前に週一で投稿と言ったのはなんだったのか……
つ、次からはちゃんと更新します(震え声)
では、どうぞ
「今日はどうしましょうか?」
九校戦二日目の朝、早苗はホテルのロビーに集合した全員と顔を合わせながら尋ねる
二、三年生は競技の準備のために動き回るものとまだ落ち着いているものが見られるが一年生の大半は落ち着いて行動していた。一年生の競技は五日目なので心に余裕があるのだろう
「今日はアイス・ピラーズ・ブレイクを見に行きたい」
「雫も深雪も出る競技だもんね」
いつもならば自らの意志を積極的には表に出さない雫の一言にほのかが反応する。周囲は少し意外そうな顔をしているがピラーズ・ブレイクは雫が新人戦で出場する競技であり、その本戦ともなれば気にもなるのだろう
「いいんじゃないの?アレって結構派手だし見てて楽しいから」
「ええ、私も出る競技の下見はしておきたいわね」
「では、今日はピラーズ・ブレイクを見に行くということで!」
エリカと深雪からも賛成の声があがり他の美月やレオ、幹比古も首を縦に振って肯定したところで早苗が宣言して一行は競技場の方へと歩を進める
「それにしても、残念ですよね。達也さんが一緒に行けないなんて」
今、会場に向かっている彼らのそばに達也はいない。昨夜、摩利や真由美から今日のクラウド・ボールのエンジニアのサブを急遽頼まれたらしく他の上級生に混じって準備を進めていた
「一応、午後になったらコチラに合流できるという話よ」
「ピラーズ・ブレイクは一試合ごとにかなりの時間がかかるから好都合」
「逆にクラウド・ボールは一試合が短いですしインターバルもそう長くないですからね」
「でもよ、達也のやつ急にそんな仕事頼まれて大丈夫なのか?」
「確かに!いきなり担当してなかった人のCADを調整するんでしょ?大丈夫なの?」
深雪たちが達也がいつ合流できるのか話しているとレオが疑問を挟む。その後のエリカの言葉に全員がハッとなり一番よく知っていそうな深雪に視線を向ける。CADといえば個人で設定に変化が出るのは当然で急に調整するとなると上手く調整がいくのは難しいことなのだが、
「大丈夫よ、お兄様ならそのぐらい昨夜のうちに覚えてしまわれたから」
「「「……………。」」」
深雪へと向けられた視線が心配から驚愕、または呆れへと変化する。まあ、精密機器の設定三人分を一夜で覚えたと当然のように言われれば驚愕するのも当たり前だろうが
「達也さんって軽く人間やめてますよね。ロボットって言われても納得します」
「早苗?それだと私も人間ではなくなるのだけど」
早苗の言葉に全員(深雪を除く)が内心で同意していたがそれは些細なことだろう
「おお、何度見てもこの光景はすごいですね」
そう話す早苗の眼下には横四、縦六本の計二十四本の氷柱が立ち並んでいた
この氷柱の両サイドには選手の立つ台が設置されており自陣の柱十二本を倒される前に相手の柱を全て倒すことが勝利条件となっている
「夏だっていうのに少し涼しいですね」
「美月、体調は大丈夫なの?」
「うん。さっきよりも涼しいしまだ人も少ないから平気」
「これだけ氷があれば周囲の温度も少しは下がる」
「それでも辛いようなら言ってくれ。こっちで結界を張るから」
幹比古が気遣って言ったセリフ。もちろん、本人に他意はなく純粋な気づかいだったのだが
「おっ!優しいですねぇ……エリカさん、幹比古君ってああいう娘が好きなんですか?」
「いや、私もよく知らなかったんだけど……、美月も満更じゃないみたいだしもしかすると……」
「「――――――」」プシュー
「二人共大丈夫!?顔真っ赤だよ!?」
「早苗もエリカもそういう話は本人がいない時にしてあげて」
早苗とエリカの発言が聞こえてしまってなんとも言えずに顔から湯気を出す二人
後日、早苗が神社から恋愛祈願のお守りを持ってきた時も二人共顔から蒸気が上がっていた
『――これより、女子アイス・ピラーズ・ブレイクの予選を開始します』
「おっ、そろそろ始まるみたいですよ!」
しばらくして会場内に人が多くなってきた頃、競技の開始を告げるスピーカーの音が流れる
「ウチから出るのは誰だっけ?」
「んっ、第一高校から出るのは二人。その中でも二年の千代田先輩は優勝候補」
エリカの疑問に雫が持っているパンフレットを見せながら説明する。そこには活発そうな女子が笑顔を浮かべていた
「へぇ、二年生で優勝候補なんてやるなぁ」
「ちなみに、婚約者がいる」
「ええ。同じく二年生の五十里先輩ね」
「はぁ~、旧家にはよくあるとは聞いてたけど実際にあるんだね。そういうの」
「ほら、もう始まるわよ」
その言葉に下の会場を見ると丁度話に上がっていた花音が相手選手と対峙していた
相手選手は八高の選手のようだが飲まれてしまったのかその表情は若干、暗い
『――3、2、1、』
プー、という合図の直後、競技が開始されると同時に地響きが鳴り渡り相手選手の氷柱が一本、砕けて倒れる
「あれが、地雷源」
「どんな場所でも地震を起こす魔法、でしたっけ?」
「正確には少し違うけど、そう。千代田家は地面を振動させる魔法が得意」
「ええ、練習の時に苦労させられたわ」
「私も、あの人の相手をするのは疲れる」
深雪が呟くと雫も同意して頷く。その時に雫の顔に若干だが疲れの色が浮かびそれを見ていた全員が(早苗の相手をいつもしている雫が疲れるなんてどんな人なんだ?)と思わず花音の方を見つめる。
そして深雪たちが見ている前で花音の攻勢に対して守勢にまわっていた相手選手が反撃を仕掛けると、その攻撃はすんなりと花音の氷柱を破壊する
「おいおい、大丈夫なのか?簡単に壊されてっぞ?」
「あれが千代田先輩の戦法。壊される前に――」
「壊す、か。確かにヤられる前にヤるってのは戦法としては間違ってはいないけど……」
「……なるほど、先手必殺ということですね……」
エリカがその戦法に対して複雑そうな顔を浮かべてそれを聞いた早苗が物騒な事を考えている間にもお互いの氷柱は砕かれていき、花音の氷柱が残り半分となったところで相手の氷柱が全て砕け倒れ花音が勝利する
『――、千代田花音選手の勝利です』
「ふぅー、見ててハラハラする試合ね」
「でも、見ごたえがあって面白いと思うよ?」
「確かに美月の言うこともわかるけど……」
「でもよ、そんなに疲れるような人なのか?今のを見てる感じサッパリした性格に思えるんだけどよ?」
花音の試合を見た感想を話しているところでレオが雫たちに尋ねる。試合の途中で雫がやけに疲れた表情を浮かべていたのが気になったのだろう。いつもの花音の様子をまったく知らない人からするとそこまで疲れるような人に見えないのは確かである
「それは、アレを見ればわかる」
その言葉に全員が会場に再度目を向けるとそこでは担当のエンジニアらしき人物と嬉しそうな笑顔を浮かべて、楽しそうに話をする花音の姿があった。手を繋ぎながら跳んで喜ぶ花音とその頭を撫でながら何かを話す五十里。撫でられたのが嬉しいのか目を細めながら撫でられる感触を楽しむ花音。そこだけ空気が桃色に染まっているようにも見える
「千代田先輩の婚約者の五十里先輩が担当してるせいで毎回、練習の合間だろうとイチャイチャしてる。…さすがに練習の途中でイチャイチャされると見ていて疲れる」
「雫……」
雫 は 同情 を 獲得した。 雫 の 苦労人 の レベル が 1 上昇した
「で、でも深雪も雫もピラーズ・ブレイクに出るんでしょ?お互いに対戦することになったらどうするつもりなの?」
エリカが今の気まずい空気を破りながら二人に問う。他のメンバーも気になったのか二人へと目を向けると二人は堂々と返答する
「その時は遠慮なく戦わせてもらうわ」
「うん、その時は勝つつもりで戦う」
真っ直ぐに互いを見据える二人。彼女たちの目には熱いものが宿っていた
「今、少女たちの戦いのゴングが鳴るっ!!」
「早苗!茶化さないの!!」
茶化した早苗の目が少しだけ羨ましそうに二人を見つめていた
「ところで、午後はどうしますか?」
ピラーズ・ブレイクが午前の部が終了してから達也と合流して全員で食事をとっているところで不意に美月が午後の予定を確認する
「午後はまたピラーズ・ブレイクを見に行きたい」
「午後は他の競技も見てみたいですねぇ」
雫と早苗の声が被る。周囲がどう反応しようかと考えている時に横から救いの手が差し伸べられる
「ねえ、予定が空いてるなら一緒に男子クラウド・ボールを応援に行ってくれる人はいない?」
「………誰?」
「壬生よ、壬生紗耶香。…あなたとはちゃんと挨拶したことはなかったわね」
壬生は早苗と軽く挨拶を交わすと本題に入る
「――ゴホン、それで何人か私と男子クラウド・ボールの応援に行ってくれないかしら?」
「なんで他の先輩と一緒に…アッ、ゴメンナサイ」
「早苗さん?そういうのじゃないからね?友達がいないわけじゃないからね?」
周囲の不憫な子を見る目に気づいたのか慌てて壬生は弁明する。曰く、事件の後は加担していたことと一科生の桐原と恋仲になったことで周囲からの目が厳しく、今回も友達を誘って来ようとしたら「彼氏の応援なんでしょ?なら、私は遠慮するわ」と断られたと惚気が少し混じった話を誰も聞いてないのに話し始めた
「――それで桐原くんが「壬生先輩、時間は大丈夫なんですか?」――あら、もうこんな時間?それで誰か一緒に行ってくれないかしら?」
「なら、私はそっちに行こうかな。美月はどうする?」
「なら、私も……でも、本当にいいんですか?」
「いいわよ。……流石に、大人数の前で声を張りながら桐原くんの応援するのは恥ずかしいから」
「深雪と雫はどうする?」
「達也さんがスタッフ席に入れるように手配してくれたらしくて……」
「私も、お兄様との約束が……」
「すみません、自分もスタッフの方で仕事が」
「ううん、別にいいのよ。元々来てくれる人が少しでもいればいいなってぐらいの気持ちだったんだから」
「それなら他の人で桐原先輩の応援に行きますか」
「でも桐原先輩がクラウド・ボールなんて意外だよね。モノリス・コードとかならまだわかるんだけど」
応援席について試合開始までの時間を話している時にエリカがふとそんなことを言い始める
「そう?桐原くんって運動神経いいから妥当だと思うんだけど?」
「ああ、そういえばあの人って剣術部のエースでしたっけ?どこかで見た顔だと思ったら四月に一緒に警備してましたね」
「うっ……、その時のことはごめんなさい。今でも反省しているわ」
「いいんですよ、そこまで抱え込まなくても。失敗なんて誰にだってあることです。それを如何に次に生かすか。それが一番大事なことだと思いますよ?」
「東風谷さん……」
毎回何かをやらかしては迷惑をかけ(主に雫)、飽きることなく迷惑をかけ続ける人の言葉は重みが違った
「ところで、早苗とほのかはなんでクラウド・ボールに出なかったの?二人共適正が低いわけじゃないんでしょ?」
桐原が無事に一回戦を終えて次の相手が優勝候補筆頭だとわかり重くなった空気に耐えられずエリカが話題を変えようと話しかける
「私の得意なのは光振動系魔法だし体を動かすのが得意じゃなかったから」
「私はクラウド・ボールでも良かったんですけどバトル・ボードの方が人数が足りてなかったからですね」
諏訪湖でよく泳いだりしてたので波乗りは得意です!とどこかズレた発言をする早苗に一同の視線が集まる
「いや、でもだからってバトル・ボードとミラージ・バットの本戦でしょ?一年生で出るなんて緊張とかないの?」
「緊張はしないですね。人の前に立たされるのには慣れてますから」
「へぇ、立たされるのになr……
「はい。ちょっとしたイタズラでよく叱られまして」
エへへ、と笑いながら過去に起こした騒動の一部を語り始める早苗。重い空気は確かになくなったが変わりに奇妙な空気が漂っていた
その後、桐原は善戦するものの三高のエースに敗れてしまったので壬生を残して全員で部屋へ帰った。わざわざイチャイチャする場面に付き合いたがる人間はいなかったのである
九校戦三日目、今日は男女のピラーズ・ブレイクとバトル・ボードの決勝・準決勝が行われる
その時を直に見ようと押し寄せる人並みはまもなく始まるバトル・ボード準決勝を見に集まっていた
「いやぁ、スゴイ人の数ですね!明日からの新人戦が楽しみですね!」
早苗が少しだけテンションの上がった声で話す。その様子からは緊張は一切見られず気合十分といったところだろう
「そうね。…それにしてもお兄様はどこにいるのかしら」
深雪がソワソワとしながら自らの敬愛する兄の姿を探す。達也は用事があると真由美に引っ張って行かれて未だに戻ってきていない
ようやく達也が戻ってきたのはレースの始まる直前だった
「すまない、遅くなった」
「お兄様、もうすぐスタートですよ!」
深雪が達也に話しかけた直後にスタートの合図のランプが灯る
『ピッ、ピッ、ピーーー!』
選手が、一斉にスタートした
「今回は爆発しないんですね」
「今回の組み合わせは去年の決勝カードだよ?そんなのする人いるわけないじゃない」
「そうなんですか(´・ω・`)」ショボーン
レース開始直後に前に飛び出したのは一高の摩利。だがその直後を七高の選手が追う。二人の差は広がることはないが狭まることもない。そんな状態で鋭角のコーナーに差し掛かる
「んっ?」
「あっ!?」
不意に、七高の選手がスピードを上げる。その前にはカーブを曲がるために速度を落とした摩利がいた
早苗たちの中からは悲鳴は上がらなかった。しかし、事態は想像以上に悪い。摩利は七高の選手を受け止めようとしてフェンスと挟まれたように見えた
「行ってくる。お前たちはここで待っていろ」
誰も喋ることができずただただ摩利の様子を案じることしかできなかった
「(さっきのは、なんでしょう)」
一人、早苗だけが先ほど見たものを思い出しながら考えにふけっていた
「早苗と幹比古、それに美月も後で俺の部屋に来てくれないか?」
達也が救助に向かってからしばらく時間がたって摩利が無事に意識を取り戻したと聞き周囲の慌ただしさがなくなってきた頃、達也から話がると呼ばれた三人は達也の部屋に向かう
「来たか、三人とも」
達也の部屋の中には他に三人の人影。深雪と昨日少し話に出た花音と五十里の二人がいた
「幹比古、時間差で水面を陥没させるような魔法を使うことは可能か?」
「結論から言えば可能だよ。精霊魔法を使えば前日に会場に入ることなく魔法を発動することは出来る」
挨拶もそこそこに達也は本題に入る。その内容はSB魔法が使われたのではないかというもの。そのために専門家の幹比古と精霊を見れる可能性のある早苗と美月を呼んだのだが、
「二人は何か気がついたことはないか?」
「すみません、私は何も……」
「水面に干渉している子ならいました」
「本当かい!?」
早苗からの一言、それは手詰まりになりかけた現状を打破出来る可能性のあるものだった
「はい、一瞬でしたから気のせいかとも思ったけどあの時に確実に水面に干渉している子はいました」
早苗がレースを見ているとき、摩利がコーナーに差し掛かるの時に確かに蒼い髪をした小さな精霊が一瞬だけ現れて水面を叩いて消えていったのが見えた
「それだけ分かれば十分だ。相手に精霊魔法を使うものがいるというのは重要な情報だ」
「ちょっと!それを大会委員に言えばいいんじゃないの!?」
「花音、落ち着いて。もしもそれを伝えたとして彼らが動くと思うかい?」
「そんなもの、被害が出てるし証拠もあるんだから…!」
「僕らのこれはあくまで可能性が高い、というだけなんだ。確実な証拠とは言えない」
「ならこのまま黙ってろって言うの!?」
「千代田先輩」
「…何?」
「こんなまねをした輩を放っておくわけないでしょう?」
「…そうですね。私も微力ながらお手伝いします」
達也と早苗、規格外と常識外れが犯人を探すという名目で手を組んだ
その夜、達也と深雪は真由美から呼び出しを受けた
「深雪さん、達也さん今の一高の成績は知ってますよね?」
二人が部屋に入ると真由美が話を切り出す。その横には鈴音と何故か早苗の姿があった
「現在、我が校は予定と同じぐらいポイントを伸ばしています」
「しかし、予想以上に三高がポイントを伸ばしてきています」
「このままだと新人戦で大差を付けられて本戦のミラージ・バットで敗退した場合逆転される可能性があります」
「しかも、今の三高の一年生には十氏族の一条と十八家の二ツ岩家がいます。新人戦は苦戦するでしょう」
「そこで私たちは新人戦をある程度犠牲にしてでも本戦を重要視することに決めました」
「そこで深雪さん、本戦のミラージ・バットに出場していただけませんか?」
そこまで話を聞いた深雪は閉じていた目をそっと開けて真由美に尋ねる
「…すでに本戦には早苗が出場することになっています。私を出す理由は何ですか?」
「……私が頼んだんですよ」
それまで喋ろうとしなかった早苗が口を開く。その様子はいつもと違って真剣そのものでありふざけた様子は見られない
「摩利さんの代わりに誰を出場させるか悩んでいたので私が頼んだんです」
「早苗……?」
「今までの試験とかでは深雪さんの方が点数は高かったです。でも、昨日の雫と深雪さんのやり取りを見て…羨ましいなって思ったんです」
その目は真剣に深雪を見つめており一度もブレることはない
「だから、深雪さん。私とも全力で戦ってくれませんか?」
「………ええ、望むところよ」
「なら、決まりね」
「あ、達也さん。犯人探しはお手伝いしますから代わりにちょっと頼みを聞いてもらってもいいですか?」
「……早苗」
話が終わると同時にいつもの調子に戻って達也に頼み事をしている早苗はいつもと同じようにしか見えず、いつもあのぐらい真面目な雰囲気を出せばいいのではないか、と達也は本気で思った
というわけで早苗さんの競技は本戦ミラージと波乗りに決定しました
いやぁ、悩んだ結果こうなりました(最初はミラージとクラウドだった模様)
え、更新が遅れた理由?……アクセルワールドの方で東方混ぜたのなさそうだし混ぜたら楽しいんじゃね?なんて考えてませんよ?こっちをおろそかにしてそっち考えたりなんてしてませんよ?
ス、スイマセンでした