今回は少し長いです。あと、だいぶ説明が抜けてるとこがあります。
「それにしても剣道部の方はどうなったんでしょう?」
「わからない。ただ、私たちが襲われた時に深雪も何かあるようだったから、何か裏で起きてる可能性が高い」
「やっぱり、まだ何かあるのかな?」
先日、剣道部の主将が怪しいとB組のエイミィと一緒に尾行をした時の顛末を思い出しながら早苗たちは話す。そんな時、
『全校生徒の皆さん!』
「きゃっ!何!?」
「うわっ!なんですか?」
「…放送?でも、この時間に何かあるなんて聞いてないけど」
『僕たちは、学内の差別撤廃を目指す有志同盟です』
授業が終わりこれから部活だ!と意気込んでいた多くの生徒が突然の放送に首をかしげる。ほのかと早苗も周りの人と同じように驚き、雫が冷静に考える
『僕たちは生徒会と部活連に対し、対等な立場における交渉を要求します!』
「なるほど、事件ですね!…放送室、…ならば…っ!」
「早苗、首を突っ込むの禁止」
「グエッ!な、なぜ服の襟を掴むんですか!危ないじゃないですか!!」
「し、雫、さすがに危ないよ?」
「早苗は口で言っても止まらないからしょうがない」
「だからって引っ張らなくても…!」
「…ほのか、会長から呼ばれたから行ってくるわね」
「う、うん。行ってらっしゃい」
たった今起こった騒ぎを忘れたかのようにA組ではおなじみとなった早苗と雫の口論が始まる。それにより周囲の浮き足立った雰囲気が落ち着いたものへと変わる。それを見て深雪はほのかに告げて生徒会室へと向かおうとする
「――なら早苗、何をするつもりだったか言ってみて?」
「な、なにもするつもりはありませんよ!放送室から守谷の宣伝とかするはずないじゃないですk…何ですか?寒気が……ヒッ」
「…早苗?あまり問題を起こすようなら……容赦しないわよ?」
「ハイッ!気をつけます!!」
「よろしい、それじゃあね」
雫と会話をしてる早苗を冷気が襲い、周囲を見回すと背後に般若のようなものを浮かべながらこちらを見つめる深雪の姿を幻視し、早苗がビシッ!と音をたてて固まる。目の笑ってない笑顔で告げる深雪の言葉に敬礼で返し、それを見た深雪はうなづいてから教室をあとにする
「ジー………」
「早苗、深雪は放送室に向かったから会わないのは無理だよ?」
「ギクッ!い、嫌ですねぇ、部活ですよ!部活に行こうとしたんですよ!」
「…なら、いいけどもしも放送室に行っても生徒会長とかもそこにいると思うよ?」
「………諦めて部活行きます」
「諦めてなかったんだ……」
教室を去った深雪の後を目で追っている早苗に雫が現実を教えほのかが呆れる。その頃にはクラスの全員が先ほどの放送がなかったかのように行動を開始していた
―――数日後、放課後の野外演習場
「いいですか、皆さん」
早苗が部員の前で演説をしていた
「神祇魔法というのは精霊や神霊に祈りと願いを込めることで活性化して想いを叶えてもらう、というものです。ですから必要になるのはいかに強く相手を思うことが出来るか。自分の内に秘めた想いを開放するのです!神奈子様と諏訪子様、お二人に願いを込めながら祈ることで…このように、」
オオー、と感嘆の声があがる。彼らの目の前では早苗が宙に浮かんでいた
「空を飛ぶことができます。これはお二人のように空を飛んでみたい、という願いを込めたからですね。術式を聞かれたこともありますがそのようなチンケなものではありません。その証拠に、ほら!」
す、すげぇ!嘘だろ!?、と先ほどよりも大きな声があがる。理由は目の前で早苗が身につけていたCADを早苗の話を聞いていた生徒に投げ渡したからである
「もちろん、簡単なことではありません」
早苗の言葉に興奮していた顔が急速に冷める
「最初は空を飛ぶだけでも随分な負荷がかかるでしょう。人によっては宙に浮くぐらいしかできない人もいるかもしれません…」
早苗の発言に周囲の生徒の空気が重くなる。特に二科生の空気は目に見えて悪く「二科生だから……」「やっぱり才能が……」と沈み込み、半分諦めた目をする生徒もチラホラと見かけられる
しかし、仕方ないことだろう。彼らは才能に劣るとされた二科生が多く、自分の方が優れていると思っていた魔法でも一科生にとっては当たり前に使えるレベルでしかなかった。一科生と二科生の間には才能という大きな壁が立ちふさがっていた
「ですが!」
そんな時、一科生が「才能はいらない」「一度でいいからやってみないか?」と丁寧に聞いて回る姿は、魔法力が少なく
「私はあなたたちにできないとは思いません!!」
目を見開いて早苗が宣言し、顔をあげて早苗の目を見た彼らは思う。ああ、彼女は自分たちを対等に見てくれる。一科生とか二科生とか分け隔てなく見てくれる
「今の現状に諦めず行動したからあなたたちはここにいるんです。諦めてしまえば今、この場に、あなたたちはいなかったでしょう」
自分たちの行動にはちゃんと意味があり、それを行った自分たちの行動は無駄ではなかった、と言ってくれる
「ですが、あなたたちはここにいる!あなたたちが才能がないと言われようとも、多少の問題があろうとも諦めず、努力をし、強さを求めた結果です!!」
彼女は自分たちを認めてくれる。
「あなたたちは努力を怠らなかった強者です!そんなあなたたちならば必ず、この魔法を使うことができるでしょう!」
自分たちを強者だと言ってくれる
「神祇魔法の強さは、祈りの、つまり、願いの強さ」
だからこそ、彼女の話を聞こうとこの部活に入った
「すぐに諦めるものに強く願いを捧げることはできず、祈りは捧げられません」
だからこそ、彼女の言葉を信じようと思った
「だから私は」
彼女のことを、
「私は、諦めなかったあなたたちだからこそ!この魔法を使うことができるようになると信じています!!!」
「さあ、今こそ神奈子様と諏訪子様を崇めるのです!」
――ドオオォォォォン!
「「ウオオォォォォッ!!」」
「うわっ!?何ですか!?」
一瞬、幻聴が聞こえたのかと思った
早苗の宣言が終わるのと同時に背の方、講堂があった方から爆音が上がる。その爆音と振動に揺さぶられた彼らはその振動を起爆剤にして雄叫びを上げる。
(ふう、危ないタイミングでしたね。あと少し遅れたら
そう心の中でつぶやいてチラ、と彼女が見る先にはお香が焚いてあった
(それにしてもやはりこのお香の力はすごいですね!)
このお香には精神に作用し軽いトランス状態にする作用がある。早苗は部活の時間に毎回このお香をリラックス効果があるもの。と称し使っていた
(今日は多めに焚いておいて良かったです!いつもよりも多く焚いた甲斐がありました!…そういえばさっきの爆発音は一体?)
今日は屋外だからいつもの量だと効くか怪しかったんですよねー。と考えたところで先ほどの爆発に意識が向き講堂の方を見ると黒炎が上がっている。それだけではなく校舎の方からも煙があがり、ワー、ワーと騒ぎの声の他に微かだが銃声のような音も聞こえる
「皆さん、ここで待機していてください。念のためにCADの用意はしておいてください」
「「ハイッ!」」
そう言うと早苗はCADを手に宙を飛ぶ。その行き先は今、最も騒がしい実技棟
「あれ?深雪さん?それに達也さんたちも…?」
そこに向かう途中で早苗は図書室のある方に向かう深雪に達也、他にも達也とよく一緒にいるE組の姿を見つける
「早苗か?」
「えっ?どこ……うわっ!ホントだ!よく見つけたね?」
早苗が見つけて呟くのとほぼ同時に達也がこちらを向く。漏れた言葉に全員があたりを見渡していち早く見つけたエリカがその観察眼に舌を巻く
「何があったんですか?この騒動は一体…?」
そんなもんじゃない、偶然目に入ったんだ。と言い逃れる達也の元に早苗が降り立つ。達也の横にいた深雪に事情を聞くと「侵入者よ。狙いは図書室で閲覧できる資料。この騒動は囮」と深雪が短く、簡潔に返す
「なるほど、わかりました!私も協力します!」
「いや、それよりも早苗には空からの警戒を頼んでもいいか?他にいないとも限らないしな」
「…むう、仕方ないですねぇ」
「お願い、早苗。なにかあってからでは遅いの」
「…大丈夫ですよ、そこまで真剣に頼まれなくてもこんな非常時に勝手に動いたりしませんって」
「……そう、ならいいけど」
達也と深雪の二人からの頼みを聞き届けた早苗は宙に浮かび上がりながら返答する
その後、空を飛びながら警戒する早苗とその早苗の指示に従って警備が手薄な場所や戦闘が激しい場所で一科生に負けじと活躍する
「車?追加人員でしょうか?」
校内の襲撃者の鎮圧が終わり一般の生徒の多くが避難し風紀委員が警戒を続ける中、早苗は風紀委員の協力者として空から警戒を続けていたために一校の中に乗り込んでくるオフロードカーにいち早く気づいた
「止まってください!敵でないというのであれば車を降り名を名乗りなさい!」
近くで警戒を続けていた男子生徒とともにCADを構えながら警告する
すると、キッ、と音を立てて車が停止し中から白髪で紳士服に身を包む老人が現れた
「私は十文字家の執事にございます。時期十文字家当主である克人様からの要請で参りました」
老人はそう言うと確認してくださいと言って静止する。早苗に呼ばれた協力者の男子生徒、桐原武明はその執事から目を離すことなく携帯で確認を取る
「――はい、そうですか。それに俺も……。……はい、ありがとうございます!」
それでは、失礼します。と言って桐原は携帯を切ると執事の方に「すみません、確認が取れました。車はこちらにお願いします」と言い車を誘導する。早苗もそれについていくと執事は「では、私はこれで」と言い残して車を置いて歩き去ってしまった
「えっと、桐原…先輩?なぜ車に乗り込んでいるのですか?」
「俺も奴らのアジトに向かう。お前は危険だからこちらに残って警戒を「嫌です」…ハア!?」
「そういうことなら私も行きます!」
「馬鹿かお前は!?今から行くのは襲撃してきた奴らのアジトだ!怪我をする可能性もある。だから来るな!」
「絶対に、嫌です!!」
「お前みたいな何の関係もないやつを連れて行くわけにはいかない!おとなしくここに残れ!」
「……、なら、いいです」
「フゥ、それなら「自力で行きます」…なんだと?」
「連れて行かないというのなら、自力で探し出します!」
そう言うと早苗は引き止めようと手を伸ばす桐原の手を避けて空を舞った
「あいつはどこに敵の本拠地があるのか、わかるのか……?」
もちろん、知るはずもない
後から車に来た深雪には、どこか疲れた様子の桐原の姿を見て、一人の友人の姿がダブって見えた
「さて」
桐原の頑なな態度に腹を立てて飛び立った早苗は、
「私は今どこにいるんでしょう?」
空をさまよっていた
「もしかしたら逆の方角だったでしょうか?」
空を飛ぶことで頭が冷えたのか桐原に対する怒りはない。というか、なぜあんなに簡単に気分が昂ぶったのかがわからない。今までも気分が高ぶることはあったがあんなに簡単に怒ることはなかったはずだ
そうやって空中で首をかしげていると
「…あれって、さっきの車?」
先ほど見たような車が法定速度ギリギリで街中を突っ切っているのが見えた
「……!アレを追えばたどり着けますね!それならっ!!」
いまだに、車の速度ほど早く飛べない早苗は車を見失わないように精一杯ついて行った
この時、早苗の体の周囲を渦巻く
「ようやく、追いつきました!」
何度も見失いかけてようやく車の止まっている場所についた早苗は少し疲れた様子を見せながらも到着したことに顔をほころばせる
「それにしても、」
言葉を区切りあたりを見渡す。魔法で吹き飛ばしたのかひしゃげて変な場所に転がっている門、古くなって錆び付いている倉庫や今も聞こえる微かな銃声
「ドラマみたいでワクワクします!」
こんな場所でもマイペースな結論を出した早苗は今も声がする大きな倉庫を調べようと考えてどうやって侵入しようかを考える
(おそらく、正面からは誰かが入っているはず。そして裏口もおそらく同じ。ここに留まっても来た意味はあまりなさそう。ならばどこから……!)
早苗の出した結論とは……、
「てやーーーっ!!」
バリーン、と音を立てて
「なんd…グハッ!」
「な、貴様どこk…ギャアァァ!」
窓から侵入することに決めた早苗は風を纏いながら窓ガラスを割り窓のそばにいた二人を弾き飛ばす。中にいた人間の中に仲間がいないことは窓の外から見て確認している
ゆえに、
「――八坂の神風!」
「「グアアアァァ!」」
収束、移動、加速魔法『八坂の神風』
周囲の空気を刃状に固めてそれを自身の周囲にで回転させ自分の外へと加速させながら放つ守矢神社(早苗)お手製の魔法。空気が収束した量が多ければ多いほど強固な刃となり攻撃の威力や範囲が上がる。集める時に薄い刃にすれば手や足など簡単に切り飛ばし、
「大丈夫、死にはしません。骨ぐらいは折れてるでしょうけど」
刃を分厚くすれば切ることなくバットで殴ったような衝撃を与える
その結果が、うめき声をあげながら地面に転がる秘密結社『ブランシュ』のメンバー。彼らは早苗や雫を襲った連中と同じ模様のリストバンドをしているのだが早苗はそれには気づかず、全員の意識を刈り取れているか確認していく(そもそもブランシュを名前すら聞いたことがないのでわかるはずがないのだが)
すると、
「これは一体どういうことだ!?」
汗まみれになりながら部屋に駆け込んできたブランシュのリーダー、
「あなたが、このグループのリーダーですか?」
「なぜだ!?ここにいた人間にはアンティナイトを持たせていたはず!?貴様も、あいつと同じ化物か!!?」
早苗が侵入と同時に奇襲をしたので使う暇がなかっただけである
「質問に答えなさい!」
「クッ、なぜアンティナイトが効かない化物が二人もいるんだ…!?」
「…ふう、話の通じない相手というのは面倒ですね。人の話を聞くのは常識ですよ?」
(くっ、どうする?司波達也に洗脳魔法は効かなかった。ならば、こいつにも…?こいつ、どこかで…ッ!!弟からの報告にあった宗教馬鹿か!)
「とりあえず気絶させてから話を聞きますか」
「ま、待って欲しい!」
「何ですか?降伏でs「君の宗教の話を聞かせて欲しい!」――ええ!いいでしょう!!では、どこから話をしたらいいですか?神奈子様の話ですか?それとも諏訪子様ですか?私としてはお二人共――」
「――ッ!!」
最初に弟から飛行魔法を使う宗教馬鹿の話を聞き、写真を見ていたことが幸いした。早苗が先程までの態度を一変させ目を輝かせながらこちらに詰め寄るスキをついてCADを操作する
司一のCADを触る手元に目を向けることもせずその
――司波達也Side
(どうなっているんだ?)
司波達也は混乱していた
「フハハハハ、司波達也!いくら貴様でも同じ学校の生徒に手は出せまい?」
司一を追って中に入った達也の目の前には先ほど、最初に会った時と同じ自信を取り戻した司一の姿と、地面を転がっているブランシュのメンバー、それと…、
「……………。」
焦点の合ってない目をしながら無言でその前に立つ東風谷早苗の姿があった
「それに、彼女は私の兵隊を一度に吹き飛ばす力を持っている!さすがの貴様も無事では済まないぞ!!」
達也はその姿を見て疑問を覚える
なぜ、そこに早苗の姿があったのか。ではなく、
「さあ!東風谷早苗よ!彼を始末しろ!!」
「…………ぃ」
(さっき会ったというのに、)
早苗が操られたらしいことでも、
「おい、早くやれ!」
「ぅ……ぃ」
(何があったら、)
その指示に従おうとしないことでも
「う る さ い !」
「なっ!?」
(あそこまで、)
「なぜ、あそこまで霊子が活性化しているんだ?」
普通の魔法師ではうっすらと体にまとわりつく様にしか見えない霊子が早苗の体から勢いよく蒸気のように立ち上っていたからである
「フンッ!」
「――ガッ!」
早苗が気合を入れるとそれだけで彼女の体からあふれる霊子が形を作り、二度も自分の魔法を打ち破られ呆然としている司一を撃ち抜き、その意識を飛ばす
「早苗、大丈夫なのか?」
「えっ?ああ、大丈夫ですよ」
「だが、その霊子量は……っ!」
達也がその霊子量に大丈夫なのかを問いかけるとすぐに早苗が目を瞑る。すると、その圧倒的な量の霊子が沈静化していく
(いや、これは沈静化ではない。…何処かへ消えている?)
「ふう、これで大丈夫です!」
早苗がそう宣言する頃には早苗の霊子は日ごろと同じ量に戻っていた
「一体、今のは…いや、人のことを詮索するのはルール違反だな。すまない」
「いえいえ、いいんですよ!気になるのは仕方ないですし」
「そうか?そう言ってくれると助かる」
その後、すぐに桐原と克人が奥の壁を壊しながら現れ桐原に「なぜここにいる!?」と驚かれ、深雪やエリカ、レオにも同じ反応をされて傷ついた早苗の姿があった
―――とある神社
「いやぁ、まさか早苗からの供給が途絶えるとはね」
「そんなこと言ったって、早苗たまには気を失うことぐらいあるでしょ?」
「でも、寝てる間もこっちへの霊子の供給を止めないような子だよ?絶対に何かあったんだって!」
「神奈子、それなら今度の連休で帰ってきた時に聞けばイイじゃない。今そんなに慌ててもしょうがないよ?」
「そ、そうだな。今度帰ってきた時にちゃんと聞かせてもらわないとな」
(目の前で自分よりも焦っている人を見ると冷静になるって本当だったんだ)
どこの親バカだ、と言いたくなるような二柱の話を聞くことのできる
……OK,わかってる。説明が足りないということも、変な幕切れだということも、文章ガバガバだということも、無駄に文章が長いということも
だが、展開的にはこうするしかなかったんや
それに、早苗さんが突入する所とか達也たちと一緒に行動させるとつまらない結末(特に洗脳魔法を喰らうこともなく、そもそも突入せずにエリカ達と外の警戒になる)になってしまうんだ
オリキャラを出す?考えたけど戦う理由が浮かばないのとちょうどいい奴が浮かばなかったんだ
とまあ、グチグチ書いたけど生暖かい目で見守って下さい
次回は補足&小話回(予定)