大学二年のとき、仲間たちと夜のお付き合いがあった。
俺の知り合いの中でも、彼らは、その道だ。生涯その道で、生涯の連れも見つけ出し歩いてるはずの連中。そして、俺もそれに片手ほど連れてってもらった。大学1年の夏、知り合った男との付き合いで連れてかれた。そして約束。それを果たすためだけの参加。ただ、深い付き合いがあったわけじゃないゆえ何が起きるか解らない。やばすぎる!連れて行った友も生涯失うかもしれない。その危険は感じていた。
紳士服の店で服をそろえる。つる下がりのスーツにチョッキ。それでOKだと思ってる。本当はまずいのかもだが・・・興味が無い上に、センスもない。シノも俺も金も無いから・・。約束の時間は近づいてくる。電車で中心地まで行き、地下鉄に・・・。
「達也・・・おかしくないか?初めて着るから・・落ち着かないな。」
「大丈夫だ。さっきから、すれ違う女が何人お前、振り返ったか・・・男前だぞ。」
「なんか、落ち着いてるのな・・・達也。」
基本、シノは夜はバイトで遊べない。俺が夜に慣れてるだけだろうな。それだって、上手までは程遠い。今日は無理行って時間を作ってもらった。
東雲秀司、幼馴染で俺が生涯のパートナーにしたい男。手をつけてまだ、満足に抱けてないかもだ。
「シノ。」
「ん?なに?・・・遊びなれて無くて悪いな。失礼したらごめん。」
店・・・入り口にエレベーターが、結構派手な電飾。階段でなくそれで・・。降りてすぐドア。シノに手をかけて呼び止める。
「シノ、俺から離れるな。」
笑って頷くシノにキスして店に入る。
さまざまな年、職業、スタイル。
若すぎる年。金の無いスタイル。つりあうのは身長だけ?な、俺たち。シノの手を握ってホールを一回りしたがわからなかった連れたち。壁際で一服する。
「何の付き合いだよ?なんか様々でつかめないな。飲むか?」
「うん。すまない」
見つからない。会わせなければ約束は果たしたことにならない。俺の中に小さな焦りが生じる。久しぶりにいった付き合い。飲み物取りに行って戻るシノ。ノーマルってすぐわかるのか・・・みなの視線が集まっていた。雰囲気なのかも・・・。でもここ一月、忙しさや予定混みでシノを抱いて無い。シノが上手に処理してくれてるのだろうか。彼を抱いたのは大学になってからだった。それまではお互いに手とか口とかで済ませていた。シノがそれから先を望んでいなかったからだと、思う。それがホモとかゲイとかの認識になってないシノは珍しい部類の人間かも。シノを抱いて始めて知ったのはシノの声。かわいい・・・本当にかわいい声で啼く。シノの泣き所を知ってからは、愛撫に熱が入りすぎてシノに涙で訴えられることがたびたび・・・。
周りを気にしている俺の視線に、足が出されて転ばずかわして戻るシノが入った。
・・・なんだ?・・・
「ご・ごめんなさい。だいじょうぶでしたか?すみません。」
さらっと流すシノ。素直で正直なシノ。ギリ、ドリンクも零さずに済んだようだ。
・・・意地悪?嫉妬?・・ふん!!シノの方がいいな・・・
「おまたせ。足を蹴ってしまって・・・申し訳なかったかもだ。」
微笑んで渡してくる。思わずキスしたくなる。
「とりあえず、乾杯だ。」
「この夜と、達也に・・・」
シノ!!!やっぱお前しか居ないな、俺には。
「失礼します。北山様でいらっしゃいますか?お連れ様がお呼びです。こちらへ・・・」
案内人についていくと机が・・・。八人座っていた。
右手奥、壁に隠れて見えない。金がかかっていそうな空間。
「遅くなりました。」
「達也・・・くん。よく来たね。お連れの方は・・?お・や・・」
「紹介します。東雲秀司くんです。幼馴染です。秀司、こちらは浅葱忍さん。半年前ぐらいに知り
合った方で、いろいろと頼りにしてる人だ」
「はじめまして。東雲秀司といいます。北山君にお誘いいただきました。」
「東雲君、はじめまして。キミ・・今晩はのんびりとしていってくれたまえ・・・。
達也。ノーマルだね。キミはわかってるのかな?」
「秀司、席に戻っていて」
シノがうなずいて席に向かった。
「承知してますよ。でも、約束ですよね。生涯のパートナーを連れてくるって・・・。俺は守って
るつもりです。」
「そう・・・席に。乾杯をしよう」
グラスにワインが・・・一人ジュースがいる。
「集まってくれてありがとう。初めての達也と秀司君に・・乾杯だ。」
俺たちに向かってグラスが仰がれた。秀司がにこやかにグラスをかざし俺と合わせる。
室内は暗い。中央に舞台。踊り子が3人。一人が用やっとの舞台が立体的に三段階。ストリップに近いカッコでおどっている。テーブルは東西に6個。その裏に壁全体が個室・・10室ほどか・・・。入り口と反対側にドリンクバーが・・食事は注文されてから、各テーブルに専属のウェイターが。
「この雰囲気だけで酔ってしまいそうだ。」
「シノ・・・酒はやめておけよ。食べ物はしっかり食っておけ。忍さんに呼ばれてるからちょっと
行って来る。」
席を外してシノを気にしながら、浅葱さんのところに。
「これで抜けるって本当か?・・・もう寝てるのか?」
「忍さん。シノはノン気ですから・・こんなとこもう連れてこない。それに、どう考えたって俺たちは場違いだ。」
浅葱さんは、シノを値踏みしてるようなかんじだった。
「で・・?」
「・・・寝てますよ。経験不足で彼の満足はかえてないかもですが、俺は満足してますしね。ちょ
っと失礼します。」
急ぎでシノの元に戻る。酒のグラスを取り上げる。
「シノ・・・ソフトドリンクで、酔いが回り始めてるだろう・・・」
「達也。まだ二杯だけだよ。・・うん、そうする。」
頬がピンクだ。結構雰囲気に酔ってる気がする。やばそうだ。連れが、四人個室に・・・。両方とも、しっかりした職業についてるけど、両方ともその道の人だった。パートナーでノン気はたぶんシノだけだ。だからこそ珍しいのかも・・・。
「東雲君、気分が良さそうだね。御代わりはいかがかな?」
後ろに来てたのに気づかなかった。この人、やばい気がする。ずっとちりちり頭の隅でしてる。
「浅葱さん。はい、いただいてます。今日は何の集まりなのですか?なんか、俺たちは場違いな気
がしますね。」
グラスを忍さんに捧げながら笑顔で答える。
「そんなことは無い。今日はキミと達也のための集まりだから・・・後で部屋でゆっくりするとい
いよ。」
「ありがとうございます。雰囲気に酔ってしまったみたいで・・・。」
「食い物をくえ。シノ・・・ウーロン貰って来る。」
すぐ脇に居る浅葱さんを気にしながら、ソフトドリンクを・・・浅葱さんの指をあごに受けながら笑顔で答えているシノ。ピンクの頬がかわいすぎだろう。他の店内の客たちが月の上弦、下弦のかけた雰囲気を持つ奴なら、シノの持つ雰囲気は満月か木漏れ日の気がする。対照的だな。
「東雲くん、キスを・・・」
言われてシノが驚いてあごを外す。
「すみません。それはできません。浅葱さん、男性ですよね。俺、達也に誓ったので・・すみません。」
「シノ。ウーロン茶。」
うれしかった。即、抱いてキスしたかった。浅葱さんは驚いていた。即座にシノに質問していた。
「東雲くんは、ゲイ・・じゃないだろ?どうして達也と?」
秀司を俺の後ろに隠したかった。それに気がついたシノが、腕で俺を止める。
「えっと・・・いろいろあるんですが。
高校で幼馴染という場所から、達也という個人にきがついて・・・そこからです。ホモとか言わ
れましたが仕方ないですね。達也に気がつけて俺は、よかったと思っています。達也が居なけれ
ばたぶん、かわいい女性の彼女を見つけてたかな。でも今は、そばに居るための努力をしてくれ
た達也と共にいけることがうれしいです・・・言葉ちょっと足りないかもですが・・答えになり
ました?」
浅葱さんは、ちょっと東雲に見入っていた。
「シノ、ウーロン飲めよ。」
「東雲君、部屋で休んでから達也と帰ればいい。」
「はい。ありがとうございます。」
シノはお茶を飲みながら、食事をしていた。浅葱さんに呼ばれて、シノから離れる。
「いい子だね。個室で・・抱ける?東雲君。彼の声は自慢しててだろ?」
「そういう約束でした?違いましたよね?俺はお世話になりましたが・・・シノはだめです。見世
物に出来ません。」
「覚悟はしてもらおう。私はねキミは気に入っているんだ。東雲君もいいよね。リアルをしっかり
見ることだ。本当に東雲君を見世物にするよ。これは果たしてもらう。」
「脅しかけるんですか?俺でよかったらなんでも、シノはだめだ。」
「聞かない。東雲クン込みだ・・・それによって君の脱会を認めよう。」
返す言葉が無かった。
以前一度、このグループの約束違反の処刑を聞いたことがある。グループに所属してた奴はなんとも無かったが連れの相手は、そのまま精神科送りだったって話。グループで回したって話だった。シノ・・・
テーブル席は、それぞれの部屋の声が聞けるようになっている。チャンネル式だ。最悪の場合、どこのテーブルでもシノの声を聞いてる状態になりえる。
「達也・・目がまわる・・・よ。」
「シノ。飲みすぎだ・・休んでから帰ろう。」
シノは、足がおぼつかない。腕を回して部屋に連れ込む。ソファーに寝かせ、ネクタイを緩める。
「シノ、服を緩めるぞ・・・。忘れてくれ・・シノ」
口付ける。深く舌を遊ばせて、絡んでくるシノの舌。そのままボタンを外し胸に・・・かわいいピンクの乳首を舌で転がす。シノが大きく体を揺らす。
「達也・・やだ。ここ・・・じゃ、や・・だ・・・。あ・うん・・・」
体の反応が敏感だ。俺は思った。やばい、シノが雰囲気に飲まれすぎている、と・・。股間に頭を埋めながら指先は乳首を・・・。
「あ・・あん・・・あ・ああ・・・や・ん・・・」
とんでもなく俺は本気だった。だが頭はちりちりしてる。外の空気が変わった?音楽だけ?指を一本。すぐにほぐれて二本。早かった・・シノの泣き所を矢継ぎ早に愛撫する。シノの腕が頭を抱える。そのまま体がそらされる。
「あ・・あぁぁぁ・・やぁぁ・・・う・う・う・・・やぁ・・・あ・あ・あ・あ~~。」
シノがいった。
「シノ・・・よかった?」
「・・達也は?・・」
「俺はOKだから・・やっぱかわいいな、シノ」
「・・・?」
シノの訝しさがキスにでる。さて・・・トイレといって席を外し、シノは身支度を整える。部屋から出て、驚いた。ホールに居る者より、テーブルに居るものが多い。ホールはダンサーがおどってるだけ。音楽だけ。おれが注目を集める。シノがみんなの耳を引いていた。浅葱さんに断ってそこを出る算段をする。
「浅葱さん。OKですよね?!タクシー、お願いします。」
部屋に戻ろうとした俺の手を浅葱さんが捕まえる。
「達也。彼の声。・・・すごいな。想像がつかない。達也、私たちのグループは、これからの協力
を惜しまず、君のために役立とう。東雲君を連れて来なくていい。だから・・抜けるな。」
「浅葱さん!!」
びっくりして俺は今日の集まりメンバーを見る。弁護士、市議会委員、警察官、他・・・浅葱さんは、県会議員の大物だった。30も後半の若さだ。どんな意味があるのか・・・道はずれをする気もなければ、目立つ活動も無い。ただ、なにかあったときは確かに役立つが・・・
「お返事は同じです。抜けます。・・・シノと帰ります。シノは・・俺のすべてです。」
部屋に戻ると服装をしゃんとして鏡に向かって、頭を整えていたシノが居た。俺に気がつき姿を向ける。
「おかしくないかい?」
すてきだと返事をして手を引く。
「わるい。・・・支えてくれないか?足元がおぼつかない・・・ごめんよ。」
「okだ。俺に寄りかかればいい。」
シノの腰に手を回し部屋を出る。ホールはやや雰囲気をもどした。俺は真っ直ぐ部屋を出る気だったがシノは浅葱さんに挨拶をするつもりだった。
「今日は招待をありがとうございました。おやすみなさい」
挨拶するシノは普通の若者だ。目立たない、その場に埋もれてしまう、でも・・・・
「東雲君。また達也とおいでね。おやすみ。」
握手を交わして出入り口にむかう・・・まだ酔いに身を任せているのか、シノは体重を俺に任せてすべるように歩いた。出入り口をでてキスをせがむ。十分酔っている。明日が大変だ・・・エレベーターで1Fに・・。タクシーに乗り込むと・・すぐ寝入ってしまった東雲だった。
二度とない、一夜の夢。