魔法科高校の風祝   作:こそ泥

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ふと週間ランキングを見たら下の方に一瞬だけ載っててビックリした

これからもこんな拙い文章ですが楽しんでいただけたら幸いです。


絶壁般若の目覚め

 

「温泉に行きましょう!」

 

「…温泉?」

 

懇親会の翌日、夕食を食べ終わり部屋でくつろいでいた時に帰ってきた早苗が唐突にそんなことを言い出した

 

ことの発端は夕食後まで遡る。食事を終えた後に早苗が飲み物や菓子類が売ってないかと興味半分で散策しているとホテルの関係者らしき人物と話し合っているエイミィを発見。話しかけてみると地下にある温泉の使用許可を得たらしく、早苗が頼んで自分も温泉に入る事を許してもらい、どうせなら!と他の一年女子のメンバーにも声をかけていたところで雫たちも一緒にどうか?ということらしい

 

「それなら、行ってみる?」

 

「そうね。…でもここって水着が必要なんじゃなかった?」

 

「その辺なら心配ないですよ!湯着を貸してくださるらしいので」

 

「そう。なら行ってみましょうか」

 

途中、エイミィ達と合流して風呂の中に入る

 

「おお!思ってたよりも広いですね!」

 

シャワーブースで体をいち早く洗い終えた早苗が感嘆の声を上げながら湯船に突撃する

 

「ちょ、ちょっと早苗!危ないでしょ!」

 

ほのかやエイミィ、雫たちもシャワーブースから出て深雪以外の全員が湯船に浸かる

 

「へぇ……」

 

「な、なに?」

 

「ほのかってスタイルいいねー。…剥いていい?」

 

「いいわけないでしょ!?」

 

「そんなこと言わずにぃ」

 

「早苗まで!?」

 

グヘヘヘヘ、と中年親父のような笑い声を上げながら手をワキワキと動かして早苗をエイミィがほのかに迫る。周りの人もそれを面白がって見ているだけでほのかを助けようとはしなかった

 

「し、雫!助けて!」

 

「…いいんじゃない?……ほのか、胸大きいし」

 

まさかの親友の裏切りにショックを受けるほのか。しかし、後に付け足された本音に早苗が食いつく

 

「雫さん!胸を大きくするなら揉まれれば大きくなるって話があるんだから揉んであげましょうか?……でも、揉めるほどあるかなぁ」

 

チラ、と雫の胸部を見ながら呟いてしまった一言を聞いて雫の目からハイライトが消える

 

「早苗、少し一緒にサウナ行こうか」

 

おお、いいですね!先入ってて。はーい!バタン(←サウナの扉が閉まる音)ジャー、ゴト、ゴトン。(←水の入った桶をいくつもサウナの入口前に置く音)ガチャガチャ………、バンバンバン!(←サウナの扉を開けようとするも開かずにドアを叩いて助けを求める音)

 

「私がサウナ出たら開けるからそれまでは桶どかしたらダメだよ?」

 

「「………。」」

 

周囲の反応を気にせずに横の個室サウナに入っていく雫。残された彼女たちは雫の容赦ない行動に驚くものと生暖かい目を向けるものとに別れた。この間もサウナからドンドンと音は響いているが誰も助けようと動かなかった

 

「ドンドンとうるさいけど何をしているの?」

 

シャワーブースから出てきた深雪の一言があるまで誰も何も言えなかった

 

なら雫が出るまで入れておきましょうか。と事情を聞いた深雪が容赦なく言い放ち、ほのか以外のいつもの早苗の扱いを見ていないメンバーは本当にそれでいいのか?と言いたげな目をしていたが

 

「いざという時は私が冷やすから大丈夫よ」

 

会場へ向かう際のふざけた行動(食パンを咥えて走る早苗)を思い出して笑ってない笑顔で笑う深雪を説得できる勇者はおらず雫がサウナから出てくるまで放置された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰だ!」

 

早苗が蒸しあがっている間、達也の方もトラブルに巻き込まれていた

 

「幹比古、俺だ」

 

「なんだ、達也か」

 

達也の仕事が一区切りついて外に散歩に出ると建物に忍び込もうとする気配を察知。そこへ向かうと幹比古が既に賊と交戦しており、不意を打って倒したところで達也を見た幹比古が警戒を解く

 

そして倒れた賊の元へ歩み寄った達也が一言、

 

「死んではない。いい腕だな」

 

「えっ?」

 

「死角から複数の対象に正確な攻撃を当て、致命傷を与えずに無力化している。いい腕だ」

 

「……だけど、僕の魔法では間に合わなかった。達也の援護がなかったら倒れていたのは僕だっただろう」

 

「…お前はアホか」

 

達也の口からストレートな罵倒が飛び出る。まさか達也がそんなことを言うとは思っていなかったショックで動けない幹比古に達也は続ける

 

「援護がなかったらというのは仮定の話だ。今はお前の魔法で相手を取り押さえた。それが結果だろうが。それに、仮定をするにしてもお前がやられるか否かはわからない。…少し、自信が無さすぎじゃないか?」

 

「っ!!」

 

自信が足りない

 

幹比古が懇親会の時に早苗に言われた言葉だ。それと同じことを達也にも言われた。その言葉が本当であるならば彼女の言ったことは本当に当てはまっているのか?…本当に、自分には力があるのだろうか?

 

「……仕方がないだろう。あのままなら、僕の魔法は間に合わなかった。敵の攻撃を喰らえば発動できたとしても良くて相打ち。衝撃で魔法がキャンセルされたら僕の完敗だ。あの状況から僕が勝つ未来はなかったよ」

 

「……間に合えば、勝てたのか?」

 

達也からの問いに幹比古は少しだけ考えると答えを出す

 

「………そう、だね。でも、今の僕の実力じゃあそれは望めない。僕の処理能力じゃあどうしても「どうにかなるかもしれないぞ?」――なんだって?」

 

「どうにかなるかもしれない、と言ったんだ。

幹比古、お前の使う魔法式にはいくつか余計な迂回路が存在する」

 

「なんで、そんなことが言えるんだ!」

 

「信じてもらえなくてもいい。ただ、俺は視るだけで魔法式の分析が出来る。…信じるかはお前次第だがな」

 

混乱の極みに達した幹比古に対して達也は「後のことは俺がやっておくからお前は部屋に戻って休んでおけ」と言い放ち幹比古はそれに従う。

といっても、考え事をし続けていたので体が勝手に動いただけなのだが

 

「自信が足りない、か」

 

部屋に戻って同室のレオからの声に上の空で反応しながらベッドの中で二人から言われた言葉を思い出す。電気が消えた部屋の中、幹比古はいつまでも考えを巡らせていた

 

ちなみに、茹で上がった早苗は無事に部屋まで連行されて騒ぐ気力も残っておらずベッドに入ると即就寝となり、同じルームメイトの深雪と快適に眠っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、九校戦が予定通りに始まった

 

華やかなセレモニーもなく、長々とした挨拶もなく淡々と開幕したのに対して人々の熱気はそれを補って余りあるものだった

 

煌びやかな衣装に身を包み、派手な炎や水しぶきの上がる、日本でも有数のド派手なお祭りの幕が上がった

 

来場者は十日間で十万人。一日一万人もの人間が押し寄せるお祭りの最初を飾ったのはスピードシューティング

 

規定エリア内を飛んでくる自分のクレーを破壊する競技である

 

「でも、一高の優勝は間違いないでしょうね!」

 

早苗が興奮した様子で話す。一緒にいるのはA組とE組のいつものメンバーの司波兄妹、早苗、雫、ほのか、エリカ、レオ、美月、幹比古。ちなみに、早苗には昨日の蒸し風呂の影響は見られない。神経が太いのか体が丈夫なのか

 

「七草会長は確かに優勝候補筆頭。でも、油断はできない」

 

「七草会長ならそんな心配はいらないと思うけどね」

 

雫が注意するもエリカからの反論に全員がそれもそうか、と納得して競技場を眺める

 

競技場にいたのは七草会長。《エルフィン・スナイパー》の異名を持つ彼女の技量を見るために一般座席の混んでいる前方ではなく後部座席に陣取ったのだが競技時間まで時間が余ったのでおしゃべりで時間を潰していたのだが、

 

 

「会長さんをネタに同人誌を作る人もいるようですしね…」

 

「ああ、真由美さんと摩利さんのやつですか」

 

美月と早苗の発言で空気が凍った

 

「……二人共、どういう経緯でそれを目にしたのかしら?場合によっては友情を見直す必要があるのだけど…?」

 

深雪が疑わしげな目で二人を見つめる。ほかの人も程度の差はあれど似たような目を向けておりそれに慌てた美月がち、違いますよ!と慌てて否定の声を上げる

 

「私にそんな趣味はありませんよ!」

 

「私だってロボ研の部室に何冊かあったのを見つけただけですよ!決して読んでませんって!!」

 

早苗の一言で全員のロボ研に対するイメージが悪化した

 

 

 

九校戦の後、匿名の通報者から話を聞いた生徒会長と風紀委員長がロボ研の部室に乗り込んでいく姿が目撃されたらしい

 

 

 

真由美がパーフェクトの記録を叩き出して予選突破を確定させた後、一行は摩利のバトルボード予選を見に来ていた

 

バトルボードとは全長三キロの人工水路を三周するレースである

 

選手たちは紡錘形の動力のついていないボードに乗って競技を行う。また、ほかの選手やボードへの直接的な攻撃は禁止されており如何に速く水路を走破できるかがカギになっている

 

その特性からかなりのスタミナが必要となる競技であり、

 

「ほのか、早苗二人共体調管理は大丈夫か?」

 

選手の体調が大きく結果に関わってくる競技であり、それは数日後にレースを控えた一年生でも例外はない

 

「大丈夫です。体力トレーニングも続けてるし睡眠も長めにとってますから」

 

「ええ。…昨日の夜の記憶が少しあやふやですけど体調はかなりいいんですよね。昨日って私、何してましたっけ?」

 

…二人共体調()大丈夫なようである。どうやら、昨日の出来事は記憶の彼方へ飛んでいったらしい

 

「…早苗、あんまり深く考えないほうがいい」

 

少し苛立たしげに早苗の一部分を見ながら言う雫を見ながら他のメンバーはほのかと深雪に事情を聞いてその内容に苦笑するしかなかった

 

「ほら、二人共。そろそろ始まるぞ」

 

コースの方を見ると摩利が真っ直ぐとボードの上に立って前を見据えていた

 

「うわっ、相変わらず偉そうな女」

 

エリカがいつもどおりに摩利に噛み付くような発言をしている中、摩利は黄色い歓声に手を挙げて答えるとさらに歓声が大きくなった

 

「(…摩利さんを引き込めば信仰の足しになる…?いや、でもそれは…)」

 

「早苗、渡辺先輩が守矢神社で働きはしないと思う」

 

「あれ?声に出てました?」

 

「早苗は単純だから見てればわかる」

 

(普通はわからないと思うんだけどなぁ)

 

早苗と雫のやり取りを見ていてほのかは少し寂しいようなモヤモヤした思いを感じていた

 

 

『用意、3、2、1』

 

スピーカーから流れる音声に全員がコースを向くのと同じくしてカウントダウンが始まる

 

プー、というスタートの合図と同時に選手の後方の水面が爆発する

 

「自爆戦術!?」

 

「派手ですねぇ」

 

後ろからの波でスタートダッシュをしようと考えた作戦のようだがそれを仕掛けた本人も波に巻き込まれており、唯一、その波すら利用してトップに立った摩利が独走状態だった

 

「…早苗、あんなことしないでね?」

 

一周目の半ばだというのに応援している彼らの意識は先ほどの爆発を見て呑気な反応をした一人に視線が向く。

 

その視線の半分はまさか、そんなこと。という視線。残りはやりかねないと疑うような目をしていて付き合いが長いものほど後者の視線の割合が高く早苗に対する信頼の度合いが如実に表されていた

 

「いくら私だってあんなことはしませんよ!…少し楽しそうですけど」

 

「いや、楽しそうじゃないから」

 

「早苗なら釘を刺してもやりかねない」

 

「雫さん?一体私の事をなんだと思ってるんですか?」

 

「…ほら、渡辺先輩の応援しないと」

 

「露骨に誤魔化された…」

 

その後、達也から摩利の使う魔法がどれだけ上手くマルチキャストを使いこなしているのか話をされたがその間、雫は早苗と目を合わせようとはしなかった

 

 

 

 

 

 

「すまない、朝から少し体調が優れないから部屋で休ませてもらうよ」

 

午後になってスピードシューティングの決勝が開始される前になって幹比古が体調不良を訴えて部屋に戻る

実は幹比古は昨日の達也から言われた事を考えていたせいで寝不足になっていたのだがついに限界が来たようである

 

幹比古が部屋に戻って少したつと達也が遅れてやってくる

 

「随分と人が多いな」

 

この時の席割りは前後二列で前の右から美月、エリカ、達也、深雪、レオで後ろの列は(幹比古)、ほのか、早苗、雫である。(幹比古のいた場所には既に他の女性が座っている)

 

「会長が出るからですよ。他の試合ではここまでいません」

 

「幹比古君は暑さにやられたみたいですね。でも、昨日これより暑い場所にいた気がするんですけど……?」

 

「……ヒッ!さ、早苗!きっと気のせいだって!暑いでしょ?飲み物買ってくるね!」

 

「ほのかも暑いんですかね?雫は大丈夫です?」

 

「…問題ない」

 

フイッ、と顔を背けながら答える。ちなみに、早苗が「昨日~」と言い出したあたりで雫の顔が般若のようになって早苗の一部を凝視していたが幸いなことにほのか意外に気づく人はいなかった

 

ほのかが飲み物を手に戻ってくると少しして競技の開始のアナウンスが流れる

 

大勢が見守る中始まった競技で真由美は見事、パーフェクトを取りその勢いのままスピードシューティングでの優勝を飾った

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうじゃ?最近の()の技術というのも中々に面白くなっておるじゃろう?」

 

競技が終わり観客も家に脚を向け始めてなお客席から動こうとしないメガネをかけた女性。彼女は何もない虚空に向かって話しかける。当然、返答があるはずはないのだが、

 

「…そうね。ただ、いくら幻想的な光景でも本当の意味での幻想ではないのが少しだけ心残りね」

 

不意に、女性の声が聞こえる。あたりを見回してもメガネをかけた女性以外に人影はなく、そんな状況だというのにさも当然のように女性は会話を続ける

 

「それは仕方なかろう。幻想を信ずる者が減ってきた今ではそうそう幻想を想い続けるようなものに出会う機会はあるまいて」

 

「まあ、暇つぶしには丁度いいかもね」

 

「じゃろう?」

 

それっきり、会話は途絶える。まるで話し相手がもう用はないと帰ってしまったかのように

 

「さて、ワシも帰るかな」

 

と言いながら彼女は席を立つ。彼女が席を立つのと同時に彼女の姿は霞のように消えていき、競技場を掃除するためのロボや数人の清掃員の姿しか見ることはできなかった

 

 




(注意!)
早苗さんは特殊な訓練を受けた人間です。決して真似してサウナの中に人を閉じ込めてはいけません

九校戦の内容があっさりしすぎ?グダグダ伸ばしても仕方ないし

そしてこっそりと判明する早苗さんの出る競技一つ目。ぶっちゃけ、どれにするかは悩んだけど棒倒しはしなさそう

早苗「信仰の対象である御柱を倒すだなんて!」

まあ、優勝できそうなほど魔法力高い人を三人も同じ競技に当てるのは効率悪いですしお寿司
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