魔法少女リリカルなのはvivid~四人目の王~   作:ビスマルク

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原作前
第一話


少年は王宮の中を走っていた。

 

少年はこの国の王の子であり、王子と呼ばれる存在だった。

 

この国は基本的に穏やかな暮らしを続けていた。

 

そんな中で過ごした少年もまた穏やかに成長していった。

 

しかし彼もまた子供である。

 

子供ゆえの無邪気さを持ち王宮の中を駆け回る。

 

そんな中少年は親である王に入ってはいけないと言われていた禁書の部屋に入ってしまった。

 

その中の一冊を読み始める。

 

全てのページを読み終えたときその本が激しく光った。

 

 

「夜天の書の起動、確認しました」

 

「我ら、夜天の書の蒐集を行い、主人を守る守護騎士でございます」

 

「夜天の主の元に集いし雲」

 

「ヴォルケンリッター、何なりとご命令を」

 

 

光が収まった後に出てきたのは四人の騎士たちあった。

 

これが後に『夜王』と呼ばれる少年と『ヴォルケンリッター』の出会いだった。

 

 

***

 

 

突然現れ少年を主と呼ぶ彼らを普通だったら子供を遠ざけるだろう。

 

だが王はそうしなかった。

 

人と触れ合う事もまた王にとって必要なことだと判断したからだ。

 

少年と『ヴォルケンリッター』は触れあううちに家族のように接するようになった。

 

『剣の騎士』と呼ばれた女性に少年は戦い方を教えてもらい、『湖の騎士』呼ばれた女性は少年に姉のように接し、『鉄槌の騎士』と呼ばれた少女は少年と年が近くいつも喧嘩をし、『盾の守護獣』と呼ばれた狼に少年は何かを守る際の心得というものを教えてもらっていた。

 

少年が『ヴォルケンリッター』と出会い数年の年月がった。

 

あるとき少年は自国と国交のある「シュトゥラ」に留学することになった。

 

そこで彼は親友と呼べる人物に会う。

 

 

***

 

 

それから数年後、少年が青年と呼べるほどに成長した時彼の両親が亡くなった。

 

彼は泣いた。

 

生まれた時、産声をあげた時以外に流したことの無い涙を流し彼は悲しんだ。

 

そうして泣き終えた時にそこにいたのは一人の王だった。

 

青年は数々の人の助けを借り国の平和を保っていた。

 

戦乱といえる時代で平和を守るというのは難しいことだったが、彼にはそれが出来た。

 

それにはいくつもの要因があった。

 

一つは国交を持っていた二つの国の存在、その両国の王が彼の親友だということ。それ故に国の危機に彼らが来ることを恐れ襲うことが出来なかった。

 

もう一つはこの国の騎士たちの存在、四人の『ヴォルケンリッター』を始めとした国の兵士たちの実力が高いことだった。

 

そして最後の一つはこの国の王である青年が国民が傷つくのを決して許さないことだった。たとえ辺境の村であろうと、それが野盗によるものだろと民を傷つけた者には彼自身が前線に出て叩き潰してきた。

 

彼の力は王となる前にすでに一騎当千と呼ぶのにふさわしいものだった。

 

彼の国は平和だった。

 

そう、あの時までは

 

 

***

 

 

俺は今自分の家でもある王宮の中を歩いていた。

俺が今向かっている場所はこの国最強と呼ばれる騎士の一人の部屋だ。

だがその騎士の実態はただの子供だ。

ドアの目の前に着いた。

部屋の中から聞こえているのは規則正しい寝息の音。

だが既に時間は大抵の人間は起きて活動し始めている時間帯だ。

その証拠に王宮の外では兵たちの訓練の声が聞こえ、街の方からは活気ある声が聞こえてくる。

だからこそ現状仕事の無い俺がここで寝ている奴を起こす役目になってしまった。

乱暴に部屋のドアを開けるが部屋の住人は全く起きる気配はない。

 

イラッ☆

 

むかついた俺は布団からはみ出している赤毛の頭に向けて拳を振り下ろす。

 

「~~~~~~っ!!?」

 

「起きろ、もうすでに朝だぞ」

 

「その前に何か言うことはないのかよ!」

 

「言うこと?ああ、もう俺が言って食堂閉めたからお前今日の朝食抜きな」

 

「そうじゃねぇ!いきなり殴ったことに対して謝れって言ってんだ!!」

 

「じゃっかしいわ!何度も何度も起こしに来てた兵が「あの方は起きません」って言って苦情を言ってきてんだよ!だからわざわざ王である俺がここに来たんだろうが!!」

 

「分かった、殴ったことは水に流す。でも一つだけ言わせてほしい。アタシの朝食はどうすればいいんだよ!」

 

「シャマルにでも作ってもらえ」

 

「アタシに死ねって言うのか?」

 

「さすがにアイツだって死ぬほどまずいもんは……悪い、俺が悪かったからそんな馬鹿を見るような目で俺を見るな」

 

この国の騎士であるシャマルの料理はひどいものだった。

この国の年に一回の祭りの際初めてその腕前を披露したが、見た目はいいものの味は壊滅的で倒れた人間が多数出た程だ。

兵の中でも独身連中が頑張って食おうとしていたがそのために死にかかるやつもいた。

そのためシャマルに料理をさせてはいけないという不文律が出来てしまった。

ちなみにこの事件のことは「第一次シャマルのお料理教室~魚の味は腐ったキノコ~」と呼ばれ恐怖されている。

その時に一番最初に料理に手を出したヴィータにとってはトラウマと呼べるレベルに達している。

 

「分かったよ。朝食は俺が作ってやるからさっさと起きてこい」

 

「おう」

 

ヴィータの返事を後に部屋を出る。

しばらく食堂に向かって歩いていると目の前に女性が現れた。

 

「シグナムか、どうしたんだ?」

 

「いえ、兵の訓練が終わったので知らせようと思い…」

 

「分かった、だったら兵に休憩するように伝えておいてくれ。午後からは俺も参加する」

 

「分かりました。ところで」

 

そう伝えるとシグナムの瞳が一瞬輝いた。

こいつは戦闘狂といえる存在で時々やる俺との模擬戦を楽しみしている。

それに微笑ましいと思ったが次の瞬間そんな気持ちがどこかに吹っ飛んだ。

 

「シャマルが上機嫌で食堂に向かっていきましたが」

 

「シャーーーマーーールーーー!!」

 

まずい!きっとあいつはどこかでヴィータがまだ寝ているという情報を入手したのだろう。

そしておそらくヴィータの為に料理を作ろうと思ったんだろう。恐ろしいことに。

アイツが料理を作ったらヴィータが食ってひどい目に合う。

それだけならまだマシだ、が確実に気絶したヴィータは食いきることが出来ないだろう。

その場合どうなるか?

答えは簡単、近くの奴に食わせるだ。

そうなれば罪のない奴が餌食になる場合も考えられる。

 

「シグナム!ザフィーラと協力してシャマルの足止めをしておけ!!」

 

「りょ、了解しました」

 

おそらくこの命令だけで彼女は察してくれるだろう。

彼女達が足止めしているうちに早く食堂に行かなければ。

 

王宮を走る俺にいろんな人間が話しかけてくる。

 

「陛下、クラウス様から手紙が来ておりますが」

 

「後で返事を書いておく!俺の部屋に置いておいてくれ!」

 

俺を子供のころから見てきた宰相。

彼が居なければこの国は立ち行けなかっただろう。

 

 

「ん?あ、王様じゃん。そんなに急いでどうしたの?またシャマル嬢が料理を作ってんの?」

 

「その言葉はシャレになってないからな!まさにあいつが料理を作ろうとしている真っ最中だ!」

 

俺の幼馴染であり、この国の騎士団長の一人である青年はゲッといって逃げていく。

アイツもまたシャマルの料理の被害者だからな。

 

 

「おや、どうしましたかな陛下?そんなにお急ぎで」

 

「ちょっと急でるんだ!またシャマルが料理を作ろうとしてやがる」

 

料理長である恰幅のいい男はその一言で苦笑いしている。

彼はシャマルの料理べたを何とかしようとして失敗した人間だ。

 

 

そうしてついた食堂ではなぜかまだ人が居た。

きっと昼の弁当を取りに来た人間だろう。

その一人一人がこの国の剣であり、俺の守るべき民たちだ。

 

「王は国を守らなければならない」とは俺の父親の言っていた言葉だ。

ここで言う国とはなんなのか、それは民だ。

だからこそ俺は王として民を守る力を付けた。

みんなが俺を支えてくれているからこそ俺は王としてやってこれた。

 

俺は支えてくれている兵士たちに向かって歩き始めた。

今日もまたいつも通りの日常が始まる。

 

 

一歩踏み出した瞬間視界が歪む。

 

と同時に聞こえてくるのは国民の悲鳴。

それの意味を理解した時目の前の世界が変わった。

 

目の前に広がるのは活気ある街ではなく、燃え上がる街。

 

そこにいるのは俺に笑顔を向けてくれる民ではなく、死に顔を向ける民。

 

そこでは俺の国が滅んでいた。

 

瞬間さっきまで見ていたものの正体を知った。

 

ああ、あれはきっと夢だ。

 

俺を助けてくれた宰相が生きていた頃の。

 

俺を支えてくれた騎士団長が生きてた頃の。

 

俺の楽しみでもあった料理を作ってくれた料理長が生きてた頃の。

 

そして俺の家族が生きてた頃の。

 

だけど夢から覚めたからこそ戦わなきゃ。

 

まだ逃げていない民が居るはずだから。

 

 

まだ、敵兵たちが居るためか、守るべき人たちがいるのか兵たちは戦っている。

だがその努力を嘲笑うように数の暴力で殺していく敵兵。

そして隠れていた親子を殺そうと武器を向ける敵兵。

 

瞬間俺は駆けていた。

 

敵兵は俺に気付くが既にそこは俺の間合いだった。

突き出してきた武器を跳ぶことで回避、同時に膝でその敵兵の顔を蹴り砕く。

敵兵は顔の形を変えて死んだ。

 

だがそれで終わりではなかった。

周りに隠れていたと思われる人間が俺に向かってきた。

数は六人、全員武器を持っている。

六人は一斉に武器を突き出してきた、それを腰を落として避ける。

同時に地面に拳をつけ、衝撃を撃ち込んで地面を揺らす。

六人の敵兵は突如襲ってきた衝撃にバランスを崩す。

その隙に回し蹴りで彼らの命を刈り取る。

 

「――――――!!」

 

敵の将軍と思われる人間が俺に気付き周りの兵士たちに命令を出す。

俺は将軍に向かって駆け出す。

邪魔するものはすべて殺していった。

時に拳で、時に脚で、時に肘で、武器となる部分をすべて使い刈り取っていく。

 

「――――――!?」

 

全てを倒し将軍の前に立った俺はその体に攻撃を仕掛ける。

将軍は俺に向かい剣を振るうが俺に全く届かない。

そうして接近した俺は将軍に向かって地面を揺らすこともできる衝撃を加え殺した。

 

将軍を殺した為か敵兵たちが我先にと逃げ出していく。

だがそれを追う気力がもう俺にはない。

構えを解いて拳を下した瞬間俺の胸を何かが貫いた。

下を見てみれば真っ赤に濡れた矢があった。

この赤いものはなんだろう。ああ、俺の血か。

無感動に矢を見つめ、近くにあった瓦礫に体を預けて座り込む。

俺はもうすぐ死ぬだろう。

矢は急所を外していたが毒が塗ってあったのか俺から力を奪っていく。

こんなにも死とはあっけないものなのだろうか。

普通はこういう時死にたくないと人は思うのだろうか。

だけど俺は違った。

ただ家族に会いたかった。

 

だから俺は自らの腰につけていた『夜天の書』を取り出して魔力を込める。

 

始めたあった時のように光、その光が収まった時目の前にはいつもの四人が居た。

四人は俺の様子に驚きすぐさま治療しようとしてくれたが無意味だと俺は伝えた。

 

シグナムは唇を噛みしめ、ザフィーラは俯き、ヴィータは叫び、シャマルは俺を抱きしめて泣いてくれた。

 

それだけでも最後に彼らに会えてよかったと思えた。

最後に『王』としてではなく、『人』として死ねることを感謝する。

 

あれ、なんでお前が居るんだよクラウス。

なんで俺に向かって「すまない」って繰り返してるんだ?

全くお前はいつも背負わなくてもいいものまで背負おうとするんだ?

そんな必要はないのに。

 

ああ、視界が暗くなってきた。

言いたいことはちゃんと言っておかなきゃな。

 

「シグナム……前回の模擬選…俺の勝ちだったよな…。次も負けないからな…」

 

「次は…次は絶対に勝たせて貰います」

 

ありがとう、『烈火の将』

 

 

「シャマル……今度料理する時は…もっとましなもの…作れよ…」

 

「もっと…もっとおいしいものを食べさせてあげるわ」

 

ありがとう、『風の癒し手』

 

 

「ヴィータ……悪いな…ぬいぐるみ…買う約束…やぶって…」

 

「いいよ…次はもっと高いもの買ってもらうからな」

 

ありがとう、『紅の鉄騎』

 

 

「ザフィーラ……守るものの…心得を、教えてくれて…ありがとな…」

 

「まだ…教えて無いことがあります」

 

ありがとう、『蒼き狼』

 

 

ああ、目の前がもう見えない。

だけどそこにいるんだろ、クラウス。

俺の死をお前は背負わなくていい。

お前はいろいろと背負いすぎだからな。

そこがいいところなんだが、悪いところでもある。

そんなお前と優しいオリヴィエと出会えてよかった。

心残りがあるとしたら、決着をつけられなかったことか。

 

「クラウス…」

 

「なんだ」

 

「結局…俺とお前は…決着がつかなかったなあ…」

 

「ああ」

 

「じゃあ次あったときは俺が必ず勝つからな…」

 

「それは無理だよ」

 

「無理じゃないさ……俺の『夜王流』ならお前に勝てる……」

 

「じゃあ、試してみるかい?」

 

「ああ、…それは…たのしそう…だな…」

 

 

 

もう口も動かない

 

体から何かが抜けていく気がする

 

みんなが何か言ってるがもう聞こえない

 

ああ、でもやっぱり死にたくないなぁ

 

まだまだみんなと一緒に居たかった

 

神様がいるなら生き返らしてくださいって頼んでみようか

 

まぁ多分無理だろう

 

だからせめて、せめて俺の親友と家族に幸せが来るようにお願いしよう

 

そうだ、そうしよう

 

おやすみ、みんな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古代ベルカ諸王時代

 

それは天下統一をを目指した諸国の王の歴史

 

『聖王女』オリヴィエや『覇王』イングヴァルトもそんな時代を生きた王族の人間である。

 

だが後世の人々は知らなかった。

 

古代ベルカ時代のすぐれた王とされる彼等以外にも優れた王が居たのを。

 

これは歴代最強の夜天の主、『夜王』レオン・G・トエーラの物語である。

 

 




ま、まだ書いている小説があるのに別の小説を書き始めてしまった……。

お、俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇ!悪いのは諦めるなって言った脳内安西先生だ!
こんなことになるなんて思わなかったんだ、俺は悪くねぇ!!

…すみませんでした。
悪いのは俺です。
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