魔法少女リリカルなのはvivid~四人目の王~ 作:ビスマルク
色々と新キャラとか出していくうちに9000文字以上になりましたが、楽しんで頂ければ結構です。
「とりあえずある程度回復したら俺もアインハルトの援護に行こうと思います。流石に高町さん相手に一人じゃ厳しいでしょうし」
「そうして。なのはさんを抑えるのが目的だけどここでつぶされるわけにもいかないし」
現在クイン達との戦いでLIFEを削られた俺はキャロさんの元でライフの回復を受けていた。
受けながらティアナさんと今後の作戦について少し話していた。
アインハルトと高町さんとの戦いはアインハルト優位で進んでいるが何度やってもその全てを防がれている。
というか魔力光の色で高町さんが砲撃の犯人だということが分かった。
おそらくユーノさんに頼まれてやったんだろう。愛の力は偉大ということだろうか。
それにしても……。
「さすがはクインが目標としているだけのことはある……。えげつなさがクイン以上だ」
あ、アインハルトが捕まった。
まぁ、高町さんも急いで作ったバインドだから今回の合宿で学んだことを思い出せれば何とかなるだろう。
レオン RECOVERY1600 → LIFE2600
「そろそろライフの回復もいいと思うので行きます。ティアナさんの砲撃に巻き込まれる可能性もあるので」
「うん!頑張ってね!」
キャロさんがアインハルトの召喚の準備をしているが多少時間がかかる。
その間に落とされては目も当てられなくなる。
あのクラスの砲撃受けたら一撃で動けなくなるだろうし。
とにかく全速力で行くか!
***
レオンの予想通りなのはの砲撃を受けたアインハルトは動けなくなっていた。
完全に受け流すことが出来ないのはクインとの戦いであったこともあったが完璧にのみ込まれたことはなかった。
それだけでも相手がかなり上位の方にいることが分かった。
おそらく、今現在自分が目標にしているレオンよりも上の存在。
そんな人間の砲撃を受けてライフが残っているのが奇跡のようなものだった。
しかしそれ以上に驚いているのが砲撃にのまれる前に撃った一撃。
打撃の威力でバインドを破壊した技。
(あれが特訓の成果……!)
今回の合宿の成果に驚いて放心しているが、相手は待ってくれない。
なのははアインハルトの強さを嬉しく思いながらも止めを刺そうとデバイスを振る。
しかし止めの砲撃を撃つ前に背後から魔力弾が襲う。
障壁を張るがその障壁ごと頭に当たりダメージを負う。
「いっっ……た~~!!この弾丸、ティアナッ!」
「アインハルトよくやったわっっ!」
なのはを撃ってその動きを阻害した人物、赤組の
その周りには大量の魔力弾が漂っていた。
「おかげでチャージもシフトも完了!これが赤組勝利の篝火――――『クロスファイア・フルバーストッッ』!!」
その全てが青組を狙い撃つ。
青組の面々はすぐさま回避し、着弾することを回避するが魔力弾が建物などに当たりその瓦礫に当たることでダメージを受けてしまう。
なのは DAMAGE900 → LIFE1100
スバル DAMAGE200 → LIFE1950
エリオ DAMAGE300 → LIFE1800
しかしそれは青組だけではなかった。
当たることはなかったが赤組の面々の動きを阻害するくらいには破片が飛び散る。
それはアインハルトも例外ではなく、倒れて動けなくなっている体に瓦礫が降ってくる。
が、それが当たる前にレオンがアインハルトを抱えて避ける。
「あとは王子様の腕の中ででも休んでいなさい」
「危ないでしょうがっ!少しは考えて撃ち込んでくださいよ!」
「いいじゃない、あんたが来ることは分かってたんだし。アインハルト避難のためにわざわざ先に回復させといたのよ?」
「だからって、もう少しやり方ってものがあるでしょ!?それにすぐにキャロさんに召喚させればいいだけの話でしょうが!」
「(ご褒美に少しくらい好きな男の腕に抱きかかえられるというものを用意しておいたってことなんだけど……レオンに言っても絶対に意味ないわね……)それは無理ね。あんたの回復してたから準備が出来なかったし。とにかく早く離脱しなさい。なのはさんの攻撃が来たら不味いわよ」
「う゛っ」
ティアナの言葉にものすごく嫌そうな顔してすぐにアインハルトを抱え込みながら走り出すレオン。
クインの言葉が本当だったらあのなのはの砲撃を何度も受けてから当然だろう。
というかあれを受けていてよく十三歳の少年がなのはに立ち向かえるものだと感心するティアナは機動六課時代を思い出し少し身震いする。
よく昔の自分は耐えられたものだと感心した。
「さて、これからが大変ね……」
一撃与えた程度では安心できない。
これからが本当の戦いだと気を引き締めた。
***
ティアナさんの砲撃と高町さんの反撃が届かないであろう場所までアインハルトを抱えた俺は逃げてきた。
とりあえずさっきから一言も話していないアインハルトを下ろし話しかける。
「とりあえずここまで来たら大丈夫だろ」
「…………」
「おーい、アインハルトー?」
「…………」
返事をしない。
唯の屍のようだ。
「とりあえずキャロさんの準備が整うまでは隠れてやり過ごすか」
「………」
何の反応もなし。
段々と泣きたくなってきた。
とにかくやる事もないからキャロさんに今どれくらい準備が整っているか連絡しようとして――――アインハルトを抱えてその場から飛んだ。
その瞬間さっきまで俺達が居た場所が爆破される。
飛んできた砲撃の色はエメラルドグリーン、つまり襲ってきたのは
「またお前か!」
「うん、ボクだ。という訳で付き合ってもらうよ!」
「どんな訳だ!?」
煙の中から出てきた我が親友クイン。
その砲撃をアインハルトを抱えながら避け続ける俺。
いくらなんでも人一人を抱えながら攻撃できるほど俺はまだ成長しきっていないし、クインも弱くはない。
おそらくクインもそれが分かっているからこそアインハルトという動けない足手纏いが居る今を狙ったのだろう。
ここでアインハルト、あわよくば俺も潰そうという魂胆が見え見えである。
しかしその思惑に乗る気のない俺はひたすら逃げる。
クインが姿を消して狙ってこようと、狙いが分かっていれば避けるのは簡単だ。それにクインは早くしとめようとして攻撃が単調になっている。
ここはさすがに経験の差という奴だろう。
そんなふうに避け続けていた俺だが、抱えていたアインハルトが光り俺の腕から消えていった。
ようやく肩の荷が下りたような気分を味わいながら姿を消すのを辞めたクインと相対した。
「アインハルトもキャロさんによって召喚されこの場から居なくなった。つまり条件は同じになったってことだ」
「さっきの決着をつけようか?」
「構わんぜ?おおかた多人数で各個撃破、みたいなことを考えてるんだろうが、それを乗り切れば俺達の勝ちだ」
「乗り切る事が出来れば、ね!」
「出来るに決まってるだろう、が!」
互いに笑いながらぶつかりあう。
目の前のこいつは、敵だ。
今だけは打ち倒すべき敵だということにしよう。
そう思うことでようやく俺は本気になれる。
俺の左目に魔力がたまるのが分かる。
前世の頃から本気になろうと思うと自然に左目が橙色になってしまう。
理由はシャマルでも分からなかった。
まぁ本気になれたかどうか良い判断基準になるからいいかと放っておいた。
俺の左目の色が変わったことに軽くクインが驚いていたがしかし、攻撃の手を緩めるようなことはしない。
「(そうだ、それでいい。それでこそ!)本気になる価値があるッッ!」
弾幕を張りながら砲撃のためのチャージをしているクイン。
いつもならこの弾幕を避けて反撃の隙をうかがうが、今回はそうはしない。
そのまま『獅脚』を使い飛び込む。
「なッ!?」
クインが驚くが、これは別に奇を衒ったわけではない。
射撃魔法程度なら一発一発のダメージは大したことはない。
なら最低限の攻撃を喰らって相手の大技を潰すことの方がこの後有利に判断しただけだ。
しかし俺がクインの前に立つのと同時にクインのチャージが終わり砲口が俺に向けられ撃ち出されそうになる。
その瞬間杖を持っている方の手を蹴り上げ方向を上に逸らして回避する、と同時に踏み込みその腹に『牙砲』をぶち込み、吹き飛ぶ前の密着した状態で『牙砲・零』で追撃する。
「ガホッ!」
レオン DAMAGE450 → LIFE2150
クイン DAMAGE1080 → LIFE1420
息を吐きながら瓦礫の中に吹き飛ぶクインはそのまま見えなくなった。
それと同時に俺の左目も元の赤に戻る。
どうやらクインはまだ本気の俺と戦えるほどではなかったようだ。
まだまだヴォルケンリッタークラスと戦ったらシルフィの貯蔵魔力を使った上でいい勝負したうえで負けるくらいの実力だと判断する。
前世の今頃はこれ以上の弱さだったため今世はかなり成長率がいい。
おそらく完成系が見えてるからだろうと感想を頭でしてるうちに頭の上でものすごい魔力が収束されてるのを感じた。
「これは……収束魔法だよなぁ……」
『でしょうねぇ……。どうします、逃げます?それとも防ぎますか?さすがにこのタイミングじゃマスターと言えど逃げ切れないと思いますけど』
「じゃあ第三の選択肢、止めるっていうのはどうだ?」
『止めるって言っても、どうやってですか?』
「ふっ、俺に考えがある。任せておけ」
『(マスターがこう言うときって大体物事が悪い方向に働くんですよねぇ。まぁ面白いうことの方が多いからいいんですけど)』
シルフィとの会話が終わると同時に高町さんに声が届くところまで上る。
そうして上に飛び出した俺は大声で高町さんどころか周りに聞こえるほどの大声で叫んだ。
そう、決して言ってはならなかったことを。
「ユーノさんがこの前誰かとデートしてましたよぉぉぉーーーー!!」
その声を聴いた高町さんは一瞬動きを止め、作戦が成功したかと俺が喜ぶ前にその魔力を爆発させた。
そしてティアナさんの砲撃を呑み込み、敵味方関係なく吹き飛ばした。
これが魔王の怒りかといった言葉を後悔した。
レオン DAMEGE1900 → LIFE200
咄嗟に瓦礫を盾にしたと言ってもライフが残ったのは幸運以外の何物でもない。
ティアナさんはどうやらスターライトブレイカーで吹き飛ばされライフが0になったようだ。
気絶して伸びてるし。
砲撃を撃ったもう一方である、高町さんと言えば……。
「ユーノ君に手を出す奴は……滅殺、抹殺、撃殺なの……」
かなり怖い状態になっていた。
怒りのあまり周りも見えない状態+ライフが100以下なので速やかに倒させてもらう。
まさかここまでの状態になるほどユーノさんを愛しているとは……早くユーノさんに告白するように進言しておいた方がいい気がしてきた。
「あの人本当にい人なんだが人の好意に鈍感というか……、そこが俺達司書の悩みの一つなんだよなぁ」
『(おそらくユーノ様もあなたには言われたくないと思うでしょうが。まぁ人の振り見て我が振り治せ、ですかねぇ)それよりもマスター、残っているのは何人なんですか?』
「ん?あの砲撃なら大体落ちてるだろうけど多少は残っているだろうな」
確認してみると残っているのは俺含めて四人。
多分だが一人はアインハルトだと勘が言っている。あの砲撃の届かない場所に居たおかげで助かったとして、残りの二人は誰だ?
多分両方とも敵だろうな。
俺の方に向かってきてるし。
「はぁはぁ、レオンさん、見つけましたよ!」
「残っている一人はヴィヴィオで、もう一人はクインってところか?」
その返事は後ろから襲ってきたエメラルドグーリンの砲撃でわかった。
すぐさま飛びのいて避けたためダメージは無かった。
「君の余計な一言のせいでとばっちりを受けた気がしてならないよ……」
クイント LIFE400
ヴィヴィオ LIFE1500
ヴィヴィオのライフだけ桁が違うな。
とにかく残りのライフだけだとこの二人相手に勝つのは難しいな。
この二人は俺に射撃魔法の一つでも当てたら勝ちなのだから焦る必要がない。
俺の場合、先程クインにやったような自爆特攻をした時点で負け確定だ。
しかし、ヴィヴィオはともかくクインの奴は良いのを一発入れれば終わるだろうし今は
「避けながらアインハルトが来るのを待ちますか」
「避けないでください!」
「逃げるなッ!」
それにしてもこの二人、俺に対してかなり怒っているようだが何故だろう。
「レオンさんのせいでトラウマを思い出したんですよ……!」
「あの爆弾発言が無ければまだマシだったと思えばこう過激になってもいいと思わないか……!」
ああ、なるほど。
俺のせいで砲撃の威力が上がったという事実を考えればこの二人の怒り様も理解できる。
俺だって、もしやったのが俺じゃなかったら怒り狂っていただろう。
とはいえやられるのは嫌だし、一発も当たってやらないんだけど。
「レオンさん!」
どうやら援軍が来たようだ。
アインハルトは到着と同時にヴィヴィオに殴りかかり射撃を中断させる。
どうやら逃げ回るのを終わりにしていいようだ。
「そろそろ終わりにするか」
「その顔に一発ぶつけるまで終われない……!」
ヴィヴィオはアインハルトに任せうとして、俺はクインの相手をしますか。
といってもうかつに近づけば一撃で撃破されるので基本は今まで通り避け続ける。違うのはじわじわと近づいていくことだ。
クインもそれに気付いており弾幕を上手く使って俺に当てるようにしている。
この弾幕を破るには何か今俺の手元にないものが必要だろう。
ふと見れば足元にあるのは大量の瓦礫。
これを使えば……。
うん。危険もあるがリスクのない勝利なんてものはそれを乗り越えた先にしかないもんだし、いっちょやってみますか!
「おらよ!」
「なっ!?」
俺は足元の石をクイン目掛けて蹴り飛ばす。
すぐさま杖を振るって弾き飛ばすがその間僅かだが射撃の制御が甘くなる。
その隙が出来ることを予想して意思を蹴り飛ばしたと同時に走り出す俺。
ここで社規の制御が変わっていなかったら俺の負けだったが。
「今回は俺の勝ちみたいだな」
「次は勝つよ」
懐に入った俺の一撃でクインは倒れライフは0になった。
と、同時にアインハルト達の戦いも終わったようだ。
どうやら最後のヴィヴィオのカウンターを防御しきってアインハルトの勝ちになったようだ。
だけどライフがほぼ0だったためもう動けなくなっていたが。
という訳で第一回目の模擬戦は俺達赤組の勝利でした。
なのに後から余計なことを言うなと模擬戦に参加していた両チームの人たちに言われた。
あの場なら一番相手を動揺させる言葉を選んだ、と言ったら先日の川に沈められた。
アインハルトが助けてくれなければ死んでいただろうな、と感謝の念を抱いた。
***
模擬戦が終わった後みんな宿に戻ったが俺は一人森に入った。
アインハルト達には特訓だと言っておいたが実際は違う。
ただ、体が限界だったのだ。
「ウ、ッガ!――――――!!」
左肩を抑えながら叫び声をかみ殺す。
激しい痛みが左肩を中心にして体中を走る。
唇を噛み切り血が流れるのが全く気にならないほどの痛み。
前世でも味わったことの無い痛みを叫ばないで我慢していたのは我ながらすごいと思うが、そんな思考さえ痛みの中に殺される。
そんな永遠とも思える時間はおそらく十分にも満たなかったのだろう。
痛みが和らいだのと同時に息を大きく吐き、呼吸を整える。
『大丈夫ですか?』
「さすがに、これほどまでとは、思わなかった……」
プレシアとの戦いの後も痛みが襲ってきたが、それでもこれほどではなかった。
おそらく模擬戦を三回も行ったことによる魔力消費量の差だろう。
あの時はシルフィの中にためておいた魔力を使っていたためマシだったが、今回は全て自前だった。
枯渇するほどに魔力を使うとこれほどの痛みを発するとは、自分の事ながら厄介なものを背負ってしまったと思う。
「アインハルトたちには絶対に話せないな……」
『それはいいとして、無駄だと分かってても医者にかかることくらいはいいんじゃないですか?』
「無駄だ。この侵食は俺のレアスキルの代償だ。俺自身、俺の体を掌握することで調べてみたが、これはどうにもならん」
俺のレアスキルは二つの段階、掌握と改変に分かれている。
改変するものをまず掌握し、それ自身すら知らないような情報でも全て引き摺りだす、それが掌握。
改変は掌握したものに自らの魔力を流し込みそれ自身の在り方を変えるというものだ。
掌握には時間がかかり、かなりの情報を持つものには半日ほどかかってようやく完了するものもある。それに比べれば改変はあまり時間がかからない。
しかし、今回の侵食の場合問題となるのは改変の方だ。
掌握は時間はかかるが魔力をほとんど使わない。
一方改変は時間はかからないが、代わりに莫大な魔力を持っていく。
その時、魔力が無いのにも拘らず改変を無理して使おうとすれば体の一部を侵食されていくと言う事だ。
前世ではほとんど使わなかったうえ、魔力量が今とは桁違いに多かったためこうなることを予見できなかった。
この侵食について俺は自分の体を掌握することによって調べた。
幸いこの侵食は改変を使った時にしか進まないようで助かった。
今の俺の体の状態全てを理解すると同時に分かっても、本題であるこの侵食についての結果は散々なものだった。
“何一つわからない”ということが分かった。本当にそれしか分からなかった。
どうして痛みが走るのか、何故体を蝕むのか。
何一つわからなかった。
おそらく誰が調べてもそうなのだろう。
大量の魔力がこの身に宿れば何とかしようもあるかもしれないが、SSランク以上の魔力がこれから身に着くとは思えないし、これについてはもう諦めるしかないだろう。
「最強目指すために、かなりのハンデを負っちまったなぁ」
『それでも目指すのはやめないんでしょう?』
「当然!それが俺がアイツ等に一方的にした約束だ」
『勝手にそんな約束されても困るだけだと思いますけどねー』
俺らしくって良いだろ、と答えみんなの待つ宿に戻る。
この状態で戦っていたら近いうちにまずいことになるだろうが、それでも俺は諦めたくなかった。
だって最強であるヴォルケンリッターの主だったのだから、俺は最強でなければならない。
あの時のように、力及ばず家族を救えなかったあの時と同じ無力感は味わいたくないから。
俺はどんな状況でも、最強を目指そうと、二度目の人生を得た時に誓ったんだから。
***
「はっはっは!」
「遅いぞ。体力は戦闘の基本だ。スタミナがなくなればその時点で負けだと思え!」
「はい!」
ブラウン色の髪をした少年と赤毛の色をした女性。
砂場で足を捉えらていることを叶えれば十分なスピードで走っているがそれでは赤毛の女性・シグナムは不満だったようだ。
同時に少年の方もまだまだやれると意気込み、その後三十分にわたり走り続けた。
ようやく体力の限界が来たのか少年は砂の上に倒れこみそうになる。
それを支えたのは体格のいい褐色の男だった。
そのそばには桃色の髪をした少女が腕を開いた状態で立っていた。
「すみませんザフィーラさん……」
「構わん。ゆっくり休め。ミウラ、アッシュの介抱をしてやれ」
「う~、分かりましたー(せっかく先輩と触れ合うチャンスだったのに……はっ!介抱するということは膝枕とかもありなのかもしれない!ありがとうございます師匠!必ずチャンスを物にしたいと思います!!)先輩大丈夫ですか!」
「大丈夫だ。少しの間休めばすぐに動けるようになる」
少年はそう答え汚れることも構わずに砂の上に座る。
少女は残念そうな顔をしながら隣に座る。少女の表情に少年が気付くことはなかった。
その様子を遠くから二人の師が見守る。
「お前の目から見てアッシュはどうだ?」
「基本的なことは教えた。技の方も飲み込みがよくどんどん身に着けていく。大会までにはかなりのものになるだろう。あの成長度はまるで主レオンを見ているような気になる」
「性格は違うが強さに対する思いは変わらない、と言う事か」
「ああ。そしてその天然さも似ているな」
「……我が弟子ながら不憫に思えてくるな」
「恋とは惚れた方の負けだというだろう」
「それもそうだな」
「師匠達、何を話しているんでしょうね?」
「分からん。自分はただ師の名を汚さないように努力するのみだ。お前も自分の目標のために努力すればいい」
「(そのストイックさもかっこいいです!)ボク、頑張りますっ!!」
アッシュ・ドラグラー 13歳
ザンクト・ヒルデ魔法学院中等部一年
Style:八神流剣術
Skill:炎剣
Magic:真正古代ベルカ
IM男子部門参加履歴:初参加
その部屋には二人の少年しかいなかった。
小柄ながらも豪奢な服に身を包んだ少年と、二メートルに近い体格を誇る大柄な少年。
しかしその力関係は見た人間が最初に抱くものとは反対のものだった。
「いいか?今回出るであろう奴を潰せ。そうすれば約束通り僕たちは友達だ」
「わかった」
「それならば言え。お前は誰を倒すんだ?」
「おれ、れおんを、たいかいで、たおす」
「それでいい。(僕をクソゲーと呼んだ上に卑怯な手を使って僕に勝ち、アインハルトを奪ったレオン……。お前は今度こそ僕の策によって倒されるんだ。卑怯な手を使ったお前を僕の手先であるこいつが倒し、その手からアインハルトを取り戻す!)」
勝手な思い込み、事実を捻じ曲げた彼の暴走を止めるものは、この場にはいなかった。
ブラウ・デュークライ 13歳
区立学校中等科一年
Style:魔戦打撃
Skill:巨戦
Magic:ミッドチルダ
IM男子部門参加履歴:二回
最高戦績:都市本戦6位入賞
そこに居るのはただ一人。
たった一人で舞っている。
しかしその舞いを見れるものはいない。
その芸術と言える戦闘技術を相手が認識するのは倒される時だけなのだから。
ルーデル・アルストア 15歳
私立学校高等科二年
Style:我流戦闘法
Skill:時帝
Magic:近代ベルカ
IM男子部門参加履歴:四回
最高戦績:世界代表戦優勝
レオンが彼らと会う日は近い。
***
「今アインハルトは何してんだ?」
「デバイスの注文だよ。さすがの君だって真正古代ベルカのデバイスを短時間で作れるわけじゃないだろ?」
「確かになぁ。俺の場合ロマンを求めすぎて時間がかかるし」
「それよりもボク等もはやく準備をしなくちゃ、あの大会に出るんだろ?」
「アインハルトが誘われたって聞いて話をよく聞いてみれば男子部門があったなんてな。そこまで聞いちゃやらない訳にもいかねぇだろ?」
「君はとことん負けず嫌いだなぁ」
クイン・フェン・ヴォテックス
ザンクト・ヒルデ魔法学院中等部一年
Style:我流魔導戦
Skill:遠距離砲撃
Magic:ミッドチルダ
IM男子部門参加履歴:初参加
レオン・G・トエーラ
ザンクト・ヒルデ魔法学院中等部一年
Style:夜王流
Skill:牙回
Magic:真正古代ベルカ
IM男子部門参加履歴:初参加
伝説が始まるときは、近い。
という訳で合宿編終了の話でした。
色々と新キャラ出しましたが頑張って覚えてください!
クソゲーもまた余計なことを考えているようですが、彼の悪巧みはこれくらいじゃ終わりません!これからもっとウザくなっていくと思うので頑張って失敗するよう応援してください!
八月中はほかの小説を更新することになるので、次の話は九月になると思います!
それではまた次回!