」

 

 苦笑する猫宮。まあ、忙しかったのは事実である。忙しかったのは。

 

「教官、それは言い訳っぽいぞ」

 

「ほ、ホントのことだし!」

 

 ツッコむ佐藤に図星を指されたのか焦る猫宮。

 

「お待ちどう様、豚カツ定食6人前です!」

 

「お、来た来た!」「待ってました」「うわぁ……凄い……」

 

 じゅわあとする油の音に、高級感あふれる漆器。そして大きな肉。普段食べているカツとグレードの違う様に、5人が一様に見入る。

 

「それじゃ、これまで以上の親睦を願って……頂きます」

 

『頂きます!』

 

 そう言って、思い思いに豚カツ定食にかぶりつく。その日、訓練兵5人は、高いものが何故高いのかその理由を思い知ったという。

 

 

 

 夜、猫宮はどうしてもやらなければならないことが有った。それは、猫宮が、OVERSがこの世界に介入した大きな理由。戦争を生み出す、運命――すなわち、経済の破壊と再構築の一貫。そして、日本国に破壊とテロをもたらす大きな要因の一つの排除。

 

 それは、樺山亮平と言う一個人の暗殺。そして、そこから混乱する戦争に関する経済の再構築。

 

 

OVERS・OVERS・OVERS・OVERS

OVERS・OVERS・OVERS・OVERS

OVERS・OVERS・OVERS・OVERS

 

this Omnipotent Vicarious Enlist a Recruit Silent System

 

OVERS・OVERS・OVERS・OVERS

OVERS・OVERS・OVERS・OVERS

OVERS・OVERS・OVERS・OVERS

 

私の名前はOVERS・SYSTEM。

七つの世界でただ一つ、夢を見るプログラム。

 

「OVERS・SYSTEMへ要請。これより、運命(経済)への本格的な介入を開始する。その援護を求む」

 

了解しました。

第6世代型経済介入プログラムを開始します。

未来知識を使い、空売り、インサイダー取引など、あらゆる手段を用い、経済へ介入します。

 

明日より、貴方に運命を叩き潰すもう一つの剣――即ち財力を齎しましょう。

 

 

悪意の連鎖を終わらせなさい。

悪意の連鎖を終わらせなさい。

 

悪意の連鎖を探し、断ちきりなさい。

私はあなた、あなたは私。

二つであり、一つのもの。

 

共にこの世界では身体を持たず、

恨みも権益もなく、ただ我々が、

ここにいることを否定するために現れた存在。

 

OVERS・SYSTEMは、

この星に巣くう悪意を共に倒すことを要請します。

 

「うん、分かってるよ。OVERS・SYSTEM。その為に自分たちは来た」

 

 そう言うと、猫宮は、東京の夜の街に姿を溶かし込んだ。

 

 

 

「本日未明、樺山コンツェルンの総帥、樺山亮平氏が、自宅で亡くなっているところを発見されました。死因は心不全の様です。この発表に、財政界は混乱し―――」

 

 

 

 




前半は訓練生たちの一コマ、後半は絢爛舞踏祭で語られた戦争の発生メカニズム。
運命――即ち経済システムが戦争をもたらす。それ故に、その破壊を始める1人と1プログラムでありました。
後は樺山亮平の暗殺。正直原作を見るとコイツを殺っておかないと相当酷いことになりますので……売国奴ってレベルじゃないですな。


そして、これから何を書こうか迷い中です。
5121や善行戦隊の日常か、置いて行かれたみほやエリカを書こうか、
それともオムニバスだから自由な題材で書こうか……むう、迷います。

短編が出るとしたらどんな話が良い?

  • 女の子達とのラブコメが見たいんだ
  • 男連中とのバカ話が見たいんだ
  • 九州で出会った学兵たちの話
  • 大人の兵隊たちとのあれこれ
  • 5121含んだ善行戦隊の話
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