魔法少女リリカルなのは―幸せを求めるもの―   作:ゾンビー

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今回は、かなりシリアスです、正直こっからくだらないギャグはだんだん減っていきます、
では第五話をお楽しみください。


第五話:前世

「今日はどうもありがとうございました」

 

時間はすでに午後六時、俺もそろそろ高町家から立ち去らなければならないので、桃子さんにそう言って帰ろうとしたのだが。

 

「今日はもう遅いから、泊まっていきなさい、慎君の家族には私から言っておくから」

 

「え・・・?いや、でも・・・」

 

と、俺は桃子さんの説得(という名の強制)により、その日俺は高町家に宿泊することになった。

 

その後もなのはとともに風呂に入れられそうになったり、それを嗅ぎ付けた恭也さんがその日3度目のバーサーカーになったのをあしらったり、夕食もなのはにあーんをされたり、と俺は心身ともに疲弊していった。

 

生憎余りの蒲団が全部クリーニングに出している途中だとかで、毛布だけ渡されて俺は道場で寝ることになった、一回なのはの部屋でなのはと一緒に寝るという案も出たが、さすがにその時の俺には4度目の恭也さんを撃退できるだけの体力は残ってなかったので、丁重にお断りさせてもらった。

 

道場の床は今日の一件でボロボロなので、俺は壁に寄りかかり毛布を掛け目を閉じる。

 

(今日は濃い一日だったなあ・・・)

 

そう心でつぶやき、案外早く来た睡魔に身をゆだね、俺の意識は闇にのまれていった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

暗い・・・ここは・・・どこだろう?

 

気付けば俺は闇の中を漂っていた、そして、俺が記憶の底に封印したはずの記憶が流れ始める。

 

―この妾の子が!ちょっと頭がよくて、運動ができるからって調子に乗ってるんじゃねえぞ!

 

ちがう、俺は望んでこんな身体に生まれたんじゃない・・・

 

―この化け物!あなたがいるだけで私たちは不幸になるの!あなたなんか私たちの子供じゃない!

 

父さん、母さん、俺は望まれない子だったのか・・・?

 

そこで場面が変わる、

 

―兄ちゃん、何やってるの?

 

―お兄ちゃん!私、お兄ちゃんのことが大好きだよ!

 

―お兄ちゃん

 

俺の大切な家族、幸せな生活、俺はこの子たちを守ると心に決めた、彼らは俺の生きる糧だった、毎日が充実していた、こんな日々が続けばいいと思っていた。

 

だが、そんな幸せな日々は唐突に終わりをつげた。

 

場面がまた変わる。

 

―兄ちゃん!ボクまだ死にたくない!死にたくないよぉ!

 

バン

 

銃声がなり、大切な、俺が守ると誓ったはずの子たちが倒れていく、紅い血を流して次々と死んでいく・・・。

 

―お兄ちゃん!助けて!死ぬのは怖いよう・・・!

 

助けを求められている、すぐにでも助けに駆け付けたい、そうしたいのに、俺の体は動かない、拘束されているわけでもないのにまるで氷づけにされているかのように、固く、俺が動こうとするのを拒む。

 

また一つ銃声がなり、また一人死んでしまった。

 

―さあ、君がその手で彼らを殺せば、君の命だけは助けよう

 

見知らぬ男が、俺の手に冷たく、そして重いものを握らせる、それは拳銃だった。

 

―お兄ちゃん?

 

俺の腕が勝手に動き、拳銃を持ち上げ、子供たちに狙いを定める、心はやめろと叫ぶ、強大すぎる力を持った身体を持っていても、その身体が俺に従ってくれない。

 

そして俺は拳銃の引き金に指をかけ―

 

バン

 

その引き金を引いた、守るべき存在だった『モノ』の返り血を俺は浴びる、手に、服に、顔にべっとりと付着したたそれは・・・

 

―どこまでも、どこまでも鮮やかな紅色だった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「うわあああああああっ!?」

 

俺は跳ね起きる、いやな悪夢に背中は冷や汗をかき、息は荒く、手汗が尋常じゃないほどになっている。

 

「おや?気が付きましたか?」

 

「てめえは・・・」

 

そう声がしたほうを向くと、そこには転生したときにあった彼がいた、あたりを見れば、あの時の真っ白な空間に俺はいた、俺はどういうことだ?と彼をにらんだ。

 

「あはは、そんなに睨まないで下さいよ」

 

と彼はおどけて見せる。

 

「あれはてめえが見せたのか?」

 

俺でも驚くほどに低い声が出た。

 

「あはは、なん「いいから答えろ」・・・はあ、答えはYes、ですよ」

 

「なんでこんなことをした?返答によっては俺はてめえを殺す・・・」

 

俺の腹は封印した過去を穿り返されたことにより、今までにないくらいに煮えくり返っていた、彼は観念したように肩をすくめ。

 

「どんな死に方をしたって転生者になるためには、いや、その人生に暗い闇を抱えている奴が転生者になるんですよ」

 

どこからか、椅子を取り出してそれに座り語り始めた。

 

「でもその闇から逃げているだけじゃあ、転生者ってのは勝手に自滅していってしまうんですよ、実際に私はこの目でそうなった転生者もたくさん見てきました」

 

「で、結局てめえは何が言いたいんだよ?」

 

そう俺が問うと、彼は今まで見たこともない真剣な顔つきで俺を見つめ、俺に問う。

 

「あなたは過去から目をそらしますか?、それとも過去に立ち向かいますか?私はあなたにこう問います、そして、いま、ここで決めてください」

 

俺は彼の鋭い視線に貫かれる。

 

―俺は大切な守るべきものを失った、生きる糧を失った。

 

―なら俺は何を糧にして生きればいい?

 

―何のために俺は転生した世界で生きてきた?

 

―今の俺にとって生きる理由はあるのか?何のために今まで俺は生きてきたのか?

 

すべてはあの公園の少女だった、意識しなくてもいつか彼女に会うことがあると思って生きてきた。

 

なんだ、大切なものは案外近くにあるじゃないか・・・

 

「俺は、俺は幸せが欲しい、今まで、俺は幸せを求めていいのか?、この1年そう考えることが多々あった、俺は幸せになるべきじゃないのかもしれない、・・・でも俺はもう見つけたんだ、もし・・・もう一度大切なものを守れるなら、俺はどんな凄惨な過去に立ち向かって見せる」

 

これが俺が出した答え、あの世で彼らは俺を恨むかもしれない、でも彼らはもういないんだ、彼らへの罪悪感を克服するために俺は自分の過去と向き合う、そう決めた。

 

俺の答えを彼は聞くと彼は微笑んだ。

 

「そうですか、なら、私からあなたにプレゼントをあげます、きっと過去に立ち向かうための力になるでしょう」

 

俺の周りが光に包まれ、何かが俺の中に入ってくる。

 

「では、さようなら、また会いましょう」

 

最後の彼のそんな言葉を聞くと、俺の意識は再び闇に包まれていった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

慎が元の世界に戻ったのを確認して彼は大きく息を吐いた。

 

(なんかいい話になっていましたが、まあこれはこれでいいでしょう)

 

実は慎をここに呼び出した理由が、与えた能力の不足で上司に怒られ、新しい力を押し付けるため、ということは彼の心にしまうことにしたほうがいいだろう。

 

(さて、原作にかかわらざる理由を彼に作ってあげましょうか)

 

そう考える彼の口元は、彼がこれから歩む幸せへの困難続きの道を想像し、自然と歪んでいった。

 




正直に言うと、これを書いている途中に
(あれ?これ山場にしてもよくね?)
と思いました、楽しんでいただけたら幸いです。
改善点やアイディアも募集中です。では
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