魔法少女リリカルなのはvivid~四人目の王~ 作:ビスマルク
ようやくシルフィが喋れるほど魔力が回復した次の日。
つまり今日は、念願のチーム戦ということだ。
もちろんよく知らない俺としては懸念があるわけだが。
せっかくだし丁度一緒にいたフェイトに聞いてみることにした。
なんでフェイトと一緒にいるかって?
俺もフェイトも朝早く起きることに慣れ過ぎてて外で散歩してたら偶然会った。
ほかのガキ?みんな寝てるよ。いい子は寝る時間だよ
ついでの俺達の兄と姉だが……昨日、夜の生活を行ってたせいかいまだに寝ている。
隣の部屋に居たのが俺だったからまだよかったが、ほかの子供に聞かせちゃいけないことは自重してほしいと思った。
さらにそれを偶然聞いてたのかプレシアは昨夜なんか藁で出来た人形と兄貴の写真と釘を持って、白い服を着たうえで何かしてた。
あんなものどこから用意してきたのだろうか?世界は謎に満ちている。
まぁ、そんな解けない疑問より目の前の疑問という訳で隣にいるフェイトに質問してみた。
「今日は対戦か……、というか三連戦もやって体力は大丈夫なのか?」
「大丈夫なんじゃないかな。みんな頑張って練習してるし」
「ふーん、それでチーム分けはどうなってるんだ?」
「ああ、それならこれに書いてあるよ」
Aチーム
FA ノーヴェ LIFE3000
FA アインハルト LIFE3000
FA レオン LIFE3000
WB コロナ LIFE2500
FB キャロ LIFE2200
CG ティアナ LIFE2500
GW フェイト LIFE2800
Bチーム
FA ヴィヴィオ LIFE3000
FA スバル LIFE3000
FA クイン LIFE3000
FB ルーテシア LIFE2200
CG なのは LIFE2500
GW リオ LIFE2800
GW エリオ LIFE2800
「ふぅん、つまり俺はフェイト側ってことか。まぁ一度やり合った奴よりは一回もやったことの無い奴の方が楽しいからいいけど」
「うん。今日は成長した私の力を見せるから楽しみしててね」
「見せてもらおうじゃねぇか」
俺の感覚として実感はないが、フェイト達にとってはあれからもう十何年たってるんだ。
その間どれだけ成長したかを見せてもらうにはちょうどいいだろう。
「とりあえず俺はクインと戦いてぇ。あいつはこういう場じゃないと絶対に新しい魔法を使ってこないからな。それに今回作った奴はかなりの自信作っぽいからな」
「大きい奴には気を付けてよ。特になのはが来たら受けるんじゃなくて避けることに専念して」
「……なぜだか知らんが体がそうしろって言ってる」
だんだん体が震えてきたんだが、本当に俺の体は大丈夫なのだろうか。
そんな俺の不安をよそに試合の時間がやってきた。
***
「今日こそそのむかつく顔をぶん殴る」
「今日こそそのアホみたいな顔にぶち当てる」
「……」
「……」
「「やってみろ!!」」
試合が始まる少し前にこんなやりとりをやっていた。
アインハルトたちは喧嘩でもしたのかと心配していたがそういう訳じゃない。
ただ、いつもいつもあの硬い障壁に邪魔されて拳を叩きつけることが出来ないから意地になっているだけだ。
因みにクインも同じように、俺がいつもあいつの砲撃を避けてしまう為にストレスがたまっているだけだ。
それにこれは本格的な模擬戦をやるときにはいつも交わしている、一種の恒例となっているものだ。
「だからそんな不安そうな目でみるな」
「で、ですけど……」
「ほら、あっちのクインだって同じような質問をヴィヴィオから受けて困ってるだろうが。ただでさえお前ら戦闘準備すると肉体年齢上がるんだから、ついでに精神年齢も上げとけ」
「素で精神年齢が高いレオンさんに言われると困るんですけど……」
「ほら、あっちは決着ついたみたいだから。俺とクインは喧嘩してるわけじゃないから。だから心配すんな」
「……はい」
アインハルトの心配性は長所であると同時に短所だな。気にしなくてもいいところまで気にしちまうし。
まぁそこが戦闘で有利に働くこともあるからいいことだとは思うんだが……。
そこら辺のコントロールが出来るようになるまでは目が離せないよなぁ。
「とにかく!今日は俺にとっても久しぶりの『夜王流』と『覇王流』のタッグだ。張り切っていこうぜ」
「はい!」
やる気も十分、体力的にも最高。
まさにベストコンディション!
「おいフェイト。今日は暴れるが、別に落としてしまってもいいんだろ?」
「うん、もう一回レオンの戦いが見れるから楽しみにしてたんだよ?」
「OK、任せとけ。期待以上の戦果を挙げよう」
試合前のミーティングを済ませそれぞれの所定の位置に着く。
そしてとうとう試合時間になった。
「ウイングロードッ!!」
「エアライナーッ!!」
スバルさんとノーヴェさんが魔法を発動させて帯状の道が出来る。
それを使い敵エリアに向かう。
「コロナ、アインハルト。それぞれヴィヴィオとリオを足止めしてくれ!その間に俺がクインを落とす!」
「はい、任せてください!」
「分かりました」
俺が言い終わるのと同時に俺達の間を割るようにエメラルドグリーンの砲撃が撃ち込まれる。
この微妙に回転のかかっている砲撃はクインしかいないだろう。
しかもあいつは今、主に俺を狙ってきた。その証拠にアインハルトとコロナより俺にダメージが当たるように撃ち込まれていた。
まぁそこは身のこなしとかでなんとか避けてダメージを通さなかったが、さすがに分断されたな。
こりゃ作戦立案したのもクインだろうなぁ。
そんでアイツが考えていることは……。
「やっぱ俺との直接戦闘だよなぁ」
「当たり前さ。君の戦闘スタイルを知っているのはアインハルトさん、フェイトさん、それとボク位。情報を何も知らない人に君を当てて撃墜なんてされたら目も当てられない。」
「それは建前だろ。本音はどうなんだよ」
「……君を倒す絶好のシチュエーション。この好機は逃したくなかった。これでいいかい?」
「ああ、実は俺も同じ気持ちだ」
「気が合うね」
「全くだ」
そしてお互いに構える。
俺は拳を、クインは杖を。
相手に純粋な闘気を向ける。
「行くぞシルフィ!アイツの鼻をへし折る!」
『いつも以上に張り切っていきましょう、マスター!!』
「行くよアルド!あの自信満々の顔をへこませる!」
『お任せください主。存分に戦闘を行ってください』
それぞれの相棒に声をかけ戦闘を開始した。
***
最初に先手を打ったのはクインだった。
高町なのはがよく使っている中距離誘導射撃魔法『アクセルシューター』をアレンジした『リヴァルヴシューター』使いレオンに対して弾幕を張る。
それをレオンは『獅脚』によって一瞬でトップスピードにはいり回避する。
しかしその弾幕の量は多く、その魔力量の多さから次から次へと減った分だけ追加されていく。
(やはり距離を保たれたままでは一方的に打ち込まれるだけだな。ここは危険を承知で突っ込むか?いや、ここは少し様子を見たままの方がいいだろう)
「さぁ、どうしたレオン!あんなに威勢のいいこと言ってたわりに逃げてばかりじゃないか!?」
「うるせぇ!(しかし今のままじゃクインの言った通りになる。あいつが魔力を切らせるなんて間抜けなことをするはずがないし……、そういやこの前あいつ魔力量AAAランクになってなかったっけ?)やっぱジリ貧だよなぁ……」
クインの分かりやすい挑発に乗らずにビルとビルの間を飛び回るレオン。
ところところでウイングロードやエアライナーを使い軌道を読ませないように移動するレオンはとにかく一度距離を取って仕切りなおすことにした。
――――それが罠だと気付かず。
「なっ!?」
「かかった!!」
レオンがクインから離れようとした瞬間その足にバインドが巻き付き移動を阻害した。
しかも勢いがついていたためレオンは地面に倒れこむことになり完全な隙だらけになってしまった。
「『リヴァルヴバスター』!!」
クインはそこにすかさず砲撃を撃ち込む。
砲撃は寸分たがわずレオンを巻き込みビルを倒壊させた。
完全に決まっていたらクインの勝利だろう。
しかしそうはならなかった。
「やっと隙を見せたな」
「――――!?」
「『牙砲』!!」
いつの間に背後をとっていたのかクインの後ろに拳を構えていたレオンが居た。
流石に無傷とはいかなかったが全く衰えていない拳をクインに叩き込む。
とっさに障壁で防御するが、すぐに砕かれ地面にたたきつけられる。
レオン DAMAGE600 → LIFE2400
クイン DAMAGE700 → LIFE2300
お互い、先ほどよりも距離を近づけながら構える。
その表情からは今の戦いが楽しいという感情がよく伝わってきた。
レオンはバインドを砲撃が当たる前に砕き回避するが、その際破片が当たりダメージ受けた。
クインはレオンの『牙砲』を受ける前に障壁を張るが、咄嗟だったために十分な魔力が込められずダメージを受けた。
ダメージ量はほぼ同じ、互いの手の内を知っているが故に慎重になってしまう。
そんなセオリーを無視しレオンが加速する。
相手の出方を見ずに打って出るそのやり方は一歩間違えば一気に落とされてしまうであろう諸刃の剣。
それでも勝利がその先にあるのならば躊躇いなく飛び出す、それがレオンという戦士だ。
一方クインはレオンのそれを予見していたように今度こそ十分な魔力を込めた障壁で受け止める。
そして拳と障壁の鍔迫り合いという珍しい光景を作る。
「やっぱり、そう簡単には、決めさせてくれないか!」
「当たり前、ボクにだって、意地がある!」
互いにその状態から離れレオンは加速し、クインは撃ち込む。
先程と一緒の様で全然違う戦いが始まった。
レオンは先程のようにビルからビルへ飛び移り距離を取る方法から、一気にクインの方へ接近する方法をとった。
それに動揺せず砲撃を撃ち込むクイン。
(少しくらいは慌てると思ったんだが……それでも正面突破は変わらんけどな!!)
(君ならそれくらいしてくると思った……本当に君はボクの知らない戦い方を見せてくれるッ!!)
クインの砲撃を紙一重で避けつつ時に籠手を使い軌道を逸らすことで避けるレオン。
しかし
その様子に眉を顰めるが構わず拳を叩き込むレオン。
それを杖で受け吹き飛ばされるクイン、ビルに叩きつけられて瓦礫の下に埋まってしまった。
レオンは警戒し続けるが一向にクインは瓦礫の中から出てこない。
思わず顔をしかめる。
(さっきあいつは攻撃を受ける時後ろに跳んで衝撃を減らしてた。完璧じゃないからそれ相応のダメージを受けているはずだが……。あいつの事だから絶対性格悪いことを考えてる)
思考がひとまとまりした瞬間後ろから何かを感じたレオンは前へ飛び出す。
避けきれずに砲撃の一つが背中に当たってしまいダメージを負ってしまうが、すかさず周りを確認する。
しかし奇妙なことに砲撃を撃ってきたであろう人物は見当たらない。
どういうことだ、と試行を回そうとしたときに次から次へと砲撃が飛んでくる。
「ッ!『牙散・集』!!」
『牙散・集』 通常の『牙散』は飛び道具などを弾く技だが、この派生技は相手の攻撃を回避せず、回収し投げ返す技。主に砲撃魔法や、射撃魔法に使う。処理できないほど威力の高い砲撃などには利用できない。
砲撃を受け止め、相手が居るであろうはずの場所に投げ飛ばす。
そこには何もいなかったが、急に障壁が張られ砲撃を受け止めた。
そこに何かいると判断したレオンはすぐさま軽い射撃魔法を使い撃ち込む。
やはり障壁が張られ、そこに何かが居ると確信した。
「というかお前しかいないだろ」
「……なんで気づいたんだい?」
「さっきから全然瓦礫が動いていない。イコールすでにあそこからお前は脱出していた。違うか?」
「まいったね。新しい魔法がこんなに早く見破られるとは」
そう言って自らの体の周りに張っていた魔法を解除して姿を現すクイン。
そこにはレオンから受けたダメージが見られた。
「『ミラージュコロイド』。体の周りにカメレオンの皮膚のように色が変化する術式を張る魔法だ。ただしカメレオンのそれよりはるかに高性能だけどね」
「それは身をもって体験した。とっとと対応策でも考えさせてもらう」
クインは再び姿を消しその場から移動する。
レオンは砲撃を避けながらこれからの対応策を考え、一つだけ思いついた。
すかさずそれを利用するために移動を開始する。
「さぁ、一緒に踊ってもらうよッ!」
「悪いが踊りは嫌いなんだ、踊るなら一人でやってろッ!」
レオン DAMAGE400 →LIFE2000
クイン DAMAGE400 →LIFE1900
戦いは次のステップに進みはじめた。
***
「『ソニックシュータファイア』ッ!」
アインハルトが戦っていたのはヴィヴィオだった。
アインハルトとヴィヴィオ、単純な戦闘力ならアインハルトの方が上だろう。しかし戦いというのはその差を覆す方法というものがいくつもあるものだ。
今ヴィヴィオが行っている作戦もその一つ。
速い弾幕を撃ち込みアインハルトを受けに回させる。アインハルトはヴィヴィオの思惑通り受けに入った、が。
そこから先はヴィヴィオの想像通りとはいかなかった。
アインハルトはヴィヴィオの放った魔力弾を全て受け止め。そして全てをヴィヴィオに投げ返した。
「『覇王流・旋衝破』」
ヴィヴィオ DAMAGE800 → LIFE1800
寸分違わず全て返されヴィヴィオは大ダメージを負った。
さらにダメージを受けて体勢を崩しているヴィヴィオを追撃しようとした。
「アインハルト!躱せッ!」
その声に思わず反応して後ろに跳び下がる。
一瞬後先程まで居た場所に砲撃が撃ち込まれていた。
突如聞こえてきたレオンの声が無ければ大ダメージは避けれなかっただろう。
「大丈夫か!?」
「はい。ですが今のは……」
「察しの通りクインだ。あいつさっきからどこからともなく好き勝手に撃ち込んできやがる」
「ですが姿が見えませんが」
『クイン様の新型魔法です。自分の姿を消すなんて魔法きいたこともありませんけどね』
「……残念ながら自分だけじゃないみたいだな」
『はい?』
シルフィの言葉に否定を返すレオン。
アインハルトは少しの間混乱したがレオンが見てる方向を見てようやく気付いた。
先程までそこにいたはずのヴィヴィオの姿が無い。
辺りを見渡しても全く姿が無い。
ヴィヴィオに短時間で自分の目が届かない場所まで移動するほどの機動力が無いと判断したアインハルトはようやくレオンの言いたいことが分かった。
クインはヴィヴィオの姿も消して移動したのだと。
「気をつけろよ。いつどこから攻撃が来るか分からない。さすがに接近戦の時までは使えないみたいだがそれでもあいつらには遠距離攻撃がある分俺らより有利だ」
「分かっています。レオンさんは魔力弾を防ぐ方法はありますか?」
「一応な。ただお前の『旋衝破』程応用性が無いからあまり期待するなよ」
「はい」
しばらく背中合わせに警戒し続けるが一向に攻撃はこない。
下手に移動しようとすれば隙を見せることになる。
そう考え二人は動くことなく相手の攻撃を待つ。
射撃が来たら弾き返しクイン達の居場所を探る、それをさせたくないクイン達は一度でレオンたちを倒したい。
まさに忍耐力の戦いだった。
「レオンさん、もうここにクインさん達はいないのでh――――」
「――――頭を下げろ!」
レオンの言うように頭を下げるアインハルト。
その頭上を飛んでいく砲撃魔法と射撃魔法。
レオンはすぐさま砲撃のあった方に向かって拳を叩きつける。
瓦礫が舞い上がりその一つがクインに当たる。
そして『ミラージュコロイド』が解除される。
そして一緒にいたヴィヴィオごと殴りつけ、ビルへ叩きつける。。
クイン DAMAGE1100 → LIFE800
ヴィヴィオ DAMAGE1000 → LIFE800
咄嗟に回避することも出来ずに大ダメージを受けるクイン達。
しかしクインもただ吹き飛ばされたわけではなかった。
レオン DAMAGE900 → LIFE1100
クインは殴りつけられた瞬間レオンの体に五発の射撃魔法を撃ち込んでいた。
一つ一つの威力は弱くても束になれば大きなダメージになる。
レオンは思わず膝をついてしまう。
「レオンさんは一度下がってください!わたしは」
「分かってる。俺にもティアさんから通信が来た。LIFEも心もとないから回復に下がる。クイン達も同じようにするはずだから戦力比はこちらに傾いてるはずだ」
「はい。ここで流れを掴めば」
「俺達の勝ちだ」
「たった一度の砲撃だけで場所まで見破られるとは……、おかげで一度下がらなきゃいけなくなったよ」
「話は聞いてましたけどあそこまで強かったんですね。普段とは全然違いますし」
「まぁどちらもレオンの本当の姿だけど……、戦闘経験だけならこの中でも最高クラス。下手をすればなのはさん達すら超えてるかもしれない」
「さすがは『夜王』ですね」
「あまり言わないでね。レオン自身もあまり言われたくない内容だし、家族にも内緒にしてるみたいだから」
「わかりました!」
レオンからダメージを受け一度撤退せざるを得なくなった二人は急いで自陣に戻る。
自分の射撃が当たっているはずだからアインハルトはともかくレオンは自陣に戻らざるを得ないだろう。
今のところはあちらに分があるように思われる。
(だけどボク達もこれくらいじゃ終わらない。それは君だってわかっているはずだよね、レオン!)
これより戦いは中盤に向かうのだった。
模擬戦前半部分でした!
あまり続かせたりとかしないのでこれでいいのかという不安はありますが楽しんで貰えれば幸運です。
次回は早く更新したいと思っているのでよろしくお願いします。
それではまた次回!