魔法科高校の風祝   作:こそ泥

14 / 16
ようやく、投稿できた……。

お待たせしたくせに短くて本当に申し訳ないです

えっ?遅れた理由?…新入生迎える準備やシンフォギアやTRPGが……

いやあ、シンフォギアって面白いですね(目そらし)

番外編の方に感想くださった少年タイガーさん、ただの乱読派さん、前象さん、yuki1923さん、Blue Destinyさん、ふがふがふがしすさん、イースマスさん
ありがとうございます

これは、新しく書き始める流れなのか……っ!

とりあえず、三週間ぶりの本編をどうぞデス!


新人戦、開幕

 

都内某所、ホテルの最上階の一室

 

「渡辺選手は棄権だそうだ」

 

「このまま一高が負けてくれるといいのだがな」

 

「わざわざ本部に無理を言って賭けをさせたんだ。そうなってもらわないと困る」

 

数人の男たちが丸状のテーブルに座り話をしている。その内容は現在開幕している九校戦についてのものだが、話の焦点は如何に一高を負けさせるかとなっている

 

彼らは無頭竜(ノー・ヘッド・ドラゴン)、今回の渡辺選手の事故を起こした黒幕である

 

「しかし、このままでは少し危険だな」

 

「ああ、三高が得点しているとは言え一高の成績次第では逆転は難しいだろう」

 

「であれば、予定通り新人戦でも妨害を施すということでいいな?」

 

「……あらあら、面白いことになりそうね」

 

最後の確認をしている彼らの頭上、誰もいない空間で誰に気取られることなく、とある賢者は面白そうに彼らを眺めていた

 

 

 

 

 

九校戦四日目

 

この日から本戦は一時中断され新人戦が始まる

 

初日にある競技はバトル・ボードの予選とスピード・シューティングの予選・決勝。女子スピード・シューティングが午前で行われ男子は午後からとなっている。これは大会の日程上仕方のないものなのだが、どうしても試合の時間が被る人間は出てくるものである。つまり、

 

「雫の晴れ姿を見に行けないなんて残念です」

 

試合時間が雫と見事に被った早苗は朝食を取りながら愚痴をこぼしていた

 

「そんなこと言っても私だって早苗の試合を見に行けないんだから同じ」

 

「ちゃんと雫の試合なら雫のお父さんがビデオ撮ってるから大丈夫だよ!」

 

雫の家、北山家はいわゆるお金持ちというやつである。そんな家が最愛の娘の試合を記録に残そうとしない訳が無く、会場の観客席の3箇所で高そうな(実際高い)カメラが場所をとってスタンバイしていた。……試合時間までかなり時間があるにも関わらず

 

「でも、やっぱり生でみたいじゃないですか!……なんで試合時間が決勝の時間に被るんですか!!」

 

「仕方ないわよ。スケジュールが詰まってるんですもの」

 

「…深雪さんだって自分の試合の時に達也さんが見てなかったら嫌でしょう?」

 

「………そうね。なるべく見に来てもらいたいわね」

 

「大丈夫だよ。俺が深雪の晴れ姿を見逃すはずがないだろう?」

 

「お兄様……」

 

いつものように唐突に始まるラブコメはふてくされていた早苗の毒気を抜くのに大いに活躍した

 

 

 

 

 

「雫の決勝戦、見に行きたかったな」

 

「アハハハハ…」

 

時間は跳んでついに早苗の試合の開始時間。早苗はエンジニアのあーちゃん先輩に愚痴をこぼしていた

 

朝食の後はさっぱりと愚痴をこぼしたりはしなかったのだが雫の試合が遂に始まる!というところで試合が始まったら動きづらくなるからと会場から移動させられたので仕方がないのだろう

 

「東風谷さん、調子はどう?大丈夫ですか?」

 

「調子は悪くないんで大丈夫ですよ」

 

若干ふてくされた様子の早苗にあーちゃんは雫から頼まれていた伝言を思い出した

 

「東風谷さん」

 

「…なんですか?」

 

「北山さんからの伝言です。『決勝戦は観戦に行く』と」

 

早苗なら、予選ぐらい勝てるでしょう?

 

伝言を聞いた早苗はその意味がわかるのと同時に体から闘気を漲らせる

 

その様子は先程までふてくされていた気配は一切なく気合で満ち溢れていた

 

「しょうがないですねぇ。それなら一丁勝ってみせましょう!」

 

 

 

 

『―――さあ、遂に女子バトル・ボード午前の部、最終試合です!』

 

「ようやく、私の番ですか……」

 

時刻は経過して、午前の最終試合。遂に早苗の出番がやってきた

 

あの後、即座に試合の用意を終わらせてすぐに会場に向かったが会場は未だにレースのための準備中になっており会場に選手が入っても良いと指示される前での時間。外でずっと待っていた早苗は試合の始まる前からくたびれていた

 

「まあ、予選ぐらいなら勝たせてもらいますか」

 

ムッ、とスタートラインで同じ様にボードに乗って準備していた選手たちの顔がけわしくなる。だが、早苗にはその様子が見えておらず、雫の試合のことを思いながら真っ直ぐ前を見つめている。その様子が眼中にないと言っているようで他の選手を的確に挑発していることに早苗は気がついていない

 

そんな敵意のある視線を集めたところでレースのブザーが鳴りスタート間近なことを伝える

 

「――今頃、雫なら勝っているでしょうし、」

 

『――ピッ、ピッ、ピーー!!』

「派手に祝砲といきましょう!」

 

ドバアアアァァァン

 

スタートの合図と共に早苗の後方の水面が爆発した!

 

「イヤッホオォォォ!」

「うわっ!?」「クッ!」

 

本戦でも使われた戦術、だが前と違うのはキチンとその策をとった人間がその勢いを使ってスタートダッシュを決めていることだろう

他の選手は爆発の衝撃に巻き込まれた人もいるが他の二人は衝撃を防ぐと早苗に一瞬遅れて後を追う

 

「後ろに二人ですか。なら、これで!」

 

自分の後ろに空気を集めて圧縮。それを一息に開放する!

 

「キ○コダッシュ!」

 

一気に前へ向かって加速を決める早苗。他の選手は早苗の起こした風によって勢いを殺され早苗の速さについていけずにその差はグングンと広がっていく

この時点で二番手との差は約五m。このままならば確実に勝てると後ろを見て確認した早苗は雫の競技を見に行けなかった憂さ晴らしに()()()()()ことに決めた

 

「よっしゃあ!行きますよー!」

 

早苗の目の前には途切れている水路。直角90°で下に曲がった水路の高さは優に7mはあるのだが、早苗は減速は一切せずに

()()()()()()()()()()()

 

「うおりゃあぁ!」

「「オオオーー!」」

 

空中三回転二回捻り。早苗が加速した高台から飛びながら披露した大技である

水路から飛ぶ際に硬化魔法を使用して足元のボードと自分の体を固定。空中で自分の体を縦に回転させながら体を捻り真っ直ぐ前を向きながら着水。着水する瞬間には圧縮空気を水面に向けて開放して水面で大規模な爆発を起こし自分の落下速度を和らげると共に波の揺れ返しで後続の妨害までする、無駄に高い技術による無駄な技術を織り込んだ技術の無駄遣いである

ちなみに、早苗がコレをできる理由は練習の休憩時間に何度も高台からの飛び込みで遊んでいたからである(最初は雫やほのか、上級生に怒られていたが休憩時間のみで練習の時間に支障をきたさないこと、何度言っても止まりそうにないことなどの理由(主に後者)で日に日にパフォーマンスが上手くなっていった)

 

「フッ、私だってマ○オカートで勉強したんです。空中でパフォーマンスに成功すると加速するって!」

 

もちろん、そんなことはない。気持ちそう感じているだけである

 

一周目が終わる頃になると後続との差は大きなものとなっておりそこからは早苗のパフォーマンスの場となっていた

 

そんな早苗を冷めた目で見つめる一人の上級生の姿に気づかずに

 

 

 

 

 

時間が経過して午後のバトル・ボード予選最終戦

 

ほのかの試合がもう間もなく開始するというタイミングになっても姿を現さない早苗に対して一同はキョロキョロと早苗の姿を探していた

 

「もうほのかの試合だっていうのに早苗はどこに行ったんだろう?」

 

「ほのかと決勝で当たるから相手の戦略を知らないようにじゃないの?」

 

「ううん、それはないよ。ほのかも後で早苗の試合の録画を見るって言ってたしそもそも同じ学校で同じ場所で練習してるんだから相手の戦術ぐらいはわかる」

 

「それもそうか……。でも、午後に入ってから一度も見てないなんて流石に変じゃない?」

 

「もしかして、早苗さんに何か…?」

 

「早苗のことだから何か騒動を起こしてても不思議じゃない」

 

雫の一言に納得したような顔を見せる一同。変な信用が生まれている

 

「すみません、遅れました……」

 

そんな話をしていると背後から疲れた声が聞こえてくる

 

「お疲れ様。…大丈夫?」

 

「ちょっと、色々ありまして……」

 

みんなが後ろに顔を向けるとそこにはいつもの快活さが無くフラフラと体を引きずるようにしながら席に着く早苗の姿があった

 

「早苗、何かあったの?」

 

「…いえいえ、何もなかったですよー……」

 

「…どう見ても何もなかった感じじゃないんだけど…」

 

「少しばかり、説教をしただけですよ」

 

ビクゥッ!

 

早苗に話を聞こうとエリカが奮闘していると背後から聞いたことのある声が説明してくれる

 

振り向くと生徒会会計の市原鈴音の姿があり早苗の横に腰を下ろす

 

何故か早苗は鈴音が隣に座っただけでビクッと反応しガクガクと汗を垂らしながら震え始めた

 

「……説教、ですか?」

 

「はい。先ほどの早苗さんの試合のことで少し当校の生徒の代表としての責任や配慮が足りていないように感じましたので」

 

ガクガクブルブルガクガクブルブル

 

早苗は携帯のバイブレーションのように震えている

 

「……あの早苗が説教だけでここまでなるって…?」

 

「……一体、何の話をしたんだ…?」

 

「お聞かせしましょうか?」

 

「「遠慮しておきます」」

 

エリカとレオの声が重なる。いつもならば過剰に反応して言い合いになるというのに今回は全くその気配はなく、相手の声すら聞こえていないようだった

 

試合はほのかが開始すると同時に水面に光振動魔法による閃光を放ち他の選手が目をくらましている隙をついてスタートダッシュを決め、その勢いを維持してほのかが勝利した

 

 

 

「ああ、東風谷さん。観戦も終わったので先ほどの続きです」

 

「えっ、ちょっ」

 

無事にほのかが予選を順当に突破したのを確認すると鈴音が有無を言わせずにその細腕からは想像できないような力で早苗を引きずって歩き始める

 

「これで少しは懲りればいいんだけど…。」

 

「早苗だからしばらくしたら元に戻りそうよね」

 

ハア、と雫と深雪の声が重なる。二人へと同情の視線が集まるが早苗へとその視線を向けるものはいなかった

 

 

 

 

 

「やっぱり、早苗は強いね」

 

「うん。これだけの動きをしても姿勢が崩れてない」

 

深夜、ほのかと雫は部屋で今日の早苗のバトル・ボードの試合の録画を確認していた。スタートでの爆発をわざと自分の近くで起こしながらも姿勢を崩すこと無くその勢いに乗って好スタートを決め、宙で体を捻り回転しているのにも関わらずその着地はキチンと前を向いて姿勢を崩さず次に移り、そこで魔法を行使して相手の妨害まで組み込んでいる

 

魔法を使い自分が安全なギリギリを見極めることができ、圧倒的なバランス感覚と考えられている戦術

 

試合の映像は遊んでいるだけでなく挑発の意図もあるのだろう。いつも早苗に迷惑をかけられ一番早苗と接している雫だからこそ、なんとなく、そう思った

 

早苗はおちゃらけた様子でいつもいる。だが、その本質はかなり好戦的だ。それは四月の騒動の時にも進んで行動している時点で明らか。だが、今まで自分の実力に並び立てるものがおらず、本気の戦いというものを望んでも本気を出す前に相手が根を上げてしまう。それは一種のストレスとなって早苗に蓄積された。それを解消するのがいつもの突拍子もない行動である

 

だが、この場所は九校戦。全国の魔法科高校での成績上位者が集い競い合う場。そこでこのように実力の高さを匂わせながらも全力は見せない。それはつまり「私に本気を出させてみなさい」という早苗からのアプローチである。…本人に自覚があるのかは怪しいが

 

「ほのか」

 

「………うん、わかってる」

 

そこまで考えて自分の隣にいる早苗と対戦する親友の顔を覗き込む

 

いつものオドオドする雰囲気は一切なくその目に宿るのは、決意

 

(私も、負けてられないっ!)

 

自分の親友二人が互いに全力を出し合おうとしているのを見て雫にも気合が入る

 

見据えるのは深雪。一高の現一年での頂点(トップ)

 

互いに打倒したい相手がいる二人は戦略を練り続け夜は更けていく

 

 

 

「明日の競技に響いてもいけませんからね。今日はこのぐらいにしておきましょうか」

 

「………………。」プシュー

 

雫とほのかが決意を決めている頃、つまり日付の変わる間近になってようやく早苗は解放された。日が暮れる前から始まった説教は一室から出ることなく続き、食事は鈴音と二人きりで終始無言のまま、風呂は部屋に備え付けのものに入り、鈴音が風呂に入る間は逃げられないように魔法で動きを封じられるという徹底ぶりである

 

「ああ、明日の競技が終わったら続きをしましょうか」

 

「ヒッ!?」

 

「嫌ならばこれ以降あまり競技中にふざけないでくださいね?」

 

首を残像が見えるほど速く縦に振る早苗。早苗は今日、この学校で一番怒らせてはいけない人を身をもって理解した

 




早苗さんにとって一番怖いのは鈴音。

そして学校が始まるので投稿がさらに遅くなるかもしれません

え?早苗さんがあっさり勝ちすぎ?

さすがに、予選ではそんなに細かく描写しなきゃいけないほど強い人いないと思うんだ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。