魔法少女リリカルなのはvivid~四人目の王~ 作:ビスマルク
もし登場する人物を当てた方には、豪華賞品をあげましょう(冗談です)!
それではどうぞ!
第十話
「はぁはぁ…、ここまで来れば大丈夫だろう」
レオンは今ただ一人だけで林の中を走っていた。
その恰好はところどころボロボロで無事なところが非常に少なかった。
それでも彼は走ることを辞めない。少しでも足を緩めたら敵に見つかる可能性が高くなるからだ。
今の彼に味方はいない。
彼の親や兄でさえ今の彼の敵だ。
そして
「やっと見つけたよ…、レオン」
親友だった者も。
「なんで…、なんでなんだよクイン!」
「レオン……」
「もうやめろ!こんなことに何の意味があるっていうんだ!?俺たちが争っていい事なんて何もないだろうが!!」
「みんな君を待っているんだ…。抵抗するならボクは…」
クインはアルドを待機状態から起動させその先をレオンに突きつけた。
明確な敵対の意思を込めて。
「君を撃ってでも、連れて行く!」
「この……、馬鹿野郎!!」
なぜこの二人が敵対することになったか。
それは先日の夜にまで戻る。
***
「このままではダメだ」
『なんの話ですか?』
現在俺は自室にてシルフィと話し合っていた。
このままでは俺が死ぬ日も近いだろう、そうならないための対策についての話し合いだ。
『それで、どうしてマスターがもう少しで死んでしまうんですか?』
「理由は簡単だ。数日後、何がある?」
『数日後……、そういう事ですか…』
「そういう事だ」
『なんともくだらない理由で死にかけてますね』
「馬鹿野郎!」
『ば、馬鹿?』
「そうだ!なにを悠長なこと言ってやがる!あと何日もあるんだぞ!」
『あと何日もあるって…、あと何日しかないの間違いじゃあありませんか?』
「否!断じて否!あと何日もあるんだ!これが何を示してるか分かっているのか!?」
『というか何をそんなに必死になってるんですか。たかが…』
「たかが?」
『期末テストごときで』
言っちまった。
言っちゃあならないことを言った。
「この馬鹿デバイス!それでも俺が作ったデバイスか!」
『ついに存在否定!?』
こいつはなんにも分かっちゃいない。
この状況で俺がなぜこんなに慌ててるかを全く理解していない。
お前の言ったたかが期末テストに俺の命がかかっているというのに。
「全く、全く!この駄バイスはこの頃の俺の生活を何も見てなかったのか!?」
『駄バイスとまで言いますか……。ん?この頃のマスターの生活…?な、なるほど!』
「ようやっと分かったか」
『確かにこれは由々しき事態ですね。テスト自体は何とでもなる。でも』
「そう、問題はテスト勉強なんだよ」
さてここで質問だ。
覚えているだろうか。
前回クインが言っていたセリフを。
あの野郎が言ったことで俺の周りで変わったことを。
「あの野郎はこともあろうかアインハルトに俺の小テストの点数を言いやがった……!」
『さらにアインハルト様が無限書庫のユーノ司書長にそのことを報告してしまったせいで地獄の学力向上プロジェクトが勃発したんでしたね……』
「悪気がない分余計にたちが悪い…!あれがクインの奴だったらその顔をぶん殴って終わりなんだがアインハルトじゃそれが出来ねぇ……!」
『あの純粋にこちらを心配している瞳をしている方を殴れる者が居たらどんな悪魔なんですかってツッコミが入りますもんねぇ』
「それを分かって隣でニヤニヤしてる奴を殴ろうにもさすがに今の俺じゃあユーノさんのバインドを解けない」
『絶妙な挑発ぶりですもんねぇ。さすがの私も今回のクイン様のやり方にはちょっと尊敬しましたもん』
無限書庫にまでわざわざやってきて俺が縛り付けられ勉強を強要されてるところをぎりぎりこちらの攻撃が届かない距離感を保ってこちらをにやにやしてくるあの顔……思い出すだけで殴りたくなってくる!しかも奴は決まって俺がひどい目にあっていない時にやってくるから俺が普通に勉強してるところしか見ていない。つまり俺がひどい目にあってることを知らないからニヤニヤしている!
知っててニヤニヤしてたらそれはそれで問題だが知らなくても殴りたいもんは殴りたい。
しかし勉強会の問題はそこじゃない。
問題は拘束されている時間だ。
約三時間、超強力なバインドによって固定され机に向かわされてる時間だ。
今まで俺が特訓に浸かっていた時間は約五時間。
つまり半分以上の時間を勉強時間に乗っ取られているという事だ。
「しかも勉強が終わった後もアインハルトも加わっての特訓になってるんだぞ?さすがに体力の限界だ…」
アインハルト曰く「毎日の積み重ねが本物の強さにつながるんです」らしい。
そこには別に反論はない。俺もそう思ってやってきた人間だから。
だがそこに勉強が加わるとなると話は別だ。
たかが勉強と侮るなよ。
あの時間は本物の地獄だ。
『ここに今日の勉強時間の時の録音がありますが聞きますか?』
「聞きたくない」
『まぁどう答えても聞いてもらうんですけど。ではポチッとな」
「お前ってホントに俺の作ったデバイス?ちょっと今度全部ばらしてどうしてこうなったか調べてみよう」
『うるさいですよ。ほら、聞こえてきました』
《それじゃあレオン。ここの問題を答えてみようか》
聞こえてきたのは我らが誇る無限書庫の司書長、ユーノ・スクライアさんの声だ。
この人はこの人でかなり厳しいことで有名だ。
またくっつきそうでくっつかない同い年くらいの茶髪の幼馴染の女性が居ることでも有名だ。
以前司書たち全員で彼らのデートのサポートの全力でやったのだが全く効果がなかった。
クソ…!あと少しでキスという事で双子と思われるそっくりな二人の金髪の女性が現れたことでおじゃんになった。
ユーノさんの幸せは一体どこに行ったのか……、大変気になる。
そんな俺の思考に突っ込むことなく彼らの会話は続いていく。
《えっと…「AMFとは何の略称か答えろ」?……アンチマジックフィールド?》
《違う!「アンチマギリンクフィールド」だよ!何回間違えればいいんだ!》
《ギャッ!ちょっユーノさん!どこからか本が落ちてきたんですけど!これって明らかに妨害ですよね!?》
《そんなことを気にしてる暇があったら次の問題を解く!》
《んな理不尽な…。ええっと「JS事件で起動していたガジェットは何種類か答えろ」?…五種類!》
《一種類多い!》
《のわっ!ゆ、ユーノさん、今度は魔力弾が降ってきたんですけど!?これって確実に人災ですよね!?ていうかどこにも姿見えないんですけどどこから撃って来てるんですか!?》
《次の問題!》
《ダメだこの人……さすがに三十三時間資料探し続けた後に一睡もせずに勉強し始めたのは間違いだったか……》
《黙って問題を解く!次が最後だからちゃんと答えるように!》
《うう、はい…。「約十年前、第97管理外世界で起きた事件、なんというロストロギアが原因?」なんだ最後は簡単じゃないか。答えは「ブルファクション!!」です》
《聞こえなかったからもう一回》
《絶対にわざとだろ…!ふぅ、答えは「ブルァァクッション!!!」です》
《もう一回》
《おのれ…!あとで絶対ぶちのめしてやる…!》
《答え》
《答えは「笑えよ…ベジ〇タ」もはやくしゃみですらないじゃねぇか!!》
《早く答えた方身のためだ》
《でもユーノさん!》
《は・や・く》
《(こ、怖えぇ!)わ、わかりました。答えは…………》
《答えは?》
《わ、分かりません》
《………》
《さ、さっきまでは分かってたんですよ!さっきのくしゃみとは思えないくしゃみのせいで「レオン」……ハイ》
《言い訳はいいよ。それじゃあ罰ゲームと行こうか》
《その笑みは怖いんですが!ちょっ!俺なにやられるんですか!?》
《大丈夫、死にはしないよ。死には、ね》
《それは大丈夫とは言わない!なっ、なんですかあのピンクの光!?こっちに向かって飛んでる!ユーノさ、もう居ねぇ!?ちょっ、誰か助け―――》
その後はザザザ…としか聞こえなくなった。
今思うとよく生きてたな……俺。
『これは聞きたくなくなるのも仕方ありませんね』
「そして逃げたくなってもおかしくないだろ…?」
『た、確かに』
こんな生活を続けていたら精神が狂っちまう。
そうなる前に手を打っておかなければ。
「という訳で計画は明日決行する」
『本当にやるんですか?これって失敗したらまずいんじゃあ…』
「ならば失敗しなければいい!さぁ明日の為に今日はもう寝るぞ!」
『本当に大丈夫ですかねぇ……』
ふふふ、明日が楽しみだ…!
***
「さぁ放課後だ。レオンは今日も無限書庫に行くんd「散開!」逃げた!」
俺が今回考えた作戦は簡単だ。
例え放課後になって速攻で家に逃げ帰ったとしても確実に俺は無限書庫に連れて行かれてしまう。
ならば家に帰らなければいいという、根本から覆す天才的発想の元考えられた作戦、その名も「家に帰らず一ヶ月家出生活」だ!
ちなみに住むところはいつも特訓の時に使ってる山に一週間かけて作った小屋があるからそれを使う予定だ。
「クインの奴にはいつも、いつも!いやな目にあわされてきたが今回はそうはいかねぇ。今日は俺が勝つ!」
『ホントに決行しましたよ…。さすがに寝不足の頭じゃそこまで冷静な判断が出来なかったんですかねぇ…』
ひゃはははははは!俺は今風になる!
む!目の前に敵影の姿が!
「レオンさん!」
「お前か!アインハルト!」
「早く無限書庫に行きましょう、皆さんが待ってます!」
「クッ!ここまでか……!」
俺は肩を落としながら無防備に立っているアインハルトの元に歩いていく。
そしてその肩を握り目を合わせ言葉をつなぐ。
ここが最難関、ここを通り抜ければ俺の勝ちが見えてくる…!
「アインハルト…、きっと俺はもうあの場所から戻ってくることはないだろう…」
「レ、レオンさん?」
「だから最後に伝えておく。俺は、お前の事が…」
「え、え、え!?」
アインハルトが激しく動揺する。
そして、この瞬間を待っていたんだ!
アインハルトの肩に置いてあった手に力を込めて跳躍。
アインハルトの頭上を飛び越えて逃げる!
急なことでアインハルトは反応できずに固まったままだ。
「あばよアインハルト!俺は逃げさせてもらうぜ!」
「~~~~!!レオンさん!!」
騙されたことで顔を真っ赤にしたアインハルトはこっちにものすごいスピードで追いかけてくる。
しかし!あそこを抜けた時点で俺の勝ちは決まっているのだよ!
「にゃっ!?」
俺を追いかけていたアインハルトは猫のような声をあげながらその姿を消した。
俺が三日間かけたつくり今日仕上げをした落とし穴に引っかかったようだ。
「ふははははは!ここまで計算通りだと逆に自分の才能が怖くなってくるな!」
『(戻ったら確実にアインハルト様にぼこされそうですねぇ、まぁ面白そうだからいいですけど)』
アインハルトが消えた今、俺に怖いものなど何もない!
そう思いながら同走していた俺の目の前に見覚えのある金髪が飛び込んできた。
「レオンさん!」
「ヴィヴィオか!まさかお前まで邪魔してくるとはな、誰の差し金だ!」
「クインさんからユーノさんへ、ユーノさんからわたしです!」
なっ!?つまりユーノさんまでこの場に来る可能性があるという事か!
クインの奴、なんて恐ろしいことを考えてやがる!
「ちっ、予定変更だ。少し早いが隠れ家に戻らせてもらう。邪魔をしてくれるなヴィヴィオ!!」
「駄目です!ちゃんと勉強しなくちゃ留年しちゃいますよ!」
「中等部に留年などという制度は無い!」
俺が大声で断じるとヴィヴィオは困った顔になった。
おそらくクインの奴がこういえば何とかなるとでも教えていたのだろう。
だが甘い!
俺は今回の作戦を実行するに当たり留年制度の有無など一通り確認しておいたのだ。
「今の俺に死角はない!」
「で、でも!そんな風にしてたらみんなから自分勝手て言われちゃいますよ!」
「俺の辞書に自分勝手などという文字は無い!」
「なんて自己中心的な辞書……!」
「自己中などという文字も当然……ない!」
ヴィヴィオがあきれ顔でツッコミしている隙に俺は『獅脚』を使用して接近してお留守だった足を引っ掛けて倒す。
「なっ!?」
「さらばだヴィヴィオ!俺の分の仕事はお前がやっておいてくれ、勤務時間が三十二時間のな!」
「レオンさ――ん!?」
もう俺には怖いものなんてなかった。
そう、これが自由だ!!
***
そして冒頭の部分に戻る。
「はぁはぁ…、ここまで来れば大丈夫だろう」
レオンはボロボロの状態でここまで来ていた。
きていた制服はもうすでにボロボロで右肩の部分から千切れそうになっている。
ユーノから連絡を受けた無限書庫の司書たちの大部分がレオンを同時に襲ってきたからだ。何とか撃退してきたとはいえそのダメージは計り知れない。ユーノが居なかったことが唯一の幸運と言えるだろうが、それは本人にとって何の慰めにもならなかった。
しかしそんなレオンの目の前に最後の敵対者が現れる。
「やっと見つけたよ…、レオン」
クイント・フェン・ヴォテックス。
レオンの親友であり今の状況を創り出した張本人だ。
「なんで…、なんでなんだよクイン!」
「レオン……」
芝居がかった声をあげるレオンに憐みの目を向けるクイン。
この状況を創り出した張本人なのにその反応は結構ひどいと思うが。
「もうやめるんだ!こんなことに何の意味があるっていうんだ!?俺たちが争っていい事なんて何もないだろうが!!」
「みんな君を待っているんだ…。抵抗するならボクは…」
クインはアルドを起動させその先をレオンに向ける。
レオンも同じようにシルフィを待機状態からセットアップさせて構える。
「君を撃ってでも、連れて行く!」
「この……、馬鹿野郎!!」
正直二人とも馬鹿だろう。
***
目の前の親友はあるどぉセットアップさせた瞬間から魔力を貯めだした。その量は俺の魔力を全部込めた奴ですら足元にも及ばないだろう。
正直あれだけの量を防ぐ方法は今の俺にはない。
ならば撃たせる前に討つ!
『獅脚』で接近してその体に『牙砲』を撃ち込むが手に持っていた杖に邪魔される。……こんな時にも俺の教えを守らないでほしい。
こいつの攻撃は魔力を使った砲撃なのだ。自然に専門が中・遠距離になる。だからこそ防御だけは鍛えておけと言っておいたのだが…、ここまで厄介になっているとは思わなかった。
それからも何度か拳を撃ち込んだがそのすべてを杖で受け止められる。しかし、完全に防げているからこそ隙が出来る。
油断とは言えないがこれだけうまく言っているのならば魔力を集める方に集中したくなるだろう。
ヴィヴィオと同じように足元がお留守になった瞬間を見抜き体勢を低くして後ろ蹴りで足を払う。その後掬い上げるように拳を防御できていないその体に叩き込み空中に打ち上げる。
空中では飛行魔法等を使わなければ体制を整えることすら難しい。そんな状態で俺の攻撃を避けることなど到底無理だろう。
しかし俺は忘れていた。
クインがユーノさんにも認めらるほどの天才だったという事を。
「これで止めだぁ!」
「この瞬間を待っていた!」
俺が拳を叩き込もうとした瞬間クインのバインドが俺を縛った。
そのバインドは俺の腕だけでなく体中に巻き付いており体を動かすことなど到底不可能だった。
今度は逆に俺が無防備な姿を見せたという訳だ。
そしてその隙を逃すほど軟な鍛え方をしていないクインはためていた魔力を使って創り出した砲撃魔法で俺を狙い撃ってきた。
その威力はすさまじく意識をもぎ取られそうになったが口を食いしばって耐えた。
魔力のタメが少なかったせいか威力は全開時の半分といったところだ。しかしそれだけでも俺の傷つけられた体は悲鳴をあげている。
だがそれでも俺は立つ。
そうしなければ待っているのが最悪の地獄だからだ。
あの地獄をまた受けることに比べたら今の城きゅなど天国の一種だ。耐えきれないわけがない。
そう、あの時のピンク色の砲撃に比べれば
「どうってことはない…!」
「な、まだ立つのか!?」
「当たり前だ!お前はあの地獄を体験していないからそんなことが言えるんだ!お前だってあれを受けるくらいだったら分の悪い賭けを決行した俺の気持ちが絶対に分かる!」
「た、たかが勉強会ぐらいで…」
「たかが!?たかが勉強会って言ったか!じゃあ俺が昨日どんな目にあった教えてやる!シルフィ、例の音声映像つきで見せてやれ!」
『分かりました!』
上映中
見終わったクインは口を開けて驚いていた。
普段喋らないクインのデバイス、アルドも声を出して驚いている。
流石にここまでやるとは思っていなかったのだろう。
『すさまじいですな』
「こ、これは確かに逃げても仕方ないかもしれない……。というかあのクラスの砲撃を撃てるのがボクには一人しか思いつかないんだが……なんであそこにいるんだ?」
その声に多分の驚きと少しの呆れがあった。
しかし驚きの事実がある。
これは数ある勉強会の中で比較的優しい部類に入るという事だ。
この時はピンク色の砲撃が落ちてきたのが一回だけだったがあるときは四回以上降ってきたことがある。さすがにその時は死にかけた。
「す、すまない。まさかここまでやるとは思わなかった」
「謝るなよ!ここで謝られたら俺が余計惨めになるだろうが!」
「しかしこれならボクが教えた方が効率がいいような気がする。本当にこの金髪の男性は無限書庫の救世主なのかい?」
「当たり前だ、この人がいなければ無限書庫は動かない。だからこそ何日も徹夜して仕事してるなんてことがざらにある。多分この荒れようは一週間は眠ってなかったんだろうな」
そしてその原因となっているのが若くして提督になっている黒髪の男性だという事を無限書庫の司書たち全員が知っている。そしていつかぼこぼこにしてやろうと思っているのもおそらく全員だろう。
「というかあの人たちが教えるっていうのがそもそもの間違いなんだよ。司書の仕事は資料の探索であって知識を他人に教えるっていうのは完全に専門外なんだから」
「確かにそうだな」
「大体だ、ああ云う所はよほどのことがない限り使わない方がいいのに次から次へと依頼を出してくるあの提督にはお灸をすえた方がいいとは思うね」
「いつかその機会もあるだろう。その時を夢見ることで我慢しておくんだ」
「そうするしかないけどさぁ。だからと言って―――」
現在俺は山の中にある川辺にてクインに愚痴をこぼしていた。
流石にあの映像を見せられた後では捕まえて連れ帰ようとは思えなかったようだ。
川に向かって石を投げていた俺は延々と愚痴をこぼしていた。
そして言ってはいけない言葉を言ってはいけないときに言ってしまった。
「大体あの人たちの教え方だって悪いんだ。そんなに俺に勉強させたいんだったらもっといい教師を連れてこい!いやそんなにいい教師だったら俺の方から行ってやるから連れて行け!!
「そんなふうに言っちゃあダメだと…!?」
俺がその言葉を言った瞬間俺が持っていた石が突如光り出す。
驚いてすぐさま手を離す俺だったが時すでに遅し。光は俺とクインを包み込む。
余りの光量に目を強く瞑る俺たちが目を開けて次に見たのは信じられない光景だった。
明らかにミッドチルダではない街
先程まで居たはずの林ではなく傾斜のある山
ミッドでは見れない種類の鳥
その全てがここがミッドチルダではないことを証明している。
そして呆然としていた俺たちの耳にある声が届いた。
それはきっと、本来誰にも聞かれることの無かった声。
《誰か…》
その声は弱々しく今にも消えてしまいそうなもの。
《わたしにはまだやるべきことが…》
しかし強烈な意志がこもっている声だった。
「レオン」
「ああ、分かってる。シルフィ、魔力反応は?」
『かなり弱いですが反応しています。近くなのですぐに向かった方がいいですよ』
「わかった。クイン!」
「ああ」
すぐに念話を送った主が居ると思われる場所に向かった俺たち。
そこに居たのは。
「なん……」
「だと……」
一匹の山猫だった。
という訳でレオン君の願いが叶ってやってきたのはリニスさんの元。
この展開を読んでいた人がいたというのならその人は作者に少しアイディアを分けてほしいと思います。
ちなみにこの展開は結構前から考えていたものでちょっと色々できる人いないかなぁと探していたところリニスさんに白羽の矢が立ったという訳です。
決して、決してこの文章を書く前にゲーム動画見てたからという理由じゃありませんから!!